植栽管理とは、植えた樹木や草花が、目隠しや景観など空間に応じた目的と機能を発揮し続けられるよう、剪定などの手入れで健全な状態に保つことです。マンションや施設の植栽は、植えたときが完成ではありません。年月とともに樹木は育ち、求められる手入れも変わっていきます。このページでは、植栽の働き、生育ステージ、樹木の大きさと密度、剪定の考え方から、当社が大切にしている長期的な植栽管理の考え方をご紹介します。
目隠し、景観、緑陰など、植栽はそれぞれの目的と機能を持って植えられています。
根付くまで、育てる時期、大きさを保つ時期、見直す時期で、必要な管理が変わります。
樹木は手入れを続けても少しずつ大きくなります。間引きなどの密度管理を計画に組み込みます。
植栽管理の考え方
植栽管理は、個々の植物を維持するとともに、植物の集合体として空間に応じた目的・機能を発揮させることにあります。機能条件は、住環境の向上やプライバシーの保護、侵入防止など、機能に応じて植えられています。
一方、環境条件は、日照や風といった自然条件のほか、建物基盤や設備など環境に大きな制約を受けています。このため、樹種によっては生育が良好で大きくなりすぎる場合もあれば、生育が悪く、求める機能を十分に発揮できない状態になる場合もあります。
植栽は、植付けから定期管理により、機能を十分に発揮できるような高さや枝張りなどをコントロールしながら、健全な状態で生育できるよう手入れをしています。年月を経ると、環境の制約などにより弱った箇所や過密になる箇所も出てきます。これらに対して、定期管理に加えて、良好に維持管理していくための補助的な作業が必要になってきます。
植栽が担う働き
都市の緑は、緑陰や蒸発散による温度の低減、騒音の低減、火災時の延焼を防ぐ働き、四季を感じる景観の形成など、多くの働きを持つとされています。敷地の植栽も、目隠しや景観の演出など、それぞれの目的を持って植えられています。

生育を左右する環境の条件
植物は、日当たり、雨、風通し、土壌の状態など、置かれた環境の影響を大きく受けます。街路樹の管理の考え方では、狭い植栽地、植栽基盤の劣化、過密な植栽による競合、不適切な強剪定が、生育不良の原因として挙げられています。作業は、植物の特性や活力、環境の条件を考えたうえで行うことが基本です。

機能条件FUNCTION
環境条件ENVIRONMENT
出典: 国土交通省「都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する基本的な方針」(令和6年12月)p.1〜3/国土技術政策総合研究所「街路樹再生の手引き」(平成28年3月)p.1-1〜1-4/東京都建設局「街路樹等維持標準仕様書(緑地管理編)」(平成25年4月)p.7
生育ステージ別の段階的管理
植栽は、竣工からの年月によって必要な手入れが変わります。植えた直後は根付かせること(活着)を最優先にし、育つにつれて大きさを決めて保つ管理へ、さらに年月がたつと、状態を総点検して今後の方針を見直す段階へと移っていきます。生育ステージに合わせて管理の内容を切り替え、長い時間をかけて景観を育てていきます。

