景丘の家アートスクール
『丸太のスツール作りワークショップ』
東京チェンソーズ
森デリバリー(講師:髙橋和馬さん)
渋谷区恵比寿の「景丘の家」で開かれた、東京都檜原村のスギとヒノキの丸太でスツールを作るワークショップに参加した記録です。丸太が育った東京の森林のこと、年輪のでき方、紙ヤスリの番手についても、東京都や林野庁などの資料をもとに書き添えます。
檜原村から届いたスギとヒノキの丸太
東京の西の檜原村から渋谷区恵比寿まで森デリバリーオリジナル軽トラックで
まさに檜原村の山の中から切り出したスツールの材料となる杉、檜を届けてくれました。
- 森デリバリー 軽トラック
- 森デリバリー 軽トラック
会場の景丘の家は、渋谷区の広報紙によると、平成10年に渋谷区社会福祉協議会へ寄贈された邸宅を改築した施設で、「こどもと食」をテーマに平成31年3月にオープンしました。週末のアートスクールにも力を入れていると紹介されています。
東京の森林と、檜原村のスギ・ヒノキ
アートスクールの初めに、檜原村を含む森林や木材の活用についても現状などについて、
こどもたちにもわかりやすい内容で説明頂きました。
檜原村は、東京都の多摩地域でただ一つの村です。村の案内によると、面積は105.41km²で、その93%が林野です。東京都の資料では、多摩地域の森林52,852haのうち30,757haが人工林で、昭和30年代を中心にスギやヒノキが広く植えられました。今は、木材として利用できる50年生以上の人工林が約8割を占めています。多摩地域で育ち、生産された木材は「多摩産材」と呼ばれています。
同じ資料は、森林には水源の涵養(かんよう)や土砂の流出防止などの公益的な働きのほか、木材を供給する働きがあると説明しています。一方で、多摩地域の人工林の多くは利用されないまま、木の量(蓄積量)が増え続けているとも書かれています。ワークショップの冒頭の「森林や木材の活用の現状」の話は、こうした東京の森の今につながっています。

図: 東京の森林と多摩地域の人工林(出典: 東京都産業労働局「東京の林業振興の展開(令和7年度)」、檜原村「村の概要」をもとに当社作成)
全国で見ても、人工林のうちスギ・ヒノキの林が約7割を占めています(林野庁)。スギは日本の固有の種類で、北海道から九州の屋久島まで広く分布しています(農林水産省)。このワークショップの丸太も、檜原村で育ったスギとヒノキでした。
ノコギリでスギを切る
その後には、こどもたちがノコギリで杉を切る体験をしました。
杉の木の切口の香りを楽しんだり、切口からでてくるヤニに不思議そうに眺めたりしました。

杉 ノコギリ 切る体験
丸太のスツールづくり──紙ヤスリで年輪が際立つ
そしてその後はスツールづくりです。
スツールになる丸太は、直径30~40cmほどで樹齢60~80年くらい東京の檜原村で育った杉と檜です。
こどもたちはくじ引き順に、自分の好きな丸太を選んでスツールつくりが開始です。
ご用意いただいた120番と240番の紙ヤスリで、切り口が滑らかになるまで削ります。
ヤスリをかけると、切断されたままのざらざらの切り口が滑らかツルツルになっていき、年輪が際立っていくのがわかりました。
- スツールづくり
- スツールづくり
- スツールづくり
年輪は、1年の間にできる色の淡い部分と濃い部分の組です。林野庁北海道森林管理局の解説では、1年間にできた色の薄い部分と色の濃い部分が年輪で、幹は一番外側の部分だけが成長するとされています。京都大学生存圏研究所の解説などによると、春から夏にできる早材(そうざい)は細胞が大きく壁が薄いので色が淡く、夏から秋にできる晩材(ばんざい)は細胞が小さく壁が厚いので色が濃くなります。切り口を削って滑らかにすると、この淡い部分と濃い部分の境目がはっきり見えてきます。
| 部分 | できる時期 | 細胞と色 |
|---|---|---|
| 早材(春材) | 春から夏 | 細胞が大きく壁が薄い、色は淡い |
| 晩材(夏材・秋材) | 夏から秋 | 細胞が小さく壁が厚い、色は濃い |
| 年輪 | 1年 | 早材と晩材の1組で1つの輪になる |
出典: 林野庁北海道森林管理局「Q&A Q7」、京都大学生存圏研究所 今村祐嗣「過熟材」、北海道大学 露崎史朗「木材用語」
紙ヤスリ(研磨紙)の番手は、研磨材の粒の大きさを表す数字です。日本産業規格では JIS R 6010「研磨布紙用研磨材の粒度」が粒度を定めていて、関連の JIS R 6012 は P240 から P2500 までを「微粉」として扱っています。120番で切り口のざらつきを取り、細かい240番で仕上げる、という順番になります。
240番の紙ヤスリで仕上げをした後は、森デリバリーの焼印を押して完成です。

森デリバリー焼印
完成したスツールは、早速自宅の玄関で使用します。

楽しい体験と森について深く知れる機会を頂きありがとうございました。
まとめ
景丘の家のアートスクールでは、檜原村の山から切り出したスギとヒノキの丸太で、子どもたちがスツールを作りました。森林と木材の活用の話を聞き、ノコギリでスギを切って香りやヤニに触れ、120番と240番の紙ヤスリで切り口を削ると、年輪が際立っていきました。東京の西に広がる人工林の木が、恵比寿の子どもたちの玄関のスツールになりました。
よくある質問
Q1. 多摩産材とは何ですか。
東京都の多摩地域で育ち、生産された木材のことです(東京都森林事務所)。多摩地域の森林の約6割はスギ・ヒノキなどの人工林で、50年生以上の人工林が約8割を占めています(東京都)。
Q2. 年輪の色が濃い部分と淡い部分に分かれるのはなぜですか。
春から夏にできる早材は細胞が大きく壁が薄いので淡く、夏から秋にできる晩材は細胞が小さく壁が厚いので濃くなるためです。この1組が1年分の年輪です(林野庁北海道森林管理局・京都大学生存圏研究所)。
Q3. 紙ヤスリの「120番」「240番」は、何の数字ですか。
研磨材の粒の大きさ(粒度)を表す番手です。日本産業規格の JIS R 6010 が研磨布紙の研磨材の粒度を定めていて、P240 から先は「微粉」として扱われます。このワークショップでは、120番で削ったあと240番で仕上げました。
出典・参考情報
・東京都産業労働局「東京の林業振興の展開(令和7年度)」、東京都森林事務所「多摩産材」
・檜原村「村の概要」
・林野庁「スギ・ヒノキ林に関するデータ」、農林水産省「こどもそうだん」
・林野庁北海道森林管理局「Q&A Q7」、京都大学生存圏研究所 今村祐嗣「過熟材」、北海道大学 露崎史朗「木材用語」
・日本規格協会 JIS R 6010:2000「研磨布紙用研磨材の粒度」、JIS R 6012:2000「研磨布紙用研磨材の微粉の粒度試験方法」
・渋谷区「しぶや区ニュース」No.1455(令和3年2月15日号)






























