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Service
サービス樹木とともに都市景観の未来を切り拓く
事業部門
グリーンメンテナンス部門、ツリーリスクアセスメント部門、ランドスケープコンサルティング部門の3部門が連携し、専門知識と技術を融合して、中⾧期的に植物を育成・管理します。これにより、景観や資産の付加価値を創造します。
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まだ日が昇りきらない時間から、新大久保でセンペルセコイアの伐採作業に入らせていただきました。
車通りも人通りも多い通りで、日中はどうしても歩道も車道も落ち着きません。周囲への配慮を考えると作業できる時間帯は限られますので、今回は早朝からの着手としています。
ラフタークレーンのオペレーターの稲見さんと、クレーンを据える位置、アウトリガーの張り出し、どちら側へ旋回して荷を下ろすかを一つずつ確認しながらのスタートになりました。大きな樹木ほど、刃を入れる前の段取りに時間をかけます。
クレーンを使った伐採は、樹木を切る仕事であると同時に、吊り荷を扱う仕事でもあります。生きた樹木は水を含んでいて見た目よりも重く、枝の付き方によって重心も偏ります。玉掛けの位置を重心に対してどこに取るか、幹から切り離した瞬間に荷がどちらへ振れるかのイメージが重要です。クレーンは作業半径が伸びるほど吊れる重量が小さくなりますので、1回でどれだけの長さを落とすかも、木に登る前に決めておきます。
センペルセコイアは北アメリカ西部の海岸沿いを原産とするヒノキ科の常緑針葉樹で、セコイアメスギ、レッドウッドとも呼ばれます。原産地では樹高が100mを超えることもあるそうです。成長が早く、幹はまっすぐに立ち上がり、樹皮は厚く縦に深く裂けます。葉は枝に二列に並び、針葉樹ですが触っても痛くありません。自生地が霧の多い湿った環境ですので、乾燥は不得意な樹木です。
日本では風や雪の影響もあって20〜30mほどで収まることが多いようですが、それでも街中の限られた敷地には大きくなる樹種だと思います。植えられた当時の大きさと、20年後30年後の姿は、まるで別の樹木になります。
ご依頼をいただきありがとうございました。
先日アナウンスさせていただきました下記の講座につきまして、申込定員を超えるたくさんのご応募をいただきました。ありがとうございました。
今回の講座は申し込み受付終了となりますが、また今後も数回に分けて講座の実施予定がありますので都度アナウンスさせていただきます。
【受付終了】
9月28日、日比谷公園で開かれる「暮らしに役立つ樹木講座 ~樹木で生活を豊かに~」で、講師を務めさせていただくことになりました。
主催は東京都公園協会様で、東京都都市緑化基金の講座として、樹木が私たちの暮らしにもたらすさまざまな効果について学ぶ内容です。
樹木の木陰は、日差しを遮るだけでなく、日射で熱くなった舗装や建物の表面から出る熱もやわらげてくれます。昨今の夏の暑さの中、現場で樹木の下に入ると、日なたとの違いを体で感じます。ただ、この効果は樹木が健全に育っていてこそのものだと思っています。
当日は、樹木による木陰の効果と合わせて、実際の樹木の管理事例についてもお話しさせていただく予定です。2018年に会社を設立してから、植栽管理、樹木診断、植栽コンサルティングを一貫して手掛けてきました。その現場で見てきたことを、なるべく分かりやすくお伝えできればと考えています。
暑さ対策や住環境の向上に関心のある方、マンションや集合住宅の管理に携わる方、自治体職員の方などに向けた講座ですが、身近な樹木に少し関心のある方にもお気軽にご参加いただけたらと思います。
開催日時
2026年9月28日(月)
13:30〜16:30(受付は13:00より)
会場
日比谷公園 緑と水の市民カレッジ 2階
講習室(東京都千代田区日比谷公園1-5)
定員 先着30名
受講料 無料
主催・お問い合わせ
公益財団法人東京都公園協会
公園事業部 公益事業推進課 緑の基金担当
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
八丈島の夜の森で
光るキノコ ナイトウォーク
をしてきました!
