砧公園・千鳥ヶ淵のサクラ倒木 フジテレビ「Live News イット!」様取材を受けて
砧公園や千鳥ヶ淵で相次いだサクラの倒木について、フジテレビ「Live News イット!」様より取材をいただき、弊社の樹木医・髙尾がコメントさせていただきました。
先に答え
- 2026年3〜4月、世田谷区の都立砧公園では倒木が続き、報道では今年に入って計5本になりました。4月2日の明け方には、千鳥ヶ淵緑道脇でもソメイヨシノ1本が倒れています。
- 「Live News イット!」様の取材では、音で幹の断面を調べる機器を使った樹木診断の様子と、結果の読み方を、当社の樹木医 髙尾がご説明しました。この映像は4月10日の「めざましテレビ」でも使われました。
- 倒木は「老齢化」だけでは説明しきれません。根株や幹の腐朽、窮屈な植えマスの根、強剪定による衰弱、雨で緩んだ地盤などが重なって起きると考えています。
- 倒れたから伐る、の前に、外観で疑わしい木を選び、機器で幹の内部を確かめてから扱いを決めます。同じ時期には、TBSテレビ・テレビ朝日の番組でも、砧公園や千鳥ヶ淵の倒木について髙尾が取材を受けました。
- 放送の画面より(幹への計測器の取り付け)
- 放送の画面より(機材の準備)
- 放送の画面より(センサーを叩いて計測)
今回の取材では、アーボソニック3Dをはじめとする樹木診断機器を用いた調査の手法や、解析結果の読み方についてもご説明しています。アーボソニック3Dは、幹の内部に音波を通し、腐朽や空洞の広がりを立体的に可視化する機器です。外からは見えない樹木の内側を、データとして「診る」ことができます。
- 根元のキノコとアーボソニック3Dのセンサー
- 幹に取り付けたセンサー
- アーボソニック3Dの3次元の解析画面
- 幹に付けたアーボソニック3Dの機器
- 根元に巻いたセンサーとキノコ
2026年春、砧公園と千鳥ヶ淵で続いた倒木
取材は、都内の公園で倒木が続いていた時期でした。発表と報道で確かめられる経過は次のとおりです。
| 日付(2026年) | 起きたこと | 資料 |
|---|---|---|
| 3月7日 朝 | 砧公園でサクラとみられる高さ10m以上の木が倒れ、70代の女性が軽傷(3月3日に31.0mm・4日に25.5mmの雨、7日の最大瞬間風速は12.3m/s) | FNN、気象庁 |
| 3月8日 正午ごろ | 砧公園でヒマラヤスギが倒れ、駐車場の車2台に接触 | 当社「砧公園で2日連続の倒木事故——ヒマラヤスギはなぜ倒れたのか 樹木医の考察 東京都世田谷区」(報道による) |
| 4月2日 明け方 | 千鳥ヶ淵緑道脇(三番町共用会議所前)の、国が管理する法面のソメイヨシノ1本が倒れる | 千代田区 |
| 4月2日 午後 | 砧公園で高さ約20m、樹齢60年以上と推定されるサクラが倒れる | TBS NEWS DIG |
| 4月7日 夜 | 砧公園でコナラ2本(約23mと約14m)が倒れる、東京都によると根の部分が腐っていた | TBS NEWS DIG |
| 4月8日 | 東京都が立入制限の拡大、樹木医等の外観診断と機器診断、AIの活用の検討を発表 | 東京都建設局 |
| 4月9日〜 | 約5,000本の緊急点検、初日の27本のうち倒木のおそれ8本、4月17日時点で57本に倒木の危険性 | TBS NEWS DIG、FNN、TBS NEWS DIG |
(出典: 気象庁 東京の観測値〈千代田区北の丸公園〉、千代田区・東京都建設局の発表、各報道。報道の行は公的な発表で確かめられていないものを含みます。当社の考察は末尾の関連記事に)

なぜ倒れたのか――「老齢化」だけでは語れない原因
倒木の原因として「老齢化」がよく挙げられます。しかしソメイヨシノなどサクラも、土壌環境が整い、適切な手入れが続けば、何十年と健全に生き続ける樹木です。
都市部には、樹木が大きく育つほどに窮屈になる植えマス(植栽スペース)に閉じ込められた根、繰り返される強剪定で衰弱した樹体、気候変動による地温の上昇と慢性的に乾き続ける土壌など、特有の問題があります。こうした複合的なストレスが、倒木の背景にあることは少なくありません。
ソメイヨシノは60年で倒れるのか
