世田谷区用賀の聖公会神学院様の植栽の年間管理メンテナンスをさせて頂いております。
高木の自然風の透かし剪定、シンボルツリーのサクラの割竹挿入による土壌改良、敷地に生えたシュロの整理を行った、年間管理の一日の記録です。それぞれの作業の考え方を、国や都の手引き・資料をもとに書き添えます。
サクラ・ケヤキ・イチョウ・アカマツのある庭園の年間管理
高木のサクラ、ケヤキ、イチョウ、アカマツなどの
木々や芝生の広場がある大変素晴らしい庭園です。
美しいその樹木らしい樹形を維持できるよう
自然風の透かし剪定で手入れをしていきます。
- ツリークライミング ロープワーク ケヤキ 自然風剪定
- ケヤキ 剪定
- シラカシ 剪定
自然風の透かし剪定──その木らしい樹形を保ちながら枝を抜く
国土技術政策総合研究所(国総研)の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、枝抜き剪定(枝透かし剪定)を、樹冠内の枝葉密度を適正に保つために、樹冠内部に密集して混み合っている枝を間引く剪定としています。外側を切りそろえるのではなく、込み合った枝を付け根から抜いていく剪定です。

透かし剪定で抜く枝の例(点線の円が切る位置。イラストは当社作成)
剪定の時期は、樹種で変わります。東京都の「街路樹維持管理計画書」は、落葉樹の骨格をつくる剪定は樹木の休眠期(晩秋〜早春)に行い、サクラ類などは夏頃に形成された花芽が越冬して翌年開花するため、冬期剪定は軽微な枝抜き程度にとどめ、花芽を残すようにするとしています。

図: 剪定の時期の目安(出典: 横浜市道路局「街路樹維持業務委託共通仕様書」、国総研「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」、埼玉県「街路樹剪定マニュアル」、東京都建設局「街路樹維持管理計画書」をもとに当社作成)
透かし剪定の考え方は「透かし剪定とは──日本の庭師が「抜いて整える」剪定の考え方」でくわしく書いています。
サクラの割竹挿入土壌改良
高木剪定と合わせてシンボルツリーのサクラの土壌改良も行います。
ご近所の方も皆様桜の開花を楽しみにされてらっしゃるとのことで、
毎年良好な花付きを維持すべく、割竹挿入土壌改良と肥料を施します。
- 割竹挿入法 土壌改良 樹勢回復 樹木治療
- 割竹挿入法 土壌改良 樹勢回復 樹木治療
- 割竹挿入法 土壌改良 樹勢回復 樹木治療
- 割竹挿入法 土壌改良 樹勢回復 樹木治療 黒曜石パーライト
- 割竹挿入法 土壌改良 樹勢回復 樹木治療
- 割竹挿入法 土壌改良 樹勢回復 樹木治療
割竹挿入法は、縦穴に竹を挿し、周りに土壌改良資材を入れて埋め戻す土壌改良の方法です。国総研の「景観重要樹木の保全対策の手引き」は、人力でできる簡易な土壌改良として「縦孔の簡易改良」を挙げ、次の例を示しています。
| 項目 | 手引きの例(表5-11 縦孔の簡易改良) |
|---|---|
| 穴 | ダブルスコップで直径20cm程度の縦穴を1m程度掘る |
| 割竹 | 長さ1m程度の竹を半割りし、節を除いて組み合わせ、内部に通気性の良い炭やモミガラなどを充填する |
| 埋め戻し | 割竹を穴の中心に挿し、周りを完熟堆肥で埋め戻す |
| 留意点 | 掘った穴に水が溜まらないか透水性を確認する、夏の乾燥時期にはこの穴から灌水する |
| 時期と回数の例 | 12〜2月、年1回 |
出典: 国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料第565号、2010年1月)p.215 表5-11

