IML-RESI PowerDrill(PDシリーズ)の機種とオプション──レジ(Resi PD)7機種の違いと選び方を、樹木医が解説

レジ Resi PD 本体 落ち葉 機器診断

レジ(Resi PD)の正式な製品名は、ドイツIML社のIML-RESI PowerDrill(PDシリーズ)です。穿孔できる深さが20cmから100cmまでの7機種があり、測れる内容はオプションのモジュールで変わります。機種の違いと選び方、オプション、ソフトウェアを、メーカーの資料をもとに樹木医がまとめました。

IML社の樹木診断機器をひとつずつ取り上げる連載の第2回です。第1回ではIML社という会社をご紹介しました。レジの仕組みと波形の読み方は樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)についてに、一般の方向けの説明はレジ(Resi PD)とは何か。樹木医が幹の中を「針」で診る機器診断を、一般の方向けに解説しますにまとめてありますので、今回は製品そのものに絞ります。

先に答え

  • PDシリーズは、PD200、PD300、PD400、PD500、PD600、PD750、PD1000の7機種です。違いは針が届く深さ(20〜100cm)と、それに伴う本体の長さと重さです。
  • 針はどの機種も、軸の直径が1.5mm、先端が3mmです。
  • 針の回転抵抗の記録は標準の機能です。針を押し込む力(送り力)の記録、傾きの記録、針の状態のチェックなどは、後から足せるオプションのモジュールになっています。
  • 地中の根株を斜め下に向けて測る根株診断には、東京都のマニュアルが測定長500mm以上で角度を測れる機器を求めています。PDシリーズでは、PD500以上に傾斜センサーのモジュール(TLT)を加えた構成がこれにあたります。
  • IML社の取扱説明書は、測定結果には専門的な判読が必要だとしています。機器の点検は年1回が推奨されています。
レジ Resi PD 原理 穿孔抵抗 針 波形 図解
レジ(Resi PD)の原理。針が受ける抵抗を深さごとに記録する

 

PDシリーズは7機種──違いは針の届く深さです

IML社の製品ページに載っている7機種を、表にまとめました。機種名の数字は、穿孔できる深さをmmで表しています。

機種 穿孔できる深さ 本体の重さ(バッテリー込み) 本体の長さ ケース込みの重さ
PD200 20cm 4.4kg(5.0kg) 70cm 13.5kg
PD300 30cm 4.4kg(5.0kg) 70cm 13.5kg
PD400 40cm 4.9kg(5.5kg) 80cm 14.0kg
PD500 50cm 5.4kg(6.0kg) 98cm 14.6kg
PD600 60cm 5.8kg(6.4kg) 108cm 15.0kg
PD750 75cm 6.4kg(7.0kg) 123cm 15.6kg
PD1000 100cm 7.85kg(8.45kg) 152cm 23.0kg

針そのものは全機種に共通で、軸の直径が1.5mm、先端が3mmです。機種が変わっても幹に残る穴の太さは変わらず、変わるのは届く深さだけということになります。

機種を選ぶときの出発点は、診断する樹木の太さです。レジは幹の外から中心に向かって針を入れるので、半径まで届けば、向きを変えて複数の方向から測ることで断面全体の様子をつかめます。PD500なら、直径1mの幹の中心まで届く計算です。

ただ、深く届く機種ほど本体は長く、重くなります。PD300とPD1000では、長さが70cmと152cm、バッテリー込みの重さが5.0kgと8.45kgです。植え込みの中や塀ぎわのように足場の限られる場所では、本体の長さと重さが取り回しに響きます。

レジ Resi PD PD200 PD500 PD1000 機種 本体の長さ 穿孔深さ 比較 図解
PDシリーズ7機種の本体の長さと針が届く深さを、直径1mの幹と同じ縮尺で並べた図(寸法はIML社の製品ページによる)

もうひとつの目安が、根株診断です。根株診断は、地際から斜め下に向けて針を入れ、地中にある根株の腐朽を調べる方法です。東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」は、根株診断に使う機器を、角度を測る機能があり測定長が500mm以上のものとしています(60ページ)。針は原則として地際から俯角40°で入れ、石や土に当たると想定される場合は30°にします。斜めに入れると、針が進む距離は水平に測るときより長くなります。同じマニュアルは、断面図に直すときの定数を、俯角40°で1.31、30°で1.15としています(61ページ)。斜めに進んだ針の長さと、水平に直した距離との比にあたる数字です。

