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サービス樹木とともに都市景観の未来を切り拓く
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グリーンメンテナンス部門、ツリーリスクアセスメント部門、ランドスケープコンサルティング部門の3部門が連携し、専門知識と技術を融合して、中⾧期的に植物を育成・管理します。これにより、景観や資産の付加価値を創造します。
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幹の中を輪切りのように映し出すピカスの画像について、色から何が読み取れるのかを少しご紹介したいと思います。
ピカスは、幹の周りに取り付けたセンサーを順番に軽く叩き、音が幹の中を伝わる速さを測る機器です。健全な材の中では音は速く伝わり、腐朽や空洞があるところでは遅くなります。その速さの違いを色に置き換えたものが、この断面図です。
色は大きく三つに分けて見ます。黒から茶色は音が速く伝わった部分で、健全な材と考えられます。紫・青・白は音が遅かった部分で、腐朽や空洞が疑われるところです。その間の緑はどちらとも言い切れない部分で、周りの状態と合わせて読む必要があります。
メーカーの説明では、ピカスの画像だけでは、紫や青の部分が腐朽なのか空洞なのかまでは区別できないとされています。
今回のケヤキは中心が大きく青く抜け、外側に茶色の材が輪のように残る形でした。
茶色の輪の厚みは一様ではありません。右下(センサー12〜15番のあたり)で健全な材の層が薄くなっていました。樹木を支えているのはこの外側の材なので、割合の数字だけでなく、どの方向にどれだけの厚みが残っているかも合わせて見ています。
また、中心から下に向かって黄色い線が1本引かれています。これは色の分類とは別のもので、解析ソフトが亀裂の可能性を示した位置です。入り皮や亀裂のように材のつながりが途切れているところがあると、音はそこを真っすぐ通り抜けられず、回り込む分だけ伝わるのに時間がかかります。海外の診断報告では、この黄色い線が太いほど亀裂が大きいと読まれています。
亀裂や入り皮があると、音の遅れが実際より大きな損傷として色に出ることもあるそうです。今回の黄色い線は、外周がくぼんだ形になっているセンサー11番と12番の間に向かっていて、外観と合わせて確かめておきたい位置です。
ツリートロニックという機器で電気の通りやすさ(電気抵抗)も測りました。こちらは色の意味が変わり、赤は電気が通りにくい部分、青は通りやすい部分です。水分やミネラル分の多い材は電気を通しやすく、乾いた材や空洞は通しにくくなります。健全な樹木でも、外側の辺材は水分が多いので青く、中心に向かって赤くなるのが普通の姿とされています。
音と電気の結果を重ねると、ピカスで音が遅かった部分が、空洞や乾いた腐朽なのか、水分を含んで進んでいる腐朽なのか、その手がかりが得られます。電気抵抗は亀裂や入り皮の影響を受けにくいので、音の結果を補う意味もあります。今回の断面では、ピカスで損傷と出た範囲の中でも、同じ「損傷」の中にも、状態の異なる部分があるのかもしれません。
どの数字も、この樹木の状態を見極めるための手がかりの一つです。今回合わせて実施したレジによる測定やドローンで確認した樹冠の姿も合わせて、一本の樹木として総合的に判断していきたいと思います。お客様には今回の診断の情報について公開の許可をいただき感謝申し上げます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
神楽坂のル・モコで、樹木医の後藤さん、森さん、佐々木さんとご一緒させていただきました。後藤さんにお声がけいただいた樹木医として会社を立ち上げた者同士で語り合う会です。
ル・モコはフランス人のオーナーが営む南仏料理のお店で、ワインはオーナー自ら輸入した、ここでしか飲めないものばかりで、とても美味しかったです。四人で卓を囲むとちょうど良い距離感になり、赤ワインを片手に肩肘張らずに話ができました。
診断や機器の技術的な話ももちろん出ましたが、それ以上に、会社としての意思決定をどうしているか、若手にどこまで仕事を任せるか、チームをどうまとめ、ミッションをどう考えているかといった、経営の話が中心でした。若手が自分で判断できる形をどうつくるかは私自身いつも考えていることなので、それぞれの会社のやり方を伺えたのはとても参考になりました。
