樹上で体を支えるシステムは、カラビナやスイベル、プーリーといった小さな金具でつながっています。連載「アーボリストの基礎」の第6回では、ゲートの施錠の意味、刻まれた強さの表示の読み方、横向きの力が危ない理由を、日本の決まりを先に、海外の基準とあわせて樹木医が解説します。
この連載をお読みいただく前に
この記事は、ツリークライミングの仕組みと安全の考え方を紹介するものです。登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うもので、記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため決して行わないでください。
第3回では保護具を、第4回ではハーネスを、第5回ではロープを取り上げました。今回は、ハーネスとロープ、器具と器具をつなぐ金具の回です。カラビナは手のひらに収まる小さな部品ですが、ここが外れたり壊れたりすれば、ほかの道具がどれほど丈夫でも意味を失います。強さの具体の値と、カラビナの付け方・向きの合わせ方は、指導者が現場で道具を手に取って教えるもので、この記事には載せません。
カラビナとは ― 部品と部品をつなぐ「コネクタ」
日本の決まりでの呼び名
日本では、墜落を止める器具の規格「墜落制止用器具の規格」(平成31年厚生労働省告示第11号)が、フック・カラビナ・環のように部品どうしを連結する金具を、まとめて「コネクタ」と呼んでいます(第1条第4号。国際規格〈ISO〉の呼び名に合わせたもの)。厚生労働省の「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」は、コネクタのうち、かぎ形のものをフック、環状のものをカラビナと呼び分けています。ロープ高所作業(労働安全衛生規則第539条の3)の施行の通達も、「緊結具」の例にカラビナを挙げています。ただし、どれも建設などの高所の作業を前提にしたもので、樹上作業を名指ししてはいません。樹上作業にどの決まりが当たるかは、第20回で書きます。
海外での位置づけ
海外では、国際アーボリカルチャー協会(ISA)の木登りの資格(ISA Certified Tree Climber)の試験の範囲が、登はんの金具として、施錠式のカラビナとスナップ、プーリー、アッセンダー、機械式のヒッチなどを挙げています。英国の安全衛生庁(HSE)は、カラビナを吊り上げの機器として扱い、安全に使える荷重の表示と、定期の詳しい点検の対象にしています。
各部の名前
| 部の名前 | どこか | 役割・性質 |
|---|---|---|
| 背(スパイン) | ゲートの反対側 | 荷重を受ける骨組み/背に沿って引かれるときに強い |
| ゲート | 開け閉めする側 | ロープや器具を出し入れする口/開いた状態では大きく弱くなる |
| 鼻(ノーズ) | ゲートの先が収まる所 | 閉じたゲートを受け止める/引っかかりにくい形(キーロック)もある |
| 施錠のスリーブ | ゲートの外側の筒 | 閉じたゲートが開かないように留める |
| 長い軸(縦) | 背に沿った向き | 強さの表示の「縦」 |
| 短い軸(横) | 長い軸と直角の向き | 強さの表示の「横」/この向きの力には弱い |
出典: ペツル「ツリーケア カタログ 2026」、Petzl「Examples of dangerous carabiner loading.」、Kane・Ryan(2009)

カラビナの各部の名前。背(スパイン)・ゲート・鼻(ノーズ)・施錠のスリーブと、長い軸(縦)・短い軸(横)
形の違い
カラビナは、形によって向いている役目が違います。ペツルのカタログから代表的な形を挙げます(機種名は形の例で、当社の推奨ではありません)。
| 形 | カタログに書かれた向き先 | 機種名の例 |
|---|---|---|
| D型 | 器具の接続やランヤードの末端 | Am’D・Sm’D・Bm’D |