サクラの倒木のたびに、ソメイヨシノの「寿命は60年」という話が持ち出されます。ただ、樹齢だけで木の先行きは決まりません。青森県の天然記念物「弘前公園最長寿のソメイヨシノ」は明治15年(1882年)に植えられたとされ、県の説明では、土壌改良と剪定などの手入れで伸びた多数の不定根と、ひこばえ・側枝が本体を支えています。植えてから140年を超えています。
放送に映ったベッコウタケとコフキタケ
放送では、根元のベッコウタケと幹のコフキタケも映りました(下の写真)。どちらも、木の材を腐らせる木材腐朽菌のキノコです。
| 項目 | ベッコウタケ | コフキタケ |
|---|---|---|
| 被害の目立つ部位 | 根株と根 | 幹 |
| 腐朽の型 | 白色腐朽・心材腐朽 | 白色腐朽・心材腐朽 |
| 倒木との関わり | 根株と根の腐朽・衰弱は、支える力の不足で倒伏の原因になる | 白色腐朽菌による強度の低下は、徐々に起こることが多い |
(出典: 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」国総研資料 第1059号、2019年、Ⅱ p.1-19・p.1-23・p.1-24)

手引きは、木材腐朽菌の被害は老齢木で多いとも書いています。ただ、キノコが出ても、すぐに倒れるわけではありません。
- 放送の画面より(根元のベッコウタケ)
- 放送の画面より(幹のコフキタケ)
- 放送の画面より(砧公園の倒木)
- 放送の画面より(千鳥ヶ淵の倒木)
「伐る」前に、「診る」という選択肢を
倒れたから危険、危険だから伐る。そう判断する前に、なぜ倒れたのかを検証し、事前に対策しておくことが大切だと考えています。
リスクをゼロにすることはできません。恐れるあまりの過剰な切り詰めは、樹木の回復力を奪い、かえってリスクを高めてしまう。費用だけが膨らんでいく悪循環にもなりかねません。
- 放送の画面より(樹木診断作業中の看板)
- 放送の画面より(幹に付けたセンサー)
- 放送の画面より(ハンマーとセンサー)
- 放送の画面より(幹のセンサーの計測)
- 放送の画面より(音波で幹の中を測る説明図)
- 放送の画面より(ノートPCでの測定)
- 放送の画面より(3次元の解析画面)
- 放送の画面より(断面画像に表れた空洞)
- 放送の画面より(空洞のある幹の断面)
- 放送の画面より(断面画像の説明)
- 放送の画面より(アーボソニック3Dの断面画像)
- 放送の画面より(診断カルテ)
外観で疑わしい木を選び、機器で確かめる
東京都の砧公園の対応も、外観診断で異常を見つけた木に機器診断を行う順番でした。アーボソニック3Dは、東京都の街路樹診断等マニュアルの「多点式応力波速度測定器」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測るもの | 幹の周りに打ったセンサーの間を、音(応力波)が伝わる時間 |
| わかること | 断面の中の音の速さの分布、腐朽や空洞の大きさと位置の推定 |
| 読むときの注意 | 異常部を小さくも大きくも見積もることがあり、外観診断と照らして総合的に判断する |
(出典: 東京都建設局「令和三年度 街路樹診断等マニュアル」第Ⅶ章 参考資料 p.108、Fakopp社「ArborSonic 3D」製品ページ)
断面画像の色の見方は「アーボソニック3Dの使い方を、道具から断面画像の色の見方まで──取扱説明書と現場の写真で樹木医が解説」で、診断カルテの読み方は「アーボソニックの腐朽診断カルテの読み方 単断面と多断面の記入例で、樹木医が1欄ずつ解説します」で説明しています。
同じ時期の取材と出演──2026年3〜4月の倒木をめぐる番組
この春の倒木のあと、この取材の映像は平日の放送やほかの番組でも使われ、ほかの局の番組でも取材をお受けしました。
- 3月12日 TBSテレビ「THE TIME,」: 砧公園の倒木事故について取材を受けました(「TBSテレビ「THE TIME,」 砧公園での倒木事故について樹木医として取材をいただきました」)
- 4月 テレビ朝日「サタデーステーション」: サクラの倒木について解説しました
- 4月6日 フジテレビ「Live News イット!」(平日の放送): この記事の取材の映像の一部が放送されました
- 4月9日 TBSテレビ「Nスタ」: サクラの倒木について、代表の中村が電話取材にお答えしました
- 4月10日 フジテレビ「めざましテレビ」: この記事の取材の映像が使われました
