クスベニヒラタカスミカメ クスノキの害虫 東京都杉並区・保護樹木剪定

クスベニヒラタカスミカメ 成虫 カメムシ クスノキの害虫 杉並区

杉並区の保護樹木 クスノキの剪定

クスノキ 樹冠 樹上作業 保護樹木 剪定 杉並区

2015年に大阪で国内初発見され、
近年、関西方面から被害が拡大している中国原産のカメムシ
クスベニヒラタカスミカメ の吸汁被害が出ていました。

先に答え

  • クスベニヒラタカスミカメは、クスノキの葉を吸汁する中国原産のカスミカメムシ科の昆虫です。2015年に大阪府で被害が確認されてから、各地に分布が広がっています。
  • 吸汁された葉には褐色の斑紋が出て、常緑のクスノキに季節外れの落葉が起こります。卵は主に葉柄に産み付けられます。
  • 2022年までの報告では、この虫の被害で枯れたクスノキは知られていません。ただし、枯死が懸念されるほど激しく落葉した木の報告もあります。
  • 杉並区の保護樹木のクスノキでは、剪定の最中も葉がハラハラと落ち、幼虫と成虫の両方を確認しました。
  • 見分けの手がかりは、葉に出る褐色の斑紋と、夏から秋の季節外れの落葉です。成虫は触角と前胸が赤く、体長は1cmに届きません。
  • 薬剤散布を含めて、確立された防除法はまだありません。萌芽枝の剪定が被害を減らすのではないかという考えが研究者から示されていますが、試験で確かめられた方法ではありません。

よくある質問

Q1. クスベニヒラタカスミカメとは何ですか。

学名Mansoniella cinnamomiという、中国原産のカスミカメムシ科の昆虫です。クスノキの葉を吸汁する害虫で、2015年に大阪府で被害が確認されました。その後、本州・四国・九州に分布が急速に広がり、東京都区部でも確認されています。

Q2. クスノキにどんな被害が出ますか。

吸汁された葉に褐色の斑紋が現れ、常緑樹のクスノキに季節外れの落葉が起こります。卵は主に葉柄の下面側に産み付けられます。杉並区の保護樹木のクスノキでも、剪定している最中に葉がハラハラと落ちていきました。

Q3. 被害を受けたクスノキは枯れますか。

2022年までの報告では、この虫の被害で枯れたクスノキは知られていません。ただし鹿児島県の2021年の調査では、枯死が懸念されるほど激しく落葉した木があり、クスノキ炭疽病との二重被害の可能性にも留意が必要と報告されています。

Q4. いつ頃に発生しますか。

近畿地方で観察した岡本(2018)では、5月上旬に幼虫が見られ始め、秋遅くまで成虫や幼虫が見られました。卵で冬を越すと考えられ、1年に4〜5世代を繰り返しうると推定されています。2020年10月に公開したこの記事の現場でも、幼虫と成虫を確認しました。

Q5. 薬剤で防除できますか。

適用のある薬剤の確認や、天敵・益虫への影響を考える必要があります。クスノキは大木が多く、散布中の飛散(ドリフト)も問題です。岡本(2018)も、生活域に近いクスノキで大規模な薬剤散布は難しいとしています。使う場合は、農薬の登録内容と地域の決まりに従います。

Q6. クスベニヒラタカスミカメはどうやって見分けますか。

まず葉を見ます。吸汁された葉には褐色の斑紋が出ます。成虫は触角と前胸が赤く、小楯板が黄色いのが特徴で、体長は資料によって3〜7mmほどです。幼虫は葉に似た緑色で、成虫も葉裏の斑紋にまぎれるため、虫の姿より葉の斑紋のほうが先に目に入ります。

Q7. 夏や秋にクスノキの葉が落ちるのは、この虫のせいですか。

クスノキは本来、4月の芽吹きと前後して古い葉の大部分を落とす木です。夏から秋に、褐色の斑紋とともに落葉が続くときは、この虫の可能性があります。ただし鹿児島県の調査では、激しく落葉した木にクスノキ炭疽病の症状もみられており、原因は一つとは限りません。

