レジ(Resi PD)の針は、先端3mm・軸1.5mmの消耗品です。摩耗した針の見分け方と交換の目安、取扱説明書と日本の代理店の動画に沿った自動交換の手順、診断中に針が折れたときにまず確かめること、折らないための設定と構えを、樹木医が整理します。
IML社の樹木診断機器を取り上げた連載は、第13回で一区切りとしました。今回は番外編として、当社がいちばん長く使っているレジ(Resi PD)の、針の交換を取り上げます。針は、レジの中でいちばん細く、いちばん早く傷む部品です。そして、測定の結果をいちばん左右する部品でもあります。
先に答え
- レジ(Resi PD)の針は、先端が幅3mmの平たい刃、軸が太さ1.5mmの細い鋼の針です。IML社は消耗品として、10本1組で販売しています。
- 針がもつ長さは、樹種や送りと回転の設定、幹なのか、根株なのか、釘や石に当てないかといった扱い方で大きく変わります。IML社も、針の寿命は使う人の注意しだいだとしています。当社は、針は100〜150穿孔を目安に交換し、硬い樹木では早めることにしています。
- 摩耗は先端に出ます。新品の針は、先の縁の中央に小さな尖りがあり、その左右の角も立っていますが、摩耗すると尖りも角も取れて丸くなります。
- 交換は、メニューの「自動交換」で行うのが基本です。プライヤーで針の先の刃をつかみ、画面の指示どおりに古い針を抜いて新しい針を差し込みます。送りが後ろへ戻り始めるまで、針を離しません。
- IML社の簡易説明書は、自動交換を選ぶのは、針が折れておらず、テレスコープ(針を支える伸縮式のガイド)も傷んでいないときとしています。折れた針は、IML社のよくある質問に、テレスコープごと前へ出して取り出す手順があります。テレスコープが正常に出てこないときは、引っ張らずに代理店へ相談します。
- 折らないための備えは、空洞を検知して針を戻す「自動の引き戻し」の設定(引き戻す長さはIML社の推奨で5〜10cm)、回転数を当社の目安の5,000rpmまでにすること、本体を傾けずに構えること、釘や金属を避けることです。
レジ(Resi PD)の針──先端3mm・軸1.5mmの消耗品
レジは、細い針を回しながら一定の速さで幹に押し込み、針を回す力(穿孔抵抗)と、押し込む力(送り力)を記録する機器です。仕組みと読み方は樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)についてに、PDシリーズの7機種の違いは第2回に書かせていただきました。
針は、先端が軸より太い形をしています。IML社の資料によると、針の先端は幅3mm、軸は太さ1.5mmです。先端は、軸から先へ向かって扇形に広がる平たい刃で、IML社の製品の写真を見ると、先の縁の中央に小さな尖りがあり、その左右に角が立っています。先端の刃が開けた穴の中を、細い軸が通っていく形です。深く入るほど、穴に残った切りくずが軸を締め付けます。IML社は、この「軸の摩擦」が、カシやブナ、ニセアカシアのような硬い広葉樹ほど大きく出ると説明しています。

レジの針の先端は幅3mm、軸は太さ1.5mm。先端の刃が開けた穴の中を、細い軸が通っていく(寸法は IML社「Measured Variables of IML-RESI PowerDrill」)
針の長さは機種ごとに違います。IML社の製品ページによると、PD500なら688mmというように、穿孔できる深さより長い針を使います。交換のときは、機種に合う長さの針を選びます。
| 機種 | 穿孔できる深さ | 標準の針の長さ |
|---|---|---|
| PD200 | 20cm | 422mm |
| PD300 | 30cm | 422mm |
| PD400 | 40cm | 521mm |
| PD500 | 50cm | 688mm |
| PD600 | 60cm | 795mm |
| PD750 | 75cm | 947mm |
| PD1000 | 100cm | 1,271mm |