| オーバル(楕円) | 厚みのあるプーリーやロープクランプがなめらかに動く/引き上げのシステム | OK |
| 洋梨形 | 開口が広く、複数のロープやスリングを付けられる | WILLIAM |
| ゲート付きのリング | 丸い形で全方向の荷重に対応/器具に長い期間つなぐ | RING OPEN |
出典: ペツル「ツリーケア カタログ 2026」(コネクター)
ゲートと施錠 ― 「オートロック」とは何か
ゲートが不意に開けば、そこからロープや器具が外れます。そのためゲートには、閉じた口を留める仕組み(施錠)が付いています。
日本の決まり
日本では、墜落制止用器具の規格が、コネクタに「適切な外れ止め装置」を備えるよう求めています(第6条。取り外しができない形のものは除く)。日本産業規格 JIS T 8165「墜落制止用器具」は、対応する国際規格の一つに ISO 10333-5「自動で閉じ、自動で施錠するゲートのコネクタ」を挙げています。一方で、私が確かめた範囲では、日本の法令・告示・ガイドラインに、ゲートの自動の施錠を条文で求めた箇所は見当たりませんでした。日本の規格の元になった国際規格が、自動で閉じて施錠するゲートを前提にしている、という形です。
海外の基準
海外では、ISA が事務局を務める米国の樹木作業の安全基準 ANSI Z133 の改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)が、樹上で体を支えるシステム(ワークポジショニングや吊り下がりのシステム)に使うカラビナに、自動で閉じ、自動で二重に施錠し、施錠を外すのに少なくとも2つの続いた意図的な動作が要るゲートを求めています(8.1.9)。同じシステムのスナップフックにも、自動で閉じて自動で施錠することを求めています(8.1.8)。英国の HSE は、ロープとハーネスの主な接続に3段の動作で開くゲートのカラビナを使い、荷が意図せず外れるのを防ぐ、としています。
欧州の規格 EN 362(墜落防止のコネクタ)は、手を離すと自動で閉じるゲート、自動で閉じて施錠も自動でかかり、開けるには2つ以上の別々の続いた動作が要るゲート、自動で閉じて施錠は手で行うゲート、を言葉で分けています。この記事では、2つめのゲートを「オートロック」と呼びます。
なぜ自動で施錠するのか
ペツルの技術情報は、閉じきっていない、あるいは施錠が不十分なゲートは、ロープや器具などに押されて開くことがあり、こすれて施錠のスリーブが外れることもある、と注意しています。手で締めるねじ式の施錠には、締め忘れと、こすれによる緩みのおそれが残ります。自動で施錠する仕組みは、人の「うっかり」と、使っている間の「こすれ」の両方に備えるものだと、私は理解しています。一方でペツルは、開けやすさと施錠の確かさは釣り合いの関係にあり、いちばん確かな工具で締めるねじ式のリンク(クイックリンク)は現場では手早く扱えない、とも書いています。どの施錠を使うかは、その金具がシステムのどこで何を受け持つかで決まります。
| 施錠の種類 | 仕組み | 不意に開きにくいか | 樹上で人を支える所での扱い |
|---|---|---|---|
| 施錠なし(ストレートゲート) | ゲートはばねで閉じるだけ | 開きやすい | Z133 改訂案の求める形ではない |
| 手で施錠(ねじ式) | 自動で閉じ、施錠は手で行う | 締め忘れ・緩みのおそれが残る | Z133 改訂案は自動で二重に施錠する形を求める |
| 自動で施錠(2動作・3動作) | 閉じると施錠も自動でかかる/開けるには続いた複数の動作が要る | 開きにくい | Z133 改訂案が求める形(8.1.9) |
| 工具で締めるねじ式のリンク | ねじで閉じる環 | いちばん開きにくい | 長い期間つなぐ所に使う/Z133 改訂案はしっかり締めるよう定める(8.1.11) |
出典: Petzl「Carabiner basics」、EN 362 の要約版(エーデルリッド社)、ANSI Z133 改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)