Q8. 剪定で被害を減らせますか。

越冬卵の産卵場所になりそうな萌芽枝を剪定できれば、被害の軽減策として有効ではないかという考えが、研究者から示されています。ただし、試験で確かめられた方法ではありません。剪定は木の負担にもなるため、切る量と時期は木の状態を見て決めることになります。

Q9. 被害のある木を剪定するとき、気をつけることはありますか。

香川県の報告では、作業員の衣類や運搬車に付着して、この虫が移動することも予想されています。この記事の現場でも、剪定や枝葉ゴミの片付けの最中に、虫が体中にまとわりついてきました。剪定枝や落ち葉を運び出すときは、虫を一緒に運ばない配慮が要ります。

ここ最近では東京など関東圏でも被害が拡大しているようです。

クスベニヒラタカスミカメの
体長は1cmにも満たない
とても小さな虫です。

葉を吸汁するとともに、葉柄内に卵を産み付け、
それらが原因で早期に落葉するのが特徴です。
落葉の具合により樹勢低下(木の元気さ)が懸念されます。

剪定している最中も葉がハラハラと落葉していきます。

幼虫、成虫とも確認できました。
体長1cmにも満たない小さい虫ですが、
剪定、枝葉ゴミの片付け中も体中に
まとわりついてきました。

クスノキが異常な落葉をしている場合には
クスベニヒラタカスミカメの可能性を
疑っても良いかもしれません。

まだ国内で発見されてから間もない為、
適用薬剤の問題や、天敵や益虫への影響も考えなくてはなりません。
またクスノキは大木、巨木なものが多い為、
散布中のドリフト(飛散)など、薬剤散布が困難な場面も今後想定されます。

現在日本国内では下記の様な害虫被害が増えてきています。

「マツ枯れ」 マツノザイセンチュウ
「ナラ枯れ」 カシノナガキクイムシ
「サクラ類の枯れ」 クビアカツヤカミキリ
「クスノキの早期落葉」 クスベニヒラタカスミカメ

まずは造園、林業の業界の方々だけでなく、
一般の方々にも広く認知して頂けるように
情報を発信していきたいと思います。

クスベニヒラタカスミカメの見分け方──まず葉の斑紋を見ます

この虫に気づくきっかけは、虫の姿より先に、葉であることがほとんどです。吸汁されたクスノキの葉には、褐色の斑紋(吸汁痕)が出ます。香川県の分布調査でも、まず目で斑紋を確かめてから、虫を網で採集する手順がとられています(玉川 2021)。

虫そのものは見つけにくい相手です。成虫は葉の裏で茶褐色の斑紋にまぎれて目立たず、幼虫はクスノキの葉によく似た緑色をしています(玉川 2021)。成虫は触角と前胸が赤く、小楯板(背中の中ほどにある三角形の部分)が黄色で、京都府の外来種データブックは、この色と斑紋で他の種と簡単に区別できるとしています。

大きさは資料によって幅があります。江戸川区は体長3〜4mm、鹿児島県の報告は写真の成虫を5mm程度、香川県の報告は成虫を6〜7mmとしています。いずれも1cmには届きません。

落葉の時期で見分ける

クスノキは常緑樹ですが、同じ葉がずっと付いているわけではありません。岡本(2018)によると、4月の上・中旬に新しい葉を一斉に開き、それと前後して、前年の春に開いた葉の大部分を落とします。春の落葉は、クスノキにとって普通のことです。

気にしたいのは、夏から秋の落葉です。江戸川区は、2023年の夏に季節外れの異常な落葉が区内各所で報告されたと案内しています。葉に褐色の斑紋があり、夏から秋にかけて落葉が続いているときは、この虫を疑う手がかりになります。

原因が一つとは限りません

鹿児島県の2021年の調査では、激しく落葉したクスノキに、この虫の斑紋のほか、クスノキ炭疽病の症状や、炭疽病の媒介者であるクスクダアザミウマもみられました。隣り合うクスノキでも落葉の程度はそろわず、虫が多く捕れた木で落葉が少ないこともあったと報告されています(川口ほか 2022)。落葉の量だけで原因を決めず、葉と枝を近くで確かめることが大切だと考えています。