(出典: IML社の製品ページ「Standard Drilling Needles ‘Click’」。穿孔できる深さは機種名の数字。木の電柱の点検用の針は、各機種とも1mm短く、先端は2.8mm)

針の長さは機種ごとに違う。交換のときは、機種に合う長さの針を使う
IML社は、針の表面に特に長持ちする被膜を施しているとしたうえで、それでも信頼できる測定結果のために、いつかは交換が必要だと説明しています。針は10本1組で売られていて、研ぎ直して使う方法は、メーカーの資料には見当たりません。IML社の製品ページによると、PDシリーズの標準の構成には、針10本と交換用のチャック、ペンチが入っています(第2回)。

当社のレジの先端。フロントアダプターの穴から、平たい刃の付いた針の先がのぞいている
摩耗した針の見分け方と、交換の目安
針の摩耗は、先端の刃に出ます。日本の代理店であるエフティーエス株式会社が公開している説明動画(レジストグラフPDシリーズ 取り扱い説明資料 〜メンテナンス(1)〜)には、摩耗した針と新品の針の先端を並べた写真が出てきます。新品の針は、先の縁の中央の小さな尖りと、その左右の角がはっきり立っていますが、摩耗した針は尖りも角も取れて、先が丸くなっています。交換の前後に先端を見比べると、違いはよく分かります。

上が摩耗した針、下が新品の針。新品は先の縁の中央の小さな尖りと左右の角が立ち、摩耗すると取れて丸くなる(IML社の製品の写真と、エフティーエス株式会社の説明動画の比較写真をもとに当社で作図)
では、何回で交換するのか。IML社のよくある質問は、針がどれだけもつかは、測る場所を選ぶ人の注意しだいで大きく変わると答えています。木製品の中の釘や金属板はできるだけ避けること、針が抜けていく先が砂か、土か、花崗岩かにも気をつけることが挙げられています。同じIML社のFシリーズとMD300の取扱説明書には、正しい測定結果を得るため、10回穿孔するごとに針の摩耗を確かめるよう書かれています。PDシリーズの取扱説明書には、確かめる間隔の記述はありません。
針の摩耗と測定値の関係は、レジを使った研究でも調べられています。
| 研究 | 条件 | 分かったこと |
|---|---|---|
| Sharapov ほか(2018) | PD400、標準の針、伐ったばかりのキハダカンバの丸太(密度710kg/m³)、375回の穿孔 | 刃の摩耗は削った道のりに比例して進んだが、回転抵抗はほぼ一定だった、送りの力は刃の鈍りの影響を受け、針の寿命の予測に使える可能性がある |
| Gendvilas ほか(2025) | PD500、サザンパイン(密度519kg/m³)、送り200cm/分・3,500rpm | 穿孔の長さ600mまで抵抗値に影響なし(直径30cmの木で約2,000回の測定にあたる) |
| 同上 | 同じ材、送り100cm/分・5,000rpm | 400mで抵抗値の振れ幅が2%、600mで3.1%増えた |
| 同上 | スポッテッドガム(密度779kg/m³)、送り70cm/分・5,000rpm | 300mで3.3%下がり、300mを超えると針の摩耗がひどく穿孔できなくなった |
(出典: Sharapov ほか 2018、Wood and Fiber Science 50(2)。Gendvilas ほか 2025、European Journal of Wood and Wood Products 83、論文181。いずれも要旨から)
同じ針でも、材の密度と、送りと回転の設定しだいで、もつ長さが何倍も違うことが分かります。密度の高い材では、針は早く傷みます。
PDシリーズには、針の状態を自動で調べるオプションのモジュール「NC(針のチェック)」もあります。取扱説明書によると、有効にすると穿孔のたびにその前に針を検査し、良否を測定データと一緒に保存します。単独で検査したときに出る数値は、針を交換すべきかの目安になる参考値とされています。
