樹上の職人が着けるハーネスは、落ちたときに体を止める建設現場のフルハーネスとは、目的の違う道具です。連載「アーボリストの基礎」の第4回では、ツリーケア用のハーネスの各部の名前と役割、建設用との違いを、日本の法令を先に置いて、樹木医が解説します。
この連載をお読みいただく前に
この記事は、ツリークライミングの仕組みと安全の考え方を紹介するものです。登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うもので、記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため決して行わないでください。
第3回では、頭と体を守る保護具を書きました。今回は、樹上で体を支える道具の中心、ハーネスです。
ツリークライミングのシステムの中で、人の体と、ロープや器具との間に入るのがハーネスです。この回では、各部の名前と、それぞれがシステムのどこを受け持つかを書き、建設現場のフルハーネス型の墜落制止用器具との違いを、日本の法令と指針を根拠に比べます。着け方や合わせ方、器具のつなぎ方は、指導者が現場で直接教えるもので、この記事には載せません。
樹上のハーネスは「体を預けて座る」ための道具
日本の法令の言葉で言うと
厚生労働省の「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日)は、ロープなどの張力によって、U字つりの状態などで体を保ちながら行う作業を「ワークポジショニング作業」と呼んでいます。
樹上の職人は、ハーネスに腰を下ろすように体重を預け、ロープの張力で体を作業の位置に保って、両手で鋸や鋏を使います。法令の言葉に当てはめれば、この姿はワークポジショニングの考え方に近いものです。ただ、労働安全衛生規則もガイドラインも樹上の作業を名指ししておらず、どの決まりが当たるかは第20回で書きます。

ハーネスに腰を預け、幹に足を当てて枯れ枝を切る。体を預けるので両手が作業に使える
メーカーの取扱説明書では
樹上用のハーネスの代表的な機種に、ペツル社(フランス)の SEQUOIA(セコイア)があります。その日本語の取扱説明書は、この製品を「ツリーケア用のシットハーネス」であり、ワークポジショニングとレストレインのためのウエストベルトだと説明し、墜落を止める用途(フォールアレスト)には適さないとしています。シットハーネスは、腰と脚で座るように体を支える型のハーネスです。「落ちたら止める」のではなく、「体を預けて、その位置で働く」ための道具です。
海外では
海外では、ISA(国際アーボリカルチャー協会)が事務局を務める米国の樹木作業の安全基準 ANSI Z133 の改訂案(2024年1月の公開レビュー版)が、木登りの器具の節は、ワークポジショニングと吊り下がり(suspension)のシステムに当てはまる、としています。同じ改訂案は、アーボリスト用のサドル(樹上用のハーネスの英語での呼び名)が規格に合い、その表示があることを確かめるよう求め、米国の規格 ASTM F887 を例に挙げています。ASTM F887 も、アーボリスト用サドルを「ワークポジショニングと吊り下がり」のための型として定めています。
この回に出てくる言葉を、意味と英語の呼び名で並べておきます。
| 言葉 | 意味 | 英語での呼び名 |
|---|---|---|
| ワークポジショニング | ロープなどの張力で、体を作業の位置に保つこと | work positioning |
| レストレイン | 墜落のおそれのある所へ体が行かないよう、動ける範囲を制限すること | restraint |
| 吊り下がり | ロープに吊られた状態で作業すること | suspension |
| 墜落制止(フォールアレスト) | 墜落したときに、体を受け止めて止めること | fall arrest |
| アーボリスト用サドル | 樹上の作業に使うシットハーネス | arborist saddle |
(出典: 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」、ペツル SEQUOIA 取扱説明書、ANSI Z133 改訂案、ASTM F887 をもとに当社でまとめた)
ハーネスの各部の名前と役割
日本の法令や指針が定めているのは、フルハーネス、胴ベルト、ランヤード、コネクタ(フックやカラビナなど)といった墜落制止用器具の言葉で、樹上用のハーネスの部位の名前は出てきません。この回では、部位の名前を SEQUOIA の日本語の取扱説明書の呼び名にそろえ、受け持つものを表にします。メーカーや機種によって、部位の形や呼び名は変わります。