- 4月10日 テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」: 電話取材でお話ししました
- 4月12日 TBSテレビ「上田晋也のサンデーQ」: 前日に砧公園でロケを行い、現地で説明しました
前年の2025年3月29日には、テレビ朝日「グッド!モーニング」でサクラの高齢化について髙尾がコメントし(「桜が「高齢化」 倒木懸念 テレビ朝日様 グッド!モーニング」)、2026年8月18日には「羽鳥慎一モーニングショー」のパネルコーナーにスタジオで生出演しました。放送日と取材の形の一覧は、「テレビ出演・書籍掲載・BAUM監修 樹木医の広報活動をまとめてご報告します(2025〜2026年)」に表でまとめています。
8月の出演にあたって番組のご質問にお答えした髙尾は、危ない木のサインとして根元や幹のキノコを挙げ、「キノコが出ている=専門家に見てもらう」と考えてほしい、とお伝えしています。
花のない季節にこそ、目を向けてほしい
桜(サクラ)などの花木は、お花見のシーズンに愛でるだけでなく、花のない季節にこそ目を向けていただきたいと思います。
桜(サクラ)の景観は、一朝一夕にできたものではありません。先人たちが植え、育ててきたこの風景を、次の世代へ渡していくために――花の向こう側にある「管理」にも、関心を持っていただけたらと思います。
よくある質問(Q&A)
Q1. 砧公園では2026年に何本の木が倒れましたか?
A. 報道では、2026年に入って計5本です。3月7日にサクラとみられる高木、3月8日にヒマラヤスギ、4月2日にサクラ、4月7日夜にコナラ2本が倒れました。東京都は4月9日から、園内の約5,000本の緊急点検を始めています。
Q2. 千鳥ヶ淵の桜の倒木は、いつ、どこで起きましたか?
A. 千代田区の発表では、2026年4月2日の明け方、千鳥ヶ淵緑道脇(三番町共用会議所前)の、国が管理する法面のソメイヨシノ1本が倒れました。区は緑道の一部を閉鎖し、水面の一部をコースロープで封鎖しました。
Q3. フジテレビ「Live News イット!」の取材では何を紹介しましたか?
A. アーボソニック3Dをはじめとする樹木診断機器を使った調査の手法と、解析結果の読み方を、当社の樹木医 髙尾がご説明しました。この取材の映像は、2026年4月10日の「めざましテレビ」でも使われています。
Q4. アーボソニック3Dとはどんな診断機器ですか?
A. 幹の周りに打ったセンサーの間を音(応力波)が伝わる時間を測り、腐朽や空洞の大きさと位置を推定する機器です。東京都の街路樹診断等マニュアルでは「多点式応力波速度測定器」と呼ばれ、結果は外観診断と照らして総合的に判断します。
Q5. ソメイヨシノは寿命60年で倒れるのですか?
A. 樹齢だけで倒れるわけではありません。青森県の天然記念物「弘前公園最長寿のソメイヨシノ」は明治15年(1882年)に植えられたとされ、手入れで伸びた不定根やひこばえが本体を支えています。倒木は腐朽や地盤などが重なって起きます。
Q6. 根元や幹にキノコが出ている木は危ないのですか?
A. 注意して見たいサインですが、すぐに倒れるわけではありません。国土技術政策総合研究所の手引きは、ベッコウタケを根株と根の腐朽で、コフキタケを幹の腐朽で被害の目立つ菌に挙げています。キノコが見つかったら、専門家に見てもらうことをおすすめしています。
Q7. 倒木が心配な木は、すぐに伐ったほうがよいですか?
A. 伐る前に、なぜ倒れそうなのかを診ることを勧めています。外観診断で疑わしい木を選び、必要な木は機器診断で幹の内部を確かめます。恐れるあまりの過剰な切り詰めは、樹木の回復力を奪い、かえってリスクを高めてしまうことがあります。
Q8. トシ・ランドスケープの樹木医は、ほかにどの番組で倒木について話しましたか?
A. 2026年3〜4月に、TBSテレビ「THE TIME,」「Nスタ」「上田晋也のサンデーQ」、テレビ朝日「サタデーステーション」「羽鳥慎一モーニングショー」で取材を受けました。2026年8月18日には「羽鳥慎一モーニングショー」に生出演しています。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
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