摩耗は、画面の表示から気づくこともあります。当社のResi PD500で2026年9月に出た「Overload feed motor(送りモーターの過負荷)」の表示には、「送り速度を下げるか、針が摩耗していないか確かめてください」という意味の一文が添えられていました(樹木診断機器Resi PD500の「Overload feed motor」エラー)。このときの原因は針ではなくテレスコープの中の部品でしたが、過負荷が出たら、まず針を疑うのが順番です。

摩耗した針を使い続けると、抵抗の値がずれ、過負荷で測定が止まることもある(IML社の解説、研究、取扱説明書 4.5、当社の使用ルールから作成)
当社は、Resi PD500の点検のあとに決めた使用ルールで、針は100〜150穿孔を目安に交換し、硬い樹木では早めることにしています。上の研究のとおり、密度の高い材ほど針の負担が大きいからです。
摩耗した針の交換手順──自動交換の流れ
PDシリーズの針の交換は、本体の画面のメニューから行います。メイン画面の針の記号を選ぶと、4つのアイコンが出ます。左から、自動交換(A)、手動交換(M)、テレスコープとチャックの交換、送りの部分を前後に動かす操作です。IML社の簡易説明書は、針が折れておらず、テレスコープも傷んでいなければ、必ず自動交換を選ぶよう書いています。
IML社の取扱説明書(2024年12月版)と、エフティーエス株式会社の説明動画に沿って、自動交換の流れを並べます。IML社も、同じ手順を公式の動画(IML PowerDrill Basics: Automatischer Bohrnadelwechsel、ドイツ語)と解説のページで紹介しています。
| 順 | 操作 | 画面の表示(英語)と意味 |
|---|---|---|
| 1 | 針のメニューで自動交換(A)を選ぶ | 針が交換の位置まで出てくる |
| 2 | 針の先の刃をプライヤーでしっかりつかみ、OKを押す | Hold needle and press OK(針を持ってOKを押す) |
| 3 | 針のロックが外れたら、古い針をまっすぐ引き抜く | Insert and press on new needle. Press OK to lock.(新しい針を差し込んで押し当て、OKでロック) |
| 4 | 新しい針を差し込み、先の刃をプライヤーでつかんで奥へ押し当て、OKを押す | 本体が針をロックする |
| 5 | 送りの部分が後ろの端へ戻り始めるまで、針を押さえたまま離さない | 針が引き込まれ始める |
| 6 | エラーが出なければ交換は完了 | メイン画面に戻る |
(出典: IML社「IML-RESI PD-Series Manual」2024年12月版 4.15.1、エフティーエス株式会社「レジストグラフPDシリーズ 取り扱い説明資料 〜メンテナンス(1)〜」)

自動交換の流れ。送りの部分が戻り始めるまで、針を離さない(IML社の取扱説明書 4.15.1 と、エフティーエス株式会社の説明動画による)
つかむ所は、針の先の刃です。取扱説明書は、付属のプライヤーで針の刃をつかむよう書き、IML社の解説のページも、プライヤーで針の端をしっかりつかむよう書いています。代理店の動画でも、プライヤーで針の先端を確実につかんでから、OKを押しています。標準の構成にもペンチが入っています。

針の先の刃を、プライヤーでしっかり挟む。下は机に寝かせた本体の全体(IML社の取扱説明書 4.15.1 と解説のページ、エフティーエス株式会社の説明動画による)
差し込むときは、新しい針の後端を奥まで入れます。動画では「磁石でくっつくような感触があるところまで入れる」と説明されています。そこで先の刃をプライヤーでつかんで奥へ押し当て、OKを押すと、本体が針をロックします。取扱説明書は、送りの部分が後ろの端へ戻り始めるまで、針を離さないよう書いています。IML社の解説のページも、新しい針は軽くチャックへ押し当て、針が内側へ動き始めてから離すとしています。代理店の動画でも、針が引き込まれ始めるまで確実に押さえています。

