長期的な植栽管理の考え方

植栽管理の考え方

植栽管理は、個々の植物を維持するとともに、植物の集合体として空間に応じた目的・機能を発揮させることにあります。機能条件は、下図のように住環境の向上やプライバシーの保護、侵入防止など機能に応じて植えられています。
一方、環境条件は、日照や風といった自然条件のほか建物基盤や設備など環境に大きな制約を受けています。
このため、樹種によっては生育が良好で大きくなりすぎる場合もあれば、生育が悪く求める機能を十分に発揮できないような状態になる場合もあります。
植栽は、植付けから定期管理により機能を十分に発揮できるような高さや枝張りなどをコントロールしながら健全な状態で生育できるよう手入れをしています。年月を経ると、環境の制約などにより弱った箇所や過密になる箇所も出てきます。これらに対して、定期管理に加えて、良好に維持管理して行くための補助的な作業が必要になってきます。

機能条件
  • □敷地の明瞭化
  • □侵入防止
  • □プライバシーの保護
  • □目隠し・遮蔽
  • □四季の移ろい
  • □景観演出
  • □住環境の向上
環境条件
  • ●日照
  • ●風
  • ●病虫害
  • ●緑陰(太陽から)

生育ステージ別の段階的管理

※この表は左右にスクロールしてご覧いただけます。

生育ステージ1
活着・養生期間
(竣工~3年)
2
育成・養生期間
(4~10年)
3
抑制・管理期間
(10~25年)
4
更新・再生期間
(25年以降〜)
環境に馴化させ、
根付くまでの期間。
植物が根付き生長を始め
大きく育成していく期間。
自然な樹木の形を目指した自然風剪定で、計画に基づいた目標樹形景観を維持していく期間。衰弱や腐れ、枯れなど樹木の状態の総点検や費用面の確認など、今後の管理方針の見直しを行う時期。
主な管理内容 かん水・施肥など生育を助ける管理が主体となります。まだ大きく生長はしていないため、剪定は、枯れ枝や徒長枝にとどめます。
※雑草は初年度から繁茂するため、除草は行います。
個々の樹木の大きさを決め、定期的な剪定管理を行います。
また、適正な植栽密度を確保して、風通しを良くし病虫害防除を行っていきます。
生育状況に応じて、枯死・衰弱樹木の伐採撤去後、補植による後継樹の育成などを行います。(大きくなりすぎた樹木の今後について検討します)
また、活力度が落ちた植込み地や芝生地の更新など使用する植物の変更なども視野に入れて管理します。
竣工からこれまでの管理内容により、樹木の大型化や、衰弱、枯れなどによる危険木の顕在化、管理費用の増加など植栽管理についての総点検や大規模修繕(改修)が必要になります。
樹木の状態については樹木医診断を行います。工程や費用面の見直しには管理ノウハウを活かしたコンサルティングを行います。



剪定
除草
施肥
病虫害防除
植栽巡回
定期点検



樹木補植
芝生補植
植え替え
間引き
枯枝木伐採
倒木・障害木・
実生木撤去
支柱撤去
または交換

樹木の大きさと密度の考え方(25年目以降〜)

建物などの周囲に植えてある樹木は、空間に制約があることから、定期的な剪定作業などにより、図1に示すように一定の高さや枝張りで維持しています。しかし、樹木は生き物であり、一定の大きさで維持を続けても少しずつ大きくなり、年月を経る(生育が良好な場合)と、植栽全体が高密度になってきます。
また、図2のように、竣工時は、苗木から樹間を狭くとり高密度に植えられています。
このため、年月を経て、一定の大きさを枝張りで維持を行っていても生長とともに、過密になる箇所や環境、樹木の生長速度や強さなどの影響により、生育にばらつきが出て来るため、間引きなどによる密度管理と、一定の大きさを保つ管理が必要となります。

図1 計画的に管理された植栽

図2 植栽密度管理の流れ

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