植木屋・造園の仕事を始めるのに、法律で必ず要る資格はありません。ただ、チェーンソーで木を伐る、高所作業車やクレーンを動かすといった作業には法令で教育・講習が決まっていて、工事を請け負う会社には建設業許可と、資格や経験の要件を満たす技術者が要ります。造園の仕事に関わる資格を、一次情報で確かめて4つに分けて整理しました。
株式会社トシ・ランドスケープの樹木医、中村雅俊です。私自身は、樹木医のほかに、1級造園施工管理技士と1級造園技能士を持っています。造園の資格は、国家資格・団体の資格・法令の教育が入り混じっていて、名前だけでは役目が分かりにくいと感じています。この記事は、これから造園の仕事に就く人と、造園会社を選ぶお客様の両方に向けて、資格の全体の地図を描くものです。樹木医などの専門資格は、それぞれ詳しく書いた記事があるので、そちらへご案内します。法令・制度の内容は2026年10月15日に確かめたものです。
造園の資格は4つに分けると分かりやすい
「植木屋」は庭木の手入れをする仕事の通称で、資格の名前ではありません。造園の仕事に関わる資格は、役目で分けると次の4つになります。
- 作業の前に要る法令の教育・講習・免許: チェーンソー・高所作業車・クレーン・玉掛けなど。労働安全衛生法と道路交通法による
- 工事を請け負い、管理するための国家資格: 造園技能士と造園施工管理技士。会社の建設業許可にも関わる
- 樹木・薬剤・緑の専門資格: 樹木医・街路樹・都市樹木診断士・植栽基盤診断士・農薬の資格・公園や環境の資格など
- 海外の資格: 国際アーボリカルチャー協会(ISA)の認定資格

造園の仕事に関わる資格は、4つに分けると分かりやすい(e-Gov 法令検索、各資格の運営団体の案内をもとに当社作図)
1は主に「受けていないとその作業に就けない」もの、2は「工事を任せられるかを外から確かめる目安」、3と4は「専門性を外から示すもの」と考えると整理しやすくなります。働き始めてすぐ関わるのは1で、2〜4は経験を積みながら受けていくものです。
現場に出る前に必要なもの──法令の教育と講習
特別教育・技能講習・免許の違い
労働安全衛生法は、危険な業務に労働者を就かせる前に、事業者(会社)が特別教育を行うことを義務にしています(第59条第3項)。対象の業務は労働安全衛生規則 第36条に並んでいます。特別教育は免許ではなく、会社が責任を持って教える仕組みです。
これより危険が大きい業務は「就業制限」の業務で、免許か技能講習の修了などの資格がなければ就かせてはいけません(同法 第61条、施行令 第20条)。同じ機械でも、大きさで特別教育・技能講習・免許のどれが要るかが変わります。

特別教育は免許ではなく、会社が行う法令の教育
チェーンソーと刈払機
チェーンソーで立木を伐る、かかり木を処理する、造材する業務には、伐木等の業務の特別教育が要ります(安衛則 第36条第8号)。条文に林業などの業種の限定は無く、造園の現場でも同じです。2019年の改正(特別教育の部分は2020年8月1日から)で、立木の太さで分かれていた2つの特別教育が1つにまとめられ、造材や下肢の防護衣の着用なども科目に入りました。

伐採の前の枝払い。橙色のチェーンソーで木を伐る業務には、伐木等の業務の特別教育が要る
草刈りに使う刈払機の教育は、法令の特別教育ではありません。厚生労働省の通達(平成12年2月16日 基発第66号)で「特別教育に準じた教育」として実施要領が定められ、行政が事業者に実施を指導しているものです。同じように、ブッシュクリーナーやエンジンカッターなど、チェーンソー以外の振動工具にも通達による教育があります(昭和58年5月20日 基発第258号ほか)。法令の義務ではなくても、振動障害を防ぐ内容なので、当社では刈払機の教育も修了しています。