ツアーは、まず暗闇に目を慣らすところからスタートしました。
ライトを消して、しばらく黙って立つ時間がないと、足元で光っているものにまったく気づけません。ガイドの方が案内してくださるナイトウォークで、会場は八丈町中之郷の「光るキノコの森」。
今年は7月25日から9月30日までの開催で、夜7時半から9時までの1時間半ほどでした。
月や星が出ていると、かえってキノコの光は見えにくくなるそうです。この日は曇り。ガイドの方いわく、条件としては申し分ない夜とのことでした。
普段、樹木医として向き合っているキノコは、幹や根株に出た腐朽菌の子実体です。それがどの菌で、樹木の内部がどこまで傷んでいるかの手がかりであって、八丈島の光るキノコは、同じキノコでもまったく別の世界でした。
教えていただいた話をいくつかご紹介します。
本来の見頃は6月頃で、気温が30℃を超えるとキノコは傷んで死んでしまうそうです。湿度の影響も大きく、出てきた子実体の寿命はおよそ3日。島の代表格であるヤコウタケは、ビロウという八丈島のヤシの仲間を好んで住処にしていて、その幹や枯れた葉柄から顔を出します。傘の大きさは1〜3cmほどで、暗闇でなければ通り過ぎてしまう小ささです。
なぜ光るのか非常に気になるところですが、ガイドの方によれば、はっきりとはわかっていないそうです。近年、光る仕組みそのものは化学的にかなり明らかになってきたと聞いていますが、何のために光るのかについては定説がなく、虫を呼び寄せて胞子を運んでもらうためではないか、という考えが有力とのことでした。腐朽菌の子実体も胞子を飛ばすために出てくるわけで、そこは同じなのだと思うと、少し見方が変わります。
八丈島は発光生物が多く息づく島で、光るキノコだけでも複数種が確認されているそうです。チラシにはヤコウタケのほか、エナシラッシタケ、スズメタケ、シイノトモシビタケの名前が並んでいました。
名前がどれもきれいで、島の人たちが長く付き合ってきた生きものなのだと感じます。
ちなみに、エナシラッシタケの名前の由来は、
柄無しで、エナシ
でヤシなどの裸子 ラシ
を好む茸 タケ
なのだそうです。
ツアーは公式LINEからの予約制で、定員は20名、当日の正午が受付の締切です。歩きやすい靴と長袖長ズボン、虫よけがあれば大丈夫でした。主催はNPO法人八丈島観光レクリエーション研究会で、東京宝島チャレンジプロジェクトの支援を受けて実施されているそうです。
樹木の内側を傷めるキノコを追いかける仕事をしていると、キノコに対してどうしても身構える癖がつきます。ヤシの枯れた葉の陰で静かに光っている小さな傘を見て、菌というものの幅の広さを、あらためて教わった夜でした。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
飛行機で八丈島に渡り、今日から一週間の樹木診断が始まります。
宿のオーナーに島での動き方を伺ったところ、「護神の交差点を起点にするといい」と教えていただきました。地図を広げてみて納得しました。八丈島は八丈富士と三原山という二つの火山がくっついてできた島で、その二つの山に挟まれた低い平地に、役場も空港も港も集まっています。護神はちょうどその真ん中あたりでした。北へ向かうにも南へ下るにも、一度ここに戻ってくれば距離感が狂わなそうです。
それにしても「護神」というすごい名称が気になって少し調べてみました。交差点のすぐ脇に護神山という小さな丘があり、そこから来ているようです。
この丘、八丈富士の側火山のひとつで、丘に見えて火口も残っているのだそうです。戦時中は軍の司令部が置かれていたとも伺いました。「護神」の字がなぜ当てられたのかまでは資料に行き着けませんでしたが、火山の丘がそのまま信仰の場として残ってきた土地なのかと思います。
樹木医としては、この成り立ちも気になります。スコリアが積もってできた丘は水はけがよく、そこに立つ樹木の姿は、潮風をまともに受ける海沿いや、湿り気の残る谷筋の樹木とは違ってきそうです。
明後日からは天候も崩れそうなので、段取りをしっかりやっていきたいと思います。
