歩道の掘削や電線共同溝の工事で街路樹の根が切られると、木を支える力が落ち、倒木のおそれが高まります。東京都建設局の街路樹診断等マニュアルが定める工事配慮エリア(幹周り90cm以上の木は道路に沿って3m・横断方向に1.5m)と、工事のときの10の配慮事項を、樹木医が図とイラストで解説します。
先日、同じマニュアルの流れに沿って、樹木医が街路樹診断で何を見ているか(前編)と後編を書きました。前編の外観診断の項目に「露出根被害」があります。切られた支持根(木を支える太い根)の切り口から腐朽が入っていないかを見る項目です(p.40)。今回はその手前の話、つまり工事で根を切らないために何をするかです。
マニュアル第Ⅵ章「街路樹の根の保護に関するガイドライン」の最後の節、「4 街路樹周辺で工事を行う場合の配慮事項」(p.100〜102)を中心に、その背景にあたる第Ⅵ章の前半(p.96〜99)もあわせて読んでいきます。ページ番号は、断りのない限りすべて同マニュアルのものです。

工事配慮エリアを現地で測る
なぜ街路樹診断のマニュアルに「根の保護」の章があるのか
東京都は平成10年度に街路樹診断マニュアルを作り、街路樹診断を始めました。平成25年の改定では、地上部だけでなく地下の根株の腐朽を調べる根株診断を加えています。こうした取り組みで都道の街路樹の健全な状態は向上した一方、従来の地下埋設物の改修や敷設に加えて、電線共同溝工事などによる歩道の改修の機会が増え、誤って根が切断されたり傷つけられたりするおそれもある、とマニュアルは書いています(p.96)。
それまで東京都は、街路樹の周りの工事についての配慮事項を定めてきませんでした。工事の際の根の損傷による倒木のリスクを避けるため、令和3年度のマニュアル改定に合わせて新たにこのガイドラインを作り、今後は街路樹診断とともに根の保護も行っていく、という位置づけです(p.96)。診断と保護が同じ1冊に入っているのは、診断で見つける被害の一部が、工事のときに防げるものだからだと思います。
根は、樹体を支えるだけでなく、水分や養分を吸収して運び、地上部で作られた養分を貯える器官です。地上部が葉・枝・幹に分かれているように、根も根端・側根・主根などに分かれ、水や養分を吸収する吸収根、吸収根の広がりを大きくする側根、地上部を支える主根と、それぞれ役割を持っています(p.96)。工事で切られやすいのは、このうちの太い根、つまり木を支えている根です。
街路樹の根はどこにあるのか 植樹桝と歩道側の太い根
街路樹の生育空間は、都市の樹木の中でも特に過酷です(p.96)。地上では広告物や架空線と枝葉がぶつかり、街路灯や信号機の近くでは視認性のために枝を強く剪定されることも少なくありません。車道側・歩道側とも建築限界を確保する必要があり、その中へ枝葉を伸ばすことはできません。
地下では、電線共同溝や地下埋設物、植栽桝の中にある街路灯などの施設と根が競合し、根の伸びる範囲は限られています。マニュアルは「道路植栽の設計・施工・維持管理」を引いて、車道側は締め固められており、根が入り込むには歩車道境界の街きょ(縁石の部分)の下をくぐらなければならないため、車道側へ伸びる太根は少なく、そのほとんどは植栽桝に存在すると書いています(p.96)。