橙色の刈払機を使う作業の教育は、厚生労働省の通達による「特別教育に準じた教育」
高所作業車・クレーン・玉掛け
高木の剪定や伐採で使う機械は、区分の数値で要る資格が変わります。条文の数値は次のとおりです。
- 高所作業車の運転: 作業床の高さ10m未満は特別教育(安衛則 第36条第10号の5)、10m以上は高所作業車運転技能講習(安衛令 第20条第15号)
- 移動式クレーンの運転: つり上げ荷重1t未満は特別教育(安衛則 第36条第16号)、1t以上5t未満は小型移動式クレーン運転技能講習の修了でも可(クレーン則 第68条)、5t以上は移動式クレーン運転士免許(安衛令 第20条第7号、クレーン則 第68条)
- 玉掛け(荷にワイヤロープなどを掛けてクレーンのフックに掛け外しする作業): つり上げ荷重1t未満のクレーンでは特別教育(クレーン則 第222条)、1t以上は玉掛け技能講習など(同 第221条)

運転・玉掛け・高所作業車の資格の境目
クレーンを使う伐採では、運転する人と玉掛けをする人の両方に資格が要ります。クレーンを運転するのが協力会社のオペレーターでも、荷を掛ける側の資格は現場の作業員に求められます。

高所作業車(橙)の運転、移動式クレーン(水色)の運転、玉掛け(黄)には、それぞれ大きさに応じた教育・講習・免許が要る
ロープとハーネスを使う高所の作業
高さ2m以上で作業床を設けることが難しい場所で、ロープで体を保持しながら行う作業は「ロープ高所作業」と呼ばれ、特別教育が要ります(安衛則 第36条第40号)。また、作業床を設けることが難しい高所でフルハーネス型の墜落制止用器具を使う作業にも、特別教育が要ります(同 第41号。ロープ高所作業は除く)。
ロープで木に登る樹上の作業がロープ高所作業に当たるかについて、国が名指しで示した文書は、私が調べた範囲では見当たりませんでした。いっぽうで、林業の団体の教材では、樹上のロープ作業をこの特別教育の対象として扱っています。作業の形によって判断が分かれる可能性があるので、迷うときは所轄の労働基準監督署に確かめるのが確実です。樹上で働く人の仕事は「アーボリストとは」で紹介しています。
掘る・運ぶ機械と、職長の教育
植栽や伐根でバックホウ(ドラグ・ショベル)を使うときは、機体重量3t未満なら小型車両系建設機械の特別教育(安衛則 第36条第9号)、3t以上なら車両系建設機械運転技能講習(安衛令 第20条第12号)が要ります。剪定枝や資材を運ぶクローラー式の不整地運搬車は、最大積載量1t未満が特別教育、1t以上が技能講習です。足場の組立て・解体・変更の業務にも特別教育があります(安衛則 第36条第39号)。
現場で人を直接指導・監督する立場になるときは、職長等の教育があります。労働安全衛生法 第60条にもとづき、建設業などの業種で、新しく職長になる人に事業者が行う教育です。建設業では、職長と安全衛生責任者の教育を合わせた「職長・安全衛生責任者教育」として行われることが多く、おおむね5年ごとの「能力向上教育に準じた教育」も通達で求められています(平成29年2月20日 基発0220第3号)。
| 作業 | 区分 | 根拠 |
|---|---|---|
| チェーンソーでの伐木・かかり木の処理・造材 | 特別教育 | 安衛則 第36条第8号 |
| 刈払機 | 通達による教育(特別教育に準じた教育) | 平成12年 基発第66号 |
| 高所作業車の運転 | 10m未満は特別教育/10m以上は技能講習 | 安衛則 第36条第10号の5、安衛令 第20条第15号 |
| 移動式クレーンの運転 | 1t未満は特別教育/1t以上5t未満は技能講習/5t以上は免許 | 安衛則 第36条第16号、クレーン則 第68条、安衛令 第20条第7号 |
| 玉掛け | 1t未満は特別教育/1t以上は技能講習 | クレーン則 第221条・第222条 |
