雨水浸透マス 設置工事

水辺 ヤシ 澄んだ水 雨水浸透マス 設置工事 排水
お庭の排水不良等が原因で、お客様より雨水浸透マスの設置のご相談が増えております。

この記事では、お庭に設置した雨水浸透ますの施工の様子とあわせて、雨水浸透ますのしくみ、設置できない場所と注意点、点検と清掃、植栽地の水はけとの関係を、東京都下水道局のハンドブックなどの公的な資料をもとにまとめています。

都市化と雨水──雨水浸透ますが勧められる理由

近年都市化が進んでいく中で、地中への雨水が浸透する量が減ったため、
下水道に流れ込む雨水の量が増えています。
良くニュースなどにもなっていますが、
局地的な集中豪雨などの際には、下水道管に流れ込む量が雨水を流す能力を超えた際に
マンホールなどから溢れ、都市型の浸水被害が起きています。

雨水浸透ますの設置によって、
雨水は地中へと浸透していきます。

そして設置により下記の様な効果が期待できます。

■下水道への雨水流入の軽減
■地下水などの涵養。自然環境の保全及び回復
■川・井戸水など等の水循環の保全
■大雨時など浸水被害の抑制

東京都下水道局の「雨水浸透ハンドブック」(令和6年3月)は、宅地に雨水浸透施設を設けたときの効果を、次のように説明しています。

効果 ハンドブックの説明
浸水被害の軽減 地中に浸透した分の雨水が下水道や河川に流れ込まなくなり、溢水や内水氾濫を軽減できる
合流式下水道の改善 大雨のときにポンプ所などから河川に放流される、汚水混じりの雨水が減る
温室効果ガスの削減 ポンプ所や水再生センターで扱う水が減り、エネルギーの使用量が減る
地下水のかん養 地下水をかん養する効果もある

出典: 東京都下水道局「雨水浸透ハンドブック」(令和6年3月)はじめに

雨水浸透ますのしくみ──ます本体・充填砕石・透水シート

雨水浸透ますは、ますの周りを砕石で埋め、集めた雨水を、ますの側面と底面から地中へしみ込ませる施設です。ハンドブックでは、ます本体はプラスチック製かコンクリート製、内径または内のりは30〜50cmの円形か角形を標準とし、底はモルタルなどでふさがず、点検・清掃しやすい形にすることとされています。千葉県の解説では、ます本体・充填砕石・敷砂・透水シートなどで構成され、砕石の上面の透水シートは、浸透施設に土砂が流れ込むのを防ぐためのものと説明されています。

雨水浸透ます しくみ 断面 充填砕石 透水シート 敷砂 グレーチング

図: 雨水浸透ますのしくみ(出典: 東京都下水道局「雨水浸透ハンドブック」、千葉県の解説をもとにした模式図)

今回の施工の写真は、グレーチングのふたを付けた完成の様子、掘った穴と砕石へのます本体の据え付け、埋め戻し前のますの上部などです。

大地に雨水を浸透させて、
地下水に涵養させます。
少しでも雨水の有効活用と
循環の手助けになればと思います。
浸透桝もサイズや形状、素材など様々な商品が御座いますので
お庭や緑地帯のスペースなどに応じてお選びいただけます。

雨水浸透ますを設置できない場所と、設置の注意点

雨水浸透ますは、どこにでも設置できるわけではありません。ハンドブックに書かれている主な注意点を表にまとめました。

注意点 ハンドブックの内容
設置が制限される区域 急傾斜地崩壊危険区域、地すべり防止区域
設置に注意を要する区域 砂防指定地、土砂災害警戒区域・特別警戒区域、土砂災害危険箇所、土壌汚染区域
地下水位 地下水位が高い場所には設置しない、地下水面から50cm以上離す
建物・埋設物との距離 建物の基礎から30cm以上か、掘る深さに相当する距離を離す、地下埋設物からは原則30cm以上離す
斜面の近く のり面や擁壁の安全性を損なうような傾斜地の近くには設置しない
流してよい水 原則として屋根の雨水を集め、汚水を誤って接続しないよう、ふたに「雨水」などと示す

