港区赤坂 豊川稲荷・東京別院様 ケヤキなどの高木剪定

港区赤坂のとある境内で、樹木医を中心にケヤキ剪定に入っています。

青山通りの車列を横目に山門をくぐると、空気の密度がすっと変わります。その感覚は、何度この場所に来ても同じです。赤坂御用地の深い緑を背に負い、赤い提灯がずらりと並ぶ境内。江戸の昔、名奉行として知られる方が三河から勧請した御分霊を屋敷に祀ったのが始まりと伝わります。文政の世に参詣所が設けられ、明治20年に現在地へ遷座しました。

関東大震災にも戦火にも遭いながら、そのたびに復興を遂げてきたこの境内。その傍らに立つ樹木たちもまた、ずっとこの土地の歴史を見てきたはずです。

参道脇のケヤキを手入れする

今回手を入れているのは、奥の院へ向かう参道脇、身代わり地蔵が静かに佇むあたりのケヤキなどが中心です。

高所作業車のバスケットから境内を見おろすと、地上では気づけない景観が広がります。緑青をまとった本殿の屋根、その間を縫うように並ぶ赤い幟と提灯がみえます。これからまさに新芽を展開しているケヤキの枝越しに、それらの色彩が透けて見え、春の準備が静かに進んでいるのがわかります。

そしてそのすぐ向こうには、赤坂のオフィスビルと青山通りの車の流れ。聖と俗が近い都心の境内というのは、いつもこの距離感に驚かされます。

一枝ずつ、これから先の樹形をつくる

ケヤキの樹上では、クライマーがロープで体を預けながら一枝ずつ手を入れていきます。縮めなければならない枝はしっかりと剪定しつつ、込み合った枝を抜いて光と風の通り道をつくり、参道への干渉を整理します。

上から見ると、枝の骨格が手のひらを広げたように伸びているのがよくわかります。どの枝を残し、どの枝を抜くか。その判断が、これから先何年もの樹形を決めていきます。

季節の異なる時間が重なる境内

ふと目を転じれば、境内の早咲きの桜が綺麗に咲いていました。赤い提灯、薄桃色の花弁、ケヤキの芽の膨らみ。ひとつの境内に、季節の異なる時間が重なり合うように在ります。

芸事に生きる人々の信仰を古くから集めてきたこの場所の空気は、どこか凛として、それでいて懐が深い。そうした静けさのなかに身を置いて枝と向き合う時間は、私たちにとってもひとつのリチュアルのようなものかもしれません。

光の加減を整える仕事

枝を一本下ろすたびに、境内に差し込む光がわずかに変わります。

その光の加減、木漏れ日を、参拝に来られる方が心地よく感じてくださればと思います。

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊

 

 

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