| ロープ高所作業 | 特別教育 | 安衛則 第36条第40号 |
| フルハーネス型の墜落制止用器具を使う作業 | 特別教育(ロープ高所作業を除く) | 安衛則 第36条第41号 |
| バックホウなどの建設機械 | 3t未満は特別教育/3t以上は技能講習 | 安衛則 第36条第9号、安衛令 第20条第12号 |
| 不整地運搬車 | 1t未満は特別教育/1t以上は技能講習 | 安衛則 第36条第5号の3、安衛令 第20条第14号 |
| 新しく職長になる | 職長等の教育 | 労働安全衛生法 第60条、安衛令 第19条 |
出典: e-Gov 法令検索(労働安全衛生法・同施行令・労働安全衛生規則・クレーン等安全規則)、厚生労働省の通達。教育・講習の時間数は省いています
運転免許──取った時期で運転できる車が違う
当社の現場で使う車は、3tのダンプトラック、2tの塵芥車(パッカー車)、1.5tのトラック、軽トラックなどです。2017年3月12日に準中型免許ができてから、その後に取った普通免許で運転できる車は、車両総重量3.5t未満・最大積載量2t未満になりました。
| 免許 | 車両総重量 | 最大積載量 | 受けられる年齢など |
|---|---|---|---|
| 普通 | 3.5t未満 | 2t未満 | 18歳以上 |
| 準中型 | 7.5t未満 | 4.5t未満 | 18歳以上(普通免許が無くても取れる) |
| 中型 | 11t未満 | 6.5t未満 | 20歳以上・普通免許などを取って2年以上 |
出典: 警察庁・都道府県警察「平成29年3月12日から準中型免許が新設されます」、道路交通法施行規則 第2条、警察庁「運転免許統計 令和2年版」
取った時期によって、同じ「普通免許」でも運転できる範囲が違います。2007年(平成19年)6月2日から2017年3月11日までに取った普通免許は「準中型5t限定」(車両総重量5t未満)、それより前の普通免許は「中型8t限定」(車両総重量8t未満)の扱いです。
「2tトラックなら普通免許で運転できる」とは限りません。荷台の大きさの呼び方と免許の区分は別のもので、運転できるかどうかは車検証の車両総重量と最大積載量で決まります。当社の求人では、応募資格を普通自動車免許(AT限定可)とし、準中型免許を推奨としています。
工事を請け負うための国家資格──造園技能士と造園施工管理技士
造園技能士──手の技能の物差し
造園技能士は、職業能力開発促進法の技能検定「造園」に合格した人が名乗れる国家資格で、1級・2級・3級があります。試験は学科と実技で、受付と試験の実施は各都道府県の職業能力開発協会が行います。東京都の公告では、1級の合格証書は厚生労働大臣名、2級・3級は都知事名で交付されます。
実技は、決められた区画の中で実際に庭をつくる試験です。令和8年度(前期)の試験の概要では、1級は竹垣の製作、蹲踞・飛石・延段の敷設、景石・植栽の配置と小透かし剪定、2級は四つ目垣の製作、縁石・飛石・敷石の敷設、築山と植栽です。どの級にも、樹木の枝葉を見て樹種名を答える試験があります。

造園技能士の実技では、決められた区画に四つ目垣を作り、飛石や景石を据え(橙色の部分)、木を植える
受検資格は実務の年数で決まります。3級は造園の実務の経験があれば受けられ、2級は実務2年以上か3級の合格、1級は実務7年以上か、2級の合格後2年以上、3級の合格後4年以上の実務です(職業能力開発促進法施行規則 第64条の2〜第64条の4。学歴などによる区分もあります)。
造園施工管理技士──工事を管理する技術の物差し
