樹上で体を支えるロープには、止める・つなぐ・結び付ける・摩擦を生むという、役目の違う結びが使われます。連載「アーボリストの基礎」の第9回では、結びの名前と役目、使い分ける理由を、日本の法令と基準を先に、そのうえで国際アーボリカルチャー協会(ISA)の資格の範囲などから樹木医が解説します。
この連載をお読みいただく前に
この記事は、ツリークライミングの仕組みと安全の考え方を紹介するものです。登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うもので、記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため決して行わないでください。
第8回では、道具を使う前と使った後の点検と、使うのをやめる時期の考え方を書きました。今回から第3部「ロープと結びの考え方」に入ります。
ツリークライミングで使うロープは、結びや金具でつないで初めてシステムになります。ロープの端を金具とつなぐ所、枝や幹に結び付ける所、体を止める摩擦を生む所。システムのつなぎ目の多くに、結びがあります。この回では、樹上作業で使われる結びの名前と、それぞれが受け持つ役目、そして一つの結びで済ませずに使い分ける理由を書きます。
結び方の手順と、結び目の形が分かる絵や写真は載せません。結びは、指導者の前で結び、整え方と締め方まで確かめてもらいながら身に付けるものだからです。この回の図と表は、結びを役目で分けたものです。樹上の場面の絵も、結び目の形が読み取れないものにしています。
結びは、名前より先に「役目」で分ける
日本の法令は「外れないように確実に」と結果を求める
日本の労働安全衛生規則には、もやい結びや8の字結びといった、結びの名前を挙げた条文はありません。ロープで体を支えて行う高所の作業(ロープ高所作業)の条文は、体を支えるメインロープと、墜落を防ぐためのライフラインを、それぞれ別の支持物に「外れないように確実に緊結」するよう求めています(第539条の3)。どう結ぶかではなく、外れないという結果を求める書き方です。
この決まりができたときの厚生労働省の施行の通達(平成27年8月5日 基発0805第1号)は、ロープ高所作業で墜落して亡くなる事故の原因の一つとして、体を支えるロープが外れること(ほどけること)を挙げています。結びがほどけないことの大切さは、法令ができた背景の一つにあります。樹上作業にロープ高所作業の条文が当たるかどうかは、条文の対象と樹上作業の関係を含めて第20回で書きます。
参考: 日本の消防の基準は、結びを役目で分けている
日本の公的な文書で、結びの名前と分け方を定めたものに、総務省消防庁の「消防救助操法の基準」(昭和53年消防庁告示第4号)があります。消防の救助の訓練のための基準で、樹上作業の基準ではありません。ただ、結びをどう整理するかを考えるときの参考になります。
この告示は、結びの操法を、基本の結び(基本結索)、器具に結ぶもの(器具結索)、体に結ぶもの(身体結索)に分けています(第110条)。そのうえで基本結索を「結合」「結節」「結着」の3つに分け、それぞれに当たる結びの名前を挙げています(第112条)。
| 区分 | 何をするための結びか | 告示が挙げる結びの名前(抜粋) |
|---|---|---|
| 結合 | ロープとロープをつなぐ | 本結び、ひとえつなぎ、ふたえつなぎ |
| 結節 | ロープに結び目や輪を作る | とめ結び、8の字結び、二重もやい結び ほか |
| 結着 | ロープを物に結び付ける | もやい結び、巻結び、錨結び、プルージック結び ほか |
出典: 総務省消防庁「消防救助操法の基準」(昭和53年消防庁告示第4号)第112条。消防の救助の訓練の基準で、樹上作業の基準ではない(参考)
海外では ― ISA の資格は、結びを役目の種類で問う
海外では、ISA の木登りの資格(ISA Certified Tree Climber)の試験の範囲が、木登りのロープや吊り下ろしのロープ、器具が意図どおりに働くように結びを作ることを、技能の一つに挙げています。その結びは、名前の一覧ではなく、役目の種類ごとに例が示されています。
| 役目の種類 | 例として挙がる結びの名前 |
|---|---|
| 金具を取り付ける結び | ガースヒッチ、カウヒッチ、ティンバーヒッチ |
| 末端の結び | バントラインヒッチ、アンカーヒッチ、ダブルフィッシャーマンズ |
| 吊り下ろしのロープの端の結び | クローブヒッチ、ランニングボーライン |
| ロープをつなぐ結び | シートベンド、クイックヒッチ |
| フットロックで登るときの確保の結び | クレイムハイスト、イングリッシュプルージック |