新しい針を押し当ててOKを押し、送りの部分が戻り始めてから手を離す(IML社の取扱説明書 4.15.1、エフティーエス株式会社の説明動画による。内部の部品の位置は模式)
手動交換(M)は、自動交換が使えないときのためのメニューです。取扱説明書によると、外すときは針を少し手前に引いてからアイコンを押し、付けるときは少し奥へ押し込んでからアイコンを押します。付けたあとは、本体が「ピッ」と鳴るまで針を押さえておきます。
診断中に針が折れたとき、まず確かめること
レジの針は、太さ1.5mmの鋼です。大きな空洞を抜けた先の材に当たったとき、硬い節や異物に当たったとき、本体が傾いたときには、曲がったり折れたりすることがあります。IML社の取扱説明書は、大きな空洞を貫いたあと、その先の材に当たったまま穿孔を続けると、針は曲がって折れる可能性が高いと書いています。
折れた針を本体から取り出す手順は、IML社のよくある質問(FAQ)に載っています。取扱説明書の決まりと、当社の使用ルールを合わせて、順に並べます。
1. 測定を止め、そのデータは診断に使わない
穿孔中にナビゲーションのつまみを押すと、本体は完全に止まります(取扱説明書 4.5)。針が折れた測定は、途中までの曲線しか残りません。当社は、止まった測定のデータを診断に使わないと決めています(Resi PD500の過負荷エラーの記事に書いた使用ルールと同じです)。
2. 自動交換は使わない
簡易説明書が自動交換を勧めているのは、針が折れておらず、テレスコープも傷んでいないときです。自動交換は、針の先の刃をプライヤーでつかむことを前提にした手順です。折れた針は、先の刃が木の中に残るので、この前提が成り立ちません。
3. IML社のよくある質問の手順で、テレスコープごと前へ出して取り出す
IML社のよくある質問には、「折れた針を本体から取り出すには」という問いに、次の手順が示されています(要点を当社で訳しました)。
- 45°アダプターを外し、フロントアダプターを本体から外す
- 送りの部分を、ゆっくり前へ動かす(原文は「!SLOWLY!」と強調しています)
- 針がテレスコープの中で詰まらないよう、テレスコープを手で導く
- 前の端まで来たら、テレスコープを本体から抜く
- 折れた針を90°曲げ、手動交換のときと同じようにプライヤーで持って抜く
- テレスコープを前の端の位置で差し込み、後ろへ戻してから、新しい針を入れる
同じ問いの答えは、分解や組み立てで問題や不安があれば、サービス部門に連絡するよう結ばれています。針のメニューには、送りの部分を前後に動かす操作があります(取扱説明書 4.15.4)。フロントアダプターとテレスコープの外し方・付け方は、代理店の動画(10分でわかるメンテナンス)で、付属の専用工具の使い方まで見られます。

診断中に針が折れたときに確かめる順番(IML社の取扱説明書・簡易説明書・よくある質問と、当社の使用ルールから作成)
4. テレスコープが正常に出てこないときは、引っ張らない
当社のResi PD500の点検で、代理店から、テレスコープが正常に出てこない状態で無理に引っ張ると、中で針を支えるサポーターが曲がることがあると教えていただきました(Resi PD500の過負荷エラーの記事)。IML社の手順が「ゆっくり」「手で導く」と念を押しているのも、同じ理由だと受け止めています。テレスコープが手で導いても出てこない、動きがいつもと違うときは、その場で直そうとせず、代理店に相談します。本体を開けてよいのはメーカーと認定のサービス会社だけで、それ以外の人が開けると保証が切れます(取扱説明書 1.1)。
5. 木の中に残った針の先
針の先が木の中に残った場合の扱いは、確かめた範囲のメーカーの資料には書かれていません。
針を折らないための設定と構え
折れた針の対処より大事なのは、折らないことです。取扱説明書と当社の使用ルールから、効いている3つを挙げます。
自動の引き戻しを設定する