造園施工管理技士は、建設業法にもとづく技術検定の資格で、試験は一般財団法人全国建設研修センターが行います。第一次検定に合格すると「技士補」、第二次検定に合格すると「技士」を名乗れます。確かめられるのは、植える・据える手の技術ではなく、造園工事の施工計画と、工程・品質・安全の管理の知識です。

画板を持つ橙色の人が施工管理の役目。造園施工管理技士は、植栽工事の段取りと、工程・品質・安全を管理する
令和6年度から受検資格が変わり、1級の第一次検定は年齢だけで受けられるようになりました(年度末で19歳以上)。2級の第一次検定は、以前から17歳以上で受けられます。第二次検定は、第一次検定に合格した後の実務で受けます(1級は5年以上、2級は3年以上など)。令和8年度の1級第一次検定は、受検者3,299人のうち1,629人が合格し、合格率は49.4%でした。日程・費用・合格率の推移・仕事での役立ち方は、「造園施工管理技士とは 1級・2級の試験と合格率、取得のメリットを造園会社の樹木医が解説」に詳しく書きました。
| 項目 | 造園技能士 | 造園施工管理技士 |
|---|---|---|
| 確かめるもの | 竹垣・石組み・植栽などの手の技能 | 施工計画と、工程・品質・安全の管理 |
| 根拠の法律 | 職業能力開発促進法(技能検定) | 建設業法(技術検定) |
| 試験を行うところ | 都道府県職業能力開発協会 | 一般財団法人全国建設研修センター |
| 等級 | 1級・2級・3級 | 1級・2級(それぞれ技士補と技士) |
| 実務なしで受けられる試験 | なし(3級は実務の経験か、関係する学科に在学中などで受けられる) | 第一次検定(年齢の要件だけ) |
| 建設業許可の技術者 | 1級、2級は合格後に実務3年で一般建設業の要件 | 1級は特定建設業まで、2級は一般建設業の要件 |
出典: 職業能力開発促進法施行規則、施工技術検定規則、建設業法施行規則 第7条の3、国土交通省「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」
建設業許可と資格の関係
造園工事は、建設業法の業種の一つ「造園工事業」に当たります。造園工事業の建設業許可を受けるには、営業所ごとに技術者を置かなければなりません。この技術者は、2024年12月13日から法律上「営業所技術者」(特定建設業では「特定営業所技術者」)と呼ばれています。
造園工事業の営業所技術者になれる資格は、建設業法施行規則 第7条の3で決まっています。1級・2級造園施工管理技士、1級造園技能士、2級造園技能士で合格後に造園工事の実務3年以上の人、技術士(建設部門など)、登録造園基幹技能者の講習の修了者などです。資格が無い場合は、指定の学科を卒業した後の実務経験か、10年以上の実務経験で認められます。
造園工事業は、建設業法で「指定建設業」の7業種に入っています。大きな工事を下請に出す元請の特定建設業では、営業所技術者と現場の監理技術者は、1級造園施工管理技士・技術士などの国家資格者(または国土交通大臣が同等以上と認めた人)に限られ、経験の年数だけではなれません。なお、土木施工管理技士は造園工事業の技術者の要件には入っていません。
登録造園基幹技能者
現場の職長として経験を積んだ人の資格に、登録造園基幹技能者があります。試験に合格して取る国家資格ではなく、国の登録を受けた講習を修了して取る資格です。国土交通大臣の登録を受けた講習機関として、一般社団法人日本造園建設業協会と一般社団法人日本造園組合連合会が講習を行っています。受けられるのは、1級造園技能士か1級造園施工管理技士で、造園工事の実務10年以上・職長の経験3年以上の人です。2日間の講習と試験で、修了証の有効期限は5年です。修了者は工事現場の主任技術者の要件を満たし、経営事項審査で造園工事業の加点の対象になります。
樹木を診る・守る資格──樹木医・街路樹・都市樹木診断士・植栽基盤診断士・松保護士
