被爆樹木クスノキ
広島城のお堀に立つ、静かな証人
広島城北端、中国放送（RCC）北西側、堀のほとりに静かに時を重ねるクスノキが立っています。
爆心地からわずか約1,120メートル。1945年8月6日、原爆の爆風で幹が途中から折れ、炎と熱に焼かれながらも、再び枝を伸ばし葉を繁らせています。
その姿は、まさに広島の復興の象徴といえるでしょう。
傷跡と再生の痕跡
幹には今も折損の痕と焼け跡が残り、かつて隣接していた広島陸軍幼年学校の火災の熱で黒く焦げたと記録されています。
しかしこのクスノキは屈することなく再生し、胴吹き枝を幹から勢いよく吹き出し、偏りのある枝ぶりに生命力を宿しています。
折れた部分は周囲の組織が巻き込み、ゆっくりと回復の過程を見せていますが、内部には空洞化が進んでいる可能性もあり、定期的な樹木診断が求められます。
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- 被爆樹木 クスノキ 広島 樹木医
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- 被爆樹木 クスノキ 広島 樹木医
平和記念資料館で感じた「生きること」の意味
この木を訪ねる前に立ち寄った 広島平和記念資料館は、戦争の現実が目の前に広がります。
焼け焦げた衣服、溶けたガラス瓶、写真に写る人々の苦しみ。
その場に立った瞬間、胸の奥が締め付けられるような感覚に襲われました。
それでも、瓦礫の街から立ち上がり広島を蘇らせた人々がいたからこそ、
いま私たちが享受している平和と豊かさがあります。
このクスノキが再び枝葉を広げたように、広島もまた再び息を吹き返しました。
その姿は、単なる「歴史」ではなく、私たちに託された希望のバトンなのだと感じます。
未来へ受け継ぐ、樹木の記憶
被爆樹木クスノキは、広島が経験した破壊と再生の物語を、70年以上経った今も生きて伝えています。
あの日を生き抜いたこの木が、今も力強く葉を茂らせているように、
私たちもまた、先人の想いを胸に、平和な社会を支える責任をもって生きていきたい。
この樹を前にしたとき、その思いが静かに心に沁みました。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
弊社ウェブサイト内にも樹木医診断や過去の事例について
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English Version (for International Readers)
The A-bombed Camphor Tree — A Living Symbol of Hiroshima’s Rebirth
A Silent Witness by Hiroshima Castle Moat
Standing quietly on the northern edge of Hiroshima Castle near the northwest side of RCC Broadcasting this camphor tree has watched over the city for generations.
Only 1,120 meters from the hypocenter, the tree was blown apart by the blast and scorched by fire and heat, yet it sprouted new branches and leaves again.
Its survival has become an enduring symbol of Hiroshima’s rebirth.
被爆樹木 クスノキ 広島 樹木医
Scars and Signs of Regeneration
Deep burn marks and fractures still remain on its trunk, reportedly caused by fires from the former Hiroshima Army Cadet School nearby.
Despite the damage, the tree continues to live — new shoots sprout from its trunk, and its uneven crown reflects resilience.
Though its surface shows recovery through natural healing, internal hollows may still be developing, emphasizing the need for periodic professional diagnosis.
At the Hiroshima Peace Memorial Museum
Before visiting this tree, I stopped by the Hiroshima Peace Memorial Museum
There, the reality of war unfolds — charred clothing, melted glass bottles, photographs of suffering.
Standing before them, I felt a deep, tightening ache in my chest.
And yet, the people of Hiroshima rose from the ruins, rebuilding their city from ashes.
The peace and prosperity we enjoy today rest upon immeasurable sacrifices.
Just as this camphor tree regrew its branches, Hiroshima too revived — not just as a city, but as a message entrusted to future generations.
The Tree That Tells the Story of Peace
The A-bombed camphor tree remains a living testament to Hiroshima’s destruction and renewal.
More than seventy years later, it continues to thrive, reminding us to live with gratitude and purpose —
to honor the resilience of those who came before us, and to protect the peace they built with their courage.
Toshi Landscape Inc.
Certified Tree Doctor – Masatoshi Nakamura
Official Website
