マンションの植栽コンサルティングは、ご相談から現地の調査、理事会との打合せ、住民の方への説明、計画と仕様書づくり、その後の毎年の見直しまで、8つの段階で進みます。当社が神奈川県と東京都の3つの管理組合とご一緒している業務をもとに、流れの型と、管理組合が決めることを樹木医の立場から紹介します。
剪定や伐採なら、終わったあとに木の姿が変わるので、何をしてもらったかが目に見えます。植栽コンサルティングは違います。成果は書類と、理事会や総会での決めごとです。だからこそ、頼んだあとに何が起きるのかが見えにくい。「何回くらい集まるのか」「住民への説明は誰がするのか」「今の業者さんとの関係はどうなるのか」。ここが分からないまま、依頼をためらっている管理組合の方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、当社が実際に進めている3つの業務の資料と打合せの記録を見直し、共通する流れを型としてまとめました。3つとも進行中の業務なので、物件の名前や金額、決まった中身は書いていません。書いているのは、どんな順番で、誰が何を決めてきたか、です。
あわせて、当社のコンサルティングならではの点も書きました。日々の植栽管理の中で気づいたことを提案にできること、そして樹木医が自分で診断し、その結果をコンサルティングまでつなげられることです。
植栽コンサルティングで、当社が担うことと、管理組合が決めること
最初に、役割の線を引いておきます。
当社が担うのは、判断の材料をそろえることと、決まったことを計画や仕様書の形にすることです。樹木を1本ずつ見て、これまでの作業の記録を読み、案を複数つくって、費用や見た目の違いを比べられるようにする。決めるのは管理組合です。
これは遠慮ではなく、マンションの仕組みそのものです。国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」では、収支予算と事業計画、長期修繕計画の作成と変更は、総会の決議を経なければならないとされています(第48条)。毎年の植栽の管理の費用も、長期修繕計画に組み込む木の更新も、最後は総会で決まります。当社の仕事は、理事会がその議案をつくれるところまで、材料と形を整えることだと考えています。
契約の形も、作業の完成を請け負う工事の契約とは違います。当社の事例では、調べて考え、計画にまとめる仕事を任せていただく形(民法656条の準委任)で、基本契約書と秘密保持契約書を交わして始めたものがあります。
もう一つ、はじめに決めておくことがあります。今の植栽管理の業者さんとのやり取りの窓口は、管理組合にしていただいています。当社が過去の作業の内容を知りたいときも、管理組合を通して質問し、聞き取りの場も管理組合に設けていただきます。コンサルタントが今の業者さんと直接やり取りを始めると、誰の立場で話しているのかが分からなくなるからです。
当社のコンサルティングの土台──日々の植栽管理と、樹木医の診断
流れの話に入る前に、当社のコンサルティングが何に支えられているかを書いておきます。一つは、日々の植栽管理の中で気づいたことを、そのまま提案にできること。もう一つは、樹木医が自分で診断し、その結果をコンサルティングまでつなげられることです。

図: 日々の植栽管理で気づき、樹木医の診断で確かめ、コンサルティングで計画にし、また日々の管理へ戻す(当社の3つの部門の受け持ちをもとに作成)
日々の植栽管理の中で気づいたことを、提案にする
当社はグリーンメンテナンス部門で、マンションや団地の年間の植栽管理を受け持っています。剪定や刈込、巡回のたびに同じ木を見ていると、年に一度の調査では見えにくいことに気づきます。枝の伸び方が去年と違う。葉の色が冴えない。雑草がいつも同じ場所から出てくる。こうした気づきは、作業の報告書に書き、必要なものは提案と見積の形にしてお出ししています。
東京都内の低層マンションでは、コンサルティングと並行して年間の植栽管理もお受けしています。年間の作業のときに、外周の木に害虫と病気が出ているのを見つけて報告書でお知らせし、植栽の改修が必要な場所もまとめて提案と見積をお出ししました。神奈川県の団地では、年間の管理を始めてから、雑草が絶えない場所の砂利敷き、込み合った木の伐採、芝生への張り替えを当社から提案し、それぞれ見積をお出ししています。