9月28日、日比谷公園で開かれる「暮らしに役立つ樹木講座 ~樹木で生活を豊かに~」で、講師を務めさせていただくことになりました。
主催は東京都公園協会様で、東京都都市緑化基金の講座として、樹木が私たちの暮らしにもたらすさまざまな効果について学ぶ内容です。
樹木の木陰は、日差しを遮るだけでなく、日射で熱くなった舗装や建物の表面から出る熱もやわらげてくれます。昨今の夏の暑さの中、現場で樹木の下に入ると、日なたとの違いを体で感じます。ただ、この効果は樹木が健全に育っていてこそのものだと思っています。
当日は、樹木による木陰の効果と合わせて、実際の樹木の管理事例についてもお話しさせていただく予定です。2018年に会社を設立してから、植栽管理、樹木診断、植栽コンサルティングを一貫して手掛けてきました。その現場で見てきたことを、なるべく分かりやすくお伝えできればと考えています。
暑さ対策や住環境の向上に関心のある方、マンションや集合住宅の管理に携わる方、自治体職員の方などに向けた講座ですが、身近な樹木に少し関心のある方にもお気軽にご参加いただけたらと思います。
開催日時
2026年9月28日(月)
13:30〜16:30(受付は13:00より)
会場
日比谷公園 緑と水の市民カレッジ 2階
講習室(東京都千代田区日比谷公園1-5)
定員 先着30名
受講料 無料
お申し込み 下記ページ内の「参加申込フォーム」から
主催・お問い合わせ
公益財団法人東京都公園協会
公園事業部 公益事業推進課 緑の基金担当
TEL:03-5510-7183(平日9:30〜17:00)
https://www.tokyo-park.or.jp/public/greening/news/2026/park_info.html
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
素敵な芝生のお庭に植えられた古木のオリーブの手入れに伺いました。
オリーブアナアキゾウムシ対策の薬剤散布と、樹皮がはがれてカビが出ていた部分の確認と対応をさせていただきました。
近年植栽されたオリーブへの被害が多くなってきている、オリーブアナアキゾウムシは日本在来の虫で、オリーブが入ってくる前はネズミモチやイボタノキなど、同じモクセイ科の樹木についていたと考えられているそうです。成虫が幹の地際に卵を産み、孵った幼虫が樹皮の下を食い進んで形成層を傷めます。被害が多いと枯れてしまうこともあります。成虫は3年ほど生きることもあり、冬以外は産卵できるとされていますので、春に一度気をつければよい虫ではないと思っています。
対策の基本は幹への薬剤散布で、今回はオリーブに登録のあるダントツ水溶剤を使いました。地際の幹に産卵し、幼虫が樹皮の下にいる虫ですので、かけるのは葉より幹が中心になります。根元から幹、枝の分かれ目まで、薬液が流れて樹皮が濡れるくらい行います。成虫は夜行性で、昼間は株元の下草などに潜んでいるそうなので、根元まわりをすっきりさせておくことも大切だと思います。
樹皮がはがれた箇所にカビが出ていた部分は、浮いた樹皮を取り除いて内側に食害の跡がないかを確かめ、乾かしてから殺菌癒合剤を塗りました〕。カビそのものよりも、そこに湿気がこもらないかを気にしています。
オリーブは丈夫な樹木ですが、根元だけはこまめに見てあげる必要があると思います。根元に木くずのようなものが出ていたら、虫が入っている合図かもしれません。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
大島での樹木診断を終えたあと、神津島での診断に伺いました。神津島でも島の中をいくつか見て回り、特に印象に残ったのが、港のすぐ上の丘に鎮座する物忌奈命神社(ものいみなのみことじんじゃ)です。石段を上がった先には、タブノキの参道が続いています。