発生の時期──一年に何回も世代を重ねます

大阪府岸和田市のクスノキで、2017年4月から翌年1月まで観察した岡本(2018)の結果をまとめると、次のような流れです。

  • 5月上旬: その年最初の被害葉と、若い幼虫が見つかる(卵で冬を越すと考えられています)
  • 5月下旬: 第1世代の成虫が現れる
  • 6月中旬: 新しい葉の葉柄に、産卵の跡が見られるようになる
  • 7月上旬: 第2世代の成虫が現れる。第3世代は8月中旬、第4世代は9月下旬と推定
  • 10月中旬: さまざまな大きさの幼虫と成虫が見られる。11月以降は成虫が次第に減る

世代の間隔は約6週間で、1年に4〜5世代を繰り返しうると推定されています。平均的な枝で吸汁の被害が目立ち始めたのは、8月中下旬以降でした。これは近畿地方での観察です。この記事の杉並区の現場(2020年10月公開)でも、幼虫と成虫の両方を確認しています。

対処・防除の考え方

確立された防除法は、まだありません

2021年の香川県の報告でも、薬剤散布を含めて、有効な防除対策はまだ確立されていないとされています(玉川 2021)。岡本(2018)は、クスノキの生育地と人の生活域があまりに密接に重なっているため、薬剤散布などの大規模な駆除作業は難しく、天敵の利用や、被害を軽くするクスノキの管理技術の確立が望まれると述べています。

薬剤を検討する場合は、クスノキとこの虫に適用のある登録農薬かどうかを、農林水産省の農薬登録情報提供システムと最新のラベルで確かめることが前提です。大木では散布中の飛散(ドリフト)が避けにくく、周りの住まいや通行への配慮も欠かせません。

剪定で被害を減らせるか

研究者からは、越冬卵の産卵場所になりそうな萌芽枝(幹や切り口の近くから出る、勢いのよい若い枝)を剪定できれば、被害の軽減策として有効ではないか、という考えが示されています(岡本 2020、玉川 2021 による紹介)。岡本(2018)の11月中旬の調べでも、まだ孵化していない卵は、春に開いた通常の枝の葉より、夏に出た葉や徒長枝、ひこばえの葉柄に多く見られました。

香川大学の構内では、2019年の秋にクスノキを中心に強めの剪定をしたところ、翌年の発生が前の年よりかなり少なく感じられたと報告されています(玉川 2021)。ただ、これは観察した方の実感として書かれたもので、効果を比べた試験ではありません。

作業で虫を運ばないために

香川県の報告では、この虫は車の交通など人の活動で運ばれている可能性が高いとされ、作業員の衣類や運搬車に付着して移動することも予想されています(玉川 2021)。この記事の現場でも、剪定や枝葉ゴミの片付けの最中に、虫が体中にまとわりついてきました。被害のある木を剪定したあとは、剪定枝や落ち葉の運び出しも含めて、虫を一緒に運ばない配慮が要ると考えています。

落葉したクスノキを見守る

江戸川区は、この虫による落葉で樹木が枯れることはなく、異常な落葉も秋には収束すると案内しています。一方で鹿児島県では、枯死が懸念されるほど激しく落葉した木も報告されています(川口ほか 2022)。保護樹木や大きなクスノキで落葉が続くときは、炭疽病などほかの原因や、根の環境、幹の状態もあわせて確かめておきたいところです。

大きなクスノキの幹の内部を機器で診た例は「埼玉県内の伝統校 樹木医によるクスノキ2本の機器診断」、根の環境を整えて樹勢の回復を図った例は「東京実業高等学校様 樹木医によるクスノキの樹勢回復作業」でご覧いただけます。

クスノキの落葉や葉の斑紋で気になることがあれば、お問い合わせのページからのご相談をお待ちしています。

出典・参考情報

いずれも2026年9月27日または10月3日に内容を確認しました。

株式会社トシ・ランドスケープ

樹木医 中村雅俊
樹木医 髙尾聡司

 

「高木・特殊伐採&ケーブリング」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。

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