活着・養生期間
環境に馴化させ、根付くまでの期間。
かん水・施肥など、生育を助ける管理が主体となります。まだ大きく生長していないため、剪定は枯れ枝や徒長枝にとどめます。雑草は初年度から繁茂するため、除草は行います。
育成・養生期間
植物が根付き、生長を始め、大きく育成していく期間。
個々の樹木の大きさを決め、定期的な剪定管理を行います。また、適正な植栽密度を確保して風通しを良くし、病虫害の防除を行っていきます。
抑制・管理期間
自然な樹木の形を目指した自然風剪定で、計画に基づいた目標樹形・景観を維持していく期間。
生育状況に応じて、枯死・衰弱樹木の伐採撤去後、補植による後継樹の育成などを行います(大きくなりすぎた樹木の今後について検討します)。また、活力度が落ちた植込み地や芝生地の更新など、使用する植物の変更なども視野に入れて管理します。
更新・再生期間
衰弱や腐れ、枯れなど樹木の状態の総点検や費用面の確認など、今後の管理方針の見直しを行う時期。
竣工からこれまでの管理内容により、樹木の大型化や、衰弱・枯れによる危険木の顕在化、管理費用の増加など、植栽管理についての総点検や大規模修繕(改修)が必要になります。樹木の状態については樹木医診断を行い、工程や費用面の見直しには、管理ノウハウを生かしたコンサルティングを行います。
※各ステージの年数は、当社の現場での目安です。植栽地の条件や樹種によって前後します。
| 主な作業 | STAGE 1活着・養生 | STAGE 2育成・養生 | STAGE 3抑制・管理 | STAGE 4更新・再生 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 定期管理 | 剪定 | ||||
| 除草 | |||||
| 施肥 | |||||
| 病虫害防除 | |||||
| 植栽巡回・定期点検 | |||||
| スポット | 樹木補植 | ||||
| 芝生補植 | |||||
| 植え替え | |||||
| 間引き | |||||
| 枯枝木伐採 | |||||
| 倒木・障害木・実生木撤去 | |||||
| 支柱撤去または交換 | |||||
●は、そのステージで主に行う作業です。表は横にスクロールしてご覧いただけます(スマートフォン)。
植え付け直後の活着については、東京都建設局「街路樹等維持標準仕様書(緑地管理編)」(平成25年4月)p.9・12〜13で、適期を外す場合は保護養生などで活着に万全を期すとされています。
樹木の大きさと密度の考え方(25年目以降〜)
建物などの周囲に植えてある樹木は、空間に制約があることから、定期的な剪定作業などにより、一定の高さや枝張りで維持しています。しかし、樹木は生き物であり、一定の大きさで維持を続けても少しずつ大きくなり、年月を経る(生育が良好な場合)と、植栽全体が高密度になってきます。
また、竣工時は、苗木から樹間を狭くとり、高密度に植えられています。このため年月を経て、一定の大きさで維持を行っていても、生長とともに過密になる箇所が出てきます。環境や、樹木の生長速度・強さなどの影響で生育にばらつきが出てくるため、間引きなどによる密度管理と、一定の大きさを保つ管理が必要となります。

過密になったときの対処
早く緑の効果を出すために狭い間隔で植えた木は、年々の生長で互いに競い合うようになります。街路樹の管理の考え方では、間隔が少し狭い程度であれば剪定で樹冠を縮めて対応し、樹形が大きく崩れるおそれがある場合は、間伐(間引き)で適した間隔を確保するか、植え直しを検討するとされています。間引きの後も、間隔が適切かを確かめていきます。
年数とともに樹木が大きくなると、病虫害や管理費の増加、建物や舗装との干渉、倒木の危険などが増えていきます。一方で、問題が出た木でも、まずはその木の働きと価値を考えて保全を優先し、重大な危険が生じた段階で更新を検討するのが基本です。
出典: 国土技術政策総合研究所「街路樹再生の手引き」(平成28年3月)p.1-2、p.1-5〜1-6、p.1-13、p.1-59〜60
剪定の考え方
樹木を一定の大きさに保つうえで、剪定のしかたは長期的な樹形と樹勢を大きく左右します。現場での経験から、強く切り詰める剪定を繰り返すと、切り口の近くから勢いの強い枝が多く伸び、かえって樹形が乱れることが多いと感じています。当社は、目標とする樹形を定め、時間をかけて整える剪定を基本にしています。

- 01
大きくなりすぎた木は、数年かけて小さくする
一度の強剪定で樹冠を詰めるのではなく、目標とする樹形を定め、数年かけて計画的に縮めていきます。
- 02
太い枝を途中で切らない
太い枝や幹を途中で切る「ぶつ切り」は行いません。途中で切られた枝は、数年後に枯れて落ちる危険が高いとされています。
- 03
夏の強剪定は行わない
夏は緑陰などの働きが求められる時期です。落葉樹の夏の剪定は必要最低限にとどめます。
- 04
崩れた樹形の回復には年単位の時間がかかる
切り詰めを繰り返した樹形を立て直すには、樹種によって数年を要します。途中は枝の少ない姿になるため、管理組合や関係者の方へ丁寧にご説明しながら進めます。
出典: 東京都建設局「街路樹維持管理計画書」(令和3年12月)p.1、p.5〜6、p.14〜19/東京都建設局「街路樹等維持標準仕様書(緑地管理編)」(平成25年4月)p.8/国土技術政策総合研究所「街路樹再生の手引き」(平成28年3月)p.1-2、p.1-4、p.1-102
当社の取り組み
実際に自社で植栽管理を行っている、現場に精通した専門家の視点で、長期的な植栽管理をご提案します。
樹木医が現状の植栽の状態を診断し、危険な樹木やこれから問題となりそうな樹木を洗い出します。
長期的な視点に基づいた、植栽の修繕計画を立案します。
現行の管理費用や作業内容を精査し、最適なプランをご提案します。
樹木医の巡回点検で異常を早く見つけ、計画に沿って年間の植栽管理を行います。