樹木の健康や土の状態を診る資格は、どれも民間の団体が認定するものです。中身はそれぞれの記事で詳しく書いているので、ここでは役目と受けるための条件だけを並べます。

根元のキノコと土(橙色の部分)を確かめる樹木医。樹木医は、樹木の診断・治療と、保護・育成・管理を受け持つ
| 資格 | 認定する団体 | 役目 | 受けるための主な条件 | 当社の記事 |
|---|---|---|---|---|
| 樹木医 | 一般財団法人日本緑化センター | 樹木の診断・治療、保護・育成・管理 | 業務経歴5年以上(樹木医補は認定後1年以上) | 樹木医とは |
| 樹木医補 | 一般財団法人日本緑化センター | 樹木医の業務を補佐する | 認定を受けた大学などで指定の科目を修めて卒業し、申請 | 樹木医とは |
| 街路樹・都市樹木診断士 | 一般社団法人 街路樹・都市樹木診断協会 | 街路樹・都市の樹木の診断 | 樹木医の取得後3年以上、協会の正会員・賛助会員に所属 | 街路樹・都市樹木診断士 |
| 植栽基盤診断士 | 一般社団法人日本造園建設業協会 | 植栽基盤(樹木が根を張る土)の調査・診断・改良の提案 | 学科試験は、植栽基盤診断士補であることなど(詳しくは協会の案内) | 植栽基盤診断士とは |
| 松保護士 | 一般財団法人日本緑化センター | マツ材線虫病の防除の指導 | 松の保護などの業務経歴3年以上(樹木医補は1年以上) | なし |
出典: 日本緑化センター「樹木医になるまで」「樹木医補資格認定制度」「松保護士」、街路樹・都市樹木診断協会「街路樹・都市樹木診断士認定制度について」(令和8年7月)、日本造園建設業協会「2026年度 植栽基盤診断士認定試験 学科試験のご案内」
街路樹・都市樹木診断士は、2025年10月31日に「街路樹診断士」から名前が変わりました。松保護士は、日本緑化センターが平成16年度から養成している資格で、令和8年4月1日現在の登録者は全国で486名、5年ごとの更新制です。同センターは、令和8年2月27日に松保護士が国土交通省の「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」(公園施設〈樹木〉の点検・診断)に登録されたと案内しています。樹木医も、2025年に同じ制度に登録されています。
薬剤を扱う資格──農薬管理指導士と緑の安全管理士
農林水産省と環境省の通知「住宅地等における農薬使用について」(平成25年4月26日)は、自治体が植栽の管理を委託するときの取組みの例として、作業の責任者に農薬管理指導士・緑の安全管理士などの資格を求めることを挙げています。公園・街路樹の管理を請け負う仕事では、農薬の資格が入札や委託の条件に関わることがあるということです。
| 資格 | 認定するところ | 受けるための主な条件 | 形式と更新 |
|---|---|---|---|
| 東京都農薬管理指導士 | 東京都(都の要綱による) | 満18歳以上で、農薬の販売・防除などの実務2年以上 | 講義動画の受講と択一35題の試験、3年ごとに更新 |
| 緑の安全管理士(緑地・ゴルフ場分野) | 公益社団法人緑の安全推進協会 | 協会の研修会を受講 | 研修と50問の試験、5年ごとに更新研修 |
出典: 東京都「令和8年度 東京都農薬管理指導士養成研修 実施要領」、緑の安全推進協会「緑の安全管理士」
東京都農薬管理指導士の推進団体には、一般社団法人日本造園組合連合会東京都支部が入っています。神奈川県の「農薬管理指導士」、埼玉県の「埼玉県農薬指導マスター」のように、ほかの県にも似た制度があります。緑の安全推進協会は、緑地・ゴルフ場分野を、造園・防除業や街路樹・公園の管理に携わる人に適した資格と説明しています。