街路樹の根と地下の施設
言い換えれば、街路樹は歩道側の太根で樹体を支えていることになり、歩道側の太根を切ることは、街路樹にとって大きなダメージになります(p.96)。そして歩道の工事は、まさにその根がある場所で行われます。マニュアルが求めているのは、歩道側で根を切る行為をできるだけ抑え、ダメージを最小限にとどめることです(p.96)。
海外では「根を守る範囲」を先に決めている CRZ と TPZ
ガイドラインを作る際、東京都は国内の同じような取り組みを調べましたが、参考になる事例がなかったため、海外の事例を参考にしています(p.97)。海外では、幹の周りの一定範囲の根を、樹木の健全な状態を保ち樹体を支えるのに欠かせない根として、その範囲で根を傷める開発行為を厳しく規制しています。守る範囲は、一般に次の2種類です(p.97)。
- Critical Root Zone(CRZ):生命維持に欠かせない根の保護範囲。これより内側の根を傷つけると生命維持が難しい、という考えに基づく
- Tree Protection Zone(TPZ):CRZ の外側に設定する、将来の健全な状態や樹体の支持に必要な根の保護範囲
TPZ の決め方には、樹冠の下(枝先の真下を結んだ線=ドリップライン)を範囲とする方法(香港特別行政区やニューヨーク市)と、胸高直径に一定の倍数をかけて求める方法(国際アーボリスト協会〈ISA〉のガイドラインや、南オーストラリア州アデレードなど)があります(p.97〜98)。根の保護を進める自治体では、開発事業者に、工事が樹木に与える影響の評価と保護措置の計画書の提出を義務付けていることが多い、とされています(p.98)。
マニュアルが詳しく紹介しているのはニューヨーク市の例です(p.98〜99)。現在の市公園局の「Tree Protection Best Practices and Protocol」でも、CRZ は胸高直径1インチにつき半径1フィートで、市の樹木から50フィート(約15m)以内の作業は着工の20営業日以上前に届け出、直径1インチ(約2.5cm)を超える根を切るには書面の許可、露出した根は覆って湿らせ、露出は最大48時間まで、と定められています。CRZ の中の掘削は手掘りか空気圧による掘削で、検査官か認定アーボリストが立ち会うことになっています(2026年10月9日 閲覧)。
工事配慮エリアとは 幹周り90cmで2つに分ける
海外の先進事例は参考になるものの、道路環境や法令の違い、根に関するデータの蓄積なども考えると、都道に合った根の保護策を展開していくのが望ましい。そこで令和3年度の改定では、道路管理者による工事と、道路法第32条に基づく道路の占用許可を受けた行為(あわせて「公共工事等」)に対し、根への配慮を促すことにしました。占用許可を受けた行為には、電柱や電線、水道管・下水道管・ガス管などを道路に設ける工事が含まれます。その範囲として定めたのが工事配慮エリアです(p.100)。
エリアは、幹周り90cmを境に2通りです(p.100)。
- 幹周り90cm以上の大径木:車道側を除いて、幹芯から道路縦断方向(道路に沿った方向)に3m、道路横断方向に1.5mの範囲
- 幹周り90cm未満:車道側を除いて、幹芯から道路縦断方向に2m、道路横断方向に1mの範囲
さらに、このうち幹芯から1mの範囲は、可能な限り掘削を避けることになっています(p.100〜101)。

工事配慮エリアの考え方
マニュアルの図(p.100)では、エリアは幹を中心にした道路に沿って細長い楕円で描かれ、縁石の線で車道側が切り落とされています。歩道の上に、木ごとに見えない楕円が描かれているところを思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。
なぜ道路に沿って長いのか エリアの決め方の理由
マニュアルは、エリアをこの形にした理由を挙げています(p.101)。
- 海外のように樹冠線(ドリップライン)でエリアを決めると、強剪定された路線ではエリアが非常に狭くなるおそれがある。逆に胸高直径から求める方法では、大径木によってはエリアが歩道に収まらない可能性がある
- 街路樹の根の多くは植栽桝にあるので、道路の横断方向よりも縦断方向に配慮したエリアが求められる
- 都道では「東京都道路工事設計基準(令和2年版)」により、街路樹を植える場合は歩道の有効幅員を2m以上確保することになっている。歩道の中には地下埋設物があるため、歩道をすべてエリアに含めることは現実的に難しい
- 同じ基準では、標準の植栽間隔を6mから8mとしている。最小の6mで考えると、縦断方向は片側3mとなる
- 木は成長するほど、支える根の伸びる範囲が広くなる。大径木には、より配慮が求められる

