台東区の浅草橋駅からほど近い商店街の中に鎮座しています。
大きな銀杏(イチョウ)などの樹木に囲まれて、
駅や大通りに近い環境とは思えないくらい
静かで落ち着いた素敵な雰囲気です。

銀杏岡八幡神社 台東区浅草橋
この記事は、台東区浅草橋の銀杏岡八幡神社で行った樹木医診断の記録です。神社の由緒と社名のイチョウ、境内の樹木で気をつける「踏圧」、診断の判定とその後の管理について、資料をもとに説明します。
銀杏岡八幡神社と、社名のイチョウ
東京都神社庁の紹介によると、御祭神は誉田別皇命(ほんだわけのみこと)と武内宿祢命(たけのうちすくねのみこと)です。由緒として、源義家公が奥州へ向かう途中、この地で休んでいると川上から銀杏の枝が流れてきたので、その枝を丘の上に挿して「朝敵退治のあかつきには枝葉栄うべし」と祈ったと伝えられています。奥州を平定して再びこの地に戻ったとき、銀杏が大きく茂っていたので、神恩に感謝して太刀を捧げ、八幡宮を勧請したのが康平5年(1062)で、当社の創祀と伝えられています。
樹木医診断の様子
今回敷地内の樹木の樹木医診断のご相談を頂き、
お伺いさせていただきました。
樹木診断中もご近所の方々や観光の方など、
たくさんの方がひっきりなしに訪れていて、
診断の事など色々とお声がけ頂きました。
- レジ 樹木医診断 ロープワーク ツリークライミング
- レジ 樹木医 樹木診断
- 機器診断 レジ
- ロープワーク ツリークライミング
- ロープワーク
- 根株診断 根元の腐れ
- レジ 整備
写真には、樹木の内部の腐れを調べる機器「レジ(Resi PD)」による機器診断、ロープで樹上に上がっての確認、根元の腐れを調べる根株診断の様子が写っています。東京都建設局の「街路樹診断等マニュアル」は、外観診断について、活力が健全に見える樹木でも、幹の内部や根株に危険な空洞や腐朽を抱えている場合があるので、幹の形などを注意深く観察し、打診などで機器診断が必要な樹木を見きわめるとしています。
このとき診断のご相談をいただいたキリ(桐)は、診断の結果、根元の腐れが確認されたため、その後、伐採の判断となりました。経緯は「銀杏岡八幡神社様 樹木伐採 東京都台東区」で紹介しています。
境内の木で気をつけたい「踏圧」
神社内にはたくさんの方々がいらっしゃいますので
参道など人々が歩く事で土が踏み固められ
根が締め付けられる事で衰弱してしまう踏圧被害なども
よくみかけますので注意が必要なポイントです。
東京都のマニュアルも、外観診断で見る事項のひとつに「植栽地の土壌の踏圧、締め固め」を挙げています。国土技術政策総合研究所の「景観重要樹木の保全対策の手引き」は、公園などで踏圧によって表土が堅くなると、水がしみ込みにくくなって土が乾いたり、通気が悪くなって根の呼吸が妨げられたりして、樹勢の衰えにつながると説明しています。

踏み固められた根元(イラスト)。人が歩く所は表層の土が固まり、根はその下へ伸びにくくなる
踏圧を防ぐ方法として、東京都のマニュアルは、根元に人が入らないようにする物理的な対策を挙げ、それぞれの長所と短所を次のように整理しています。
| 対策 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| 樹木保護盤 | 植桝の中を歩く場所として使える、管理が容易 | 幹が太るにつれ保護盤が根元に食い込むことがある、通る人が根元を傷めるおそれ、転倒防止への配慮が要る |
| 透水性合材 | 植桝の中を歩く場所として使える、管理が容易 | 幹が太るにつれ舗装が根元に食い込むことがある、通る人が根元を傷めるおそれ、転倒防止への配慮が要る |
| 植樹保護柵 | 通る人が根元を傷めるおそれを減らせる、管理が容易 | 転倒防止への配慮が要る |
| 地被類・低木の植栽 | 通る人が根元を傷めるおそれを減らせる | 剪定などの管理が要る、踏圧の影響を受けやすい |
出典: 東京都建設局「街路樹診断等マニュアル」(令和3年度)p.82 表Ⅳ-1・6