刻まれた強さの表示の読み方 ― 3つの値は「向き」の違い
日本の決まり
日本では、墜落制止用器具の規格が、コネクタを含む部品の強さを定め(第4条)、試験の方法は JIS T 8165 の引張試験と耐力試験によるとしています。JIS T 8165 には、部品の表示の項(10.2)もあります。この記事では、強さの値そのものは書きません。
海外の規格と、刻印の3つの値
海外では、ANSI Z133 の改訂案が、ロープやつなぐ金具、リギングの器具について、器具の表示か、メーカーが示す荷重の定格を守るよう定めています(9.2.6)。表示を読めることが、決まりを守る前提になります。
欧州の登山用のカラビナの規格 EN 12275 は、強さの最低の要求を、長い方向にゲートを閉じた状態、長い方向にゲートを開いた状態、横の方向、の3つで決めています。墜落防止のコネクタの規格 EN 362 も、軸の向きとゲートの状態で分けて強さを決めています。カラビナに刻まれる「縦」「ゲートを開けたとき」「横」の3つの値は、この試験の向きに当たります。ペツルのカタログも、破断強度を「縦軸」「オープンゲート」「横軸」の3つで示しています。
| 刻印の値 | 力の向き | ゲートの状態 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 縦 | 長い軸(背に沿う向き) | 閉じている(施錠も効いている) | 3つの中でいちばん大きい/頼れるのはこの値だけ |
| ゲートを開けたとき | 長い軸 | 開いている | 縦よりずっと小さい |
| 横 | 短い軸(背とゲートをまたぐ向き) | 閉じている | 縦よりずっと小さい |
出典: EN 12275・EN 362 の要約版(エーデルリッド社)、ペツル「ツリーケア カタログ 2026」、Petzl「Examples of dangerous carabiner loading.」

背に刻まれた強さの表示の3つの値。縦・ゲートを開けたとき・横(値は伏せた)
ペツルの技術情報は、縦に使う作業で頼れるのは、長い軸にかかり、ゲートを閉じたときの値だけだと書いています。刻まれた数字は、「どの向きに、どんな状態で引かれたときの強さか」を3つ並べたものです。同じカラビナでも、向きと状態が変われば強さが変わる。強さの表示から読み取りたいのは、この一点です。
刻印には、規格の番号と、その中の区分を表す文字も刻まれます。EN 362 では、B が基本のコネクタ、M が長い軸にも短い軸にも荷重を受けてよい多用途のコネクタ、Q がねじで閉じて長い期間の接続に使うコネクタ、といった区分です。記号の意味は、使う製品の取扱説明書で確かめます。
横向きの力・ゲートへの力が危ない理由
日本のガイドライン ― フック等は「引張りの向き」で性能を決めたもの
日本では、厚生労働省の墜落制止用器具のガイドラインが「フック等の使用方法」の項で、この原理をはっきり書いています。フック等は、ロープの取付部とかぎ部の中心にかかる引張りの荷重で性能を決めたもので、曲げの荷重や、外れ止め装置への外からの力には、大きな荷重に耐えられない。そのことを理解して使う、というのがガイドラインの考え方です。
同じ項は、構造物に回して掛けると横方向の曲げの荷重や、鋭い角での力の集中で壊れるおそれがあること、ねじれたロープが外れ止め装置に絡むと、外れ止め装置が変形・破断して外れることがあることも挙げています。金具は「決められた向きに、まっすぐ引かれる」ことを前提に強さが決まっている、ということです。このガイドラインも樹上作業を名指ししてはいませんが、金具の原理は同じです。
海外の基準と研究