コンサルティングで立てた計画も、日々の作業を通して確かめ直せます。計画どおりに木が育っているか、仕様書の仕上がりの基準が現場に合っているか。1年の作業を終えたところで振り返り、次の年の工程と仕様に戻すことにしています。机の上の計画を、現場で回る計画にしていくための行き来です。
樹木医が診断し、その結果を計画までつなげる
大きく育った木のご相談では、伐るかどうかの話が先に出がちです。当社はまず、ツリーリスクアセスメント部門の樹木医が1本ずつ状態を見て、残せる木と更新する木を分ける材料をそろえます。目で見た点検で気になるところがあれば、樹木診断の機器で幹の中まで確かめ、必要に応じて土の状態も調べます。
診断した樹木医が、そのまま計画づくりと理事会での説明にも加わります。点検の表や機器の結果を、別の会社に渡して読み解いてもらう必要がありません。数値や画像が何を意味し、だからどの木をどう手入れするのか。診断から計画までを同じ会社の中で話し合えるので、根拠と結論が離れません。木を残す努力と、住む方の安全を守ることの両方を、同じ表の上で比べられるようにする。そこに樹木医が入る意味があると考えています。残す木と更新する木の分け方は「マンション植栽の老朽化は、まず現状評価から」で詳しく書きました。
3つの部門で、行き来させる

同じ木を、診断・日々の管理・計画の3つの部門で受け持つ(イラストは当社作成)
当社では、樹木と土壌の診断はツリーリスクアセスメント部門、管理計画やコンサルティングはランドスケープコンサルティング部門、日々の植栽管理や高木の剪定・伐採、植栽工事はグリーンメンテナンス部門が受け持ち、3つの部門が連携しています(「グリーンマネジメント」)。日々の管理で気づいたことを樹木医が確かめ、その結果をコンサルティングで計画にし、計画をまた日々の管理に戻す。この行き来があるので、提案が「現場では実行できない計画」になりません。
年間の管理を当社が受け持つ場合でも、仕様書は、ほかの業者が同じ条件で見積を出せる形にしておきます。管理組合が、いつでも比べて選べるようにするためです。
植栽コンサルティングの流れ──8つの段階
3つの業務を並べると、入口は違っても、たどる段階はほぼ同じでした。下の図は、その段階と、それぞれで中心になる人を示したものです。

図: マンションの植栽コンサルティングの8つの段階。右の札は、その段階で中心になる人(当社の3つの業務の資料と打合せの記録をもとに作成)
1. ご相談と、目的の確認
はじまりは、理事の方からのご相談か、管理組合がまとめた依頼書です。最初の打合せで確かめるのは、困っていることそのものより、その先で何を手に入れたいのかです。
東京都内の低層マンションの例では、最初の打合せで出てきたのは「管理費を見直したい」と「理事が交代しても、同じように管理が回る形にしたい」の2つでした。その後のメールで、理事会の狙いがもう一段はっきりしました。仕様書を示して業者から見積を取り、1社を選んで任せる。価格に問題が出たら同じやり方で選び直す。長期の計画どおりに進んでいるかを時々確かめる。これを、理事の手間をかけずに何十年も続けられるようにしたい、というものです。ここまで言葉になると、つくるべきものが見えてきます。
2. ご提案とお見積り──案を並べて出す
目的が分かったら、進め方の案とお見積りをお出しします。このとき、1つの案だけを出さないことを大事にしています。
神奈川県の大規模な団地の例では、並木の管理の方針づくりについて、診断機器による調査を含む案と、地上からの目視の点検で進める案の2つを並べました。管理組合は目視の点検の案を選び、機器による調査は必要になったら足すことにしました。同じ団地の長期計画は、管理組合の求めに合わせて、まず基本の方針を決める段階と、その先の細かな計画の段階に分けてお出ししています。
低層マンションの例では、見積に先立って、最終的にどんな書類ができるのかの見本をお渡ししました。でき上がりの姿が見えないままでは、理事会で話し合いようがありません。
