植栽の現状評価と再生方針
竣工から年月を重ねたマンションでは、建物と同じ年数だけ、敷地の樹木も歳を重ねています。「植栽の現状評価と再生方針」は、樹木医が敷地の樹木を一本ずつ評価し、残す樹木と更新する樹木を見極めて、これからの方針を敷地の図面にまとめるサービスです。管理組合・管理会社の方が、理事会や総会でそのまま使える形でお渡しします。
当社の長期的な植栽管理の考え方では、植栽の生育を4つの段階に分けています。このサービスは、4つ目の段階である竣工から25年以降の「更新・再生期間」に入ったマンションの植栽を主な対象にしています。
活着・養生期間
環境に馴化させ、根付くまでの期間。
育成・養生期間
植物が根付き、生長を始め、大きく育成していく期間。
抑制・管理期間
計画に基づいた目標樹形・景観を維持していく期間。
更新・再生期間
樹木の状態の総点検や費用面の確認など、今後の管理方針の見直しを行う時期。
※各ステージの年数は、当社の現場での目安です。植栽地の条件や樹種によって前後します。
こんなご相談をいただいています
管理組合や管理会社の方からいただくご相談は、「毎年の剪定をどうするか」から、植栽の“これから”を決める話へと変わってきています。
竣工時に植えた高木が、当時の想定を超えて大きくなっている。
診断の結果を、管理の方針や計画につなげられていない。
植栽の話は、専門用語のままでは合意に至らない。
苦情に応えるために強い剪定を繰り返し、樹形が崩れ、樹勢が落ちている。
根が張って舗装や縁石を持ち上げ、排水管に入り込んでいる。
大きくなった樹木そのものが、住民の方の不安の対象になっている。
何をするか
最初に行うのは、敷地の緑の全体像を把握することです。いきなり詳しい調査に入るのではなく、まず全体を見る。全体像を見定めないまま詳細調査に入ると、方向性の定まらないデータだけが積み上がってしまうからです。

一本ずつの目視診断と記録
樹木医が敷地の樹木を一本ずつ目視で診断し、台帳に記録していきます。過去の剪定履歴があれば、その具合も併せて読み取ります。

必要に応じた機器診断
外観から判断しきれない高木や、住民の方が不安を感じている大径木には、機器診断を加えます。腐朽や空洞の有無と広がりを、数値と画像で示します。

植栽基盤(土壌)の確認
必要に応じて、植栽基盤の状態も確認します。大木化した樹木の不調は、樹木そのものではなく足元の土に原因があることも少なくないからです。
台帳に記録する項目RECORD
当社が保有する診断機器EQUIPMENT
- レジ(Resi PD): 木材の硬さを細い針で測る穿孔抵抗測定器
- アーボソニック3D: 音の伝わり方から幹の内部を立体的に描く音響トモグラフ
- ピカス: 同じく音響トモグラフ
残す・更新する・植える
評価をもとに、敷地の樹木を大きく三つに分けます。この「残す・更新する・植える」の三区分を、敷地の図面の上に落とし込んだものが「再生方針」(方針図)です。

残す
健全で、これからも育てて残す樹木。

更新する
弱っている、あるいは場所に合わなくなっており、計画的に更新する樹木。

植える
樹木を減らした場所に、新しく植える樹木。
残せる樹木は残す、という立場から。大きくなった樹木は、危険だから伐る、という話に流れやすいものです。私たちはそこに安易に傾かないようにしています。安全を確保することと、樹木を残す努力をすることは、両立します。両立させるために必要なのが、根拠をもった評価です。
お渡しするもの
一本ずつの樹種・樹高・幹周・樹勢・根元の状態・建物や通路との距離。
機器診断を行った樹木は、腐朽や空洞の有無と広がりを数値と画像で。
「残す・更新する・植える」の三区分を、敷地の図面の上に示したもの。
方針を進めるうえでの、概算の費用の配分。
理事会や総会でそのまま使っていただける形で作成し、必要があれば住民説明会にも同席させていただきます。
植栽の話は、専門用語のままでは合意に至りません。「なぜこの樹木は残せるのか」「なぜこの樹木は更新したほうがよいのか」を、樹木医の言葉で住民の方に直接ご説明するところまでが、この仕事だと考えています。