植栽間隔6mと片側3m
植栽間隔6mの並木なら、隣り合う木のエリアがちょうど接して、歩道の植樹桝の列に沿って帯のようにつながります。並木全体で見ると、「植樹桝の並びとその両脇は根の場所」と考えてよい、ということです。
1つ目の理由には、都内の街路樹を見ていて納得するところがあります。建築限界や架空線、信号機の見通しのために枝を詰められた木は、樹冠が幹の太さの割に小さくなっています。現場での経験から言えば、こうした木では、樹冠の大きさは根の広がりの目安になりにくいと感じています。枝先の真下ではなく、幹からの距離で決めるという東京都のやり方は、日本の街路樹の実情に合っていると思います。
工事のときの10の配慮事項 計画から埋め戻しまで
工事配慮エリアの中で公共工事等を行う場合の配慮事項は、10項目です(p.101〜102)。工事の段取りの順に、計画のとき、掘るとき、埋め戻し・完了のときの3つに分けて整理しました。

10の配慮事項
計画のとき ① 事前に報告する ② 幹芯1m以内を工事の範囲に含めない
工事配慮エリアの中で、路盤より深い掘削や植栽桝の縁石の打替えなどの改変を行う場合は、各建設事務所の街路樹担当へ、工事の目的・予定時期・範囲などを事前に報告します(①)。エリアのうち、高木の幹芯から1m以内の範囲は、可能な限り①の工事の範囲に含めません(②)。
マニュアルは、工事の計画段階で街路樹への影響を最小限にとどめるため、工事配慮エリアの改変を可能な限り避けた計画を選ぶのが望ましい、としています(p.101)。根を守るいちばん確かな方法は、掘る場所を決める段階で木を避けることです。掘り始めてから太い根に当たって慌てるより、図面の段階でエリアを重ねてみる方が、工事にとっても木にとっても負担が少なくて済みます。根がどこにあるか分からないときは、工事の前に試掘して確かめる方法もあります。当社でも、無電柱化に伴う夜間の根系試掘調査を行ってきました。
掘るとき ③ 樹木医等が立ち会う ④ できる限り人の手で掘る
エリアの中の掘削で、樹木の生育の状況から必要だと街路樹担当が判断した場合は、樹木医等の立会いのもとで掘削し、適切な処置を行います(③)。エリアの中の掘削は、根の切断を防ぐため、極力人力施工とします(④)。

重機で掘る場合と人の手で掘る場合
重機のバケットの爪は、太い根に当たっても止まらずに引きちぎってしまいます。裂けた根は切り口がささくれて大きく傷み、土の中のどこまで傷んだかも外からは分かりません。人の手で掘れば、根に当たったところで手を止め、その根を残せるか、どう避けるかを考えることができます。立ち会う樹木医の仕事は、出てきた根を見て、残すべき根か、切ってもよい根かを、その場で判断することです。ニューヨーク市が CRZ の中の掘削を手掘りか空気圧による掘削に限り、立会いを求めているのも、同じ考え方です。
⑤ 支持根は切らずに保護して報告する
エリアの中で支持根が露出した場合は、切断せずに保護し、各建設事務所の街路樹担当へ報告します(⑤)。

切ってよい根と残したい根
上の絵は、管路の溝を横切る太い根を切らずに残し、管をその下に通すようにした例です。どう納めるかは現場ごとに工事側との相談で決まるので、あくまで一つのイメージですが、「出てきた根に合わせて、工事の方を少し変える」という考え方が⑤の中身だと思います。
⑥ やむを得ず切るときは、鋭利な刃物で切って防菌癒合材を塗る
④・⑤で露出した根を、やむを得ず切断する場合は、鋭利な刃物で切断し、防菌癒合材を塗布します(⑥)。

根の切り口の処置
重機で裂けた根をそのままにせず、ささくれの手前で切り口を平らに整えてから塗る、という手順です。国土技術政策総合研究所(国総研)の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」も、周辺工事ではできる限り根系を切断しないこと、やむを得ず切断する際は切り口に殺菌剤を塗るなどして腐朽の抑制を図ることを挙げ、鋭利な刃物による切断と殺菌剤の塗布を、適正な処置の例として写真で示しています(1-93〜1-94)。根株や根の腐朽は、根の切断などから菌が材の中に入って起きる場合が多いからです(同 1-23)。
⑦ 露出した根を乾かさない
エリアの中で露出した根は、乾燥しないように適宜散水を行うか、マルチングシート材などで保護します(⑦)。