海外では、ANSI Z133 の改訂案が、樹上で体を支えるシステムのカラビナに、ゲートを閉じた状態で長い軸にかかる荷重に、壊れたり、ゲートが開くほど変形したりせずに耐えることを求めています(8.1.9)。あわせて、カラビナとスナップフックは、そう設計されているか、メーカーが認めている場合を除き、互いに直接つながないと定めています(8.1.10)。枝を吊り降ろすリギングでも、カラビナを使うときは、ゲートと短い軸に荷重がかからないようにする、としています(9.2.6)。
ISA の学術誌 Arboriculture & Urban Forestry に載った研究(Kane・Ryan、2009年)は、木登りの人が使ったカラビナの残っている強さを調べたもので、カラビナが規格の最低の強さを満たすのは、背に沿って荷重を受け、ゲートが閉じているときだけだと説明しています。荷重が背から離れると曲げの形になって強さが下がり、ゲートが開いた状態では大きく弱くなります。ISA の資格の試験の範囲も、カラビナの横からの荷重とゲートの不意の開きを防ぐことを、知識と技能の両方で問うています。
危ない力のかかり方
メーカーのペツルは、技術情報で、カラビナに危ない力がかかる場面を、外れる危険と壊れる危険に分けて挙げています。中身を短くまとめると、次のとおりです。
| 場面 | 起きること |
|---|---|
| ゲートが開いたまま力がかかる | 強さが大きく下がる/外れる |
| 短い軸に力がかかる(横向きの力) | 曲げの形になり、強さが下がる |
| いくつもの方向から引かれる | 軸どうしの角度によって強さの下がり方が変わる |
| 角に掛かる | 力が狭い所に集まる |
| 力がゲートの側に寄る | 背から遠いほど弱い/洋梨形で起きやすい |
| てこのように力がかかる | 試験しきれない形があり、取付先も傷めうる |
| 施錠のスリーブが押される | スリーブはカラビナのいちばん弱い所 |
| 施錠のスリーブがこすれる | 施錠が外れ、ゲートが開く方へ向かう |
出典: Petzl「Examples of dangerous carabiner loading.」

力の向きの違い。○ は縦でゲートを閉じて施錠した状態、× は横向き・ゲートが開いたまま・ゲートの側に寄る力・角に掛かる力
ペツルは、正しく装備した1人の縦の作業でカラビナが壊れるほどの力はまれだとしながら、位置の悪いカラビナでは、どんな墜落でも、その破断の強さに近い力が出うる、と注意しています。危険を減らす考え方として挙げているのは、合った形と施錠のカラビナを選ぶこと、位置を保つ付属品(CAPTIV・TANGA など)を使うこと、使っている間も確かめ続けること、です。どの向きでどう付けるかは、指導者のもとで道具を手にして習うことです。
点検とのつながり
先の Kane・Ryan の研究では、定格より低い値で壊れたものはありませんでしたが、ゲートが固くて閉じきらないものがありました。著者は、見た目では強さの低下は分かりにくいので、とくにゲートの動きを念入りに確かめるよう勧めています。日本のガイドラインも、点検の項で、金具の摩耗・亀裂・変形などとあわせて、回転部や摺動部、ばねの状態を確かめるよう求めています。点検と記録の考え方は、第8回で書きます。
スイベルとプーリー ― 回る金具と、ロープを流す滑車
日本では、墜落制止用器具のガイドラインが、保守として、金具の回転部や摺動部に定期的に油を差し、砂や泥を取り除くよう求めています。ロープ高所作業の施行の通達には、支持物や滑車、カラビナでロープの向きを変える「ディビエーション」という言葉が出てきます。どちらも樹上作業を名指ししたものではありません。
海外では、ISA の資格の試験の範囲が、登はんの金具として、プーリーと、ヒッチを送るプーリーを挙げています。ANSI Z133 の改訂案の登はんの章には、スイベルやプーリーそのものを定めた条は見当たりませんでした。役割は、メーカーの資料で確かめます。
| 器具 | 役割 | 入っている所・機種名の例 |
|---|---|---|
| スイベル | 回っても、ロープやランヤードがねじれたり絡まったりしないようにする | SWIVEL(荷物が回ったときのロープのねじれを防ぐ)・SWIVEL OPEN |
