ロワイヨモン修道院
セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣
パリの北にあるロワイヨモン修道院で見た、セイヨウコリヤナギの枝を編み込んだ生垣の記録です。修道院と庭園のあらまし、ヤナギの性質と枝編みの文化、日本の竹垣や柳の細工とのつながりを、公式サイトや公的な資料をもとにまとめました。
ロワイヨモン修道院──パリの北、1228年に創建されたシトー会の修道院
フランス・パリから北へ30kmほどの
ヴァルドワーズ県アニエール・シュル・オワーズにある
「ロワイヨモン修道院」へ訪れました。
所在地: 95270 Asnières-sur-Oise, フランス
修道院の公式サイトによると、ロワイヨモン修道院は、オワーズ=ペイ・ド・フランス地域自然公園の中にあり、1228年に、のちの聖ルイ、ルイ9世が創建しました。パリ地域圏の観光局の案内によると、聖ルイはこの修道院にたびたび滞在しました。フランスで最も大きなシトー会の回廊のまわりに、当時の建物の多くが残っています。修道院、工場、戦時の病院と使われ方を変え、今は文化交流の拠点になっています。1964年には、修道院を所有していたグーアン家がロワイヨモン財団をつくり、修道院を寄贈しました。

図: ロワイヨモン修道院の場所(出典: 修道院の公式サイト。地図ではない模式図)
修道院は水路がめぐる6.5ヘクタールの庭園の中にあり、3つの庭が、フランス文化省の「注目すべき庭園(Jardin remarquable)」に選ばれています。
| 庭の名前 | 公式サイトの説明 |
|---|---|
| 9つの区画の庭(Jardin des 9 carrés) | 中世の庭に着想を得た庭 |
| 回廊の庭(Jardin du cloître) | 修道院の回廊に囲まれた庭 |
| 菜園の庭(Potager-Jardin) | 野菜を育てる菜園と庭、大きな温室がある |
出典: ロワイヨモン修道院 公式サイト(royaumont.com)「L’abbaye」「Préparer ma visite」
その修道院の敷地内に菜園と鑑賞するお庭もありますが、
今回特に気になったのはセイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣です。
セイヨウコリヤナギの編み込み生垣
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
フランスではセイヨウコリヤナギは柔らかくて丈夫なことから、昔から枝編み細工で使われている材料です。
編み込まれた生垣として使われるのも修道院ではどうやら昔ながらの手法のようです。
日本では鉢植えもので小さいのを見たことはありますが、生垣では見たことがありませんでした。
ベルギーのワロン地域政府(Service public de Wallonie)がヤナギを取り上げた冊子では、セイヨウコリヤナギ(Salix purpurea)は枝の色から「osier rouge(赤い枝のヤナギ)」とも呼ばれ、細かな枝編み細工に使われると紹介されています。同じ冊子は、ヤナギは枝を切って土に挿すだけで簡単に根づくため、生きた植物を建物のように組む「植物の建築」に向いていること、生きた植物を編む技はかつて主に守りのためのもので、今は生きたヤナギの小屋・柵・トンネルが好まれていることも伝えています。冊子によると、この地方でヤナギの枝編みが確かめられるのはローマ時代からで、身のまわりの道具を編むために、ヤナギは家の近くに欠かせない木でした。
| 項目 | セイヨウコリヤナギ(Salix purpurea) |
|---|---|
| 呼び名 | 枝の色から「osier rouge」とも呼ばれる |
| 育つ場所 | 川岸や水路など、湿り気の残る所を好む |
| 使われ方 | 細かな枝編み細工、雑種が多い |
| ヤナギ全体の性質 | 枝を切って挿すだけで根づき、生きた枝で柵や小屋を編める |
出典: Service public de Wallonie「Le saule」(Semaine de l’Arbre 2013)
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
- セイヨウコリヤナギの編み込まれた生垣 フランス パリ
冬に葉を落とす生垣と、日本の竹垣・柳の細工
冬場には葉が落葉するので、生垣として目隠しにしたい場合には向かないというデメリットもありますが、
お庭の中でオリジナルなリズムがあって、品のあるアートのような仕切りにはピッタリの生垣です。
和風の竹垣と合わせるのも独特の雰囲気があって面白いのではと思います。
日本でヤナギの枝を編む手仕事といえば、兵庫県豊岡市の杞柳(きりゅう)細工があります。兵庫県によると、杞柳細工は、円山川のほとりに自生していたコリヤナギを使って奈良時代に始まったとされ、江戸時代には藩主が保護・奨励し、平成4年(1992年)に国の伝統的工芸品に指定されています。
当社が施工した竹垣は、「御簾垣」や「竹垣工事 建仁寺垣 穂垣」で紹介しています。
ご興味のある方は是非お問い合わせください。
よくある質問
Q1. ロワイヨモン修道院はどこにありますか?
A. フランスのヴァル=ドワーズ県アニエール=シュル=オワーズにあり、修道院の公式サイトでは、パリの北30km、シャンティイの南10kmと案内されています。1228年にルイ9世が創建したシトー会の修道院です。
Q2. セイヨウコリヤナギとはどんな木ですか?
A. 学名は Salix purpurea で、枝の色から「osier rouge」とも呼ばれるヤナギです。川岸や水路など湿り気の残る所を好み、細かな枝編み細工に使われます。冬には葉を落とします。
Q3. 生きたヤナギで垣をつくれるのはなぜですか?
A. ヤナギは、枝を切って土に挿すだけで簡単に根づく性質があります。この性質から、生きたヤナギの枝を編んで柵や小屋、トンネルをつくる「植物の建築」に使われています。
出典・参考情報
・Royaumont「L’abbaye」、「Préparer ma visite」、「Accès et adresse」(ロワイヨモン修道院 公式サイト)
・Paris Region「Royaumont – abbaye & fondation」
・Service public de Wallonie「Le saule」(Semaine de l’Arbre 2013)
・兵庫県「杞柳製品」
株式会社トシ・ランドスケープ
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