男性陣はほぼ同世代ということもあり、遠慮のない話ができたのも嬉しかったです。立場は違っても悩んでいることには似ているところが多く、少しほっとした夜でした。
後藤さん、素敵な会にお誘いいただきありがとうございました。皆さん、引き続きどうぞよろしくお願いします。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
山梨県での出張は2班に分かれています。
河口湖畔の植栽管理班と、都留市の西涼寺様での樹木診断班です。
霊木として大切にされているケヤキの樹木診断を、弊社の樹木医チームが行わせていただきました。今回診断に関してドローンでの撮影と情報公開の許可をいただきました。ありがとうございます。
西涼寺様は、かつて谷村(やむら)と呼ばれた城下町の一角にある浄土宗のお寺です。開山の林徹上人は江戸・神田の生まれで、芝・増上寺を中興した観智国師の弟子だったと伝わっています。
西涼寺様には「泣き欅」というケヤキの昔話も伝わっていて、山梨県がまとめた昔話のアーカイブにも収められていました。
診断では、まず樹木医が目視で外観を確認し、ドローンを飛ばしてケヤキの全体像を上からも確かめました。高い樹木は、地上から見上げるだけでは樹冠の上のほうが見えにくいためです。
幹の内部は、「ピカス トモグラフィ&ツリートロニック」、「レジ(Resi PD)」の機器を合わせて使い、根元と幹の2つの断面で診ています。
ピカスは、幹のまわりにセンサーを付け、音の伝わる速さから断面の様子を図にする機器です。ツリートロニックは、同じ断面を電気の通りにくさ(電気抵抗)から図にします。レジは、細い針を幹に入れていき、そのときの抵抗の変化から内部の状態を読み取ります。
音の図と電気の図で断面全体の傾向をつかみ、断面の中で確証のもてない箇所や懸念のある箇所へ限定的にレジを打って確かめます。どの機器にも得意不得意があるので、それぞれの結果と外観の所見を照らし合わせての分析を行っています。
根元の断面を診るのは、根や株から入った傷みが表れやすく、樹木が風を受けたときに大きな力がかかるところだからです。幹の断面を加えると、傷みが上へどこまで続いているかなどの傾向を確かめられることがあります。
長く生きてきた樹木は、一度の診断ではその時点の状態しか切り取れません。それでも、今の状態を記録しておくことで、数年後にもう一度測ったときに変化が読めるようになると思います。
測定データはこれから解析し、あらためて西涼寺様にご報告させていただきます。
西涼寺様、このたびはありがとうございました。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
河口湖畔で植栽管理出張です。
台風一過、今日は河口湖畔も真夏日のような気温でしたが、朝夜は10℃台の気温で心地良いです。この時期は、高木ケヤキの剪定や病虫害防除薬剤散布、ツツジの刈り込みです。また秋の紅葉シーズンや年末には高木のロープワーク作業で改めて訪れる予定です。
@arboriculture_tree_care や先輩が、若手とマンツーマンで手ほどきをしながら作業を進めています。
弊社では月に1回くらい関東近県の出張現場があります。若手が先輩と現場だけでなく寝食を共にすることでグッと成長と現場の一体感を感じることができとても貴重な機会になっています。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
以前、ヨーロッパ共通の基準書やアーボリカルチャーの書籍を日本に送ってくださった、イタリアのアーボリスト ゼノ・ガスパリさん @fotosintesi_di_zeno_gasparri に、今回イタリアでお会いすることができました。インスタグラムでの交流が、こうして直接お話しする機会につながりました。
ゼノさんはヴェローナを拠点に、日本人の高橋さんと2人で、樹木管理や庭づくりを手がけていらっしゃいます。お会いした際には、お互いの書籍を交換させていただきました。ゆっくり時間をとっていただき、樹木の管理についてたくさんのお話をうかがいました。
まず樹形の考え方です。
枝が長く、横に広がる性質の樹木は、その枝をできるだけ残し、必要なときに少し軽くして、自然な樹形を保つ。樹木が枝や葉をつくるのは、樹木自身にそれが必要だからだ、というお話もありました。枝を伸ばした状態を基本にしながら、立地や環境によって調整する。すべてを同じ形に整えるのではなく、その樹種が本来持っている育ち方を出発点にする考え方だと受け取りました。
倒木についても話が及びました。