PDシリーズには、空洞を検知すると穿孔を止めて針を戻す「自動の引き戻し」の機能があります。取扱説明書は、この機能の目的を、空洞を抜けた先の材で針が曲がって折れるのを防ぐことだと書いています。作動させる空洞の長さを決めておき、空洞を検知した時点ですぐ戻すか、空洞の先の材に当たった時点で戻すかを選べます。IML社のよくある質問によると、引き戻す長さは出荷時に5cmで、5〜10cmが推奨です。長すぎると、針が折れたときに、針とテレスコープが傷むおそれがあるとしています。同じ答えは、この機能を、針が曲がりすぎるのを防ぐ保護の仕組みだと説明しています。

空洞を抜けた先の材で、針は曲がりやすい。自動の引き戻しは、空洞を検知した所で針を戻す
回転数は5,000rpmまで、硬い材では送りを落とす
取扱説明書は、樹木の診断の回転数を一般に2,500rpm(木の電柱は3,000rpm)とし、変えるのは例外的な場合だけとしています。回転の段は、出荷時の設定で1,500rpmから5,000rpmまでの5段です。当社は、回転数を5,000rpmまでの範囲にとどめています。硬い材では、回転を落とさず、送りの速さを落として対応します。Resi PD500で6樹種を測った2024年の研究(Gendvilas ほか、Forests 15巻4号)でも、密度の高い材で「低い回転・速い送り」の組み合わせが過負荷を起こすことが確かめられています。
本体を傾けずに構え、釘や石を避ける
PDシリーズは、先端の45°アダプター(前の安全装置)を幹に押し当てていないと測定が始まらず、押し当てがなくなると測定が止まって針が戻ります。取扱説明書は、穿孔中は反対向きの力が働くので、体勢を安定させるよう書いています。Fシリーズの取扱説明書は、針が木に詰まる原因のひとつに、測定中に器具を傾けることを挙げています。
IML社のよくある質問は、針を長くもたせるために、釘や金属板をできるだけ避け、針が抜けていく先が砂や土、石でないかにも気をつけるよう書いています。幹に打たれた古い釘や、根元の土や石は、樹木の診断でも出会うものです。
| 折れやすい場面 | 備え | 資料 |
|---|---|---|
| 大きな空洞を抜けた先の材に当たる | 自動の引き戻しを設定する(空洞の長さは5〜10cm) | 取扱説明書 4.17.6、IML社のよくある質問 |
| 硬い材で負荷が上がる | 回転は5,000rpmまで(取扱説明書の標準は2,500rpm)、送りの速さを落とす | 取扱説明書 4.9、Gendvilas ほか(2024) |
| 測定中に本体が傾く | 足場を固め、45°アダプターを押し当てたまま構える | 取扱説明書 1.5.1・4.5 |
| 釘や金属板、針が抜ける先の砂・土・石 | 測る位置を選び、針が抜けていく先にも気をつける | IML社のよくある質問 |
| 摩耗した針を使い続ける | 先端を確かめ、目安の回数で交換する | IML社の解説のページ、Gendvilas ほか(2025) |
交換の勘所──取扱説明書と動画から
代理店の動画で見ると、自動交換は1分ほどで終わる作業です。それでも、交換の出来が次の測定の質を決めます。取扱説明書と動画から、大事な点をまとめます。
- 送りの部分が戻り始めるまで、針を離さない。交換でいちばん大事な一手です。
- 交換のあとは、エラーが出ないことを確かめてから測定に入る。代理店の動画も「エラーが無ければ交換完了」で締めています。
- 針の汚れは拭き取る。代理店の動画(〜メンテナンス(2)〜)では、針を出し入れするメニューで針を出し、アルコールなどで汚れを拭き取っています。
- 針は乾いた状態で保管する。Fシリーズの取扱説明書は、針のさびの粒子が針を案内する部品に入り、動きを悪くすると書いています。
- テレスコープは無理に引っ張らない。前の節に書いたとおりです。

針の汚れは、アルコールなどで拭き取る(エフティーエス株式会社の説明動画による)