露出した根の乾燥を防ぐ
掘った溝の中の根は、土の中にあったときとは違って、日差しと風にさらされます。工事が何日かにわたるときは、覆いと水やりが欠かせません。ニューヨーク市の決まりも、露出した根を麻布と白いプラスチックで覆って湿らせ、1日2回確かめ、露出を48時間までと区切っています。
埋め戻し・完了のとき ⑧ 改良土で埋め戻し、防根シートを入れる
埋め戻す箇所の土は、根の発育を促すため、バーク堆肥などを含む改良土を埋め戻すのが望ましいとされています。また、可能であれば根上がり防止のため、防根シートを敷設します(⑧)。

埋め戻しと防根シート
改良土で戻すのは、工事で傷んだ根の周りに、新しい根が伸びやすい土を用意するためです。防根シートは、根が舗装のすぐ下へ伸びて舗装を持ち上げる根上がりを防ぐためのもので、根の行き先を舗装の下から外します。
⑨ 根系誘導耐圧基盤(S.S.M工法)を導入する
街路樹の状況に応じて、根系誘導耐圧基盤(S.S.M工法)を導入し、根の発育を促すのが望ましいとされています(⑨)。
S.S.M は Structural Soil Mix(ストラクチャル・ソイル・ミックス)の略で、米国コーネル大学のニーナ・バサック教授が考案した工法です。横浜市道路局の報告によれば、歩道の路床に粒のそろった骨材(直径40〜30mm)をかみ合わせて舗装を支える構造をつくり、そのすき間に生育用の土を詰めて、通気と水・養分の供給を図り、根の伸びを誘導します(管尚子「街路樹の根上がり対策事例」日本緑化工学会誌 35(2)、2009)。舗装の強さを保ちながら、舗装の下にも根の通り道を残す、という考え方です。横浜市は、根上がり対策としてこうした基盤材を舗装の下に設ける方法を紹介しています。
⑩ 工事が終わったら、十分に水極めを行う
工事完了後には、十分に水極めを行います(⑩)。