ヨーロッパでは気象環境が変わり始め、強風が増えているそうです。マツやスギ、とくに細いイトスギの倒木が多いとのことでした。暑くなるにつれて、虫や寄生生物の問題も年々大きくなっているそうです。また、イタリアでは掘削工事で根を傷めることがよくあり、樹木の状態は、岩があるか土があるかといった地面の条件にも左右される、というお話もありました。地上に見える姿だけでなく、足元の条件も含めて樹木を見るという点は、私たちの診断とも共通するところだと再認識しました。
印象に残ったのは、重要な樹木については、農学の専門家(アグロノモ)に評価を依頼し、その判断を受けてから作業をされるという流れです。診る人と作業する人の役割を分けて、それぞれを大切にされていました。お客様に樹木を傷めない管理を説明するのは難しく、樹木を怖がる方には、説明を何度も繰り返すそうです。この難しさも、国が違っても変わらないと感じました。
作業服の話も出ました。
ヨーロッパには「EN ISO 20471」という高視認性安全服の規格があり、生地に使える蛍光色は、蛍光イエロー、蛍光オレンジレッド、蛍光レッドの3色と定められています。蛍光色の生地は紫外線を目に見える光に変えて返すため、曇りの日や夕暮れでも、普通の色より明るく見えるとされています。
葉の茂った樹冠の中にいても、地上から仲間の姿をすぐに見つけられることは、ツリーワークの安全の基本だと思います。派手に見える色にも、きちんとした理由があるのだと改めて思いました。
私たちが海外の考え方を学ぶのは、海外が正しいからではありません。日本の現場には日本の条件があり、イタリアにはイタリアの条件があります。それでも、枝の広がり方、倒れ方、根の傷み方には、国が違っても通じるところがある。両方を往復しながら、自分たちの判断の精度と説明責任を、もう一段引き上げていきたいと考えています。
次はヴェローナで、実際の作業とツリークライミングを見せていただく話になりました。日程はこれからですが、楽しみにしています!ありがとうございました!
先日の山形県でのユリノキの診断に 株式会社環meguru( @meguru_inc )様との協働についてまとめました。診断のきっかけとなった路線では環meguruさんが2025年から外観診断とピカスによる機器診断を積み重ねてこられました。
今回、当社はレジ(Resi PD)を持参して根株の診断を担当し、あわせてピカスで調べた箇所をレジで確かめ直しました。ピカスは、幹をハンマーで軽く叩いて生じた音(応力波)が断面をどう伝わるかを測る機器です。健全な材ほど音が速く伝わり、腐朽や空洞があると遅くなったり回り込んだりするので、その速度差を計算して断面全体を面の画像として描き出します。樹皮にピンを打つだけの非破壊の方法で、腐朽や空洞のおおよその位置と広がりをつかむのに向いています。
一方のレジは、直径1.5〜3mmほどの細いドリルを一定の速さで押し込み、そのときの穿孔抵抗(機種によっては送り抵抗も)を深さ方向に一本の線として記録する機器です。抵抗が高ければ密度の高い健全な材、低ければ腐朽や空洞と読めます。侵襲は最小限ですが、あくまで針が通った一本の線の情報にすぎず、読み取りには経験が要ります。ドイツの研究では、穿孔でできた木くずが孔の中に残ると腐朽菌の足場になりうるという指摘もあり、必要な箇所を見極めて最小限の本数で使うのが筋だと考えています。
面で捉えるピカスで異常のありそうな範囲を絞り込み、点で確かめるレジでその中身を確認して裏を取るこの組み合わせは、世界の樹木診断で標準的な使い方です。米国森林局・森林製品研究所のWangとAllisonが、樹齢百年級のアカガシワ(レッドオーク)で行った検証では、応力波トモグラフは異常の位置と大きさをよく捉えたものの、腐朽なのか亀裂による見かけの影なのかを区別し、欠陥を正確に特定するにはレジによる穿孔が必要だった、と報告されています。GilbertとSmileyが十三本・二十七断面で行った研究でも、ピカスの示す腐朽と実際の断面はよく対応し、差は平均で断面積の五パーセントほどだったと示されており、両者を突き合わせることで、どこがどれくらい弱っているのかの判断はずいぶん確かなものになります。国際樹木学会(ISA)が定める樹木リスク評価の考え方でも、機器診断は目視による基本評価の次に置かれる「高度評価(レベル3)」に位置づけられ、あくまで判断を補助する道具であって、最終的にはそれらを束ねる評価者の総合判断だとされています。日本でも、東京都建設局や国土交通省の街路樹診断のマニュアルは外観診断から機器診断へと段階を踏む組み立てになっていて、機器ごとに得意な腐朽の形が違うことも踏まえるよう求めています。だからこそ、原理の異なる二つの機器を同じ樹木で突き合わせる意味があります。