出典: 東京都下水道局「雨水浸透ハンドブック」(令和6年3月)第3章・第4章。各区が別に基準を定めている場合は、区の基準が優先されます。

植栽地に設置するときの注意も、千葉県の解説に書かれています。浸透ますには周りの土砂がふたの上から入り込むことが多いため、裸地や植栽地、くぼんだ地形に設置する場合は、ますを地盤より5cm程度高くし、周りに芝などを張ることや、ゴミを取り除く装置を設計の段階で考えておくことが必要とされています。

点検と清掃

ハンドブックでは、雨水浸透施設は目詰まりなどで浸透の働きが落ちることがあるため、設置した人が点検・清掃を行うよう求めています。方法は、土砂やゴミ、落ち葉の清掃と、ゴミを取り除くフィルターの詰まりの解消です。高圧洗浄機を使うときは、細かな土を浸透面に押し込まないよう、洗浄の圧を調整します。

助成の制度と、公共雨水浸透ます

東京23区の一部の区には雨水浸透施設の助成の制度があり、条件を満たせば工事費の一部が助成されます。雨水浸透ます1か所でも使える場合があります。また、下水道局は、設置の基準を満たし浸透に適した場所であれば、公道の中に「公共雨水浸透ます」を無償で設置しています。条件は区や下水道局に確かめる必要があります。

植栽地の水はけと樹木の根

植栽地の水はけは、樹木の生育にも関わります。国土技術政策総合研究所の「街路樹の倒伏対策の手引き」第2版では、植栽基盤の土壌調査の項目に排水性と透水性があり、透水性の改善の目標は、長谷川式簡易現場透水試験器で100mm/hr以上とされています。水はけを良くする方法として、次のような工法が示されています。

工法 内容
開渠排水 植栽基盤の周りに溝を設け、地表水を流し、外からの地表水の流入を防ぐ
暗渠排水 植栽基盤の下に中空の管などを設け、地中の水を流す
縦穴排水 不透水層のある植栽樹木の周りや植穴の下に縦穴を掘り、管や砂などを入れて透水性と通気性を改善する
空気管の設置 植穴の下層から表層へ空気管を設け、根腐れなどを防ぐ

出典: 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(2019年2月)表-2.7・表-2.8(「植栽基盤整備マニュアル」〈国土交通省監修、日本緑化センター、2009〉をもとに作成されたもの)

水はけの測り方は「長谷川式簡易現場透水試験器で水はけを測る」で、土が原因で樹木が弱るしくみは「土が原因で樹木が弱るとき」で解説しています。

ご依頼頂きありがとうございました。

よくある質問

Q1. 雨水浸透ますとは何ですか?

A. ますの周りを砕石で埋め、雨どいなどから集めた雨水を、ますの側面と底面から地中へしみ込ませる施設です。下水道へ流れ込む雨水を減らし、浸水被害の軽減や地下水のかん養につながります。

Q2. 雨水浸透ますは、どこにでも設置できますか?

A. 設置できない場所があります。東京都下水道局のハンドブックでは、急傾斜地崩壊危険区域や地すべり防止区域では設置が制限され、地下水位が高い場所や、のり面・擁壁の安全性を損なうような傾斜地の近くには設置しないこととされています。

Q3. 雨水浸透ますの手入れは必要ですか?

A. 必要です。目詰まりで浸透の働きが落ちることがあるため、土砂やゴミ、落ち葉の清掃と、ゴミを取り除くフィルターの詰まりの解消を行います。

出典・参考情報

・東京都下水道局「雨水浸透ハンドブック」(令和6年3月)
・千葉県「千葉県における宅地開発等に伴う雨水排水・貯留浸透計画策定の手引の解説」6章 貯留浸透施設の構造(平成18年9月)
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)

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