針の交換と同じメニューから、テレスコープとチャックの交換もできます。代理店の動画(10分でわかるメンテナンス)は、テレスコープの清掃と注油にさらさらした油を使い、グリスのような粘る油はほこりを吸って中で固まるので使わないこと、テレスコープを差し込んだあとは軽く引いて中のパッキンが出てこないか必ず確かめることを、丁寧に説明しています。PD500のテレスコープの押し込みについては、Resi PD500の過負荷エラーの記事にも書きました。取扱説明書も、テレスコープとチャックの交換は、同梱の保守の説明書と、公開されている説明動画を見て行うよう書いています。
自分で行うこと、メーカーに預けること
レジの手入れには、使う人が行う作業と、メーカーや認定のサービス会社に預ける作業の線引きがあります。取扱説明書の決まりを表にしました。
| 作業 | 行う人 | 資料 |
|---|---|---|
| 針の交換(自動・手動) | 使う人 | 取扱説明書 4.15.1・4.15.2 |
| テレスコープとチャックの交換 | 使う人(画面の指示と、保守の説明書・動画に従う) | 取扱説明書 4.15.3 |
| 本体を開ける作業・修理 | メーカーか認定のサービス会社だけ(ほかの人が開けると保証が切れる) | 取扱説明書 1.1 |
| 点検と校正 | メーカーか認定のサービス会社(遅くとも1年後に最初の点検、以後は年1回を推奨) | 取扱説明書 1.6 |
針の交換は、使う人の仕事です。そして、針の状態は曲線にそのまま出ます。腐朽や空洞を読むための曲線を、摩耗した針や、ロックの甘い針で取ってしまえば、診断の土台が揺らぎます。機器の点検と校正については、連載の第13回に書きました。当社は、樹木の健全度や倒木の危うさを確かめる樹木診断で、レジを外観診断の見立てに沿って、必要な樹木に必要な本数だけ使っています。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
よくあるご質問(レジ(Resi PD)の針の交換について)
Q1. レジ(Resi PD)の針は、何回くらいで交換しますか?
A. 当社は、100〜150穿孔を目安に交換し、硬い樹木では早めています。IML社は、針の寿命は測る場所を選ぶ人の注意しだいで大きく変わるとしています。研究でも、密度の高い材や送りと回転の設定によって、もつ長さが大きく変わることが確かめられています。
Q2. 針が摩耗したかどうかは、どこで見分けますか?
A. 先端の刃で見分けます。新品の針は、先の縁の中央の小さな尖りと左右の角がはっきり立っていますが、摩耗すると尖りも角も取れて先が丸くなります。PDシリーズには、穿孔の前に針の状態を自動で調べるオプションのモジュール「NC(針のチェック)」もあります。
Q3. 針の交換には何が要りますか?
A. 機種に合う長さの新しい針と、針の先の刃をつかむプライヤーです。標準の構成にもペンチが入っています。交換は本体の画面のメニューから行い、ほかの工具は要りません。
Q4. 針の交換は、どんな手順で行いますか?
A. 針のメニューで自動交換を選び、出てきた針の先の刃をプライヤーでつかんでOKを押し、古い針を抜きます。新しい針を差し込んで奥へ押し当て、OKを押し、送りの部分が戻り始めるまで針を押さえておきます。エラーが出なければ完了です。
Q5. 診断中に針が折れたら、どうしますか?
A. まず測定を止め、そのデータは診断に使いません。自動交換は使わず、IML社のよくある質問の手順で、アダプターを外し、送りをゆっくり前へ出してテレスコープを抜き、折れた針を90°曲げてプライヤーで抜きます。テレスコープが手で導いても出てこないときは引っ張らず、代理店に相談します。
Q6. 針を折らないためには、どうしていますか?
A. 空洞を検知して針を戻す自動の引き戻しを設定し、回転数は5,000rpmまで(取扱説明書の標準は2,500rpm)にとどめ、硬い材では送りの速さを落とします。IML社は引き戻す長さを5〜10cmとするよう勧めています。測定中は本体を傾けないよう構え、釘や金属、針が抜ける先の石にも気をつけます。
Q7. レジの手入れは、どこまで自分で行ってよいのですか?