3. 理事会・総会での決定と、ご契約
提案を受けるかどうかは、理事会で決まります。低層マンションの例では、理事会で依頼先が決まり、臨時総会で報告してから発注していただく段取りにしました。大規模な団地の例では、基本契約書と秘密保持契約書を交わし、業務ごとに作業の仕様書で、範囲・回数・お渡しするものを決めてから始めています。打合せや説明会を何回までにするかも、ここで決めておきます。
4. 現地の調査と、これまでの資料の読み込み

これまでの作業の報告書、敷地の図面、樹木の台帳を読み込み、今の木と照らし合わせる(イラストは当社作成)
契約のあと、最初にするのは読むことです。管理会社からお借りした過去の作業の報告書、敷地の図面、植栽の台帳。大規模な団地の例では、数年分の作業の報告書をすべて読み、いつ、どの区画で、どんな作業がされてきたかを整理しました。
読んでから、現地を歩きます。当社の経験では、台帳に書かれた木の大きさが、今の木と合わないことは珍しくありません。竣工から何十年もたった敷地では、台帳がつくられたあとも木は育ち、植え替えも重なっています。並木や大きな木は1本ずつ見て、位置を図に落とし、状態を点検の表にまとめます。必要なところは、樹木診断の機器で幹の中まで確かめます。
今の業者さんに聞きたいことは、この段階で質問の形にまとめ、管理組合を通してお送りします。剪定をどの順番で回してきたのか、なぜその周期なのか。記録に残っていない理由は、作業をしてきた人に聞くのが確かです。
5. 定例の打合せで、方針の案を練る

集会室の机に植栽の図面と工程表を広げ、理事の方と方針を話し合う(イラストは当社作成)
調査の結果が出たら、理事会や植栽の担当の方との打合せを重ねます。低層マンションの例では、月に1回ほど土曜日に集まり、1年ほどかけて進める形にしました。
打合せでお出しするのは、答えではなく、比べられる材料です。年間の管理費をどこまで下げられるかを考えたときは、今のままの案、夏の作業を減らす案、低木の手入れの回数を減らす案の3つで費用を試算しました。大規模な団地では、並木の今後の管理の案を、見た目と長い期間の費用で比べられる形にして、理事会と検討を重ねています。
判断の順番も、早いうちに管理組合とすり合わせます。当社は、まず安全、次に無理なく続けられるか、そのうえで景観、という順番で考えることをお伝えしています。この順番が共有されていると、意見が割れたときに立ち返る場所ができます。
打合せのたびに、議事録には決まったことと、当社の宿題、管理組合の宿題を分けて書きます。次の打合せは、前回の宿題の確認から始めます。1年近く続く話し合いでは、何がいつ決まったのかを書面でたどれることが、理事の交代があっても話を後戻りさせない支えになります。
6. 住民の方の声を聞き、方針を伝える

専用庭に面したお住まいの方から、庭の木について一人ずつお話を伺う(イラストは当社作成)
植栽の方針は、住む方の暮らしに直接かかわります。上の階の方は窓から緑が見えてほしい。下の階の方は部屋に日が入ってほしい。同じ1本の木でも、立つ位置で望みは逆になります。
低層マンションの例では、専用庭に面した住戸の方と、一人ずつ面談しました。作業の報告や打合せの内容は理事会を窓口にまとめて全戸に共有し、住戸ごとの個別の対応はしない、という決まりもこのとき確かめています。個別の対応を重ねるほど、管理の基準はぶれていきます。

中庭の木の前で、住民の方に植栽の今と方針の案を説明する(イラストは当社作成)
大規模な団地の例では、住民説明会を開く準備を進めています。管理組合と決めたのは、説明会を「決まったことの報告」ではなく、課題を共有し、方針の案を示し、ご意見を伺う場にすることです。伝える範囲も、話が伝わりやすい場所に絞っています。
7. 計画と仕様書にまとめる

1本ずつの記録を台帳にまとめ、年ごとの計画につなげる(イラストは当社作成)
話し合いで決まったことを、書類の形にします。何をまとめるかは業務によって違いますが、当社の3つの業務では、次のようなものをつくっています。
- 長期の植栽管理計画(どの年に、どの木を、どう手入れし、いつ更新するか)