評価のあとに
方針が定まれば、次はそれを数十年単位の中長期計画に落とし込み、年ごとの作業に分けていきます。どの年にどの樹木を更新し、その前後で剪定の周期をどう変え、費用をどう平準化するか。長期修繕計画に「植樹 整備」の一行しかなかった緑の部分を、ここで計画書の形にします。

- 01
中長期計画と年間の管理へ
再生方針をもとに、中長期計画と年ごとの作業に分けます。計画の考え方は長期的な植栽管理の考え方をご覧ください。
- 02
樹木ごとの剪定の周期へ
建物から十分に離れている樹木は、剪定の周期を3年から5年に延ばせることがあります。全部の樹木を年2回同じように切る仕様を、樹木ごとの周期に組み替えると、費用を増やさずに手をかける樹木を増やせます。削るのではなく、配分を組み替える。それが、評価と計画を先に置く一番の意味です。
- 03
いまの管理会社が作業を続ける場合も
評価と計画は、当社が年間管理を担当する場合も、既存の管理会社や協力業者の方が作業を続ける場合も、同じように使っていただけます。管理仕様書として、相見積もりの土台にしていただくこともできます。
ご依頼の流れ
- 01
お問い合わせ・ご相談
お問い合わせページ、またはメールから、お気軽にお問い合わせください。
- 02
現地調査・打ち合わせ
現場を拝見し、ご要望やお困りのことをうかがいます。
- 03
お見積り
うかがった内容をもとに、お見積書をお渡しします。現地調査とお見積りは無料です。現状評価の料金は、樹木の本数や範囲、機器診断の有無を見たうえでお見積りします。
- 04
現状評価
樹木医が敷地の樹木を一本ずつ診断し、必要に応じて機器診断と植栽基盤の確認を行います。
- 05
再生方針のお渡し
樹木台帳・方針図などをお渡しします。必要があれば住民説明会にも同席します。
関連する記事
実際にコンサルティングをお手伝いしたマンション・施設は、ランドスケープコンサルティング部門のページの「コンサルティングの実績」に載せています。評価や計画の進め方は、次の記事でもご紹介しています。
よくある質問
- Q1長期修繕計画に植栽は含まれていますか?
- 国土交通省の「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン」(令和6年6月改定)では、附属施設の定義に樹木が含まれています。ただ、様式の中で植栽に当たるのは「17 外構・附属施設」の「植樹 整備」という一行だけで、樹種・本数・樹齢・危険度の区分はありません。
- Q2マンションの敷地の樹木が倒れたら、管理組合の責任になりますか?
- 民法第717条第2項は、工作物の占有者・所有者の責任を定めた第1項の規定を、「竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合」にも準用すると定めています。敷地内の樹木が明らかに危険な状態にあったと判断されれば、管理組合が責任を問われる可能性があります。点検と診断の記録を残しておくことが、理事会を守ることにもつながります。
- Q3植栽の管理費を抑えるには、どうすればよいですか?
- 剪定の回数を一律に減らすと、一度に強く切ることになり、樹木が弱って数年後に伐採と処分の費用が発生します。評価をもとに樹木ごとの剪定周期に組み替えると、費用を増やさずに手をかける樹木を増やせます。建物から十分に離れている樹木は、剪定の周期を3年から5年に延ばせることがあります。
- Q4いまの管理会社に作業を続けてもらう場合でも、依頼できますか?
- はい。評価と再生方針、そのあとの計画は、当社が年間管理を担当する場合も、既存の管理会社や協力業者の方が作業を続ける場合も、同じように使っていただけます。管理仕様書として、相見積もりの土台にしていただくこともできます。
- Q5築何年くらいのマンションが対象ですか?
- 当社の長期的な植栽管理の考え方では、竣工から25年以降を「更新・再生期間」としており、この時期に入ったマンションの植栽を主な対象にしています。年数は当社の現場での目安で、植栽地の条件や樹種によって前後します。
出典: 国土交通省「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン」(令和6年6月改定)/民法第717条(e-Gov法令検索)。詳しくは記事「マンション植栽の老朽化は、まず現状評価から」の出典をご覧ください。
植栽の現状評価のご相談
年月を重ねた敷地の樹木を前にして、「残してよいのか」「どこから手をつければよいのか」と迷われている管理組合・管理会社の方は、一度、現状の評価からご相談ください。お問い合わせページ、またはメールで承ります。






神奈川県内大規模マンションで植栽の中長期計画立案に向けたコンサルティング業務