A. 取扱説明書では、針の交換と、テレスコープとチャックの交換は使う人の作業です。本体を開けてよいのはメーカーと認定のサービス会社だけで、ほかの人が開けると保証が切れます。点検は遅くとも1年後に最初に受け、その後は年1回が勧められています。
出典・参考情報
メーカーの資料(いずれも2026年10月23日に確認)
・IML「IML-RESI PD-Series Manual and Warranty Terms & Conditions」(PDF・英語、2024年12月版) 保証(1.1)、構え(1.5.1)、点検(1.6)、測定の停止(4.5)、回転数(4.9)、針の交換(4.15)、自動の引き戻し(4.17.6)、針のチェック(4.17.8)
・IML「Brief Instruction IML-RESI PD-Series」(PDF・英語) 針の交換のメニューと自動交換を選ぶ条件(p.6)
・IML「FAQ」(英語) 折れた針の取り出し方、針の寿命、自動の引き戻しの長さ
・IML「IML PowerDrill Basics: Automatic Needle Exchange」(英語) 針の被膜と交換の必要、自動交換の手順
・IML「IML PowerDrill Basics: Automatischer Bohrnadelwechsel」(動画・ドイツ語)、「IML PowerDrill Basics: Teleskop- und Bohrfutterwechsel」(同)
・IML「Standard Drilling Needles ‘Click’」(製品ページ・英語)、「Drilling Needles Pole Inspection ‘Click’」(同) 針の長さと先端の径
・IML「Measured Variables of IML-RESI PowerDrill®」(PDF・英語、2023年) 針の寸法と軸の摩擦(p.3)
・IML「IML-RESI F-Series Instructions for Use and Guarantee Conditions」(PDF・英語、2018年10月版) 針の保管(p.4)、摩耗の確認(p.11)、針が詰まる原因(p.21)
・IML「Instructions for Use: IML-RESI MD300」(PDF・英語、2018年8月版) 摩耗の確認(p.5)
日本の代理店の説明動画(エフティーエス株式会社、YouTube)
・レジストグラフPDシリーズ 取り扱い説明資料 〜メンテナンス(1)〜 針の摩耗の比較と自動交換
・レジストグラフPDシリーズ 取り扱い説明資料 〜メンテナンス(2)〜 針の清掃
・レジストグラフPDシリーズ 取り扱い説明資料 10分でわかるメンテナンス テレスコープとチャックの交換、清掃と注油
・エフティーエス株式会社「IML-RESI PD シリーズ」(製品と説明動画の一覧)
研究
・Sharapov, E., Wang, X., Smirnova, E., Wacker, J. P. (2018) Wear behavior of drill bits in wood drilling resistance measurements. Wood and Fiber Science 50(2):154–166(米国農務省森林局の書誌のページ)
・Gendvilas, V., Lee, D. J., Downes, G. M., Lausberg, M., Harrington, J. J. (2025) Resistance drilling: the effect of needle wear. European Journal of Wood and Wood Products 83, 181(doi:10.1007/s00107-025-02332-x)
・Gendvilas, V., Downes, G. M., Lausberg, M., Harrington, J. J., Lee, D. J. (2024) Predicting Wood Density Using Resistance Drilling: The Effect of Varying Feed Speed and RPM. Forests 15(4):579(doi:10.3390/f15040579)
樹木診断機器(ピカス・レジ・アーボソニック3D)の記事
・レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か。樹木医がレジ(Resi PD)で幹の中を「針」で診る機器診断を、一般の方向けに解説します
・樹木診断機器Resi PD500の「Overload feed motor」エラー 原因は針でも設定でもなく、テレスコープ内のサポーターの曲がりでした
・IML-RESI PowerDrill(PDシリーズ)の機種とオプション──レジ(Resi PD)7機種の違いと選び方を、樹木医が解説
・IML社の樹木診断機器の点検・校正とセミナー──連載のまとめとして、外観診断から総合判定までの流れで機器の使いどころを樹木医が解説
・樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)について
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
※ 本文で紹介した動画の題名にある「レジストグラフ」は、代理店の動画の題名をそのまま記したものです。
連載「IML社の樹木診断機器」のすべての回は、連載の一覧からご覧いただけます。





