PDシリーズでこの条件にあたるのは、PD500以上に傾斜センサーのモジュールを加えた構成です。当社ではPD500を3台使っています。根株診断の実際は、公園樹木診断 樹木医による機器診断・根株診断(レジ) 東京都でご紹介しています。

根株診断 レジ Resi PD 俯角40度 地際 根株 腐朽 図解
根株診断では、地際から俯角40°で根株の中心へ針を入れる。同じ水平距離でも、斜めに進む針の長さは約1.31倍になる

 

細い針を守る仕組み──アダプター、テレスコープ、自動の引き戻し

軸が1.5mmの針を、数十cmの深さまでまっすぐ送り込む。PDシリーズの本体には、そのための仕組みがいくつか組み込まれています。以下は、IML社の取扱説明書(2023年1月版)に書かれている内容です。

本体の先端には、45°アダプターと呼ばれる部品が付いています。これを測る対象に押し当て、押し込まれたことを機器が検知しないと、測定は始まりません。説明書は、アダプターなしで測定すると正しく記録されないとして、必ず付けた状態で使うよう求めています。斜めに当てて測るときの支えにもなります。

針は、本体の中で伸縮するテレスコープ式のガイドに支えられて出ていきます。当社のPD500で2026年9月に起きた送りモーターの過負荷エラーは、このテレスコープの中の部品の曲がりが原因でした(樹木診断機器Resi PD500の「Overload feed motor」エラー)。説明書にも、測定が自動で止まる条件として、送りのモーターと回転のモーターの過負荷が挙げられています。

大きな空洞を通り抜けた針が、その先の材に当たると、曲がって折れるおそれがあります。これを防ぐのが、針の自動の引き戻しです。あらかじめ決めた長さ以上の空洞を検知すると、測定を止めて針を戻すよう設定できます。空洞に入った時点ですぐ戻すか、空洞の先の材に当たった時点で戻すかも選べます。

本体は水しぶきに耐えるアルミの筐体ですが、防水ではありません。説明書は、水や湿気をできるだけ避けるよう求めています。

 

標準の構成で測れること、オプションで加わること

IML社の製品ページによると、標準の構成は、針を取り付けた本体、ハンドル、測定曲線25m分のメモリー、針10本、18ボルト5.0アンペア時のリチウムイオンバッテリー2個と充電器、USBケーブル、交換用のチャック、ペンチ、収納ケース、ソフトウェアのPD-Tools(3台分のライセンス)、取扱説明書です。バッテリー1回の充電で、およそ200回の測定ができるとされています。

ここに、必要な機能をモジュールとして足していきます。取扱説明書に載っているモジュールは次のとおりです。

幅72mmの感熱紙を使うACS(アクセス制御)機能ごとにパスワードをかけ、設定を変えられないようにするWI(WoodInspector)木製の電柱や遊具について、曲線を自動で評価するRCI(リモート制御インターフェース)外部から本体を操作するためのインターフェース

モジュール 加わる機能
FEED(送り力の測定) 針を押し込む力を、回転抵抗と同時に記録する。使うと、記録できる長さは半分になる
TLT(傾斜センサー) 本体の傾きを表示し、測定ごとに保存する。傾いた幹や柱に合わせて0°を取り直す機能と、傾きに応じて穿孔の深さを補正する機能がある
NC(針のチェック) 穿孔の前に針の状態を調べ、良否を測定データと一緒に保存する
MEM1・MEM2・MEM3(メモリーの拡張) 記録できる長さを50m、100m、180mに増やす(FEEDを使う場合は25m、50m、90m)
SCL(スケーリング) 画面と印刷で、曲線の縮尺と振幅を変える
PRT(Bluetoothプリンター) 測定した曲線を、その場で原寸(1対1)で印刷する。