| 木登り用のフリクションヒッチ | トートラインヒッチ、ブレイクスヒッチ、ディステル、シュヴァビッシュ、ヴァルドタン・トレス(VT) |
出典: International Society of Arboriculture「ISA Certified Tree Climber Examination Outline」(2024年1月からの試験に適用)
実技試験の評価票では、フットロックの確保の結びの代わりに「ロープの途中に作る結び」(クローブヒッチ、アルパインバタフライなど)が入り、6つの種類から一つずつ結んで見せる形になっています。まず問われるのは、その結びがシステムのどこで何を受け持つのかです。
名前についても触れておきます。よく耳にする8の字結びは、ISA の試験の範囲の一覧には挙がっておらず、日本の消防の基準と、ペツルのツリーケアのカタログ(日本語版)に出てきます。現場では8の字結びを「エイトノット」とも呼びます。ボーラインの名前は、ISA の一覧ではランニングボーラインとして挙がります。英語の名前と日本語の名前の対応は、告示にも ISA の資料にも書かれていないので、この記事では、それぞれの資料に書かれた呼び名のまま書いています。
消防の基準と ISA の資格は、出どころも目的も違います。それでも、結びを名前より先に役目で整理している点は同じです。

結びは、名前より先に「役目」で分ける
止める・つなぐ・結び付ける・摩擦を生む ― この連載での4つの役目
この連載では、上の2つの分け方を手がかりに、結びの役目を4つにまとめて覚えることにします。この4つは連載の中での整理で、資料の分け方そのものではありません。どの結びをどの役目に置くかは、それぞれの資料の分け方に沿っています(たとえば、もやい結びは消防の告示では「結着」です)。

メインロープとランヤードで体を支える樹上の作業員と、滑車を通るリギングロープを持つ地上の作業員
| 役目 | 日本の消防の基準(参考) | ISA の資格の範囲 | ANSI Z133 改訂案・メーカー |
|---|---|---|---|
| 止める(端から抜けない) | 結節: 8の字結び、とめ結び | 止め結びが要る条件を知る | Z133 8.2.15 止め結び、8.1.17 抜け止めの末端 |
| つなぐ(ロープとロープ、ロープと金具) | 結合: 本結び、ひとえつなぎ | ロープをつなぐ: シートベンド ほか/末端: バントラインヒッチ ほか | Z133 8.1.2 末端と金具の組み合わせ |
| 結び付ける(枝・幹・物に) | 結着: もやい結び、巻結び、錨結び | 金具の取り付け: ティンバーヒッチ ほか/ロープの端: ランニングボーライン ほか | ペツル: 解除可能なノット |
| 摩擦を生む(体を止める・動かす) | 結着: プルージック結び | 木登り用のフリクションヒッチ: ブレイクスヒッチ ほか | ペツル: プルージック結びとプーリーの組み合わせ |
出典: 消防救助操法の基準 第112条、ISA Certified Tree Climber Examination Outline、ANSI Z133 改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)、ペツル「ツリーケア カタログ 2026」をもとに当社で整理
止める ― ロープの端から抜けない
日本の法令に、止めるための結びを名指しした条文はありません。参考として、消防の基準は8の字結びやとめ結びを、ロープに結び目や輪を作る「結節」に置いています。
海外では、ISA が事務局を務める米国の樹木作業の安全基準 ANSI Z133 の改訂案が、作業中はメインロープの端の近くに適切な止め結び(ストッパーノット)を作るよう定めています(8.2.15。ロープが地面まで届くことを確かめた場合を除く)。ロープの端がほつれないように仕上げること(8.1.13)、体を枝に寄せる短いロープ(ランヤード)の端が、摩擦の器具を抜けて進まないような末端にすること(8.1.17)も定めています。ISA の資格の範囲も、止め結びが要る条件を知っておくことを求め、その例に、メインロープの走る側の端と、フリクションヒッチを作る短い綱(スプリットテール)の走る側の端を挙げています。止める結びは、ロープが端から抜けて体の支えが無くなることを防ぐためのものです。
つなぐ ― ロープとロープ、ロープと金具
参考として、消防の基準は、ロープとロープをつなぐ結びを「結合」とし、本結びやひとえつなぎを挙げています。
