目黒区のお客様より中庭テラスの植栽改修・作庭のご相談を頂きました。
この記事は、中庭テラスの植栽を、既存のキョウチクトウの伐採・伐根から、シンボルツリーのハナミズキと低木の植栽、マルチングの仕上げまで一通り改修した記録です。植えた木の配置と、作業の背景にある考え方を、行政や研究機関の資料をもとにあわせて説明します。
既存のキョウチクトウを伐採・伐根する
まずは既存のキョウチクトウを抜いて(伐採伐根)をして、植栽をリニューアルの為の下準備を行います。
- キョウチクトウ伐採伐根
キョウチクトウは常緑の木で、6月から9月ごろに赤や白の花を咲かせます。一方で、千葉市は、根・葉・茎・花のすべてに強い毒性があり、口に含むなどすると大変危険だとして、注意を呼びかけています。
シンボルツリーにハナミズキを選ぶ
シンボルツリーにハナミズキ(花色:ピンク)をセレクトしました。
搬入経路の関係の樹木の大きさにも制限がありましたが、
いつもお付き合いをさせて頂いている生産者様のもとで1本1本確認しご用意いたしました。
樹木の根の張り方は、樹種によって違います。国土技術政策総合研究所の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、根の形を5つの型に分け、ハナミズキを、水平方向に根を広げる浅根性の「水平根型」の代表的な樹種に挙げています。同じ手引きは、植栽基盤を深くできないが広がりは確保できる場所では水平に広がる浅根型を、近くに埋設物などがある場所では深さを確保したうえで深根型を選ぶとしています。
| 根の型 | 代表的な樹種(本州〜九州) |
|---|---|
| 垂下根型(深根性) | マテバシイ、クロマツ、スダジイ |
| 垂下根・水平根型(深根性) | イチョウ、プラタナス類、ユリノキ |
| 斜出根型(中間) | ソメイヨシノ、トウカエデ、サルスベリ |
| 水平根型(浅根性) | ケヤキ、ハナミズキ、クスノキ |
| ひも状放射型(浅根性) | ワシントンヤシ、カナリーヤシ |
出典: 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料第1059号、2019年)Ⅱ/1-40 図-2.7「樹木の根系形態と代表的な樹種例」
根の型と植栽基盤の関係は、「サクラ根上がり 植樹桝修繕・拡張工事」でも紹介しています。
3つの植栽桝と、組み合わせた樹種
中庭のテラスには全部で3つの植栽の植栽桝があるため、
真ん中にハナミズキを植栽し、左右の桝には、
■ ユーカリ・ポポラス
■ ナンテン・トワイライト
配置し下記の低木類を組み合わせました。
■ ハイドランジア・アナベル
■ セイヨウイワナンテン・フロマージュ
■ オーストラリアンローズマリー(ウエストリンギア) ※斑入り
■ アベリア・エドワードゴーチャー
■ コデマリ
植栽桝ごとの配置を表にまとめると、次のとおりです。
| 場所 | 植えた樹種 |
|---|---|
| 真ん中の植栽桝(シンボルツリー) | ハナミズキ(花色ピンク) |
| 左右の植栽桝 | ユーカリ・ポポラス、ナンテン・トワイライト |
| 組み合わせた低木類 | ハイドランジア・アナベル、セイヨウイワナンテン・フロマージュ、オーストラリアンローズマリー(ウエストリンギア、斑入り)、アベリア・エドワードゴーチャー、コデマリ |
仕上げのマルチング
植栽の根元には、マルチングの為にバークたい肥を敷き詰めて仕上げました。
マルチングは、植えた木の根元の土の表面を覆う作業です。国土技術政策総合研究所の「景観重要樹木の保全対策の手引き」は、マルチングを、根の周りにバーク、木質チップ、ワラなどを敷き詰めて、土の表層からの水分の蒸発を防ぎ、根を乾燥から守り、雑草の発生を抑えるために行うものと説明しています。建物の緑化について国土交通省の「緑化施設整備計画の手引き」は、マルチング材で土の表面を覆うと、乾燥を防ぐほか、冬の保温、雑草の繁殖の抑制、土の飛散の防止にも効果があるとしています。これらの資料が挙げる働きと注意を、表にまとめると次のとおりです。
| 項目 | 資料の内容 |
|---|---|
| 働き | 土の表層からの水分の蒸発を防ぐ、根を乾燥から守る、雑草の発生を抑える、冬の保温、土の飛散の防止 |
| 材料 | バーク、木質チップ、ワラ、コモ、モミガラなど、剪定枝などをリサイクルしたものもある |
| 敷き方の注意 | 根株に覆いかぶさらないようにする、植物を不用意に覆わない、散乱させない |
| その後 | 有機物の資材は時間とともに分解して減るので、必要に応じて補充する |
出典: 国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料第565号、2010年)p.214〜215 表5-11、東京都建設局「街路樹等維持標準仕様書 緑地管理編」(平成25年4月)3-3-2、国土交通省「緑化施設整備計画の手引き」(2001年。香川県「屋上緑化に関する参考資料」p.126 に掲載)

マルチング(イラスト)。根元に資材を薄く敷き均し、幹のまわりは空けておく
- 中庭テラス 植栽工事
- 中庭テラス 植栽工事
完成後とてもお喜びいただけました。
ご依頼いただきありがとうございました。
まとめ
この中庭テラスでは、既存のキョウチクトウを伐採・伐根して下準備をし、真ん中にシンボルツリーのハナミズキ、左右にユーカリ・ポポラスとナンテン・トワイライトを配置し、低木類を組み合わせました。根元はバークたい肥のマルチングで仕上げています。搬入経路の制限がある中で、生産者のもとで1本ずつ確かめた木を植えました。
よくある質問
Q1. キョウチクトウを撤去するとき、気をつけることはありますか。
キョウチクトウは、根・葉・茎・花のすべてに強い毒性があるとされ、千葉市は口に含むなどすると大変危険だと注意を呼びかけています。
Q2. ハナミズキの根は、深く張りますか。
国土技術政策総合研究所の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、ハナミズキを、水平方向に根を広げる浅根性の「水平根型」の代表的な樹種に挙げています。
Q3. 植えた後のマルチングには、どんな働きがありますか。
土の表層からの水分の蒸発を防いで根を乾燥から守り、雑草の発生を抑えます(国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」)。この現場ではバークたい肥を敷き詰めて仕上げました。
株式会社トシ・ランドスケープ
造園工事と合わせて外構エクステリアの工事も対応可能です。
地域密着で丁寧な施工を心がけております。
関連記事
・焼杉板の外壁と植栽の相性 日本の美意識(このテーマのまとめ)
・マンションの植栽リニューアル 東京都墨田区
・芝張り工事 目黒区中根
・植栽工事 山採りコハウチワカエデ
・マンションエントランス リニューアルプロジェクト 目黒区
・個人邸 パティオ(中庭) 植栽改修工事 東京都目黒区
「植栽リノベーション」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。
出典・参考情報
・千葉市「キョウチクトウにご注意ください!!」(2026年8月10日更新。2026年10月12日に確認)
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料第1059号、2019年)Ⅱ/1-40 図-2.7
・国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料第565号、2010年)p.214〜215 表5-11
・東京都建設局「街路樹等維持標準仕様書 緑地管理編」(平成25年4月)3-3-2 マルチング
・国土交通省「緑化施設整備計画の手引き」(2001年)。香川県「屋上緑化に関する参考資料」p.126 に掲載されたもの





