| 部位(取扱説明書の呼び名) | どんな部位か | システムの中での受け持ち |
|---|---|---|
| ウエストベルト | 腰を包む幅の広いベルト、ほかの部位の土台 | レッグループとともに、座る形で体重を受ける |
| レッグループ | 左右の腿に回る輪 | ウエストベルトとともに、座る形で体重を受ける |
| バックル | ウエストベルトとレッグループを留める金具、不意に開きにくい仕組み付き | ハーネスを体に保つ |
| アタッチメントブリッジ | 腰の前に渡した、ロープやテープでできた短い橋 | リングやランヤードなどを付けられる動く接続点、当社の職人のハーネスではメインロープの系統を受け持つ |
| リング | ブリッジに付ける輪 | ブリッジに直接付けると、動きがなめらかになる |
| アタッチメントポイント(ブリッジの両端) | ブリッジの両端を受ける左右の取付点 | ブリッジにかかった体重を、ハーネスの本体へ伝える |
| 側部アタッチメントポイント(サイドD環) | 腰の左右の金具 | ワークポジショニング用ランヤードを受け持つ、左右2つで1組 |
| ギアループ・ツールホルダー用スロット | 腰のまわりに並ぶ道具掛けの輪と取付部 | 道具を下げるだけ、人の確保には使わない |
| ショルダーストラップ・チェストハーネスの取付部 | 肩のベルトや、胸のハーネスを付ける所 | 肩のベルトは荷重を分ける付属品、胸のハーネスは組み合わせて使う別の製品 |
(出典: ペツル SEQUOIA 取扱説明書(C0223900B)、ペツル「ツリーケア カタログ 2026」(日本語版)、当社の職人の使い方をもとに当社でまとめた)

ツリーケア用のシットハーネスの各部の名前
ブリッジとリング ― 体の向きに合わせて動く接続点
腰の前のブリッジは、金具ではなく、ロープやテープでできた短い橋です。当社の職人のハーネスでは、ブリッジに付いたリングが、メインロープの系統を受け持ちます。ペツルのカタログは、ブリッジは横の動きを滑らかにし、体をひねったときに動ける範囲を広げるもので、ブリッジにリングを直接付けると動きがなめらかになる、と説明しています。ブリッジにかかった体重は、両端の取付点を通ってウエストベルトとレッグループに伝わります。ベルトを留めるバックルで体を受けているわけではありません。
ロープでできている分、ブリッジは傷みが目に見える部位でもあります。取扱説明書は、毎回使う前に、ブリッジのロープに切れ、熱による傷み、ほつれ、毛羽立ちが無いかを確かめるよう求めています。点検の考え方は第8回で書きます。

樹上の作業員。腰の前のブリッジにはメインロープの器具が、腰の左右のサイドD環には幹に回したランヤードがつながる
側部D環 ― 左右2つで1組
腰の左右の金具は、取扱説明書では「側部アタッチメントポイント」、現場ではサイドD環とも呼びます。ワークポジショニング用のランヤード(体を枝や幹に寄せて保つ短いロープ。第5回)を受け持つ所で、取扱説明書は、墜落を止める用途には使えないこと、左右の2つは必ずセットで使うことを定めています。
ギアループ ― 道具だけを下げる輪
腰のまわりに並ぶ輪がギアループです。カラビナや手鋸などの道具を下げるための輪で、取扱説明書は、人の確保や下降、ロープの連結、自己確保には絶対に使わないよう定めています。人の体重を受ける所と、道具だけを下げる所は、見た目が似ていても、はっきり分かれています。
海外では
海外では、ISA の木登りの資格(ISA Certified Tree Climber)の試験の範囲が、技能の項目に、基準に合う器具を選ぶこと、傷みを点検すること、ハーネスをロープのシステムにつなぐことを並べています。名前と役割を知るのは入り口で、つなぎ方は資格でも実技として確かめられる項目です。
建設現場のフルハーネスとの違い
2019年の改正 ― 「安全帯」から「墜落制止用器具」へ
日本では、2019年2月1日から、法令の上の「安全帯」が「墜落制止用器具」に改められ、フルハーネス型が原則になりました。墜落制止用器具は、国の規格を備えなければ売ることも貸すこともできない器具で(労働安全衛生法施行令第13条第3項第28号)、その規格が「墜落制止用器具の規格」(平成31年厚生労働省告示第11号)です。
