弊社加藤バンジャマンが先日ご縁があって、
2年に1回にフランス・パリで行われるホテルとレストランの内装デザイン関連の
国際的規模の展示会「EQUIP HOTEL」で通訳として活躍させていただきました。
この記事は、パリの展示会 EQUIP HOTEL で通訳をした記録と、樹木医がやむを得ず伐ると判断した木を、宮大工が加工して後世に残すという考えについて書いたものです。展示会のこと、樹木医が伐採を判断するときの考え方、伐った木を材として使うまでを、主催者や行政・研究機関の資料をもとに書き添えます。
EQUIP HOTEL とは──パリで2年に1回開かれる、ホテル・レストランの見本市
EQUIP HOTEL は、RX France が主催する、ホテル・レストラン業界の企業どうしの(BtoB の)見本市です。2年に1回、パリのポルト・ド・ヴェルサイユで開かれています。主催者の発表によると、2022年は11月6日から10日までの5日間、ポルト・ド・ヴェルサイユでは4年ぶりの開催で、出展は1,200社でした。加藤が学生時代に通訳をしていた Maison&Objet も、パリで開かれるデザインの見本市です。2つを並べると、次のとおりです。
| 項目 | EQUIP HOTEL | Maison&Objet |
|---|---|---|
| 分野 | ホテル・レストラン業界(BtoB) | 装飾・デザイン・ライフスタイル |
| 開催の頻度 | 2年に1回 | 年2回(1月と9月) |
| 会場 | パリ ポルト・ド・ヴェルサイユ | パリ・ノール・ヴィルパント展示会場 |
| 主催 | RX France | SAFI(RX France と Ateliers d’Art de France の子会社) |
出典: RX France 報道資料「EQUIPHOTEL 2022」(2022年11月16日)、EQUIP HOTEL 公式サイト、Maison&Objet 公式サイト(2026年10月12日に確認)
応樹織床──一本の木から作るフローリング
加藤の前職の親方(宮大工)がその展示会で樹木一本から作るオーダーメイドのフローリング「応樹織床」を出展するということで、お誘いを頂きました。

応樹織床 おかげさま フランス 日本 帯広 東京 樹木医 宮大工
宮大工ならではの技術と知識から出来上がったオリジナルのフローリングにご興味のある方は、PR動画も載っているので以下リンクをご覧下さい。
株式会社おかげさまの公式サイトによると、応樹織床(おうじゅしょくじょう)は、森に入って一本の木を選んで伐り出し、その木のすべてを余すことなく使うフローリングです。幅10cmほどの細い部分や、曲がっていて使いようがないとされる丸太も使い、すべて一点物の床に仕上げるとされています。
樹木医が「伐るべき」と判断した木を、後世に残す
今後、樹木の専門家である・木のお医者さん「樹木医」がやむを得ず伐採すべきと判断した樹木を、
宮大工が加工して後世に残る形に変えていくという、
樹木の命を繋いでいく物語が存在すると考えています。

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樹木医が伐採を判断するとき
街や公園の木を伐るかどうかは、診断をもとに決めます。東京都建設局の「街路樹診断等マニュアル」は、外観診断を必ず行い、必要な木だけ機器で幹の内部を調べるとしています。診断の結果は4段階で判定し、C は更新(撤去・植替え)を行い、B2 は必要に応じて植替え(撤去)も検討するとしています。
| 判定 | マニュアルの区分 |
|---|---|
| A | 健全か健全に近い |
| B1 | 注意すべき被害が見られる |
| B2 | 著しい被害が見られる |
| C | 不健全(幹や根の腐朽が著しく、極めて不健全な状態で回復の見込みがない、倒木や幹折れの危険がある) |
出典: 東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」p.1、p.44 表Ⅲ-2・22、p.67 表Ⅲ-4・3、p.68 表Ⅳ-1・1
一方で、国土交通省の「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)」は、変状や異常のある木をみだりに伐採せず、再生する可能性を念頭に措置を考えることが望ましいとし、伐採の要否のような重要な判断は、樹木の専門技術者の見解を踏まえることが望ましいとしています。
伐った木を、材として使うまで
伐ったばかりの木は水分を多く含んでいます。林野庁の資料によると、針葉樹の辺材の含水率は100〜200%に達し、空気中で乾いた木材(気乾材)の含水率は一般に12〜15%程度です。木材は乾いたり湿ったりするたびに縮んだりふくらんだりし、割れやそりが出ます。乾かすことで寸法の狂いやひび割れを防ぎ、強度も上がるとされています。

図: 診断から、伐った木を材として残すまで(出典: 東京都建設局、国土交通省、林野庁、森林総合研究所の資料をもとに当社作成)
国土技術政策総合研究所の研究者は、都市の樹木の問題を論じた記事の中で、やむを得ず伐採される樹木は、ベンチや彫刻物などの木工材として使うほか、チップ材や堆肥の材料として有効に使うことが望ましいと書いています。
言葉を通じて、人と人をつなぐ
学生時代は良く「maison&objet」という展示会で通訳をしていましたが、
この間は久しぶりに通訳をしたら改めて言葉の価値を再認識しました。
現場も大事ですが、国際交流が更に求められるこれからの造園業界において、
言葉というツールを通じて、国を問わず人と人を繋げていくのも大事だと感じています。
引き続き、情報発信などを通して、フランス、日本を中心に世界への架け橋になれたら嬉しいです。
フランスとイギリスへ
現在お正月の休暇を利用してフランスとイギリスに訪れます。
今年の春から、フランスの国際的ハイブランドのお客様から植栽デザインのご依頼をいただいたのは主なきっかけです。
そしてその他に現地で活躍されているランドスケープデザイナー、ガーデナーさんのお話を聞いたり、海外との交流を更に深めていくきっかけになれればと思っています。
フランスの人のライフスタイルに合う、日本のアイデンティティを持つ空間とは何か、今回の旅行を機に更に深掘りできればと思っています。
株式会社トシ・ランドスケープ
よくある質問
Q1. EQUIP HOTEL とは、どんな展示会ですか。
RX France が主催する、ホテル・レストラン業界の企業向けの見本市です。2年に1回、パリのポルト・ド・ヴェルサイユで開かれ、2022年は11月6日から10日まで開かれました。
Q2. 応樹織床とは何ですか。
株式会社おかげさまの、一本の木から作るオーダーメイドのフローリングです。森で選んだ一本の木を伐り出し、細い部分や曲がった丸太も含めて余すことなく使い、一点物の床に仕上げるとされています。
Q3. 伐った木は、すぐに材として使えますか。
伐ったばかりの木は水分が多いので、乾かしてから使います。林野庁の資料では、乾燥させることで寸法の狂いやひび割れを防ぎ、強度も上がるとされています。
出典・参考情報
・RX France 報道資料「EQUIPHOTEL 2022, une édition plébiscitée」(2022年11月16日)、EQUIP HOTEL 公式サイト
・Maison&Objet 公式サイト(Paris)
・株式会社おかげさま「受注制作」(応樹織床)
・東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」
・国土交通省「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)」(平成29年9月策定、令和8年3月30日改訂)p.4・p.12
・林野庁「森林土木木製構造物設計等指針の解説等」p.6、「令和元年度 森林・林業白書」第3章第3節
・森林総合研究所「第4期中長期計画成果35」p.35
・飯塚康雄「都市樹木が抱える問題と再生」『公園緑地』Vol.80 No.1(2019年)p.7(国総研資料第1126号に所収)
いずれも2026年10月12日に内容を確認しました。
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