御簾垣(みすがき)とは、細い竹を横向きに並べて柱に固定した竹垣で、見た目が御簾(みす)に似ていることから、この名で呼ばれます(出典: JAANUS 日本建築・美術用語辞典「misugaki」)。
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御簾垣の作製をさせて頂きました。
この記事では、施工の記録とあわせて、御簾垣のつくり、ほかの竹垣との違い、柱の丸太を長持ちさせるための処理を、用語辞典や研究機関の資料をもとに説明します。
御簾垣とは──細い竹を横に重ねる竹垣
御簾垣は、
簾(すだれ)の形状に似ている事から
名がついた竹垣です。
晒竹(7分)の細い竹を用いる事で、
上品さと風通しの良さを両立しています。
日本建築・美術の用語辞典 JAANUS は、御簾垣を「簾垣(すだれがき)」とも呼ぶとし、細い竹を横向きに並べ、柱に縄で留めた竹垣と説明しています。柱には丸太のほか、細い竹を2本合わせたものや、約2cm離して立てた2本の柱が使われるとあります。使い道として挙げられているのは、庭の中の仕切り、見せたくない所の目隠し、庭の縁取りです。
竹の太さの「7分(七分)」は、尺貫法の呼び方です。1分は1尺の100分の1で、1尺はメートルの33分の10と定められていたので、七分はおよそ2.1cmにあたります(計量法施行法 第4条・第5条)。
建仁寺垣・四つ目垣との違い
同じ竹垣でも、竹の向きと組み方で姿が変わります。よく見かける竹垣と並べると、次のとおりです。
| 竹垣 | 竹の向きと組み方 | 辞典が挙げる特徴・使われ方 |
|---|---|---|
| 御簾垣(簾垣) | 細い竹を横向きに重ね、柱に縄で留める | 庭の中の仕切り、見せたくない所の目隠し、庭の縁取り |
| 建仁寺垣 | 幅3cmほどの割竹を縦にすき間なく並べ、横の押縁(丸竹4〜5段)に縄で結ぶ | 京都の建仁寺に由来する名で、竹垣の組み方の基本ともされる、江戸時代以降に広まった |
| 四つ目垣 | 青竹を縦と横に格子に組み、縄で結ぶ | 竹の格子の垣の総称、高さ1mを超えることは少なく、茶庭の内と外の仕切りに多い |
出典: JAANUS(Japanese Architecture and Art Net Users System)「misugaki 御簾垣」「kenninjigaki 建仁寺垣」「yotsumegaki 四目垣」
建仁寺垣の施工は「竹垣工事 建仁寺垣 穂垣」で紹介しています。
御簾垣のつくり──親柱の溝に竹を落とし込む
- 御簾垣 ホゾ バーナー
- 御簾垣
- 御簾垣
- 御簾垣
親柱の内側に縦溝を掘り、
そこに晒竹を横向きに落とし込み、
表と裏の両面からから縦の押縁で挟み込み結束します。
押縁(おしぶち)は、垣の竹を押さえて結び付けるための細長い材です。JAANUS は押縁を、縦に並べた竹(竪子)を結び付ける横材と説明し、竹の面の表と裏の両側に使うことが多いとしています。御簾垣は竹が横向きなので、この現場では押縁を縦に渡し、横の竹を表と裏から挟んで結束しました。

御簾垣の組み方(イラスト)。親柱の内側に彫った縦溝に細い竹を横向きに落とし込み、縦の押縁で表と裏から挟んで縄で結ぶ
柱の丸太を長持ちさせる──防腐剤の注入と焼き
柱(丸太)は、防腐処理(防腐剤タナリス注入)を行い、
表面をバーナーで焼いています。
防腐処理と焼き加工を行う事で無加工の丸太と比べて、
大幅に耐久性が向上します。