| 荷重がかかると止まるスイベル | 荷重がかかっていないときは回り、荷重がかかると止まって器具の位置を保つ | MICRO SWIVEL |
| 器具の下の穴のスイベル | 器具を正しい位置に保ち、ロープを器具の中でなめらかに流す | ZIGZAG PLUS(下の穴が固定の ZIGZAG は、器具の向きが常に同じに保たれる) |
| プーリー(滑車) | ロープの向きを変え、摩擦を減らしてロープをなめらかに流す | SPIN(スイベル付きで、荷重がかかったまま向きを変えられる)・MOBILE・FIXE |
| 器具の中のプーリー | 支点やランヤードの調節器で、ロープの流れをなめらかにする | フォールスクロッチの EJECT・NAJA、ランヤードの調節器 ZILLON |
出典: ペツル「ツリーケア カタログ 2026」(機種名は仕組みの例で、当社の推奨ではありません)

スイベル(上下が互いに回る金具)とプーリー(軸のまわりを滑車が回る)
同じ ZIGZAG でも、下の穴が固定のものとスイベル付きのものがあるように、スイベルは「回すため」にも「向きを保つため」にも使われます。ZIGZAG のような摩擦で体を止める器具の仕組みは、次の第7回で書きます。枝を吊り降ろすリギングでもプーリーを使いますが、人を支えるロープとは別のシステムで、考え方は第18回で書きます。

切った枝を吊るリギングロープは滑車を通り、人を支えるメインロープとは別の系統
職人の視点 ― 小さな金具ほど、目で確かめる
現場での経験から言うと、カラビナは、道具の中でいちばん手に馴染む道具です。毎日触っていると、ゲートが閉じる音や手の感触だけで、閉まったと思い込みやすくなります。小さな金具ほど、目で確かめることを省かない。私は、そういう職人でありたいと思っています。
もう一つは、ゲートの戻り方の変化です。ISA の学術誌の研究でも、使ったカラビナの中に、ゲートが固くて閉じきらないものが見つかっています。私の感覚では、ゲートの戻りが重くなった、どこかで引っかかる、といった小さな変化は、同じ道具を毎日触っている人がいちばん先に気づけます。植木職人が自分の鋏や鋸の切れ味の変化に気づくのと同じで、道具の変化に気づく手を育てることも、仕事のうちだと思います。
当社では、人を支えるシステムに使う金具と、枝を吊り降ろすリギングに使う金具を分けて持っています。カラビナは、人を支えるシステムにはアルミ製、リギングにはスチール製を使い分けています。
新人のための確認
この回で覚える名前
- コネクタ(フック・カラビナ・環)
- カラビナの各部: 背(スパイン)・ゲート・鼻(ノーズ)・施錠のスリーブ
- 長い軸(縦)と短い軸(横)
- 自動で施錠するゲート(オートロック)と、手で施錠するゲート(ねじ式)
- スイベル・プーリー(滑車)
- 決まりと規格の名前: 墜落制止用器具の規格・JIS T 8165・EN 362・EN 12275・ANSI Z133
理解しておく考え方・決まり
- 刻まれた3つの値は、向きと状態の違い。頼れるのは、縦・ゲートを閉じたときの値だけ
- 横向きの力、ゲートへの力、角に掛かる力は、カラビナを弱くし、外れや破断につながる
- ゲートは押されたりこすれたりして開くことがある。自動で施錠する仕組みはそれに備える
- カラビナとスナップフックは、そう設計されているか、メーカーが認めた場合を除き、直接つながない(ANSI Z133 改訂案)
- 強さの低下は見た目では分かりにくい。ゲートの動きも確かめる
- スイベルは、ねじれと絡まりを防ぐ。プーリーは、ロープの向きを変え、なめらかに流す
指導者のもとで習う項目
- カラビナの付け方と向きの合わせ方
- 使う前の点検(ゲートと施錠の動き)
- 当社で使う金具と、その使い分け
- スイベルとプーリーの扱い
よくある質問(Q&A)
Q1. カラビナに刻まれた3つの数字は何ですか?