このとき、いわゆるU字つり用の胴ベルトは、墜落制止用器具から外されました。告示の施行の通達(平成31年1月25日)は、その理由を、U字つりの胴ベルトは国際規格の ISO で、墜落を止める器具ではなく、作業の時に体の位置を保つ器具(ワークポジショニング用)に分類されているため、と説明しています。厚生労働省のリーフレットも、U字つりには墜落を制止する機能が無いことを図で示しています。
ガイドラインは、フルハーネス型を、墜落を止めるときに体の荷重を肩・腰部・腿など複数の箇所で支える構造のもの、と定めています。腰と脚で体を支える樹上用のハーネスは、それだけではこの形と違います。
ワークポジショニングには、バックアップを
同じガイドラインは、ワークポジショニング用の器具には実質的に墜落を防ぐ効果があるとしたうえで、墜落したときのバックアップとして、墜落制止用器具を併用する必要があるとしています。一方で、伐採など、フックなどを掛ける場所が無く、器具を使うことが著しく困難な場合は、保護帽の着用などの代替の措置が要る、とも書いています。この「伐採」が樹上の伐採を指すかは書かれていません。
この書き方の元になった厚生労働省の有識者ヒアリングのとりまとめには、使う人からの要望として、伐採作業ではフックを掛ける場所が無いのでU字つりでの作業を認めてほしい、という声が記録されています。とりまとめは、ワークポジショニングやレストレインの機能の保護具は、新しい構造規格に含めず JIS で決めるべきだと整理しました。その JIS T 8165:2018「墜落制止用器具」も、適用範囲は建設・土木・電気通信などの現場の高所で、樹木や林業は挙がっていません。
樹上のアーボリストの作業に、これらの決まりがどう当てはまるかは、法令も指針もはっきり書いていません。この回では断定せず、第20回で改めて書きます。
比べてみると
2つのハーネスの違いを、表にまとめます。
| 項目 | ツリーケアのハーネス(シットハーネス) | 建設現場のフルハーネス型(墜落制止用器具) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 体を作業の位置に保ち、吊り下がって作業する(ワークポジショニング)、墜落を止める用途には適さない | 墜落したときに体を止める(フォールアレスト) |
| 体を支える所 | 腰と脚、座る形で支える | 肩・腰部・腿など複数の箇所 |
| 作業中の体重 | 作業中はロープに体重を預け続ける | 墜落したときに体を受け止める |
| 主な接続の所 | 腰の前のブリッジと、左右の側部D環 | 墜落を止めるためのランヤード(ショックアブソーバ等を含む)を受ける取付部 |
| 日本の規格との関係 | チェストハーネスと組み合わせた場合の適合がカタログに書かれている(SEQUOIA の例) | 墜落制止用器具の規格(平成31年厚生労働省告示第11号)、JIS T 8165 |
| 海外の規格の例 | EN 813(シットハーネス)、EN 358(ワークポジショニング用ベルト)、ASTM F887、ANSI Z133 の要求 | EN 361(フルボディハーネス) |
(出典: 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」・リーフレット・施行通達、ペツル SEQUOIA 取扱説明書と「ツリーケア カタログ 2026」をもとに当社でまとめた)

左は樹上のシットハーネス(腰と脚で座るように体を支える)、右は建設現場のフルハーネス(肩・胸・腿のベルトと背中のD環)
「トップ JP」と組み合わせた場合
ペツルの「ツリーケア カタログ 2026」(日本語版)は、SEQUOIA が日本の「墜落制止用器具の規格」(フルハーネス)に適合するのは、胸に着けるチェストハーネス『トップ JP』と組み合わせた場合だ、と書いています。一方、同じページの肩のベルト(ショルダーストラップ)には個人用保護具(PPE)ではないという表示があり、肩のベルトを付ければフルハーネスになるわけではありません。どの現場でどの組み合わせが求められるかは、作業の中身と当たる決まりによって変わるので、ここではカタログの記述までにとどめます。
海外では
海外では、ANSI Z133 の改訂案が、同じ基準の中で器具の役割を分けています。高所作業車の上では個人用の墜落防止システムを着けるよう定め、木に登るときの器具は、ワークポジショニングと吊り下がりのシステムとして扱っています。欧州でも、SEQUOIA はシットハーネス(EN 813)とワークポジショニング用ベルト(EN 358)の規格の表示を持ち、墜落を止めるフルボディハーネスの規格 EN 361 とは別です。