同じく「景観重要樹木の保全対策の手引き」は、根元にリュウノヒゲなどの地被植物を密に植えて、根元の踏圧を防ぎ土の環境をよくする方法も挙げています。手引きは、樹木の周りの利用状況を確かめたうえで、地域の活動に支障のない範囲で行うとしています。
診断の判定と、その後の管理
樹木医が診断を行う事で
・危険がある樹木
・注意が必要で経過観察が必要な樹木
・健全な樹木
を判定し今後の管理方針に活かしていきます。
東京都のマニュアルでは、診断の結果を4つの区分で判定し、区分ごとに次の診断の内容と時期を決めます。
| 総合判定 | 次回の診断 | 時期 |
|---|---|---|
| A 健全か健全に近い | 外観診断 | 5〜10年後 |
| B1 注意すべき被害が見られる | 外観診断(前回の被害の変化に注意する) | 5〜10年後 |
| B2 著しい被害が見られる | 前回の被害に焦点を当てたフォローアップ診断、必要に応じて機器診断 | 被害の状況に応じて1〜3年後 |
| C 不健全 | 更新(撤去・植替え)を行う | なし |
出典: 東京都建設局「街路樹診断等マニュアル」(令和3年度)p.67 表Ⅲ-4・3。街路樹のための基準で、神社の樹木にそのまま当てはめるものではない
地域の皆様にも愛される大切な樹木ですので、
最善の管理提案をさせて頂きます。
この神社では、その後、イチョウなどの御神木の高木剪定もご依頼いただきました(「銀杏岡八幡神社様 御神木剪定 東京都台東区浅草橋」)。
まとめ
銀杏岡八幡神社は、源義家公と銀杏の枝の言い伝えが伝わる神社です。参拝の方が多い境内では、人の歩く所の土が踏み固められる踏圧に気をつけながら、外観診断と機器診断で樹木の状態を確かめ、判定に応じて管理の方針を決めていきます。
よくある質問
Q1. 銀杏岡八幡神社には、どんな言い伝えがありますか。
東京都神社庁の紹介では、源義家公が川上から流れてきた銀杏の枝を丘の上に挿して祈り、奥州平定後に戻ると銀杏が大きく茂っていたので八幡宮を勧請した、と伝えられています。
Q2. 踏圧とは何ですか。
参道など人が歩く所で土が踏み固められ、根が締め付けられて樹木が衰弱してしまう被害です。東京都の街路樹診断等マニュアルも、外観診断で見る事項に「植栽地の土壌の踏圧、締め固め」を挙げています。
Q3. 樹木医の診断では、何を判定しますか。
危険がある樹木、注意が必要で経過観察が必要な樹木、健全な樹木を判定し、今後の管理方針に活かします。東京都のマニュアルでは、A・B1・B2・C の4区分で判定し、区分ごとに次の診断の時期を決めています。
浅草橋の近くにいらっしゃる機会があれば、
是非足を運んでみてください。
ご依頼頂きありがとうございました。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
参考リンク
東京都神社庁 公式ウェブサイト
関連記事
・上野寛永寺・輪王寺 樹木医によるクスノキ剪定(このテーマのまとめ)
・銀杏岡八幡神社様 樹木伐採 東京都台東区
・銀杏岡八幡神社様 御神木剪定 東京都台東区浅草橋
出典・参考情報
・東京都神社庁「銀杏岡八幡神社」(御祭神・御由緒。2026年10月12日に確認)
・東京都建設局「街路樹診断等マニュアル」(令和3年度)p.15(機器診断が必要な樹木の判断)、p.17(外観診断の視点)、p.67 表Ⅲ-4・3(次回の診断内容及び診断時期)、p.82 表Ⅳ-1・6(踏圧防止対策の長所と短所)
・国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料第565号、2010年)p.128 表3-19(土壌硬度)、p.215 表5-11(根元空間の活用)
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。





























