移植適性度診断の判断又は処置に必要な樹木の
抽出を行うための樹木点検を行いました。
この記事では、東京都内で行った樹木点検の記録とあわせて、樹木点検で見る項目、計測と記録を2人で分ける理由、移植の前に確かめておくことを、東京都と国の資料をもとに説明します。
移植適性度診断の前に行う「樹木点検」とは
東京都建設局の「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」は、樹木点検を、「外観診断の必要な樹木」と「維持管理の処置が必要な樹木」を拾い出すための点検と位置づけています。それまで「初期診断」と呼ばれていたものを、この改定で「樹木点検」に改めたとも書かれています。対象は、基本的には高さ3m以上の高木すべてで、目的によっては対象を絞って行うこともできるとされています(p.5)。
点検の結果は、「異常なし・該当なし」か「異常あり・該当あり」の2段階で付けます。見る視点は「維持管理上の問題」と「樹木の健全状態」の2つで、項目は次のとおりです(p.6〜10)。
| 視点 | 点検する項目 | 「該当あり」のとき |
|---|---|---|
| 維持管理上の問題(6項目) | 建築限界越え(車道側・歩道側)、道路施設との競合、支柱直し・撤去、太枝枯れ・折れ、根上がり・舗装クラック | 剪定や支柱の補修など、維持管理の処置を速やかに行う |
| 樹木の健全状態(9項目) | 葉の状態、先端枝の枯れ、枯死・著しい衰弱、キノコの有無、開口空洞、樹皮枯死・欠損・腐朽、病虫害、揺れ、不自然な傾斜 | 1つでも「異常あり」があれば、外観診断を速やかに行う |
出典: 東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」p.5〜10「第Ⅱ章 樹木点検について」
項目ごとの確かめ方は「樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編)」でくわしく書いています。
計測と記録を分けて、2人1組で進める
髙尾樹木医と、樹木医補や樹木医を目指すメンバーで行いました。
計測を行う人と野帳の書き込む人がタッグになり診断を進めます。
マニュアルも、点検の正確さを高め、測定と記録を分担して効率よく進めるために、最低でも2人で行うことが望ましいとしています(p.6)。幹周りは地上1.2mの位置で測り、株立ちの木はすべての幹を測って合計し、0.7を掛けた値を書きます。幹を押してぐらつきを見る「揺れ」の項目は、押している本人には分かりにくいので、複数で行うのが望ましいとも書かれています(p.6・p.10)。
写真は、点検したすべての木について、樹木番号、全景、樹冠、幹を中心とした主要部、根元の5点を撮り、「異常あり」の項目があれば、その箇所も撮ることとされています。撮影はすべて縦長です(p.10)。
- 樹木医診断 樹木診断 樹木点検
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- 樹木医診断 樹木診断 樹木点検
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樹木医が伝える見るポイントと、樹木医補
樹木医が普段診ているポイント、診断時の注意点なども
教え伝えながらの診断となりました。
樹木医補は、一般財団法人日本緑化センターに登録された大学などで、樹木や病虫害などの所定の科目を修めて卒業した人が、申請して認定を受ける資格です。樹木医の選抜試験に応募するには樹木に関する業務の経歴が5年以上必要ですが、樹木医補は認定後1年以上で応募できます(日本緑化センター)。樹木医の資格のしくみは「樹木医とは」で説明しています。
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移植の前に確かめること──移植適性度診断
工事などで木を別の場所へ移すときは、その木が移植に耐えられるかを先に見極めます。国土技術政策総合研究所の「街路樹再生の手引き」は、樹種の特性(根の形や発根のしやすさなど)や樹齢によって移植の難しさが異なるため、十分に検討したうえで移植の適否を決める必要があるとしています(1-114)。
当社の移植適性度診断では、木の健全度(外観・樹勢・病虫害・腐朽)、根鉢が取れるかなど根のまわりの環境、工事の日程と移植の適期が合うか、根回しや養生の状況、移植先の土や周りの環境を確かめます。

都市部の街路樹で移植を難しくする条件(電線への接触、ガードレール・支柱の飲み込み、根鉢が取れない狭い植桝)
同じ手引きによると、根の一部をあらかじめ切って根元の近くに細い根を出させる「根回し」は、移植の半年から1年ほど前に行うと効果的です。掘り取りのときに枝を大きく切り詰めて樹冠を小さくすると、活着に影響するとも書かれています(1-114)。点検で木の状態を早めに拾っておくことが、こうした準備の時間をつくることにつながります。

図: 移植の準備は、半年から1年前の根回しから始まります(出典: 国土技術政策総合研究所「街路樹再生の手引き」1-114、表-3.26・表-3.27 をもとに当社作成。診断の箱の後半は当社の考え)
樹木点検の診断を経験する事で、
普段の植栽管理での視点、課題、問題の深掘りに繋がります。
よくある質問
Q1. 樹木点検と外観診断は、どう違いますか。
東京都のマニュアルでは、樹木点検は、外観診断が必要な木と維持管理の処置が必要な木を拾い出すための点検で、結果は「異常なし」か「異常あり」の2段階で付けます。樹木の健全状態の9項目に1つでも「異常あり」があれば、外観診断を速やかに行います。
Q2. 樹木点検は何人で行いますか。
マニュアルは、点検の正確さを高め、測定と記録を分担するために、最低でも2人で行うことが望ましいとしています。この点検でも、計測する人と野帳に書き込む人が組になって進めました。
Q3. 移植の準備は、いつから始めますか。
国の手引きでは、根回しが必要な場合は、移植の半年から1年ほど前に行うと効果的とされています。根回しの後も、養生に半年から1年ほどかかります。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
樹木医 髙尾聡司
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出典・参考情報
・東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」 p.5〜10(第Ⅱ章 樹木点検について)
・国土交通省 国土技術政策総合研究所「街路樹再生の手引き」(国総研資料 第885号、平成28年3月)1-114「植栽位置の変更」
・一般財団法人日本緑化センター「樹木医補資格認定制度」、「樹木医制度」





