「どこで何を受けるか」― ハーネスの使い方の決まり
ハーネスの部位は、それぞれ受け持つ荷重が決まっています。厚生労働省の有識者ヒアリングのとりまとめも、ロープ作業で体を保持する機能を持つフルハーネスについて、体を保持する荷重を受ける部分と、墜落したときの荷重を受ける部分は、機能を兼ねることができない、と整理しています。押さえておきたい決まりを、日本の決まり、メーカーの取扱説明書、海外の基準の順に並べます。
| 決まり | 理由 | 根拠 |
|---|---|---|
| 墜落制止用器具等と取付設備に異常が無いかを、随時点検する | 傷んだ器具や設備は荷重を受けきれない | 労働安全衛生規則第521条第2項(墜落制止用器具を使う作業の決まり、樹上作業に当たるかは第20回) |
| ギアループで人を確保しない | 道具を下げるためだけの輪 | メーカーの取扱説明書 |
| 側部D環は左右2つをセットで使い、墜落を止める用途に使わない | ワークポジショニングとレストレインのための取付点 | メーカーの取扱説明書 |
| 問題が起きたときの救助の計画と装備を、前もって用意する | ハーネスで動けないまま吊り下がると、重い傷害や命の危険がある | メーカーの取扱説明書 |
| 規格の表示があることを確かめ、改造しない | 器具の健全さを損なわない | ANSI Z133 改訂案 |
| 毎日の確認と、有資格者による定期の詳細な点検 | 人を吊る吊り上げ機器として扱う | 英国 HSE |
(出典: e-Gov 労働安全衛生規則、ペツル SEQUOIA 取扱説明書、ANSI Z133 改訂案、英国 HSE をもとに当社でまとめた)
動けないまま吊り下がること自体が危ない、という注意は、救助の備えにつながります。救助の準備が無い現場では登らない、という決まりは第19回で書きます。
海外では、ANSI Z133 の改訂案が、作業中はメインロープと、もう一つの確保の手段(ワークポジショニング用ランヤードなど)を身に着けるよう定めています。ハーネスにブリッジと左右の側部D環という別々の受け口があることは、この決まりと重ねて見ると分かりやすいと思います。2つ目の確保を備える決まりは第14回で書きます。
職人の視点 ― 腰縄から、ハーネスへ
第1回で書いたとおり、私が修業時代から見てきた現場では、植木職人は腰縄で体を幹や枝にとどめ、両手を空けて鋏や鋸を使ってきました。体を樹木に預けて手を使う、という考え方は、いまのハーネスにもそのまま通じています。現場での経験から言うと、違いをいちばん感じるのは、長い時間樹上にいるときです。ハーネスは腰と脚で座るように体を支えるので、体を預けたまま、落ち着いて枝ぶりを見ることができます。
私の感覚では、ハーネスは樹上での椅子のようなものです。腰を預けて体が安定すると、手元に気持ちを向けられ、切り口の仕上がりにも余裕が出ます。だからこそ、どの部位が何を受け持つかを知り、毎回の点検を欠かさないことが、樹上の仕事の前提になると考えています。
当社の職人は、SEQUOIA を使っています。
新人のための確認
この回で覚える名前
- シットハーネス(アーボリスト用サドル)
- ウエストベルト・レッグループ・バックル
- アタッチメントブリッジとリング
- 側部アタッチメントポイント(サイドD環)
- ギアループ
- ワークポジショニング・レストレイン・フォールアレスト(墜落制止)
- 墜落制止用器具・フルハーネス型・U字つり
- 規格の名前: 墜落制止用器具の規格・EN 813・EN 358・ASTM F887
理解しておく考え方・決まり
- 樹上のハーネスは、体を預けて作業するための道具で、墜落を止めるための道具ではない
- ブリッジはリングやランヤードなどを付けられる動く接続点(当社の職人のハーネスでは、メインロープの系統を受け持つ)、側部D環はランヤード(左右2つで1組)、ギアループは道具だけ
- 2019年の改正で、U字つりの胴ベルトは墜落制止用器具から外れた。理由は ISO でワークポジショニング用に分類されているため
- 樹上の作業にどの決まりが当たるかは、法令が名指ししていない(第20回)
- 規格の表示を確かめ、改造せず、毎回使う前に点検する
- 動けないまま吊り下がることは危ない。救助の備えが無ければ登らない
指導者のもとで習う項目
- ハーネスの着け方と合わせ方
- ハーネスとロープ・ランヤードのつなぎ方
- 使う前の点検
- 当社で使うハーネスと、併用する器具
よくある質問(Q&A)
Q1. アーボリストのハーネスと、建設現場のフルハーネスは何が違うのですか?