よく誤解されるのが毒物劇物取扱責任者です。置く義務があるのは、毒物・劇物の製造・輸入・販売の業者などで(毒物及び劇物取締法 第7条)、農薬を使うだけの造園業には置く義務がありません。ただし、毒物・劇物に当たる農薬を扱う以上、盗難・紛失の防止や「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」の表示などの決まりは及びます(同法 第22条第5項)。
緑の計画・環境・公園の資格
公園の管理、自然の再生、芝生の管理など、造園の仕事の広がりに合わせた資格もあります。
| 資格 | 認定するところ | 受けるための主な条件 | 更新 |
|---|---|---|---|
| 公園管理運営士 | 一般財団法人公園財団(認定の事務は一般社団法人日本公園緑地協会) | 満27歳以上 | 5年ごと |
| ビオトープ管理士(計画・施工、1級・2級) | 公益財団法人日本生態系協会 | 2級は誰でも受けられる、1級は実務経験など | なし |
| 自然再生士 | 一般財団法人日本緑化センター | 満23歳以上で、自然環境の保全・再生の実務経験 | 5年ごと |
| 芝草管理技術者(1級・2級・3級) | 特定非営利活動法人日本芝草研究開発機構 | 3級は実務経験不要 | 3年ごと |
出典: 公園管理運営士 試験の概要(2026年4月1日)、ビオトープ管理士 令和8年度 受験の手引き、日本緑化センター「自然再生士」、日本芝草研究開発機構「芝草管理技術者」
公園管理運営士は、植物と施設の管理から、安全管理、利用者へのサービス、市民参加までを一体で受け持つ、現場の実務責任者の資格です。2026年4月1日現在の有資格者は2,733名です。ビオトープ管理士は、1級ビオトープ計画管理士・1級ビオトープ施工管理士が国土交通省の登録資格になっていて、日本生態系協会の手引きでは、受験者の業種の上位3つに造園業が入っています。自然再生士も、国土交通省の登録資格です。
海外の資格──ISA の認定資格
国際アーボリカルチャー協会(ISA)は、樹木の管理に携わる人の資格を認定しています。樹上で働く人の仕事と、日本での位置づけは「アーボリストとは」で紹介しています。
| 資格 | 内容 | 日本語での受験 |
|---|---|---|
| ISA Certified Arborist | 樹木の管理全般の知識 | 日本語の試験は無い |
| ISA Certified Tree Climber | 仕事として木に登る人の知識と技能 | 日本語で受けられる |
| ISA TRAQ(樹木のリスク評価) | 樹木のリスクを評価する講習と試験 | 英語のみ(有効期間7年) |
出典: International Society of Arboriculture「Types of Credentials」「TRAQ Program Guide」(2026年7月改訂)
ISA の資格は、樹木の知識と技術を国際的な物差しで示すものです。いっぽうで、日本の法令の特別教育や技能講習の代わりになると定めた資料は見当たりません。日本の現場で働くには、ISA の資格とは別に、作業ごとの法令の教育を受ける必要があります。
受けられる時期の目安──実務の年数と試験
資格の多くは、実務の年数が受けるための条件になっています。実務の経験だけで受ける場合に、最短で何年目から受けられるかを図にしました。学歴やほかの資格で年数が短くなる場合は含めていません。

実務の年数と、受けられる試験の目安(職業能力開発促進法施行規則、施工技術検定規則、各団体の案内をもとに当社作図)
働き始めてすぐに受けられるのは、3級造園技能士と、年齢の要件を満たした造園施工管理技士の第一次検定です。実務2年で2級造園技能士、3年で松保護士、5年で樹木医の選抜試験と、年数とともに受けられる試験が増えていきます。そして、チェーンソーや高所作業車などの法令の教育は、これらの試験とは別に、その作業に就く前に受けるものです。

