剪定をしていないかのようなその樹木らしい枝ぶりを意識した
自然風剪定で1年を通じて優しい枝ぶりを維持しています。
この記事では、当社が「自然風剪定」と呼んでいる剪定の考え方を、行政の剪定マニュアルに書かれた「その木らしさ」「頂部優性」「剪定の時期」とあわせてご紹介します。
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紅葉したモミジの枝を剪定する作業員
自然風剪定とは──樹種ごとの「その木らしさ」を残す剪定
樹木には、樹種ごとに決まった育ち方の形があります。埼玉県の「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)は、樹木は樹種によって「その木らしさ」を感じさせる特有の樹形をもっているとし、樹種のもつ自然樹形を尊重した樹形づくりを意識して、目標とする樹形を決めるよう求めています。
同じマニュアルは、剪定の基本を忠実に守ることで、枝の元から先に向かってしだいに細くなる、自然な柔らかい枝の姿を保てると書いています。「剪定をしていないかのような」枝ぶりとは、切った跡が目立たず、枝先まで細く柔らかくつながっている姿のことです。

同じイチョウの四つの形。左から、伸び伸び育った自然樹形、それを相似形に小さくした形、切り詰めを重ねた人工的な形、刈り込んだ人工的な形
マニュアルは、管理の目標とする樹形を、自然樹形をモデルにするのか、人工的な形にするのかを、少なくともはっきりさせておく必要があるとしています。自然樹形をモデルにする場合の剪定は、目標によって次の4つに分けて説明されています。
| 目標のタイプ | 目標 | 剪定の方法の要点 |
|---|---|---|
| 育成タイプ | 自然樹形を保ちながら、今の樹形を大きくする | 枝透かし剪定と切返し剪定が基本、切詰剪定は原則として行わない |
| 維持タイプ | 自然樹形を保ちながら、大きさも保つ | 切返し剪定が原則、切り替える枝を育てながら長く伸びた枝を短い枝に切り替えていく |
| 縮小タイプ | 自然樹形を保ちながら、コンパクトに縮める | 切返し剪定と枝おろし剪定・枝透かし剪定が基本 |
| 樹形再生タイプ | 乱れた樹形を作り直し、自然樹形を取り戻す | すべての手法を使って主枝を作り直し、剪定後3年程度は伸びてくる枝の管理を続ける |
出典: 埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月) p.3-9・4-4・4-6〜4-8(元の図表は建設省土木研究所・日本造園建設業協会「街路樹剪定の手引き」平成11年ほか)
1年を通じて同じ枝ぶりを保つ自然風剪定は、この表の「維持タイプ」の考え方に近いものです。長く伸びた枝をいきなり途中で切るのではなく、代わりになる短い枝を育てておき、その枝に切り替えていきます。切り方の違いは「渋谷区恵比寿 自然風樹形での植栽管理」でも紹介しています。
頂部優性──上を軽く、下を厚く残す
樹木は一般に、日の光を十分に受ける上の方がよく伸び、下の枝は上の枝の陰になって弱り、枯れ上がっていきます。この性質を「頂部優性」といいます。マニュアルは、この性質を意識して上の方の枝葉を強めに、下へ行くほど弱く剪定すること、下の枝は衰えて無くなると再び出てくることがあまり望めないため慎重に扱うことを、剪定の基本に挙げています。
残す枝の割合の目安として、樹冠を上・中・下の三つに分け、上方の枝・中間の枝・下方の枝を1:2:3で残す考え方が示されています。上の枝葉の密度を低くし、下に十分な緑を残すと、重心が下にある落ち着いた樹形になり、上の方が風を受けにくくなることから、風で倒れる危険を減らす面からも有効とされています。

図: 樹冠の上・中・下で残す枝の割合の目安(出典: 埼玉県「街路樹剪定マニュアル」p.4-2・5-13 図5-8)
モミジなど落葉樹の剪定の時期
写真は、紅葉したモミジの枝を剪定しているところです。剪定の時期について、同じマニュアルは、樹木が活動している期間に剪定すると傷みが大きく、休眠期やゆるい生長期に行えば痛手を最小限にできるという日本の庭師の伝統的な考え方を紹介し、落葉樹の剪定の適期を、晩秋から早春の芽出し前までの落葉期間としています。この時期の剪定は「冬期剪定」と呼ばれ、枝のバランスを見ながら木全体の骨格をつくります。
夏に行う「夏期剪定」は、冬に剪定した枝から伸びた枝の密度を整えるもので、葉が付いている時期に行うため、枝葉を切る量は全体の1/3以下にするとされています。また、春の若葉が開く時期の剪定、夏の強い剪定、葉がまだ青い秋の早い時期の剪定、暖地性の常緑広葉樹の厳冬期の剪定は、避けなければならない剪定として挙げられています。

図: 剪定の時期の目安。月は東京近郊の目安で、地域とその年の気候で前後する(出典は図の下部)
まとめ
自然風剪定は、樹種ごとの「その木らしさ」を目標にして、枝を切り替えながら、上を軽く下を厚く残し、木の一年の中で負担の少ない時期を選んで手を入れる剪定です。剪定をしていないかのような枝ぶりは、一度の剪定ではなく、毎年の積み重ねで保たれています。
よくある質問
Q1. 自然風剪定とは、どんな剪定ですか?
A. 樹種ごとの自然な樹形を目標にして、長く伸びた枝を短い枝に切り替えたり、混み合った枝を分かれ目で間引いたりしながら、剪定をしていないかのような、その木らしい枝ぶりを保つ剪定です。
Q2. 頂部優性とは何ですか?
A. 樹木の上の方がよく伸び、下の枝が弱りやすい性質のことです。埼玉県の街路樹剪定マニュアルは、上の枝を強めに、下へ行くほど弱く剪定し、上・中・下で残す枝の割合を1:2:3とする目安を示しています。
Q3. モミジなど落葉樹の剪定は、いつ行うのがよいですか?
A. 埼玉県の街路樹剪定マニュアルは、落葉樹の剪定の適期を、晩秋から早春の芽出し前までの落葉期間としています。春の若葉が開く時期や、葉がまだ青い秋の早い時期の剪定は避けるべきとされています。
出典・参考情報
・埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.3-7・3-9・4-4・4-6〜4-8・5-1・5-3・5-4・5-13
自然風剪定の記録
・渋谷区恵比寿 自然風樹形での植栽管理
・シンボルツリーのケヤキ剪定 東京都渋谷区恵比寿
・高木樹木 樹木医による自然樹形を活かした剪定管理業務
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