境内には、ご神木のイチョウのほか、サクラ、タブ、イブキ、マツ、マキが立っていました。観光協会の資料では、このイチョウは樹齢169年(2024年時点)とされ、江戸の終わりから明治の初めの頃に植えられたと伝わっています。海のすぐそばで、これだけの大きさに、しかも健全に育っていることに、まず驚きました。
一般的にイチョウは潮風に弱い樹木とされています。2018年の台風24号のあと、鎌倉や横浜のイチョウ並木が黄葉を待たずに茶色く枯れ込んだのを覚えている方もいるかと思います。葉の薄い落葉樹は、葉の表面に付いた塩水に水分を奪われて枯れてしまうとされています。イチョウは根が深く、風そのものには比較的強い樹木ですが、葉は潮に弱い性質を持っています。
私たちの見立てとしては、社殿の背後に続くシイやタブノキ主体の「社叢(しゃそう)」、いわゆる鎮守の森が、海からの風を受け止める防風壁の役目を果たしていて、その内側に立つイチョウまでは潮風が届きにくくなっているのではないかと思います。
境内のタブ、イブキ、マツ、マキは、どれも海辺で古くから頼りにされてきた潮風に強い樹種です。マツやマキは海辺の防風林や生垣に使われ、イブキは海岸の岩場に自生し、タブノキは海沿いの照葉樹林をつくる樹木です。潮に強い常緑樹が風と塩を引き受け、その内側でイチョウとサクラが育っている。森が自分の内側に穏やかな環境をつくる「微気候」の保護の、よい例なのだと思いました。
もちろん、一度の見学で言い切れることではありません。土の深さや水の通り方、これまでの手入れの積み重ねなど、ほかにも理由はあるはずです。ただ、樹木はその立ち姿に、その場所の環境と人の手入れの跡をそのまま残します。この境内では、人が守ってきた森が、今度は一本のご神木を守っているように見えました。
神津島観光協会は、島の樹木と人の暮らしの物語を「神津の森」としてまとめ、樹木巡りのマップまで作られています。昔はこの境内で、おじいさんたちが漁の網を編み、子どもたちが虫取りをして遊んでいたそうです。石段や鳥居の石材は、氏子の皆さんが人力で運び上げたものだとも書かれていました。樹木を景色としてではなく、暮らしの一部として語っている島だと感じました。
神社のあとは、前浜海岸にも寄りました。港の南に白い砂浜が続いています。大島で見てきた黒い砂とは、まるで色が違います。大島が玄武岩の島で、神津島は流紋岩の島だそうです。岩の白さがそのまま砂の白さになっていました。
伊豆の島々をつくった神々がこの島に集まり、水を分け合ったという「水配り」の伝説が、神津島の由来だそうです。同じ伊豆諸島でも、島ごとに岩が違い、砂の色が違い、風と潮の当たり方が違います。樹木の育ち方も、その島ごとに環境で想像しないといけないのだと、前浜の白い砂を見ながら思いました。
週明けからは八丈島に渡り、樹木診断に入らせていただきます。
八丈島は常春の島とも呼ばれる温暖な島で、幹を立ち上げて樹木のような姿に育つシダ植物・ヘゴが自生しています。その自生地は国の天然記念物「ヘゴ自生北限地帯」に含まれ、樹木状に育つヘゴの分布としては国内の最北にあたるそうです。花束の添え葉として広く使われるフェニックス・ロベレニーも、国内産のほとんどが八丈島で育てられていると聞きます。この温暖な環境で樹木がどんな立ち姿を見せているのか、樹木医としてはそこが楽しみです。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
小田急線の線路跡につくられた下北線路街で、葉の生理状態を測る機器「LI-600」のデモンストレーションに参加させていただきました。主催は一般社団法人シモキタ園藝部様で、樹木医の佐々木知幸さんのご提案から企画された会だと伺いました。
私たちが普段、診断で手にしているのは、幹の内部の腐朽や空洞を診る機器が中心です。今回の「LI-600」は幹ではなく葉に挟んで使う機器で、気孔を通したガスの出入りと、葉が受け取った光をどれだけ光合成に使えているかという二つの側面を数値にしてくれます。
私たち樹木医が樹木の外観から判断している葉の色や量といった目に見える変化とは別に、葉の中で起きている働きそのものを見せてくれる、とても興味深い機器です。