教育・資格・経験は、それぞれ役目が違う
資格を持っていることと、一人で現場を任せられることは同じではありません。法令の教育は作業に就く前の入り口で、資格は力を外から確かめる手がかりです。任せてよいかを決めるのは、現場で積んだ経験と、それを見てきた指導者の判断です。
当社の有資格者と、資格の支援
株式会社トシ・ランドスケープには、樹木医3名、街路樹・都市樹木診断士3名、植栽基盤診断士2名が在籍しています。ほかに、1級造園施工管理技士、1級造園技能士、自然再生士、松保護士、東京都農薬管理指導士などの資格者が在籍しています。
法令の教育・講習では、伐木等の業務(チェーンソー)の特別教育、ロープ高所作業とフルハーネス型の墜落制止用器具の特別教育、玉掛け・小型移動式クレーン・高所作業車運転・車両系建設機械の技能講習、職長・安全衛生責任者教育、刈払機の安全衛生教育を修了しています。保有資格の一覧は会社概要に載せています。
資格を取った社員には資格手当があります。応募資格は学歴不問で、未経験の方も歓迎しています。造園の仕事に関心のある方からのご応募を、採用情報のページでお待ちしています。
造園会社を選ぶお客様にとっても、資格は会社の中身を外から確かめる手がかりの一つになります。依頼する仕事ごとの見どころは、下のQ9にまとめました。
よくある質問(Q&A)
Q1. 植木屋になるのに資格は要りますか?
A. 植木屋・造園の仕事を始めるのに、法律で必ず要る資格はありません。ただし、チェーンソーでの伐木、高所作業車やクレーンの運転、玉掛けなどの作業には、労働安全衛生法で特別教育・技能講習・免許が決まっています。会社として工事を請け負うには、建設業許可と、国家資格などを持つ技術者が要ります。
Q2. 未経験から最初に受けられる資格は何ですか?
A. 国家資格では、3級造園技能士(実務の経験があれば受けられる)と、造園施工管理技士の第一次検定(2級は17歳以上、1級は19歳以上)が、実務に就いてすぐ受けられます。緑の資格では、2級ビオトープ管理士や3級芝草管理技術者も、実務経験を問わず受けられます。チェーンソーや高所作業車などの法令の教育は、試験とは別に、その作業に就く前に受けます。
Q3. 造園技能士と造園施工管理技士の違いは何ですか?
A. 造園技能士は、竹垣・石組み・植栽などの手の技能を確かめる、職業能力開発促進法の技能検定です。造園施工管理技士は、造園工事の施工計画と、工程・品質・安全の管理の知識を確かめる、建設業法の技術検定です。どちらも建設業許可の技術者の要件に関わります。
Q4. 学生や未経験でも造園施工管理技士は受けられますか?
A. 第一次検定は受けられます。学歴や実務経験を問わず、年度末の年齢が1級は19歳以上(令和6年度から)、2級は17歳以上であれば受検できます。第一次検定に合格すると技士補を名乗れます。第二次検定には、第一次検定に合格した後の実務経験が要ります。
Q5. チェーンソーを使うのに資格は要りますか?
A. チェーンソーで立木を伐る、かかり木を処理する、造材する業務には、伐木等の業務の特別教育が要ります(労働安全衛生規則 第36条第8号)。業種の限定は無く、造園の現場でも同じです。2020年8月1日から、立木の太さで分かれていた教育が1つにまとめられました。
Q6. 刈払機の講習は義務ですか?
A. 刈払機の教育は、法令で定められた特別教育ではありません。厚生労働省の通達(平成12年 基発第66号)で「特別教育に準じた教育」として実施要領が定められ、行政が事業者に実施を指導している教育です。振動障害を防ぐための内容を含みます。
Q7. 造園の仕事にはどの運転免許が要りますか?