倒木のリスクは、幹の空洞だけで決まるものではありません。地際から根株にかけての状態は、立ち姿からは見えにくい割に支持力に直結します。実際、街路樹や公園樹が根元から倒れる事例では、根株や構造根の腐朽(いわゆる根株腐朽)が大きな要因になっていることが知られていて、外からは健康そうに見えた樹木が、支える構造根を失っていたために倒れるということが起こります。 残っている健全な壁の厚みと半径の比が三割を下回るあたりから折損の危険が高まる、というマテック由来の経験則も古くから知られていますが、これは絶対の基準ではなく、荷重のかかり方や空洞の偏りによって外れることも多いと批判的に検討されてきました。だからこそ、幹だけでなく根株までレジで確かめる意味があると考えています。
#arborist #樹木医 #treecare #樹木 #御神木
スイスのチューリッヒで、ルツェルンを拠点に活動されているアーバンフォレスターのNaomi Zürcherさんにお会いしました。
日本人のアーボリストと直接言葉を交わすのは今回が初めてだと伺い、ただありがたく思いました。限られた時間の中で、ご自身の歩みと考えを惜しみなく話してくださいました。
Naomiさんはニューヨークのご出身で、1996年にISAの認定アーボリストとなり、現在はISA認定のコンサルティングアーボリスト、米国i-Treeチームのアフィリエイトメンバーとして活動されています。ご自身の実践の場として「Arbor Aegis」という名前を掲げておられますが、Aegisは「盾」、ローマ神話の女神Dianaが自らの守る森のために持っていた守りの盾に由来するそうです。
2022年にはSpringerから『Connecting Trees with People: Synergistic Strategies for Growing the Urban Forest』を単著で出版されています。都市の樹木と人の関係、市民参加による都市林業を扱った全6章・約200ページの専門書で、「Future City」シリーズの第16巻にあたります。同じ2022年には英国のArboricultural Association(AA)の全国アメニティ会議で登壇され、アムステルダムで開かれた欧州i-Tree会議でも発表されています。AAの会員誌には多くの記事を寄稿してこられ、2025年からはAAの選出理事も務めておられます。
アーボリストの道を考え始めたきっかけは、CODIT理論で知られるAlex Shigoに勧められたことだったと、ご本人から伺いました。Shigoの樹木生物学を土台に据えて仕事をしてこられた方です。
話のメインは、研究と現場の隔たりでした。学校や初期の訓練を終えたあとも研究を読み続けなければいけない、ヨーロッパの現場では研究の成果が十分に生かされていない、というお話です。研究を読むときには「何に効果があるのか」「本当に有効なのか」「現場で使えるのか」「どの条件で使えるのか」を考えることが大事だと言われていました。ご自身も研究をもとに作業手順や仕様書を書き起こし、同業者に文書として渡しながら現場で助言もされているそうです。私たちも診断や年間管理の仕様書を書く立場ですので、この四つの問いは、そのまま日本に持ち帰って考えたいと思います。
建設工事と樹木の保護にも長く取り組んでこられました。工事の現場を確認し、必要な対応を助言して文書にまとめる。保護が不十分なまま工事が進んで被害が出ることに、繰り返し改善を求めてきたと話されていました。ルツェルンでは、1880年から市の保護樹となっているナツボダイジュ(Tilia platyphyllos)の根系回復と土壌再生のプロジェクトも監理されたそうです。根の状況を掘らずに把握し、守るべき場所と問題のある場所を見分ける道具としてTreeRadarにも触れておられました。被害が起きてから手当てをするのではなく、工事で樹木を傷つけさせないこと。この順番の置き方が、Naomiさんの仕事の芯にあるのだと感じました。
i-Treeについては、2016年からベルンの会社と協働してスイスへの導入を進めてこられたそうで、今週スペインのマラガで開かれる欧州i-Tree会議でも発表される予定だと伺いました。現地調査のために、何をするか、どこに立つか、どう見るか、どう測るかを確認できる英語の手引きも作っておられるとのことです。弊社でもi-Tree Ecoを使い始めたところですので、測定者が手順を思い出すための資料という発想は、そのまま社内に生かせそうだと思いました。