- 植栽の管理の仕様書(作業の項目・回数・仕上がりの基準・報告のしかた)
- 見積を頼むための仕様書と、項目をそろえた見積の内訳書の様式
- 業者と結ぶ基本契約書の案

同じ仕様書で頼み、同じ様式でそろえた見積なら、理事会で行ごとに見比べられる(イラストは当社作成)
低層マンションの例で仕様書をつくり直したときは、担当の理事の方と業者が個別に協議するという取り決めを、仕様書から外しました。代わりに、業者は作業の報告書で報告し、提案があれば報告書に書き、管理組合が回答する形にしています。個別の話し合いは、担当の理事の方の時間と記憶に頼るので、交代のたびに途切れてしまうからです。見積の内訳書の様式をそろえたのも同じ理由で、どの業者に頼んでも同じ行どうしで比べられるようにしています。業者の選び方は「マンション植栽管理の造園業者・植木屋を選ぶには」にも書いています。
8. 実行と、毎年の見直し
計画は、つくったところで終わりではありません。年間の管理が始まったら、作業の報告書と定例の打合せで、計画どおりに進んでいるかを確かめます。神奈川県の団地の例では、年間の工程表を基本の計画とし、1年の経過を見てから時期や回数の直しを話し合うことにしています。新しく出てきた工事の提案は、年間の契約とは分けて見積をお出しし、管理組合が決めます。
どの段階に何をするかを一覧にすると、次のようになります。
| 段階 | 当社がすること | 管理組合が決めること | 形に残るもの |
|---|---|---|---|
| 1 ご相談 | 困りごとと目的を伺う | 何を手に入れたいか | 打合せの記録 |
| 2 ご提案 | 進め方の案を複数つくり、見積を出す | どの案で進めるか | 提案書・見積書・でき上がりの見本 |
| 3 決定と契約 | 範囲・回数・お渡しするものを仕様書にする | 依頼するかどうか(理事会・総会) | 基本契約書・作業の仕様書 |
| 4 調査 | 資料を読み、現地で木を1本ずつ確かめる | 今の業者への聞き取りの場を設けるか | 位置図・点検の表・質問の一覧 |
| 5 定例の打合せ | 比べられる案と費用の試算を出す | 判断の順番と、方針の向き | 議事録(決まったこと・宿題) |
| 6 住民の声 | 面談と説明会の資料をつくり、説明する | 説明の範囲と、要望の扱い | 説明会の資料・要望のまとめ |
| 7 計画と仕様書 | 決まったことを書類にまとめる | 計画と予算(総会) | 長期計画・管理の仕様書・見積の様式 |
| 8 実行と見直し | 報告と打合せで進み具合を確かめる | 次の年の直し | 作業の報告書・直した工程表 |
出典: 当社の3つの業務の提案書・作業の仕様書・議事録をもとに作成
入口は3つ──事例で見る、流れの違い
8つの段階は共通でも、どこから入り、どの段階に時間をかけるかは、管理組合ごとに違います。3つの業務を、入口の違いで並べてみます。

図: 3つの業務の入口と、中心になった段階、形に残すもの(当社の3つの業務の資料をもとに作成)
入口A 管理組合の依頼書から、長期の計画づくりへ(神奈川県の大規模な団地)
大規模な団地です。管理組合から届いた依頼書には、30年ほど先を見据えた植栽全体の管理の骨組みと道筋を、意思決定の材料としてまとめてほしい、と書かれていました。細かな設計図ではなく、理事会や総会が決めるための材料です。
この依頼書とは別に、敷地の通り沿いに続く並木の方針づくりもご依頼いただきました。当社は2つの案をお出しし、地上からの目視の点検で1本ずつ確かめる案で始めました。点検の結果をもとに、理事会の方と現地で木を確かめながら、方針を検討しています。大きな木の高さを考えるとき、当社は一度に大きく切り詰めることをお勧めしていません。強く切り詰める剪定を繰り返すと、かえって手入れのできない木になっていくことは「都市の高木は、なぜ手入れできなくなるのか」で書きました。
この団地では、今の業者さんへの聞き取りも、管理組合が窓口になって場を設けていただきました。いまは住民説明会と、その先の総会に向けて、方針の案を形にしているところです。
入口B 理事の方のご相談から、仕様書づくりへ(東京都内の低層マンション)
