今回は都内の学校施設からご依頼をいただき、サクラの樹木診断を行いました。その診断内容と、樹木医がどのようにして木々の健康を守っているのかを分かりやすくお伝えします。
樹木診断の2つのアプローチ
樹木医が行う診断には、主に以下の2つの方法があります。
1. 外観診断
外観診断は、樹木の見た目から健康状態を評価する方法です。葉の色や数、幹の傷、害虫被害の有無などを観察し、木が抱える問題を特定します。
例えば、幹の空洞、キノコの発生、過剰な剪定を受けた枝、根が切られた樹木、葉が害虫に食べられた樹木、原因不明で弱っている木などは、外観診断によって異常箇所と原因を探ります。
2. 機器診断
外観診断で問題が疑われた場合、次に「機器診断」を行います。これは、専用の診断機器を使用して、樹木の内部状態を詳しく調べる方法です。
弊社では、ドイツ IML 社製の「レジ(Resi PD)」(PD500)という高精度の診断機器を使用しています。この機器は、幹に細いキリを挿入し、その抵抗値を測定することで内部の状態を可視化します。健康な木では抵抗値が高く、腐朽(内部が腐っている場合)している木では低い値になります。この結果はリアルタイムで液晶画面に表示されるため、木の状態を即座に確認できます。
診断機器 レジ YouTubeの紹介動画です
Tree inspections with IML-RESI PowerDrill®
- 木槌で幹を叩いて音を聞く
- 根元をレジで測る
- 幹をレジで測る
- 診断の所見を共有する
診断のプロセスと若手スタッフの学び
今回の診断には、弊社の中村樹木医と髙尾樹木医が、若手スタッフをアシスタントとして同行しました。若手スタッフは診断機器の操作や、樹木医が観察しているポイントを熱心に学び、実際の診断現場で経験を積む貴重な機会となりました。
- 根元の近くでレジを構える
街中の樹木が抱える課題:踏圧被害
都市部では、樹木が車両や人の往来によって周囲の土壌が踏み固められる「踏圧被害」にさらされることがあります。このような環境では根が締め付けられ、木の健康を損ねる原因となります。樹木診断では、こうした環境的要因も考慮し、木が置かれた状況を総合的に判断します。
診断から得られる成果
樹木診断の結果は、以下のような具体的な判断に役立ちます:
- 危険がある樹木:すぐに対応が必要です。
- 注意が必要な樹木:定期的な観察と適切な管理が求められます。
- 健全な樹木:安心してそのまま維持できます。
これらの診断結果を基に、今後の管理方針を策定し、木々の安全性や美しさを保ちます。
継続的な取り組み:街路樹診断協会への加入
弊社では、2023年から「街路樹診断協会」に加入し、診断に関する最新の知見を積極的に取り入れています。
合わせて今年に弊社樹木医3名が「街路樹診断士」に合格いたしました。
これにより、さらに高い精度で診断を行い、安全で持続可能な環境づくりに寄与していきたいと考えています。
街路樹診断士とは
街路樹診断士は、街路樹診断協会会員の樹木医で、一定レベル以上の診断技術に達していると認定され、さらに登録した者に与えられる名称です。
樹木医は、樹木の診断及び治療・後継樹の保護育成並びに樹木保護に関する知識の普及啓発と指導を行なう専門家です。
その中で診断士は、樹木医が持つ専門性のうち都市樹木を対象とした診断の知識と経験を有する者です。
診断士に求められる知識は、樹木に関わるもの以外に都市樹木に関わる法規や役割など多岐にわたります。
診断士の役割は、協会が定める「街路樹診断マニュアル」に基づき、専門的な観点から総合的に樹木診断を行なうことにあります。
樹木の健康を守ることは、私たちの暮らしの安全や、美しい景観を保つ上で欠かせない重要な取り組みです。専門知識を活かした診断と適切な管理で、地域の緑を未来へ繋げていきます。樹木に関するご相談をお待ちしています。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
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※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。



