樹木診断を仕事にしている私たちにとって、少し耳の痛い話もありました。樹木の危険性ばかりを前面に出すと、人々に「木は危ないものだ」という印象を与えてしまう。リスクの説明だけを樹木管理の一番前に置かないようにしている、と言われていました。倒木のような問題も、樹木そのものだけでなく、根の損傷や不適切な剪定、土壌の締め固めといった、人が与えてきた被害に目を向ける必要があるというお考えです。診断の結果をどう伝えるかは、私たちがいつも悩むところです。改めて考える材料をいただきました。
幹の白い塗装についても、日焼け防止の目的は理解しつつ、一律に塗ることには慎重なお考えでした。苗畑で密植されて育った木は、購入時に北側に印を付けてもらい、植えるときに元の方位を合わせるという方法も提案されているそうです。
コメント欄へ続く
Pflanzen-Kölleという大型ガーデンセンターのミュンヘン店へ、 @arbo_care に連れてきていただきました。
Pflanzen-Kölleは1818年に創業した古い園芸の名門のお店です。全国に13店舗を展開し、従業員は約1,500名というドイツ有数の規模のチェーンです。ミュンヘン店(Goteboldstraße 9)はとにかく広く、苗木の種類も豊富でした。
目を引いたのは、日本ではあまり見かけない苗木が、ごく普通に並んでいたことです。セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)、オーク=ヨーロッパナラ(Quercus robur)、そして枝が流れるように垂れるシダレブナ(Fagus sylvatica `Pendula`)。いずれもドイツの街路や公園、ビアガーデンでおなじみの樹種で、家庭の庭木としても流通しています。セイヨウトチノキは白い花穂が見事で、「Kuratorium Baum des Jahres(年間の樹木を選ぶ委員会)」が2005年の「その年の樹木」に選んだ人気者だそうです。一方で、キバガの一種であるモモンガ…もといチャバネの潜葉性のガ、Kastanienminiermotte(セイヨウトチノキの葉に潜って食害するガ)に悩まされている樹でもあり、街の樹木が抱える課題も垣間見えました。
面白かったのは、日本の園芸を象徴する盆栽や日本庭園が、ドイツではマイナーで、各地に立派な日本庭園やボンサイの専門園はあり熱心な愛好家もいるのですが、一般的な園芸の中心ではないという印象でした。
逆に人気なのが錦鯉です。ただ、質の良い鯉はとても高価で、ドイツの販売店の目安でも、庭の池向けの普及クラスが10〜50ユーロほどなのに対し、色や模様の整ったショー品質になると300ユーロから数千ユーロに跳ね上がります。趣味として本格的にのめり込む方がいる一方で、気軽に手を出せるものではないな、という空気を感じました。
国が変われば、庭に求めるものも憧れの対象も当然変わることを、園芸を通して文化の違いを見た気がしてとても興味深かったです。
@freeworker.de のショップに続いて、同社の倉庫・配送拠点にも連れて行っていただきました。ここでは運営責任者(Betriebsleiter)のHolger Finkさんが、わざわざ倉庫の中を案内してくださいました。お忙しい中ありがとうございました!
棚に整然と並んだロープやカラビナ、ヘルメット、ケーブリング資材。ヨーロッパ中のアーボリストへ、ここから道具が届いていくのだと思うと、物流の背骨を見せてもらったようでした。残念ながら倉庫内は撮影禁止だったので、ショップの写真のみの紹介になります。
Freeworkerは、1999年にミュンヘン近郊グレーベンツェルの倉庫で始めた会社です。いまではギルヒングに拠点を構える従業員約50名の企業に育ち、樹木ケアとロープクライミング技術の分野でヨーロッパ最大級の専門商社のひとつに数えられます。
ただ道具を売るだけでなく、専門的な相談に乗り、講習会や競技会にも関わっていらっしゃるそうです。こうした「専門店がアーボリスト業界を支える」構造がしっかりあるのは、ドイツの層の厚さだと感じます。
道具が身近に、しかも専門家の助言つきで手に入る環境は、そのまま現場の安全と技術の底上げにつながります。樹上での作業は、道具ひとつが命綱です。良い道具を選べること自体が、プロの仕事の質を決めるという当たり前のようでいて、日本ではまだこれから将来性のある部分だと、改めて感じました
@freeworker.de
@arbo_care
貴重な機会をいただきありがとうございました!