都内の低層マンションです。ご相談の中身は、先に書いたとおり「管理費」と「理事が交代しても回る形」でした。
月1回の打合せでは、費用の3つの案を比べ、間引きや伐採の候補を図にし、専用庭に面した住戸の方と一人ずつ面談しました。そのうえで、作業の仕様書、見積を頼むための仕様書、項目をそろえた見積の内訳書の様式、業者と結ぶ基本契約書の案をつくっています。この先は、長期の計画表と、年間の基本の予算を詰めていきます。
この業務で当社が目指しているのは、当社がいなくても管理組合が業者を選び、比べ、任せ、確かめられる状態です。コンサルティングの成果が、理事会の手元に残る仕組みになる。そこまでできて、はじめてご相談の目的に応えたことになると考えています。
入口C 業者選びの提案から、年間の管理と仕様の見直しへ(神奈川県の団地)
竣工から30年以上がたった団地です。管理組合から、植栽と斜面の管理の委託先を選ぶための見積と提案の依頼がありました。依頼書には、金額だけで決めず、作業の中身、体制、実績、提案、住む方への配慮、報告のしかたまで含めて選びたいこと、管理費を適正にして、その分を植え替えや古くなった植え込みの作り直しに回したいことが書かれていました。
現地の説明と調査を経て、提案書と見積をお出しし、理事と植栽の委員の方々の前でご説明しました。委託先に選んでいただいてからは、年間の管理を始め、土曜日の定例の打合せで方針を一つずつ詰めています。生け垣の高さや草刈りの回数のように、場所ごとに手入れの水準を決め直していく話し合いです。新しく試す方法は、住民の方への告知と理事会への報告で「試しに行うもの」とはっきり伝え、結果を報告書に残すことにしています。
この団地では、植栽コンサルティングを単独の業務としてお受けしたのではありません。年間の管理の中で、1年の経過を見ながら方針と仕様を直していく形です。入口は違っても、たどっている段階は図1と同じです。
説明と合意づくりで、当社が担うこと
方針は、理事会と住民の方に納得していただいて、はじめて動き出します。そのための見せ方と説明も、当社の仕事です。
合成のイメージで、何年か先の姿を見比べる

今の木と、手入れをしたあとの姿を並べて映し、見比べていただきながら説明する(イラストは当社作成)
「間引く」「高さを下げる」と言葉で伝えても、思い浮かべる姿は人によって違います。当社は、今の木の写真に手を加えた合成のイメージで、伐採や剪定のあと、さらに数年後の姿を並べてお見せしています。案が2つ3つあれば、案ごとにつくります。言葉だけで話し合うより、意見の食い違いがどこにあるのかが早く見えてきます。
合成のイメージは、実際の写真と取り違えられないよう、資料には必ず「完成イメージ(合成)」のように書き添えます。どのようなものかは、植栽コンサルティングのページの施工事例(伐採後イメージ・5年後イメージ)でご覧いただけます。
理事会と住民説明会での説明も、当社が受け持つ
方針の案は、理事会でご説明し、住民説明会でもお話しします。神奈川県の団地の例では、委託先を選ぶ段階で、理事と植栽の委員の方々の前で、管理の考え方と見積の中身をご説明しました。以前お手伝いした横浜市の団地では、お住まいのエリアごとに時間を分けて、計画の説明と質疑応答を重ねています(「中長期の植栽管理マスタープラン」)。説明の資料は、理事会がそのまま議案の材料に使える形を意識してつくります。
流れの中で、大事にしていること
費用は、1年ではなく何十年で比べる
植栽の費用は、毎年の手入れの費用と、伐採や植え替えのような大きな出費に分けて考えます。今年安く済ませた手入れが、10年後の大きな出費を呼ぶこともあります。だから案を比べるときは、30年のような長い期間で並べます。
回数を減らせば費用が下がる、とも限りません。当社の現場での目安として、剪定を年2回から1回に減らしても、そのぶん枝は伸び、1回の作業が重くなるので、費用は半分にならないことが多く、かえって割高になる場合もあります。試算を見ていただくのは、こうした思い込みを外すためでもあります。
決まったことを、書面でたどれるようにする
