土壌調査
植栽基盤とは、植物の根が正常に伸び、水分や養分を吸収できる条件を備えた、植物を植栽するための土層です。
多くの個人邸や建物で良質な土が用意されていると思われがちですが、実際には土壌の締固めやコンクリートの混入など、植物の成長を妨げる問題が多く、これが原因で樹木が成長しない、水はけが悪いなどの問題が発生します。
植栽基盤調査では、こうした原因を特定し、適切な対処法を見つけることが重要です。

植栽基盤の条件
広がり
植物の根が充分に伸びることのできる面積があること。
深さ
植物の根が充分に伸びることのできる土壌厚があること。(有効土層)
物理性の条件
適正な硬度/良好な保水性/良好な透水性
化学性の条件
有害物質を含まない/適正な酸度/適正な養分
※一般社団法人 日本造園建設業協会より引用

土が合わないと、樹木に何が起こるのか
東京都建設局の「街路樹診断等マニュアル」(令和3年度)は、腐朽菌のほかに樹勢不良となる原因として、土に関わるものを4つ挙げています。
土が硬く、根が発達できない
水がはけず、根腐れを起こす
養分や水分の吸収が妨げられる
土の水分が足りず、乾燥害を起こす
気をつけたいのは、原因を確かめないまま手当てをすることです。水はけの悪い土に水やりを重ねれば、過湿が進みます。肥料分の濃い土に肥料を足せば、濃度はさらに上がります。良かれと思った手入れが、効かないだけでなく逆に働くこともあります。まず原因を調べるという順番を、当社では大切にしています。
樹木の衰退原因図

周辺環境の変化
- 幹に直射日光が当たるようになった。
- 強風が直接当たるようになった。
- 日陰になった。
土壌の変化
- 根本周辺での土壌掘削工事
- 根本周辺での舗装工事
- 根本周辺での盛土や転圧
その他の変化
- 葉の量、色、大きさの不良。
- 枝の伸びが不良。
- 根本周辺の土壌の固結。
土壌調査方法
専門の診断器具を使用し、土の硬さ、水はけ、土壌成分など植栽に影響のある土の状態を調査します。
長谷川式 土壌貫入計〜土の硬度調査〜
土壌表面より深さ100cmまでの土壌の硬さを連続的かつ簡便に測定できるように開発された土壌調査用小型動的貫入試験機です。本機は、2kgの落錘を50cm落下させ、そのエネルギ-で先端の円錐コ-ンを土中に貫入させ、その時の貫入抵抗から相対的な硬さを知るものです。土壌断面を掘らなくとも、土壌硬度の測定が可能です。
落錘(ランマー)を50cmの高さから落下させ、そのエネルギーで先端の円錐コーンを土中に貫入させます。その時の貫入深を読みとります。





長谷川式 簡易現場透水試験器〜土の透水調査〜
長谷川式簡易現場透水試験器は、従来の植穴透水試験とは違い、試験孔の掘削の範囲が限定的で、少ない水量で透水性の確認が可能です。透水性が悪いと、根腐れや衰退を起こしやすくなってしまいます。





長谷川式 大型検土杖〜土の土層調査(サンプリング)〜
人力の押し下げで土に貫入させる従来の検土杖とは異なり、落錘を落下運動させることによって、硬い地盤でも容易に貫入させることが出来ます。長さ35㎝のサンプラーによって、深さ1mまでの土壌サンプルが3回で採取することが可能です。サンプラー部分が大きいので、分析用試料も採取することが出来ます。
調査(サンプリング)地点で、落錘止めに手をそえて本体をできるだけ垂直に保ち、落錘を落下させることにより、サンプラーを貫入させます。





pH・EC測定〜土の成分調査〜
pH(ペーハー・ピーエッチ)
土壌のpHとは、酸性やアルカリ性の強さを測定する指標です。
植栽においては、植物が必要とする養分を効率よく吸収できるかどうかに大きく関わっており、適切なpHでないと根の生育が阻害されたり、養分の吸収が不十分になることがあります。そのため、樹木や草花を健全に育てるためには、植栽地のpHを把握し、必要に応じて調整することが重要です。
EC(導電率・電気伝導率)
EC(電気伝導度)とは、肥料成分や塩分濃度など、土壌に溶け込んだイオンの量を測定する指標です。
植物にとって必要な養分が適切に存在しているかを把握するために用いられますが、過剰な場合は根へのダメージや生育不良を招く恐れがあります。適切なEC管理は、肥料の効率的な施用や、土壌環境の維持に欠かせない要素となっています。