A. 目的が違います。建設現場のフルハーネス型の墜落制止用器具は、墜落したときに体の荷重を肩・腰部・腿など複数の箇所で支えて止める器具です。樹上で使うハーネスは、腰と脚で座るように体を支え、ロープに体重を預けて作業するための道具で、メーカーの取扱説明書は、墜落を止める用途には適さないとしています。
Q2. 樹上用のハーネスは、墜落制止用器具として使えますか?
A. ペツル社の SEQUOIA の取扱説明書は、この製品をツリーケア用のシットハーネスとワークポジショニング用のベルトとし、墜落を止める用途には適さないとしています。同社の日本語のカタログには、チェストハーネス『トップ JP』と組み合わせた場合に、日本の「墜落制止用器具の規格」(フルハーネス)に適合すると書かれています。樹上の作業にどの決まりが当たるかは、法令がはっきり書いていません。
Q3. ハーネスの前にあるブリッジは、何のためにあるのですか?
A. 腰の前に渡した、ロープやテープでできた動く接続点です。メーカーの説明では、ブリッジにはリングやランヤードなどを付けられます。ブリッジは横の動きを滑らかにし、体をひねったときに動ける範囲を広げるもので、リングを直接付けると動きがなめらかになるとされています。ロープでできている分、毎回使う前に、切れや熱による傷み、毛羽立ちが無いかを確かめます。
Q4. U字つりの胴ベルトは、なぜ墜落制止用器具から外れたのですか?
A. 2019年2月の改正のとき、告示の施行の通達は、U字つりの胴ベルトが国際規格の ISO で、墜落を止める器具ではなく、作業の時に体の位置を保つ器具(ワークポジショニング用)に分類されていることを理由に挙げています。厚生労働省のガイドラインは、ワークポジショニングの作業では、バックアップとして墜落制止用器具を併用する必要があるとしています。
Q5. この記事を読んで、自分で木に登ってもよいですか?
A. 記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため行わないでください。この連載は仕組みと安全の考え方を紹介するもので、登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うものです。高い木の手入れでお困りの場合は、専門の業者にご相談ください。
出典・参考情報
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法施行令」(第13条第3項第28号)、「労働安全衛生規則」(第521条)
- 厚生労働省「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について」(平成30年6月22日 基発0622第1号)
- 厚生労働省「安全帯の規格の全部を改正する告示の施行について」(平成31年1月25日 基発0125第2号。「墜落制止用器具の規格」(平成31年厚生労働省告示第11号)の施行通達。国立保健医療科学院 健康危機管理支援ライブラリー掲載)
- 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日 基発0622第2号)、リーフレット「安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!」(平成31年1月)
- 厚生労働省「墜落防止用の保護具の規格に関する有識者ヒアリング結果とりまとめ」
- 日本産業規格 JIS T 8165:2018「墜落制止用器具」(日本規格協会。目次と適用範囲)
- International Society of Arboriculture「ANSI Z133 改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)」(最新版は Z133-2026。本文の記述は改訂案による)
- International Society of Arboriculture「ISA Certified Tree Climber Examination Outline」
- ASTM International「ASTM F887 Standard Specifications for Personal Climbing Equipment」
- Health and Safety Executive(英国)「Lifting equipment in arboriculture」
- Petzl「SEQUOIA 取扱説明書」(C0223900B)、「ツリーケア カタログ 2026」(日本語版)
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次回の第5回は、ハーネスとともに体を支えるロープを取り上げます。メインロープ・ランヤード・スローラインの役割と違いを書きます。
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この記事は、ツリークライミングの仕組みと安全の考え方を紹介するものです。登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うもので、記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため決して行わないでください。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
※ 「アーボリスト」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、樹木の手入れを専門とする職業(英語の arborist)を指す言葉として使っています。
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