@arbo_care Ingoさんに、連れて行っていただいたのが @freeworker.de のショップです。ここはアーボリスト向けの専門店で、ツリークライミング用のロープやハーネス、切創防止ウェア、そして樹木を支えるケーブリング資材まで揃うお店です。
Freeworkerは1999年からこの分野を手がけていて、樹木ケアとロープクライミング技術のヨーロッパ最大級の専門商社のひとつだけあって、本来の品揃えは相当なものです。私も何度か日本から注文させていただきました。
現在ちょうど店内は改装中で、しかも別のイベントに出展している最中とのことで、商品も店員さんも少なめでした。それでも社員の方のお話をたくさん伺えました。
今回その中でケーブリング製品についてご紹介します。
お店で扱う樹木用ケーブリング(ドイツ語でKronensicherung=樹冠の固定)は、大きく分けて四つの系統があります。
cobra、boa、treeSave、そしてGEFAです。日本ではcobraはよく知られていますが、あとの三つは日本語の情報が少ないかと思います。
cobraは1993年に販売が始まって以来、世界中で使われている定番です。ポリプロピレンの中空ロープ(Hohltau)に、ゴム製のショックアブソーバー(Ruckdämpfer)を差し込む構造で、風で樹木が揺れる動きを残しながら支える「動的(dynamic)」なシステムです。このゴムダンパーが、枝が動いて止まる瞬間の衝撃(Fangstoß)をメーカー公表値で約20%やわらげます。わずか10kgほどの弱い力から伸び始め、およそ20cmの「低荷重時の揺れ幅」を確保してくれるので、そよ風程度の揺れを許すことで樹木自身が反応材(Reaktionsholz)をつくり、 自らを補強できるのが利点です。金具を使わず、ロープを編み込む「クイックスプライス」だけで結束できます。開発したのは樹木静力学の研究者Lothar Wessolly博士とHans Vetter(EU特許EP0623277)で、動的挙動の試験データが技術的な裏づけになっています。ゴムダンパーを外せば、割れてしまった枝を動かさずに支える静的(static)な補強にも転用でき、 より伸びの少ないDyneema製のultrastaticという選択肢もあります。
boaは、そのcobraを開発した本人(Wessolly博士)が2005年に発展させた後継システムです。最大の売りは「同一部品コンセプト(GKK)」で、ショックアブソーバー・スプライス補助バンド・擦れ防止スリーブ・年度識別ディスクといった部品が、2t・4t・8tすべての太さで共通して使えることで太さごとに部品を揃える必要がなく、在庫も運搬も驚くほどシンプルになります。 ダンパーを入れれば動的、外せば静的と、バーナーも工具も使わずに切り替えられる点 もcobraからの進化です。ロールから引き出したときにロープがねじれにくい「クセ取り済み」の巻き方が採用されている のも、現場では地味にありがたい工夫かと思いました。
treeSaveは、DRAYER社が開発したシステムです。保持ループに幅50mm・75mmといった幅広ベルト(Gurtband)を使い、樹皮と形成層(Kambium)への面圧を広く分散するのが基本思想。 いちばん面白いのは「過負荷インジケーター(Überlastanzeige)」で、システムに75%を超える力がかかると縫い目(Sollbruchstelle)が裂けて、隠れていた赤い標識が飛び出す仕組でした。地上からの目視で「点検が必要」と一目で分かり、しかも標識が出た後もシステムの保持機能はそのまま保たれます。強度は20/40/80/120kNの各システムがあり寿命は8年だそうです。
GEFAは、若木のアンカーや根系管理、灌水製品を長く手がけてきたメーカーの製品です。中空ロープ(Hohlseil)を軸にした構成で、素材はポリエステルとより伸びるポリアミドが選べ、静的用途にはDyneemaロープも用意。 強度は2t・4t・7t・8t・10t、 さらにDyneemaで12t・20tまであり、 大径木や重量枝にも対応できるのが強みです。ロープには破断インジケーター糸が織り込まれ、最大破断力のおよそ80%で切れて点検の目安を教えてくれます。幅50/75/100mmの帯で樹皮への面圧を分散する考え方はtreeSaveと共通で、単一部品としても多部品システムとしても組めます。
ドイツでは、枝が裂けそうなときは揺れを残す動的固定、すでに割れている枝を落とさないための静的固定、と使い分ける考え方が明確です。ZTV-Baumpflegeでは動的が原則で、 樹木が補償成長(Kompensationswachstum)で自らを強くできるよう、あえて動きを残す。 静的固定はV字の裂けなどですでに損傷がある場合に限るという整理されており、日本でもここまで製品と考え方が体系化されているのは、素直に学ぶべき点だと感じました。
freeworker様には撮影許可をいただいております。
ありがとうございました。
わたしたちの会社について
グリーンマネジメント
①自社で一貫した管理
②科学的な知見(アーボリカルチャー / arboriculture)と現場の融合
③長期的な植栽管理メンテナンスの計画/プランニング
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