モジュールは購入後にも追加でき、メーカーが発行するコードを本体に入力すると有効になります。

樹木の診断でいちばん効いてくるのは、FEEDです。針の回転抵抗には、深くなるほど、孔に残った切りくずで軸が締め付けられる摩擦が加わります。送り力はこの摩擦の影響が小さいため、2本の曲線を同じ深さで見比べることで、回転抵抗だけでは見えにくい腐朽を読み取りやすくなります。東京都のマニュアルも、PD型は回転抵抗に加えて前進抵抗を測り、2種類の波形を記録する機器だと説明しています。読み方の詳細は、樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)についてに書かせていただきました。

根株診断では、TLTが役に立ちます。針を入れた角度が測定ごとに記録に残るので、あとから補正の計算をするときの根拠になります。

なお、標準のメモリーの長さや付属する針の本数などは、国内の代理店が案内する構成と異なる場合があります。購入の際は、エフティーエス株式会社様など代理店へのご確認が確実です。

 

送りと回転の速さは、5段階から選びます

針を送り込む速さと、針を回す速さは、それぞれ5段階に登録されていて、現場でボタンを押して切り替えます。取扱説明書(2023年1月版)に載っている出荷時の設定は次のとおりです。

段階 送りの速さ 回転の速さ
1 25cm/分 1,500回転/分
2 50cm/分 2,000回転/分
3 100cm/分 2,500回転/分
4 150cm/分 3,500回転/分
5 200cm/分 5,000回転/分

各段階の数値は、送りが15〜200cm/分、回転が1,500〜5,000回転/分の範囲で登録し直せます。説明書は、樹木の診断では回転を2,500~5,000回転/分とするのが一般的で、回転の速さを変えるのは例外的な場合に限るとしています。

速さが変わると、同じ材でも波形の出方が変わります。同じ樹木の中で比べる測定や、後年の測定と比べたい測定では、設定をそろえておくほうが比べやすくなります。

 

測ったあとの道具──PD-ToolsとPD-Tools Pro

測定データは、USBケーブルかBluetoothでパソコンに送ります。標準で付属するPD-Toolsでは、曲線の表示と印刷、測定条件や樹木の情報の記入、曲線の区間ごとに「健全」「腐朽」といった評価の言葉と色を付ける作業ができます。樹木の番号を本体に入力しておけば、その番号をファイル名にして取り込めます。

上位版のPD-Tools Proでは、測定のたびに自動でパソコンへ送る機能、ほかのソフトウェアで使える形式での書き出し、曲線をならして傾向を見やすくする機能、年輪の幅を測る機能、複数の曲線を1枚に並べた印刷が加わります。

東京都のマニュアルは、健全な材と腐朽・空洞の境界がはっきりしない場合に、判読の基準と根拠を記すこと、波形のグラフを添付することを求めています。区間に評価を付けた曲線をそのまま報告書に載せられることは、説明のしやすさにつながります。

 

保証と点検──年に1度、メーカーの目を通す

取扱説明書によると、保証期間は12か月です。保証の条件として、遅くとも1年後までに最初の点検に出すことが定められており、その後も年1回の点検が推奨されています。本体を開けられるのは、メーカーか、認定を受けたサービス会社だけです。

説明書の冒頭には、もうひとつ大事なことが書かれています。レジの測定結果は、それだけで答えを示すものではなく、専門的な判読が必要だということ。そして、測った対象についての結論は、調べた人の責任で下すものだということです。メーカー自身が、使う人に講習の受講を勧めています。

 

機種とオプションの先にあるもの──当社の使い方

どの機種を選び、どのモジュールを足しても、レジが教えてくれるのは、針が通った1本の線の上の抵抗です。どこに、どの向きで、何本入れるかは、木槌で叩き、根元を確かめる外観診断で立てた仮説が決めます。穴を開ける診断ですから、必要な樹木に、必要な本数だけ行います。

測った結果と実際の断面を突き合わせる機会も、大切にしています。レジで診断した街路樹が後日伐採された際には、切り株に現れた腐朽の広がりと波形を照らし合わせました(樹木医が街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ)。

株式会社トシ・ランドスケープのツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門では、樹木医が外観診断から機器診断、報告書の作成、その後の管理計画までを一貫して担当しています。ご依頼は、マンション管理組合様、学校施設、寺社の御神木など様々です。幹や根元の内部が気になる樹木がありましたら、樹木診断のサービスページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお声がけをお待ちしています。

次回は、測定の曲線を紙に記録するIML-RESI Fシリーズと、機械式のMD300を取り上げます。

 

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊

 

よくあるご質問(IML-RESI PowerDrill・PDシリーズについて)

Q1. PDシリーズにはどんな機種がありますか?

