神奈川県横浜市の港北ニュータウンエリアにある
けやきが丘住宅様で今後の中長期計画での植栽管理に関するマスタープラン
についてお話をさせていただきました。
横浜市の港北ニュータウンにある団地で、これから先の植栽管理の中長期計画(マスタープラン)を、住民の皆さまにご説明した記録です。説明会の進め方と、築40年を迎える団地の緑が抱える課題を、国の調査や指針、横浜市の資料とあわせてまとめました。
港北ニュータウンの緑と、けやきが丘住宅

植栽管理 中長期計画 マスタープラン プレゼンテーション
まもなく築40年となろうとしていますが
大変緑豊かな団地として特徴を出し周辺団地の中でも
最大の保存緑地面積を保っています。
港北ニュータウンの緑には、まちづくりの最初からの考え方があります。横浜市都筑区の「まちづくり方針の実現」によると、残すべき緑を公園にして緑道でつなぐとともに、企業の研究所や集合住宅の土地を公園・緑地のネットワーク沿いに計画的に配置し、その用地の中に保存緑地を抱えてもらうことにしました。こうしてできた延長約15kmの緑の幹線は「グリーンマトリックス」と呼ばれています。
この豊かな緑を森林愛護会の皆さまを始めとして
住民ボランティアの方々の尽力により、
生垣や低木の刈込、草刈、除草、花植えなど
ここまでの保全と、維持費用を抑えながら
進めてきてくださっていました。
築40年、これから先40年の計画をご説明
築40年、そしてこれから先40年の管理のビジョンや計画について
事例や写真の合成イメージなどを使用しました。
新型コロナウィルス感染対策として、大人数での説明会ではなく
お住まいのエリアごとに1時間の交代制にして、
住民の皆様へご説明と質疑応答をさせていただきました。

植栽管理 中長期計画 マスタープラン プレゼンテーション
竣工後の初期の頃からお住まいの方や、最近お引っ越しされてこられた方など
さまざまな価値観や年齢層の方がいらっしゃいましたが、
皆さんこの緑が大好きであることがこの説明会を通じて強く感じました。
建物には、長期修繕計画で先の工事を考える仕組みがあります。国土交通省の「長期修繕計画標準様式」(令和6年6月改定)は、外構の修繕工事の項目に「植樹 整備」を設け、記載例では修繕周期を24〜28年としています。樹木については、国土技術政策総合研究所の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」が、樹体に大きな傷をつける強剪定をしないよう、成長段階に応じた長期間の剪定計画を立てることを求めています。植栽も、建物と同じように、何十年先を見て計画する対象です。
今の当社では、樹木を一本ずつ評価して残す・更新する・植えるを分け、その方針をもとに中長期計画と年間管理へつなげる進め方をご提案しています。この団地での説明は2022年のもので、下の図の進め方をそのまま行ったものではありません。

図: 現状評価から、中長期計画・年間管理へ(当社のサービス「植栽の現状評価と再生方針」の進め方)
ボランティアの高齢化、費用、樹木の老木化と巨大化
ボランティアの方の高齢化や、
費用の増大、樹木の老木化、巨大化などの問題もあります。
住む人の年齢は、全国のマンションの調査でも上がっています。国土交通省の「マンション総合調査」では、世帯主のうち70歳以上の割合が、平成15年度の10.2%から令和5年度の25.9%まで増えました。令和5年度の調査では、昭和59年以前に完成したマンションの世帯主の55.9%が70歳以上です。

図: マンションの世帯主のうち70歳以上の割合(出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」2024年6月)
記事に挙げた問題と、国の資料にあることを並べると、次のとおりです。
| 問題 | 国の資料にあること |
|---|---|
| ボランティアの方の高齢化 | マンションの世帯主のうち70歳以上は令和5年度に25.9%、昭和59年以前に完成したマンションでは55.9%(マンション総合調査) |
| 費用の増大 | 長期修繕計画の標準様式に、外構の「植樹 整備」の項目がある(記載例の修繕周期は24〜28年) |
| 樹木の老木化・巨大化 | 強剪定を繰り返すと樹勢が衰え、腐朽菌の侵入や根の衰えの要因になる、成長段階に応じた長期間の剪定計画を立てる(国総研の手引き) |
出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」(2024年6月)、国土交通省「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(令和6年6月改定)、国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(2019年)p.1-79・1-80

樹木医 外観診断
しかし、竣工当初よりお住まいの方から、
年を取ってきて急激な周辺環境の変化に対応することが難しく辛いとのご相談もいただき、
改めてこの緑がお住まいの方の心の拠り所であることを忘れずに、
住民の方に寄り添ったご提案とご説明を今後も丁寧に行っていきたいと思います。
よろしければ以前の中長期コンサルティングの記事もご参照ください。
植栽改善 中長期コンサルティング

引き続きよろしくお願いいたします。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
樹木医 髙尾聡司
まとめ
横浜市の港北ニュータウンにあるけやきが丘住宅様で、これから先40年の植栽管理のマスタープランをご説明しました。周辺の団地の中でも最大の保存緑地面積を保つ緑は、森林愛護会をはじめ住民ボランティアの方々が守ってこられたものです。新型コロナウイルスの感染対策として、エリアごとに1時間の交代制で説明と質疑応答を行いました。ボランティアの高齢化、費用の増大、樹木の老木化・巨大化という課題に向き合いながら、この緑がお住まいの方の心の拠り所であることを忘れずに、ご提案とご説明を続けていきます。
よくある質問
Q1. 植栽管理のマスタープランとは、何ですか。
この記事では、団地の緑をこれから先の数十年どう管理していくかの方針と計画のことです。けやきが丘住宅様では、築40年とこれから先40年の管理の方針や計画を、事例や写真の合成イメージを使ってご説明しました。
Q2. マンションの長期修繕計画に、植栽は入っていますか。
国土交通省の「長期修繕計画標準様式」(令和6年6月改定)には、外構の修繕工事の項目に「植樹 整備」があり、記載例では修繕周期を24〜28年としています。
Q3. マンションの住民の高齢化は、どのくらい進んでいますか。
国土交通省のマンション総合調査では、世帯主のうち70歳以上の割合が平成15年度の10.2%から令和5年度の25.9%に増えています。昭和59年以前に完成したマンションでは55.9%です。
出典・参考情報
・横浜市都筑区「まちづくり方針の実現4-2」
・国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」(2024年6月)
・国土交通省「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(平成20年6月、令和6年6月改定)様式第3-2号、記載例
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料第1059号、2019年)p.1-79・p.1-80
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