マンションの樹木の安全点検
竣工のときに植えた樹木は、年月とともに大きく育ち、人の通るエントランスや駐車場、建物のすぐそばに立っています。「マンションの樹木の安全点検」は、倒木や落枝を起こしそうな樹木を樹木医が点検・診断し、手当ての優先順位を決めて、理事会や総会でそのまま使える報告書にまとめるサービスです。剪定・ケーブリング・植え替えなどの手当ても、当社で承ります。
国土交通省が令和7年4月に公表した全国調査では、令和3年4月1日から令和6年11月7日までに、都市公園で931件(うち人身事故77件)、道路で801件(うち人身事故33件)の、樹木の倒木・落枝などによる事故が報告されています。マンションの敷地の樹木はこの調査の対象ではありませんが、同じように大きく育った樹木が、毎日、住民の方の通る場所に立っています。
出典: 国土交通省「倒木等による事故に関する全国調査について」(令和7年4月公表)。調査の読み解きは記事「国土交通省の全国倒木調査を樹木医が読み解く」、マンション・施設の倒木対策は記事「マンション・施設の倒木対策」にまとめています。
点検で行うこと
敷地の樹木を、いきなり全部機器で調べることはしません。樹木点検で気になる樹木を絞り込み、外観診断で異常の場所と原因を探り、外観から判断しきれない樹木だけを機器で調べます。段階を踏むことで、費用をかけるべき樹木に、診断の手間を集められます。

樹木点検
敷地の樹木を見て回り、外観診断が必要な樹木と、枯れ枝の除去などの手当てが必要な樹木を拾い出します。

外観診断
樹勢、枝や幹の傷・腐朽、キノコ、根元の状態などを、樹木医が一本ずつ見て判定し、診断カルテに記録します。

機器診断
外観から判断しきれない樹木だけ、幹や根元の内部の腐朽や空洞を機器で調べます。結果は数値と画像で示します。
診断の基準STANDARD
- 東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」の流れと判定に沿って診断します(要点は記事「東京都「街路樹診断等マニュアル」の要点」)
- 機器の画像や数値だけで、伐るかどうかを決めることはしません。樹勢、樹種の特性、腐朽菌の種類、根元の環境、人や建物との距離を合わせて判断します
当社が保有する診断機器EQUIPMENT
- レジ(Resi PD): 細い針で木材の硬さを測る穿孔抵抗測定器
- アーボソニック3D: 音の伝わり方から幹の内部を描く音響トモグラフ
- ピカス: 音響と電気抵抗で幹の内部を描くトモグラフ
どの樹木から診るか
敷地の樹木が多いときは、人や建物への影響が大きい場所に立つ、太い樹木から優先します。そのうえで、これまでの経緯から気になる樹木を加えます。
エントランスや通路沿い、ベンチや遊具のまわり。
駐車場・駐輪場、建物の近く、道路や隣の敷地との境に立つ樹木。
過去に強く剪定した樹木、根の近くで工事があった樹木、根元にキノコが出ている樹木。
根元のキノコについては記事「ベッコウタケとは」でご説明しています。
ご依頼の前に
理事会で点検を決めていただく前に、次の3つをそろえておくと、お見積りと当日の段取りが早く進みます。管理会社の方を通してのご依頼でも同じです。
- 01
敷地の図面と、気になる樹木の写真
植栽図があれば、点検する範囲と樹木の位置を合わせやすくなります。写真は、樹木の全体・根元・周りの様子の3枚があると話が早く進みます。撮り方は記事「樹木の写真の撮り方」でご説明しています。
- 02
これまでの剪定・診断の記録
前の剪定の時期や強さ、過去の診断のカルテがあれば、同じ樹木の変化を追えます。無くても点検はできます。
- 03
報告の期限と、報告書の形
理事会や総会の日程から、報告書が必要な時期をお知らせください。診断カルテだけでよいか、総合的な報告書や理事会でのご説明の資料まで必要かで、お見積りが変わります。
お渡しするもの
外観診断と、行った場合は機器診断の結果。読み方は記事「街路樹診断カルテの読み方」。
どの樹木から、どの手当てをするか。急ぐものと、計画に入れて進めるものを分けます。
判定に合わせて、次にどの樹木を、いつ、どの内容で診るかを示します。
必要に応じて、理事会や住民説明会で、樹木医が直接ご説明します。
点検と診断の結果は、樹木ごとに番号を付けて記録します。役員が入れ替わっても、次の理事会が「この樹木を、いつ、誰が、どう診て、何をしたか」をたどれるようにするためです。次の点検では、同じ樹木の前の記録と見比べて、変化を確かめます。
点検の記録は、長期修繕計画を見直すときの植栽の材料にもなります。残す・更新する・植えるの方針まで決めるときは、「植栽の現状評価と再生方針」をご覧ください。