A. 運転できるかどうかは、車検証の車両総重量と最大積載量で決まります。2017年3月12日以降に取った普通免許は車両総重量3.5t未満・最大積載量2t未満、準中型免許は7.5t未満・4.5t未満です。当社の求人では、普通自動車免許(AT限定可)を応募資格とし、準中型免許を推奨しています。
Q8. 樹木医になるには何年かかりますか?
A. 樹木医の選抜試験に応募するには、樹木の調査・診断・管理などの業務経歴が5年以上要ります。樹木医補の認定を受けている人は、認定後1年以上で応募できます。選抜試験に合格した後、研修と試験を経て認定されます。
Q9. 造園業者に頼むとき、資格は何を見ればよいですか?
A. 依頼する仕事によって見る資格が変わります。木を伐る・吊る・高所で作業する仕事なら、チェーンソーの特別教育や、玉掛け・移動式クレーン・高所作業車の講習の修了を確かめます。工事の規模によっては建設業許可と技術者の資格を、樹木の健康を診てほしいときは樹木医などの専門資格を確かめると、頼む仕事と資格の対応が分かります。
Q10. ISA の資格は日本で役に立ちますか?
A. ISA の資格は、樹木の知識と技術を国際的な基準で示すものです。ISA Certified Tree Climber は日本語でも受けられます。ただし、日本の法令の特別教育や技能講習の代わりになると定めた資料は見当たらないので、日本の現場では、作業ごとの法令の教育も受ける必要があります。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
出典・参考情報
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法」「労働安全衛生法施行令」「労働安全衛生規則」「クレーン等安全規則」
- 厚生労働省「伐木作業等の安全対策の規制が変わります!」
- 厚生労働省 平成12年2月16日 基発第66号「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育について」(中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター掲載)
- 厚生労働省「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」(平成21年7月10日 基発0710第2号)
- 厚生労働省 平成29年2月20日 基発0220第3号「建設業における職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育について」
- 警察庁・都道府県警察「平成29年3月12日から準中型免許が新設されます」、e-Gov 法令検索「道路交通法施行規則」
- 警察庁「運転免許統計 令和2年版」(取った時期による普通免許の扱い)
- 中央職業能力開発協会「技能検定のご案内」「令和8年度(前期)技能検定実技試験問題の概要」
- 厚生労働省「技能検定の受検資格一覧表」、e-Gov 法令検索「職業能力開発促進法施行規則」
- 一般財団法人全国建設研修センター「1級造園施工管理技術検定」「令和8年度 1級 第一次検定の合格者の発表について」(令和8年10月8日)
- 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」、e-Gov 法令検索「施工技術検定規則」
- e-Gov 法令検索「建設業法」「建設業法施行規則」、国土交通省「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」
- 一般社団法人日本造園建設業協会・一般社団法人日本造園組合連合会「2025年度 登録造園基幹技能者講習 受講申込要領」
- 一般財団法人日本緑化センター「樹木医」「樹木医補資格認定制度」「松保護士」「自然再生士」
- 一般社団法人 街路樹・都市樹木診断協会「街路樹・都市樹木診断士」
- 一般社団法人日本造園建設業協会「植栽基盤診断士」
- 東京都「令和8年度 東京都農薬管理指導士養成研修 実施要領」
- 公益社団法人緑の安全推進協会「緑の安全管理士」
- 農林水産省・環境省「住宅地等における農薬使用について」(平成25年4月26日)
- e-Gov 法令検索「毒物及び劇物取締法」
- 公園管理運営士「試験の概要」(2026年4月1日)
- 公益財団法人日本生態系協会「ビオトープ管理士」
- 特定非営利活動法人日本芝草研究開発機構「芝草管理技術者」
- International Society of Arboriculture「Types of Credentials」「TRAQ Program Guide」
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※ 「アーボリスト」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、樹木の手入れを専門とする職業(英語の arborist)を指す言葉として使っています。




