水極め
水極めは、水を注ぎながら木の棒などでつついて土を流し込み、根の周りにすき間ができないようにする方法です。国土交通省の「公園緑地工事共通仕様書」(令和8年6月)にも、樹木に有害な雑物を含まない水を使い、木の棒等でつつくなどして根の回りに間隙が生じないよう土を流入させる、と書かれています。埋め戻した土の中にすき間が残ると、根が土に触れず、水も吸えません。最後のひと手間ですが、根にとっては埋め戻しの仕上げにあたります。
1mを避けられないときは 更新も含めて考える
マニュアルは、工事配慮エリアを避けた工事が難しいケースも想定しています。検討の結果、エリアの中の幹芯1mの範囲を避けた工事が難しい場合には、将来的な倒木のリスクなどを防ぐため、現況の街路樹を無理に保存するのではなく、街路樹の更新なども含めた検討を行うことが望ましい、としています(p.101)。
国総研の手引きは、根株を中心に太根から細根までが発達した「重要な根域」の目安を、半径(cm)=胸高直径(cm)×18 としています(1-14)。そして、この幹に近い重要な根域の根の40%以上が傷むと、樹木の支持に重大な弱点が生じる場合がある、と書いています(1-24)。幹のすぐそばで太い根をまとめて切れば、木はその場では立っていても、支える力を失っていることがあります。
樹木医としては、木を残す努力を最後まで尽くしたいと考えています。ただ、根の大半を失った木を「残した」ことにして歩道に立たせておくのは、本当の意味で残したことにはならないとも思います。工事の計画と木の将来を、同じ机の上で考えることが大切です。
なお、この配慮事項は公共工事等を対象にしたもので、それ以外の工事にも準用することが望ましいとされています。ただし、歩道が広い路線、東京を代表する街路樹のある路線、過去に倒木などの被害が生じた6樹種(エンジュ、シダレヤナギ、ケヤキ、サクラ、スズカケノキ、ユリノキ。p.12)の植栽路線など、路線の地域性や特殊性によって事情が異なるため、当面は統一的なルールを設けず、実情に応じて行っていく、とされています(p.101)。
掘削工事の立会いと、工事の前のご相談
当社はこれまで、都内の電線共同溝(無電柱化)の整備、国道沿いの下水道施設の撤去と新設、電柱の設置などに伴う街路樹の周りの掘削に、樹木医として立ち会ってきました(電線共同溝の工事での立会い、板橋区・国道沿いの立会い、大田区での立会い)。電線共同溝の現場では、過去の工事で切られた根から新しい根が出ている所と、切り口から腐朽が進んでいる所の両方を見ました。同じように切られた根でも、その後の行方は分かれます。だからこそ、切る前に根を見て判断することに意味があると考えています。
工事の計画の段階でご相談いただければ、工事配慮エリアを図面に重ね、掘る範囲を木からどこまで離せるか、根の位置を試掘で確かめるか、移植が適しているかを、工事の方と一緒に考えることができます。歩道の工事に伴う移植適性度診断もお受けしています。
また、自治体・行政の方からの、街路樹の保護に関する仕様書や要領の作成についてのご相談にも対応しています。この記事に載せた当社の透かし入りのイラストを、仕様書や説明資料などに使用されたいご希望があれば、あわせてお問い合わせページからお知らせください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 工事配慮エリアとは何ですか?
A. 東京都建設局の街路樹診断等マニュアル(令和3年度)が定めた、街路樹の根に配慮して工事を行う範囲です。幹周り90cm以上の木は車道側を除いて幹芯から道路に沿って3m・横断方向に1.5m、90cm未満の木は2m・1mです。このうち幹芯から1m以内は、可能な限り掘削を避けます。道路管理者の工事と、道路法第32条の占用許可を受けた工事が対象です。
Q2. なぜ工事配慮エリアに車道側は含まれないのですか?
A. 車道側は締め固められていて、根が入り込むには縁石の下をくぐる必要があるため、車道側へ伸びる太根は少なく、街路樹の根のほとんどは植栽桝にあるとされているからです。街路樹は歩道側の太根で樹体を支えていることになり、エリアも道路の横断方向より縦断方向に長く決められています。
Q3. 街路樹の近くの掘削で太い根が出てきたら、どうすればよいですか?
A. 東京都のマニュアルでは、工事配慮エリアの中で支持根が露出した場合は、切断せずに保護し、各建設事務所の街路樹担当へ報告することになっています。やむを得ず切断する場合は鋭利な刃物で切って防菌癒合材を塗り、露出した根は散水かマルチングシート材などで乾燥を防ぎます。掘削は極力人力で行い、必要な場合は樹木医等が立ち会います。
Q4. 工事で根を切られた街路樹は倒れやすくなりますか?
A. 支える根を失うほど、倒れやすくなるおそれがあります。国総研の街路樹の倒伏対策の手引き(第2版)は、幹に近い重要な根域(半径=胸高直径×18)の根の40%以上が傷むと、樹木の支持に重大な弱点が生じる場合があるとしています。根の切り口から腐朽が入ることも多いため、東京都のマニュアルは、幹芯1m以内を避けた工事が難しい場合は更新も含めて検討することが望ましいとしています。
Q5. 埋め戻しの後の水極めとは何ですか?
A. 水を注ぎながら木の棒などでつついて土を流し込み、根の周りにすき間ができないようにする方法です。国土交通省の公園緑地工事共通仕様書にも、有害な雑物を含まない水を使い、根の回りに間隙が生じないよう土を流入させると書かれています。東京都のマニュアルは、街路樹の周りの工事が完了した後に、十分に水極めを行うことを求めています。
出典・参考情報
東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」第Ⅵ章 街路樹の根の保護に関するガイドライン(p.96〜102)、第Ⅲ章 1(2)街路樹診断対象について(p.12)、外観診断 露出根被害(p.40)。本文のページ番号は、断りのない限り同マニュアルのものです。
国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)1-14、1-23、1-24、1-93、1-94。
国土交通省 都市局 公園緑地・景観課「公園緑地工事共通仕様書」(令和8年6月)2-3-1、2-4-1。
NYC Parks「Tree Protection Best Practices and Protocol」(2026年10月9日 閲覧)。
管尚子「街路樹の根上がり対策事例(歩行者にも樹木にもやさしく)」日本緑化工学会誌 35(2) p.267〜270(2009)。
記事中のイラストは、株式会社トシ・ランドスケープの説明用イラストです。工事の進め方や根の納め方は一つの例で、実際の工事は道路管理者の指示と現地の状況によります。
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株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
































