昨年2020年から東京都内で、ナラ枯れ被害のご相談を多くいただいております。
今年に入っても夏になり、葉が赤くなってきたことで
被害に気付かれたお客様からご連絡が相次いでおります。
その中で、ナラ枯れ被害にあいながらも部分枯れで収まっている樹木の
剪定と薬剤散布処置の対応に伺った案件のご紹介をいたします。

樹冠の上部の葉だけが茶色く枯れたコナラ
コナラという樹木になりますが、このように樹冠の上部のみ枯れが起きています。
被害にあったナラ類の樹木の幹の根元部分から目の高さあたりまでをよく見てみますと、
画像のように粉をふいたかのような無数のフラス(木くず)が出ていることに気づきます。

コナラ ナラ枯れ カシノナガキクイムシ フラス 木くず

ナラ枯れ被害においては、上記の被害木のコナラのように、
穿孔を受けても樹木の防御反応によって全てが枯れてしまうわけではありません。

一般的な都内の植栽樹木ですと下記の樹種が対象となり被害にあいます。
■コナラ属
コナラ、クヌギ、イチイガシ、アカガシ、アラカシ、ウラジロガシ、シラカシ、ウバメガシ
■シイ属
スダジイ、ツブラジイ
■マテバシイ属
マテバシイ
■クリ属
クリ
都内の植栽によくある樹種を、属と、落葉樹か常緑樹かで分けました。
| 属(ブナ科) | 落葉樹 | 常緑樹 |
|---|---|---|
| コナラ属 | コナラ、クヌギ | イチイガシ、アカガシ、アラカシ、ウラジロガシ、シラカシ、ウバメガシ |
| シイ属 | なし | スダジイ、ツブラジイ |
| マテバシイ属 | なし | マテバシイ |
| クリ属 | クリ | なし |
本州ではミズナラとコナラに被害が多い。ブナ属のブナ・イヌブナは、カシノナガキクイムシが穿入しても枯死は確認されていない。出典: 一般社団法人日本森林技術協会「ナラ枯れ被害対策マニュアル」(平成24年3月版、林野庁補助事業)p.2「被害を受ける樹種」
被害のメカニズムとしては、
①6~7月 前年の枯れた樹木などから新成虫が脱出して活動し始めます。
②6~10月 少数の雄が健全な対象木に穿孔し、他のカシノナガキクイムシの仲間を集めます。(集合フェロモン)
③集合したカシノナガキクイムシによって集中的に穿孔被害にあいます。※上記のフラスがたくさん出る状態です。
④7~9月 被害にあった樹木は、カシノナガキクイムシの穿孔被害と、保菌するナラ菌の繁殖によって急激に枯死します。
このサイクルを毎年繰り返すことになってしまうため、
カシノナガキクイムシが活動を開始する前やその時に薬剤散布を行ったり、
枯れた樹木を伐採し処分し、来年そこから成虫が脱出されないようにして、
流れを断つ必要があります。

今回はそのような中ですでに被害にあってしまった樹木のため、
枯れている部分をロープワーク・ツリークライミングで剪定除去を行い、
穿孔を受けた幹には、スミパイン乳剤(MEP剤)を50倍に希釈し散布しました。スミパイン乳剤は、作物名「樹木類」のカシノナガキクイムシに、50倍・樹幹散布(樹皮の表面積1㎡あたり500mL、成虫の発生初期又は直前、6回以内)で農薬登録があります(サンケイ化学の適用表)。

コナラの樹上で、枯れた部分の剪定除去を行う作業員

剪定除去した枝葉を、柵の内側に集めたところ

剪定して下ろした枝葉と、園路に置いたカラーコーン

背負式の噴霧器で、根元にスミパイン乳剤(50倍に希釈)を散布する作業員

幹の下部への薬剤散布。散布した部分の樹皮が白く見える

少し離れた位置から見た、幹への薬剤散布

幹の上の方へノズルを向けて、薬剤を散布する作業員

かがんで、根元近くの幹に薬剤を散布する作業員

薬剤が付着して白く見える幹の樹皮
現在弊社トシ・ランドスケープでは、
都市部の植栽樹木へのナラ枯れ被害に対する予防薬剤は下記を推奨しています。
微量注入用 ウッドキングDASH (農林水産省第23301号)
樹幹注入方式で、殺菌剤を注入しナラ菌の繁殖を防ぎます。
微量注入用ウッドキングDASHには、従来のボトル型殺菌剤と比べて、
専用の微量注入器で注入するため、注入不良が起きにくく、注入容器の回収も要らないので、作業の手間を減らせます。
メーカーの資料では、カシノナガキクイムシが加害する前に注入することで、2年間の残効を確認したとされています。登録上の使用時期は、なら類では着葉期(紅葉の始まりまで)です。
この記事で使った薬剤と、推奨している薬剤の登録の内容を表にまとめました。
| 薬剤 | 対象 | 使い方 | 使う時期 |
|---|---|---|---|
| スミパイン乳剤(MEP、農林水産省登録 第15043号) | 樹木類のカシノナガキクイムシ | 50倍に薄めて幹に散布(樹皮の表面積1㎡あたり500mL、6回以内) | 成虫の発生初期又は直前 |
| 微量注入用ウッドキングDASH(農林水産省登録 第23301号) | なら類の萎凋病(ナラ枯れ) | 専用の微量注入器で幹に注入 | 着葉期、但し紅葉始期まで |
出典: 農林水産省「農薬登録情報提供システム」サンケイスミパイン乳剤(登録番号 15043)・微量注入用ウッドキングDASH(登録番号 23301)の適用表(2026年10月11日に確認)、サンケイ化学「微量注入用ウッドキングDASH」製品ページ。使うときは、最新のラベルと登録の内容を確かめてください。
カシノナガキクイムシに登録のある薬剤の例は「ナラ枯れ対策は秋から冬が勝負」の表にまとめています。
他にも、
川崎市の公園のナラ枯れ対策の一例では、
かしながホイホイ・フリー アース製薬
という資材が施工されていました。
「ごきぶりホイホイ」の粘着技術を応用し、
カシナガの飛来範囲の調査と脱出時の捕獲を
目的としてカシノナガキクイムシ調査シートです。
カシナガを大量に捕獲することにより、
ナラ枯れ被害の拡散を防止します。

川崎市の公園で見た、かしながホイホイ・フリーの施工例。複数の幹に粘着シートが巻かれている

1本の幹の地際から上まで巻かれた粘着シート
詳しいナラ枯れのメカニズムや防除方法は
下記のリンクも大変わかりやすいため、ご参照ください。
ナラ枯れ – 国立研究開発法人 森林研究・整備機構
ナラ枯れ被害と防除 – 愛知県
弊社ではナラ枯れに関する予防から、伐倒伐採処置まで一貫して対応可能です。
ご相談をお待ちしています。
株式会社トシ・ランドスケープ
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