管理組合の理事の方は、数年で交代されることが少なくありません。議事録に決まったことと宿題を分けて残し、仕様書から個別の約束を外していくのは、人が代わっても同じ基準で判断できるようにするためです。
費用と期間を左右するもの──管理組合でご用意いただける資料
コンサルティングの費用と期間は、主に次のことで決まります。
- 敷地の広さと、調べる木の本数
- 調べ方(地上からの目視の点検か、診断機器も使うか)
- 打合せと説明会の回数(ご依頼の初めに仕様書で決めます)
- お渡しする書類の種類(長期計画、管理の仕様書、見積の様式、樹木台帳など)
- 管理組合にある資料と、課題の整理がどこまで進んでいるか
最後の項目は、管理組合の側で変えられるところです。手元にある資料が多いほど、当社は読み込みと現地での照合から入れます。資料が無いところは、当社が現地で一から起こすことになり、そのぶん手間と日数がかかります。
| 資料 | あると何が早くなるか | 無いとき、当社がすること |
|---|---|---|
| 敷地の平面図・配置図 | 木の位置を落とす下図になる | 現地で位置を測り、図を起こす |
| 植栽図(竣工時の図・現況図) | 植えたときの樹種と配置、その後の植え替えが分かる | 現地で樹種と配置を確かめ直す |
| 樹木台帳・植栽リスト | 1本ずつの照合から入れる(ただし大きさが今と合わないことがある) | 1本ずつの記録を新しくつくる(台帳づくりを別の業務としてお見積りすることもある) |
| 年間の工程表 | 作業の時期と回数、剪定を回してきた順番が分かる | 作業の報告書や今の業者への聞き取りからたどる |
| 過去の作業の報告書 | いつ、どこで、どんな手入れをしてきたかが分かる | 今の業者への聞き取り(管理組合を通して)で補う |
| 今の業者の見積書・契約書 | 今の費用の内訳が、試算と比較の出発点になる | 作業の項目と回数を聞き取り、内訳を組み立て直す |
出典: 当社の3つの業務で、管理組合からお借りした資料と、その使い方をもとに作成
3つの業務でも、そろっていた資料はまちまちでした。大規模な団地では、敷地の図面、植栽の台帳、年間の工程表、数年分の作業の報告書をお借りでき、最初から読み込みに入れました。低層マンションでは、植栽のリストと現況の図をいただき、足りないところは現地で確かめています。図面や報告書は、管理会社や今の業者がお持ちのこともあるので、ご相談の前に一度お尋ねいただくと、話が早く進みます。
課題は整理済みか、聞き取りから始めるか
もう一つ、期間を左右するのが、困りごとや課題を管理組合の中でどこまで整理できているかです。
神奈川県の2つの団地では、管理組合が依頼書の中で、目的や考え方をすでに文章にまとめていました。この場合は、依頼書を読み込み、提案から始められます。低層マンションでは、最初の打合せで理事の方のお話を伺い、目的を言葉にするところから一緒に進めました。あわせて、でき上がりの見本をお見せして、つくるものの姿をすり合わせています。
どちらが良いということではありません。課題がまだ言葉になっていなくても、最初の打合せと現地を一緒に歩く時間を、課題を書き出すことに充てれば進められます。ただ、そのぶん、提案に入るまでの時間は長くなります。
期間の目安
入口A・Bの業務では、ご相談から計画や仕様書の形がまとまるまで、1年前後を見込んでいます。総会の時期と予算の締めに合わせて逆算し、打合せや説明会の日程を組みます。
最初のご相談では、上の資料の有無に加えて、次のことを伺えると、その後の流れを具体的にご提案できます。
- いちばん困っていること、何を手に入れたいか
- 次の総会と、予算を決める時期
- 理事会や植栽の委員会など、話し合う体制
植栽の今の状態を評価するところから始めたい場合は、「植栽の現状評価と再生方針」を入口にすることもできます。コンサルティングの実績は、植栽コンサルティングのページに載せています。
どの段階から始めるかは、管理組合ごとに違ってかまいません。お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
よくある質問(Q&A)
Q1. マンションの植栽コンサルティングとは何ですか?