判定の目安
数値で示せることには、大きな利点があります。土の中の見えない状態を、お客様と同じ数字で確かめながら話ができるからです。ただ、数値は判断の材料であって、答えそのものではありません。植えられた時の状況、定期管理の頻度と内容、周りの環境、灌水装置の設定、土の臭いや感触も合わせて考察します。
土の硬さ(長谷川式土壌貫入計のS値)
| S値(cm/drop) | 土の硬さ | 根への影響 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 0.7以下 | 固結 | 多くの根が侵入困難 | 極不良 |
| 0.7超〜1.0 | 硬い | 根系の発達に阻害あり | 不良 |
| 1.0超〜1.5 | 締まった | 樹種によっては発達が阻害される | 可 |
| 1.5超〜4.0 | 軟らか | 根系の発達に阻害なし | 良 |
| 4.0超 | 膨軟すぎ | 阻害なし(支える力が低い、乾燥) | − |
日本造園建設業協会「植栽基盤整備ハンドブック」第6版の基準(器具の取扱説明書に掲載)
水はけ(最終減水能)
| 1時間あたりの減水量 | 判定 |
|---|---|
| 100mm以上 | 良 |
| 30mm以上100mm未満 | 可 |
| 10mmを超え30mm未満 | やや不良(枯れ枝などの湿害) |
| 10mm以下 | 不良(過湿による枯れ) |
日本造園建設業協会のハンドブックの基準(取扱説明書に掲載)。国総研「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」も30mm未満を不良としています
pH・EC
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| pH | 5.6〜6.8が「良」、4.5未満と8.0を超えるものが「不良」 |
| EC | 砂土で0.2〜0.5dS/m、その他の土で0.2〜1.0dS/mが目安で、これ以上は不良。0.2以下は不良ではないものの、養分の乏しい土 |
国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料第1059号、2019年2月)の判定基準
土壌改善方法
土壌改良の手法として、割竹挿入法、水圧穿孔法、エアレーション法の3種類を実施しています。手法を組み合わせることで、植物が健やかに育つための最適な土壌環境を提供しています。
改善の目標は、透水性が毎時100mm超、S値が1.5〜4.0、pHが5.6〜6.8です(国総研「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」)。土が硬いのか、水が抜けないのか。数字を見てから方法を選びます。
割竹挿入法~通気透水性~
樹幹周辺の通気性や透水性が悪い、木の樹勢が衰えている場合、割竹挿入法(土に竹の筒を挿し通気透水性を向上させる方法)にて改良資材を混ぜつつ、根が伸びやすい環境へと改善する方法を推奨しております。

- 割竹をつくる竹を縦に割り、節を取り除きシュロ縄で再度竹を結び直します。
- 縦穴を掘るダブルスコップで60〜80cm程の深さまで掘ります。
- 挿して埋め戻す掘った穴に割竹を差し込み、周囲に完熟堆肥、黒曜石パーライト、緩効性化成肥料などを配合して土と混ぜて戻していきます。その現場での土壌環境に合わせて資材の配合を調整します。
2〜3年もすると、穴の中に差した竹は朽ちてそのまま土に戻ります。そのため、毎年少しずつ場所を変えながら施工しています。国総研の「景観重要樹木の保全対策の手引き」は、人力でできる簡易な土壌改良の一つとして、この縦穴への割竹挿入を挙げています。






水圧穿孔法~固い土壌をほぐす~
樹幹周辺の土壌が固い、木の樹勢が衰えている場合、掘って土壌改良ができるスペースがない場合には、水圧穿孔法(固く締まった土壌をほぐすための方法)にて改良資材を混ぜつつ、水圧の力を利用して、土の中に空間を作り、根が伸びやすい環境へと改善する方法を推奨しております。
土壌注入器と動噴(背負い式動力噴霧器)による水圧で土壌の通気透水性を改善します。液肥を混入するため、施肥の効果もあります。土壌注入器で80cmほどの深さまで注入することが可能です。





エアレーション法~固い土壌をほぐす~
土壌に孔をあけて空気の通りを改善し、根の再生を促す工法です。この作業と同時に肥料や土壌改良資材を充填することで、施肥と土壌改良の効果を高めることができます。ある程度高圧の空気で細い根を切るものの、重機やスコップによる掘削より根を傷めにくく、狭い植栽帯や低木が密集した場所でも施工可能です。少人数で少ない労力で行える点も利点ですが、広い面積の土壌改良には不向きなため、他の工法と使い分けています。(使用機材:ドドンパ・圧縮エア式スコップ)




土壌調査・土壌改良のご相談
樹木が育たない、植栽地の水はけが悪いなど、足元の土が気になるときは、お気軽にご相談ください。お問い合わせフォームかメールで承ります。