割竹挿入法の流れ(イラストは当社作成)
写真の説明にある黒曜石パーライトは、パーライトの一種です。パーライトは、地力増進法施行令で定められた12種類の土壌改良資材の一つで、国の土壌改良資材品質表示基準では、用途(主たる効果)を「土壌の保水性の改善」としています。資材の配合は、その現場の土に合わせて決めています。
割竹挿入法の手順と、向く現場・向かない現場は「樹木医 土壌改良施工 東京都内個人邸」で、数年後に割竹の筒の中に細い根が集まっていた記録は「桜 樹木医による土壌改良」で紹介しています。
敷地に生えたシュロの整理
敷地内に長年実生として自然発生したシュロを伐採し整理しつつ、
エントランスの高木はシンボルツリーらしい景観を意識して剪定を行いました。

シュロ トウジュロ 伐採
環境省の「生態系被害防止外来種リスト(植物)」第2版(2026年9月11日)は、「九州北部以北の森林内などのシュロ類」を、国内由来の外来種の防除検討外来種としています。リストには、シュロは日本(南九州)と中国、トウジュロは中国の原産で、市街地を中心に野生状態のものがみられること、二次林にも自然林にも侵入するので、特に温暖な地域では、可能な限り利用を控えるか、種子の逸出を防止する配慮が必要であることが書かれています。
写真の説明には「シュロ」「トウジュロ」の両方の名前を書いていますが、リストでは、シュロとトウジュロの識別はやや困難とされています。
作業の中で、診断の目を養う
メンテナンス作業を行う中でも樹木医の先輩から様々な樹木の生態や診断チェックに関するレクチャーを受け、
スタッフ全員でスキルアップを目指しています。

樹木医 診断 外観診断
今後も緑溢れる豊かな庭園・植栽空間となるようメンテナンスさせて頂きます。
よくある質問
Q1. サクラの剪定は、冬に強く切ってもよいですか。
東京都の「街路樹維持管理計画書」は、サクラ類は夏頃に形成された花芽が越冬して翌年開花するため、冬期剪定は軽微な枝抜き程度にとどめ、花芽を残すようにするとしています。
Q2. 割竹挿入土壌改良とは、どのような方法ですか。
縦穴に竹を挿し、周りに土壌改良資材を入れて埋め戻す土壌改良の方法です。国総研の手引きは、ダブルスコップで直径20cm程度の縦穴を1m程度掘り、炭やモミガラなどを詰めた割竹を挿して、周りを完熟堆肥で埋め戻す例を示しています。この記事のサクラでは、割竹挿入土壌改良と肥料を施しました。
Q3. 庭に生えてきたシュロは、残してもよいですか。
環境省の生態系被害防止外来種リスト(第2版)は、九州北部以北の森林内などのシュロ類を防除検討外来種とし、特に温暖な地域では、利用を控えるか種子の逸出を防止する配慮が必要としています。この記事の庭園では、敷地内に長年実生として自然発生したシュロを伐採して整理しました。
出典・参考情報
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料第1059号、2019年2月)p.1-84(枝抜き剪定〈枝透かし剪定〉)
・東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書」(令和3年12月)p.1(基本剪定〈冬期剪定〉の時期、サクラ類の花芽)
・国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料第565号、2010年1月)p.215 表5-11(縦孔の簡易改良)
・地力増進法施行令(昭和59年政令第299号)、土壌改良資材品質表示基準(昭和59年農林水産省告示第2002号)(パーライトの用途)
・環境省「生態系被害防止外来種リスト(植物)」第2版(2026年9月11日)九州北部以北の森林内などのシュロ類
高木の剪定や伐採作業の施工実績 一例
■オオシマザクラ 剪定・土壌改良 大田区中央
■保存樹木クスノキ 剪定作業 板橋区
■東京アメリカンクラブ様 エントランス高木剪定 港区麻布台
■銀杏岡八幡神社様 樹木伐採 東京都台東区
■大田区マンション 特殊伐採
■渋谷区恵比寿の個人邸 高木のサクラをロープワークで剪定──屋根に張り出した枝の吊り下ろしと、樹上と地上をつなぐ Bluetooth
■世田谷区北烏山 マンション・集合住宅 高木樹木伐採
「高木・特殊伐採&ケーブリング」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。
関連記事
・松の伝統技術「短葉仕立て」とは|剪定・芽切り・病害虫管理まで徹底解説(このテーマのまとめ)
※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。