A. PD200、PD300、PD400、PD500、PD600、PD750、PD1000の7機種です。機種名の数字は穿孔できる深さ(mm)を表し、20cmから100cmまであります。針の太さは全機種共通で、軸が1.5mm、先端が3mmです。

Q2. どの機種を選べばよいですか?

A. 診断する樹木の太さと、根株診断を行うかどうかで決まります。幹の中心まで届く深さがあれば、複数の方向から測って断面全体をつかめます。東京都の街路樹診断等マニュアルは、根株診断に測定長500mm以上で角度を測れる機器を求めており、PD500以上に傾斜センサーのモジュールを加えた構成があたります。深く届く機種ほど本体は長く重くなります。

Q3. FEEDモジュールとは何ですか?

A. 針を押し込む力(送り力)を、回転抵抗と同時に記録するオプションです。送り力は、針の軸にかかる摩擦の影響が小さいため、回転抵抗と見比べることで腐朽を読み取りやすくなります。使用すると、メモリーに記録できる長さは半分になります。

Q4. 1回の充電で何回測れますか?

A. IML社の説明では、18ボルト5.0アンペア時のバッテリー1回の充電で、およそ200回です。標準の構成にはバッテリーが2個付属します。

Q5. 雨の日や冬でも使えますか?

A. 本体は水しぶきに耐える構造ですが、防水ではないため、取扱説明書は水や湿気を避けるよう求めています。氷点下でも測定はできますが、IML社は、凍った腐朽部は抵抗が高めに出ることがあると説明しています。

Q6. Fシリーズとの違いは何ですか?

A. 記録の方法が違います。Fシリーズは測定の曲線をワックス紙に記録し、PDシリーズは電子的に記録してパソコンに送ります。PDシリーズでは、オプションで送り力の曲線も記録できます。

Q7. 点検は必要ですか?

A. 必要です。取扱説明書は、保証の条件として遅くとも1年後までに最初の点検に出すことを定め、その後も年1回の点検を推奨しています。本体を開けられるのは、メーカーか認定を受けたサービス会社だけです。

 

出典・参考情報

メーカーの資料(いずれも2026年10月に閲覧)

・IML「IML-RESI PowerDrill」製品ページ(英語) 7機種の寸法と重さ、標準の構成、オプション、よくある質問
・IML-RESI PD-Series Manual and Warranty Terms & Conditions(IML社、2023年1月版) 保証と点検(1.1、1.6)、判読の必要性(1.3.2)、測定の手順と停止条件(4.5)、送りと回転の速さ(4.8、4.9、4.17.4、4.17.5)、針の自動の引き戻し(4.17.6)、各モジュール(4.17.7〜4.17.14)、PD-Tools(5章)
・IML「Brief Instruction IML-RESI PD-Series」(PDF・英語)
・IML「Measured Variables of IML-RESI PowerDrill®」(PDF・英語、2023年) 送り力と、針の軸にかかる摩擦の説明
・IML「Company history」(英語) 針の寸法とテレスコープ式のガイド

国内の代理店

・エフティーエス株式会社「木材貫入抵抗測定機 RESI PD-Series」

制度

・東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」 貫入抵抗測定器(商品名:レジ)の特性(51〜52ページ)、機器診断カルテの所見と測定結果(58ページ)、根株診断(60〜61ページ)

 

樹木診断機器(ピカス・レジ・アーボソニック3D)の記事

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・樹木医 サクラ樹木診断(機器診断・レジ)
・樹木医診断 レジ過去マンション事例

サービス

・樹木診断(ツリーリスクアセスメント部門)
・GREEN MANAGEMENT

 

※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。

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