初めに、河合菜採樹木医から診断の属人性と主観の問題について、佐々木樹木医から伊豆大島の事例と葉の構造・光合成のしくみについてお話があり、続いてメイワフォーシスさんから機器の仕組みの説明を受けて、実際の計測へ移りました。
河合さん、佐々木さんのお話は普段から現場で樹木と向き合っているからこそ疑問や課題に感じる部分を言葉にしてくださっていたのでとても共感できる事が多かったです。
フィールドは代田さくら広場からボーナストラック、そしてシモキタのはら広場。植栽環境などの影響で生育が弱り、シモキタ園藝部の皆さんが樹勢回復の手入れを続けてこられた樹木と、旺盛に育っている樹木の葉を同じ機器で測り、結果を見比べました。
生育状態も管理履歴も違う樹木を同じ物差しで測って並べてみるという組み立てそのものに、日頃の観察と科学的な測定を行き来しながら樹木を理解しようとするシモキタ園藝部の姿勢が表れていると思いました。ご案内にもありましたが、「LI-600」は測定値だけで樹木の健康・不健康や樹勢を判定する機器ではなく、樹冠や枝葉、根系、土壌、生育環境の観察と組み合わせて、これからの管理を考えるための手掛かりの一つとされています。一度の診断はその時点の状態を切り取ったものにすぎない、という普段の現場の実感とも重なっていました。
今日の話を聞きながら、どうしても昨今の夏の暑さと結びつけて考えていました。暑さと乾きが強まると、樹木は水を失わないように気孔を閉じていきます。気孔が閉じれば蒸散が減り、葉から熱を逃がす働きも、光合成のための二酸化炭素の取り込みも一緒に弱まります。葉の色が変わる、葉を落とすといった目に見える変化の前に、まずこの見えないところで変化が起きているはずで、「LI-600」が測っているのはその部分です。海外の研究では、猛暑の時期でも土の深い所に水があれば、樹木は気孔を絞りながら蒸散を保ち、周囲を冷やし続けることが報告されているそうです。裏を返せば、植え桝が小さく土が締まった都市の樹木ほど、暑さの中で先に気孔を閉じやすいということになると思います。
これから先も夏の暑さがこの調子で続くのであれば、樹木の診断も、幹の腐朽や空洞といった安全性の側面に加えて、葉がどの程度働けているかという生理の側面を数値で持っておくことが必要になってくると考えています。
たとえば、樹勢回復の手入れをした樹木の葉が翌年の夏にどう変わったか、同じ樹種でも日当たりや土壌の違いで気孔の開き方にどれだけ差が出るかといった比較を季節をまたいで重ねていけば、どの樹木にいつ水をやるか、どこの土を先に改善するかといった判断の根拠が、人の目に加えてもう一つ増えることになります。
数値は一瞬を切り取るもので、時間帯や光の当たり方でも変わりますから、扱いには慎重さが要ります。それでも、日頃の観察と測定を行き来しながら樹木を診るという今日の考え方は、これからの植栽管理の基本になっていくと思いました。
樹木医としてお付き合いのある佐々木樹木医、河合樹木医、笠井樹木医、そしてシモキタ園藝部の皆様と、研修の合間に意見を交わせたことも今日の収穫でした。皆様、機器のご説明をいただいたメイワフォーシス様、貴重な機会をありがとうございました。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
野増大宮の椎樹叢
鳥居の先は、森でした。
伊豆大島での樹木診断の折に、野増の大宮神社に参拝してきました。一の鳥居から石段を上るほどに木々の影が濃くなり、昼でも薄暗いほどの椎の森が、社殿までずっと続いていました。
三原山の度重なる噴火の降灰を避けて、室町時代に今の地へ遷ってきたと伝わっています。溶岩をかわして生き残った「サクラ株」とは逆に、こちらは人と社殿が動いた、火山の島のもう一つの答えだと思いました。
参道から社殿のまわりには、スダジイを主にイヌマキやタブノキの驚くほど大きな巨木が群れ、1939年に「野増大宮の椎樹叢」として東京都の天然記念物に指定されています。