点検のあとの手当て
点検は、手当てにつなげて初めて役に立ちます。当社は診断だけでなく、剪定や伐採、ケーブリング、植え替えの施工も自社で行っています。診断した樹木医が、手当ての内容と範囲まで見届けます。

急ぐ危険への応急の手当て
折れてぶら下がった枝などは、立入を止めたうえで、早めに取り除きます。

剪定・ケーブリングで残す
枯れ枝を除き、枝先を軽くし、裂けやすい枝どうしをつなぐなど、残すための手当てを組み合わせます。

経過を見る・計画的に更新する
すぐに手を加えない樹木は次の時期に診て、更新が要る樹木は、植え替えの計画に入れます。
- 剪定・伐採・ケーブリングは高木・特殊伐採&ケーブリング
- 敷地全体の樹木を、残す・更新する・植えるに分けて方針を決めるときは植栽の現状評価と再生方針
- ふだんの剪定や手入れは法人のお客様・マンション管理組合様のページ
ご依頼の流れ
- 01
お問い合わせ
お問い合わせページ、またはメールから。気になる樹木の写真があれば添えてください。
- 02
現地の確認とお見積り
現地で樹木と周りの状況を確かめ、点検・診断の範囲と内容を決めてお見積りします。
- 03
点検・診断
樹木点検と外観診断を行い、必要な樹木だけ機器で調べます。
- 04
報告とご説明
診断カルテと報告書をお渡しし、必要に応じて理事会でご説明します。
- 05
手当てと次の点検
優先順位に沿って手当てを進め、次に診る時期に合わせて点検します。
費用について。樹木診断は有償です。費用は、主に、診断する樹木の本数と幹の太さ(単価は幹の太さを基準にしています)、外観診断だけか機器診断も行うか、樹上など高い所での作業の有無、報告書の形(診断カルテ、総合的な報告書、理事会などでのご説明の資料)で決まります。現地の状況を見たうえでお見積りします。
関連する記事
年間管理をお引き受けしているマンションの一例は、会社概要に載せています。点検や診断の考え方は、次の記事でもご紹介しています。
よくある質問
- Q1マンションの敷地の樹木が倒れたら、管理組合の責任になりますか?
- 民法第717条第2項は、工作物の占有者・所有者の責任を定めた第1項の規定を、「竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合」にも準用すると定めています。責任が問われるかどうかは、個々の事情によって判断されます。法律上の判断は弁護士などの専門家にご確認ください。当社は、点検と診断の結果を記録に残し、手当ての優先順位を決めるところをお手伝いします。
- Q2どのくらいの間隔で点検すればよいですか?
- すべての樹木に同じ間隔を当てはめるのではなく、診断の結果に応じて、次に診る時期を樹木ごとに決めます。東京都建設局の「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」も、総合判定に応じて次回の診断の内容と時期を定めています。報告書に、次に診る時期を書いてお渡しします。
- Q3全部の樹木に機器診断が必要ですか?
- いいえ。樹木点検と外観診断で気になる樹木を絞り込み、外観から判断しきれない樹木だけを機器で調べます。
- Q4葉がよく茂っていれば、倒れる心配はありませんか?
- 見た目では葉も茂り元気そうに見えても、根や幹の内部が悪くなっている樹木があります。根元のキノコや幹の傷、根の近くの工事の跡など、外から気づけるサインがあれば、早めに診断をご検討ください。
- Q5いまの管理会社に剪定を続けてもらいながら、点検と診断だけを頼めますか?
- はい。点検と診断の結果と手当ての優先順位は、いまの管理会社や協力業者の方が作業を続ける場合も、同じように使っていただけます。
出典: 国土交通省「倒木等による事故に関する全国調査について」(令和7年4月公表)/民法第717条(e-Gov法令検索)/東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」。
樹木の安全点検のご相談
敷地の大きな樹木が心配なとき、理事会で点検を決める前の下調べのときも、ご相談を承ります。理事会でのご説明の資料が必要な場合は、お問い合わせのときにお知らせください。お問い合わせページ、またはメールで承ります。