北海道立総合研究機構 林産試験場の解説によると、木材の劣化のうち生物による劣化は、木材腐朽菌と呼ばれる微生物やシロアリなどが起こし、それを防ぐために木材保存剤を使った処理(木材保存処理)が行われます。いま屋外の構造物に使われる保存処理木材の多くは、圧力をかけて保存剤を木材の中まで浸透させる「加圧注入処理」で作られています。日本で加圧注入処理の木材が本格的に使われ始めたのは明治5年とされ、新橋―横浜間に開通した鉄道の枕木に、クレオソート油を加圧注入した欧州アカマツが英国から輸入されて使われました。同じ解説によると、保存剤は1990年代の排水規制の強化をきっかけに、それまで多かったクロム・銅・ヒ素化合物系(CCA)から切り替わり、最近は銅系の保存剤で処理されたものの割合が高くなっています。
- 御簾垣
- 御簾垣
- 御簾垣
- 御簾垣
木戸の交換
木戸も経年劣化していた為、
交換致しました。
木戸は、垣に設ける簡素な開き戸です。JAANUS は庭の垣に設ける木戸について、茅などの軽い材料で作る素朴な趣のものと説明しています。
- 御簾垣 和風庭園
- 御簾垣 和風庭園
年末の門松の準備にお忙しい中、
発注と加工をご対応頂いた
竹屋の 山十さん
施工のご協力を下さった
タツガワ園芸 立川さん
ありがとうございました。
この御簾垣に使った材料
御簾垣
・焼き防腐剤注入丸太 2400mm 末口90mm
・晒竹 太さ:七分
・銅線
・黒棕櫚縄
木戸
ランマ・ウメ・ウグイス木戸
垣の本体の材料と、この記事で説明した役目を表にまとめると次のとおりです。
| 材料 | 寸法・太さ | 役目 |
|---|---|---|
| 焼き防腐剤注入丸太 | 長さ2400mm、末口90mm | 親柱、内側に縦溝を掘って竹の端を落とし込む |
| 晒竹 | 太さ七分(約2.1cm) | 横向きに重ねて垣の面をつくる |
七分の換算は計量法施行法 第4条・第5条による
まとめ
御簾垣は、細い竹を横に重ねて柱に留める竹垣です。竹が縦に並ぶ建仁寺垣や、格子の四つ目垣とは、竹の向きも使われ方も違います。この現場では、親柱の溝に晒竹を落とし込み、縦の押縁で表と裏から挟んで結束し、柱には防腐剤を注入して焼いた丸太を使いました。
よくある質問
Q1. 御簾垣と建仁寺垣の違いは何ですか。
竹の向きが違います。御簾垣は細い竹を横向きに重ね、建仁寺垣は割竹を縦にすき間なく並べて横の押縁に結びます(JAANUS)。
Q2. 御簾垣の竹は、どのように柱に留めますか。
この現場では、親柱の内側に縦溝を掘って晒竹を横向きに落とし込み、表と裏の両面から縦の押縁で挟み込んで結束しました。
Q3. 竹の太さの「七分」は、何cmくらいですか。
およそ2.1cmです。1分は1尺の100分の1で、1尺はメートルの33分の10と定められていました(計量法施行法 第4条・第5条)。
Q4. 竹垣の柱の丸太を長持ちさせる方法はありますか。
この現場では、防腐剤を注入した丸太の表面をバーナーで焼いて使いました。屋外で使う保存処理木材の多くは、圧力をかけて保存剤を浸透させる加圧注入処理で作られています(北海道立総合研究機構 林産試験場)。
株式会社トシ・ランドスケープ
個人のお宅では、大きく育った高木の剪定や特殊伐採、樹木医による樹木診断を承っています。お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
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出典・参考情報
・JAANUS「misugaki 御簾垣」、「kenninjigaki 建仁寺垣」、「yotsumegaki 四目垣」、「oshibuchi 押縁」、「kido 木戸」(Japanese Architecture and Art Net Users System)
・宮内輝久・森満範「加圧注入用木材保存剤の移り変わり」(北海道立総合研究機構 林産試験場『林産試だより』2009年4月号)
・計量法施行法(昭和26年法律第208号)第4条・第5条
