A. 縦(長い軸にゲートを閉じて引いたとき)、ゲートを開けたとき、横(短い軸に引いたとき)の、3つの向きと状態での強さです。欧州の規格は、この向きごとに強さの要求を決めています。縦の値がいちばん大きく、ゲートを開けたときと横はずっと小さくなります。ペツルの技術情報は、縦に使う作業で頼れるのは、長い軸にかかりゲートを閉じたときの値だけだとしています。
Q2. オートロックのカラビナとは何ですか?
A. 手を離すとゲートが自動で閉じ、施錠も自動でかかり、開けるには2つ以上の続いた動作が要るカラビナです。米国の樹木作業の安全基準 ANSI Z133 の改訂案は、樹上で体を支えるシステムのカラビナに、自動で閉じて自動で二重に施錠するゲートを求めています。英国の安全衛生庁(HSE)は、ロープとハーネスの主な接続に、3段の動作で開くゲートのカラビナを使うとしています。
Q3. カラビナに横向きの力がかかると、なぜ危ないのですか?
A. カラビナは、背(スパイン)に沿ってまっすぐ引かれたときに強いように作られているからです。横から引かれると曲げの形になり、強さが下がります。厚生労働省の墜落制止用器具のガイドラインも、フック等は引張りの向きで性能を決めたもので、曲げの荷重や外れ止め装置への外からの力には、大きな荷重に耐えられないとしています。
Q4. スイベルとプーリーは、何のための器具ですか?
A. スイベルは、回転でロープやランヤードがねじれたり絡まったりするのを防ぐ金具で、荷重がかかると回転が止まって器具の位置を保つものもあります。プーリーは滑車で、ロープの向きを変え、摩擦を減らしてロープをなめらかに流します。フォールスクロッチやランヤードの調節器の中に入っているものもあります。
Q5. この記事を読んで、自分で木に登ってもよいですか?
A. 記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため行わないでください。この連載は仕組みと安全の考え方を紹介するもので、登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うものです。高い木の手入れでお困りの場合は、専門の業者にご相談ください。
出典・参考情報
- 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日 基発0622第2号)
- 厚生労働省「安全帯の規格の全部を改正する告示の施行について」(平成31年1月25日 基発0125第2号。墜落制止用器具の規格〈平成31年厚生労働省告示第11号〉の施行通達)
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」(第539条の3)、ロープ高所作業に関する施行通達(平成27年8月5日 基発0805第1号、中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター)
- 日本産業規格 JIS T 8165:2018「墜落制止用器具」(日本規格協会)
- International Society of Arboriculture「ANSI Z133 改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)」(最新版は Z133-2026。本文の記述は改訂案による)
- International Society of Arboriculture「ISA Certified Tree Climber Examination Outline」
- Kane, B., Ryan, H. D.「Residual Strength of Carabiners Used by Tree Climbers」Arboriculture & Urban Forestry 35(2): 75–79(2009年)
- Health and Safety Executive(英国)「Lifting equipment in arboriculture」
- EN 362「Personal protective equipment against falls from a height — Connectors」の要約版、EN 12275「Mountaineering equipment — Connectors」の要約版(いずれもエーデルリッド社による抜粋・簡略版)
- ペツル「ツリーケア カタログ 2026」(日本語版)
- Petzl「Examples of dangerous carabiner loading.」「Carabiner basics」
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次回の第7回は、摩擦で体を止める仕組み、フリクションヒッチと機械式の器具の役割と違いを取り上げます。
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この記事は、ツリークライミングの仕組みと安全の考え方を紹介するものです。登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うもので、記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため決して行わないでください。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
※ 「アーボリスト」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、樹木の手入れを専門とする職業(英語の arborist)を指す言葉として使っています。
※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。
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