A. 管理組合が植栽の管理の方針や計画を決められるように、専門家が判断の材料をそろえ、決まったことを計画や仕様書の形にまとめる業務です。当社では樹木医が敷地の樹木を1本ずつ確かめ、過去の作業の記録を読み、複数の案と費用の試算を理事会にお出しします。決めるのは管理組合で、計画や予算は総会で決まります。
Q2. 植栽コンサルティングは、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 当社の事例では、ご相談から計画や仕様書の形がまとまるまで1年前後を見込んでいます。月1回ほどの打合せを重ね、住民の方への説明を経て、総会の時期に合わせてまとめます。範囲や回数は、ご依頼の初めに仕様書で決めます。
Q3. 今の植栽管理の業者を替えなければいけませんか?
A. いいえ。今の業者に続けていただくことも、同じ仕様書で複数の業者から見積を取って比べることもできます。どちらにするかは管理組合が決めます。今の業者とのやり取りの窓口は管理組合にしていただき、当社からの質問も管理組合を通してお送りします。
Q4. 理事が交代しても、計画は続けられますか?
A. 続けられるように形をつくることが、コンサルティングの目的の一つです。打合せのたびに決まったことと宿題を議事録に残し、管理の仕様書と見積の様式をそろえ、担当の理事の方の個別の話し合いに頼らない仕組みにします。計画どおりに進んでいるかは、作業の報告書と定例の打合せで確かめます。
Q5. 住民の方への説明もお願いできますか?
A. はい。説明会の資料づくりと説明を当社が行い、専用庭に面した住戸の方などには一人ずつお話を伺うこともあります。作業の報告や打合せの内容は理事会を窓口にまとめ、全戸に共有する形を基本にしています。説明会は、決まったことの報告ではなく、課題を共有してご意見を伺う場として組み立てます。
Q6. 植栽コンサルティングを頼む前に、管理組合で用意しておく資料はありますか?
A. 敷地の平面図、植栽図(竣工時の図や現況図)、樹木台帳や植栽のリスト、年間の工程表、過去の作業の報告書、今の業者の見積書や契約書があると、当社は読み込みと現地での照合から始められます。無い資料は当社が現地で起こしますが、そのぶん手間と日数がかかります。図面や報告書は、管理会社や今の業者がお持ちのこともあります。
Q7. 植栽コンサルティングの費用は、何で決まりますか?
A. 敷地の広さと調べる木の本数、調べ方(目視の点検か診断機器も使うか)、打合せと説明会の回数、お渡しする書類の種類、管理組合にある資料と課題の整理の進み具合で決まります。打合せや説明会の回数は、ご依頼の初めに仕様書で決めます。金額は、ご相談の内容と現地の状況を伺ってからお見積りします。
Q8. 植栽管理も行う会社にコンサルティングを頼むと、何が違いますか?
A. 日々の剪定や刈込、巡回の中で気づいたことを、そのまま提案や計画の見直しにつなげられます。当社では、日々の植栽管理、樹木医の診断、コンサルティングを3つの部門で受け持ち、樹木医が自分で診断した結果を計画づくりと理事会での説明に使います。年間の管理を当社が受け持つ場合も、仕様書はほかの業者が同じ条件で見積を出せる形にしておきます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
出典・参考情報
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年改正) 第48条(総会の議決事項)
- e-Gov 法令検索「民法」 第656条(準委任)





