幹周り7mに達すると紹介される椎の古木もあり、縄の巻かれた御神木は、幹の一面が大小のこぶに覆われていました。もはやその形状は樹木医といえど長い年月に受けた傷を、どのようにその都度ふさぎ、包み込んできた痕なのか理解が難しい様相をしていてとても印象的でした。
一方で、この森が2019年9月の台風で大規模な倒木被害を受けたことも記録されています。実際に歩くと、倒れたままの樹木や折れて枯れた大枝がそのまま残されていて、そのときの風の力を肌で感じる、大迫力の環境でした。
ただ、倒木の跡は森に光の窓を開けます。明るくなった足元からは次の世代が育ち始めるはずで、被害の痕は、同時に森のやり直しの始まりでもあります。社寺林の管理に関わる私たちにとっても、天然記念物の森が嵐とどう付き合っていくのかを考えさせられる時間でした。
こぶだらけの幹も、折れた枝も、横たわる倒木も、この森が生きてきた時間の重みを感じました。噴火から逃げてきた社殿を、傷を負いながらなお立ち続ける樹々が守っている。その組み合わせに、島の千年の時間に思い巡らせることができました。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
大島での樹木診断を終えたあと、新島に渡り、こちらでも樹木診断をさせていただきました。
診断の合間に島の総鎮守である十三社神社へ。十三社神社は「明神さま」とも呼ばれ、伊豆諸島で最大規模の神社とされています。
境内で目にした樹木は、スギ、スダジイ、タブノキ、マキ、ソテツ、サクラ。スギやマキ、ソテツ、サクラのように人の手で植えられたと思われる樹木と、スダジイやタブノキのようにこの島本来の樹木が、同じ境内に立っていました。
新島村博物館の研究紀要によると、新島の自然植生は「照葉樹林帯」に属し、スダジイ林にタブノキやホルトノキ、ツバキが混じる林が島のもともとの姿だそうです。神社の背後にそびえる宮塚山の東側斜面には、人の手が入らないまま残ったスダジイの自然林があるとのことでした。
「鎮守の森」は、その土地本来の樹木が長く守られてきた場所でもあります。社殿がいまの場所に移ってから370年あまり。神社とともに育ってきた樹木が、いまの神域の空気をつくっていると感じました。
幹に大きな樹洞を抱えながら、再生を続けている樹木もありました。樹木は中心が朽ちても、外側に新しい材を重ね、空洞の縁を巻き込み、残った幹から新しい枝を伸ばしながら生きていきます。空洞があるからすぐに危ないというわけではなく、残っている材の厚みや健全さ、根元の状態、樹勢を合わせて見ていくのが、私たち樹木医の診断の基本です。
鳥居とお社の背後に見える岩肌は、庭園でいう「借景」のように山を景色として取り込んでいるようでもありました。日本には古くから山そのものを神体とする信仰があります。十三社神社の由緒がそうだと伺ったわけではありませんが、そのような雰囲気を感じる場所でした。
神社をあとにして前浜海岸へ。白い砂浜が続いています。新島の砂が白いのは、島の岩の多くが流紋岩でできているためだそうです。宮塚山は約1万7千年前の噴火でできたと聞きました。あの岩肌も足元の白い砂も、もとは同じ火山の営みで、そう思うと、鎮守の森の樹木たちが生きているのはずいぶん短い時間なのだなと思いました。
前浜海岸の一角にある「ボロ桟」にも立ち寄りました。穴の開いた古い桟橋で、夕暮れになると地元の方々も集まる場所だそうです。古くなったものが名前ごと親しまれ、景色の一部になっているのは、樹木との付き合い方にも通じるところがあると思いました。
都内の現場が多い私たちにとって、山と森と社と海が一続きになっている風景を見られたのは、とてもいい時間でした。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
わたしたちの会社について
グリーンマネジメント
①自社で一貫した管理
②科学的な知見(アーボリカルチャー / arboriculture)と現場の融合
③長期的な植栽管理メンテナンスの計画/プランニング
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