海外では、Z133 の改訂案が、メインロープの末端は、編み込みの輪(アイスプライス)か、つなぐ金具に合った結びで仕上げるよう定めています(8.1.2)。輪が固定されないカラビナを使うときは、末端の処理が、カラビナの長い軸に沿って力がかかる状態を保つようにし、不意に外れることや、カラビナに横向きの力がかかることを抑えられる組み合わせにする、としています。結びは、それだけで選ぶのではなく、つなぐ金具との組み合わせで選ぶ、という考え方です。カラビナに横向きの力がかかると危ない理由は、第6回で書きました。
ペツルのカタログは、工場で縫って作ったロープの末端の輪(縫製処理)が、ロープを結ぶ必要をなくすと説明しています。つなぐ所には、結び目を作らない選び方もあります。
結び付ける ― 枝や幹、物に
参考として、消防の基準は、ロープを物に結び付ける結びを「結着」とし、もやい結び、巻結び、錨結びなどを挙げています。
海外では、ISA の資格の範囲が、金具を取り付ける結びの例にティンバーヒッチなどを、吊り下ろしのロープの端の結びの例にランニングボーラインやクローブヒッチを挙げています。吊り下ろし(リギング)のロープは、切った枝を受けるためのもので、人を支えるロープとは別の系統です。リギングの考え方は第18回で書き、詳しくは高木・特殊伐採の連載に譲ります。
摩擦を生む ― 体を止め、動かす
参考として、消防の基準は、プルージック結びを「結着」の一つに挙げています。
海外では、ISA の資格の範囲が、木登り用のフリクションヒッチ(ブレイクスヒッチ、ディステル、ヴァルドタン・トレスなど)を、役目の種類の一つとして挙げています。あわせて、結びやヒッチには、登るときだけ使うもの、登りにも降りにも使うもの、降りるときだけ使うものがあり、その向きを区別して覚えることを求めています。フリクションヒッチは、整えて、締めた状態で使うことも、技能として求められています。ペツルのカタログには、プーリーをプルージック結びと組み合わせて使う例も載っています。摩擦で体が止まる仕組みと、機械式の器具との違いは、第7回で書きました。
ほどけにくさと解きやすさ ― 結びを使い分ける理由
どの場面にも使える結びが一つあれば、名前をいくつも覚える必要はありません。それでも使い分けるのは、結びに求められることが場所によって違い、ときには逆向きになるからです。
ほどけないこと ― 整えて、締めてあること
日本では、先に書いたとおり、安衛則がロープを外れないように確実に緊結するよう求め、通達はロープが外れる(ほどける)ことを墜落の原因の一つに挙げています。参考として、消防の基準も、ロープの操法の留意事項に、結び終えたロープは結び目を整理し、ゆるみの無いようにすることを挙げています(第108条)。
海外では、ISA の資格の実技試験が、結びを正しく「整えて(dress)」「締めて(set)」あることを求めています。Z133 の改訂案も、末端が不意に外れないことを求めています(8.1.2)。形がそろい、締まっていることまで含めて一つの結び、という考え方は、日本の消防の基準と同じです。
あとで解けること
ほどけないことだけを考えると、固く締まり切って解けない結びが良いように見えます。ところが、結びを解くことが要る場面もあります。参考として、消防の基準も、訓練の後に結び目を解いてロープを収める流れを定めています。
メーカーの説明にも、あとで解けることを条件にした結び(解除可能なノット)が出てきます。結びを選ぶ条件の一つに、あとで解けることが入る場面があります。
結び目を作ると、強さが変わる
参考として、消防の基準は、ロープと器具を許容荷重を超えて使わないことを留意事項に挙げています(第108条)。海外では、Z133 の改訂案が、縫製の末端や、金具で圧着した末端に強さの基準を設けています(8.1.7.1)。
ペツルのカタログは、ロープの仕様の欄で、8の字結びを作った場合の強さと、末端に縫製処理をした場合の強さを別々に示し、縫製処理の末端の方が8の字結びより強いと書いています。ペツルの ZIGZAG の取扱説明書は、使うロープは両端を含めて欧州の規格 EN 1891 のタイプAに合うものとしています。メーカーは、末端もロープの一部として見ています。
研究でも、結びの違いは確かめられています。木登りの作業用ロープとフリクションヒッチの組み合わせを引っ張って調べた論文(Bianchini ほか、2021年)では、結果の違いは、ロープの種類よりもヒッチの種類によるところが大きかったと報告されています。結びは、どれを選んでも同じではありません。
金具との相性
日本では、ロープ高所作業の施行の通達が、支持物に緊結する道具(緊結具)の例としてカラビナやスリングを挙げていますが、結びとの組み合わせまでは書いていません。
海外では、先に書いた Z133 の改訂案の 8.1.2 のほか、ISA の資格の範囲が、カラビナに横向きの力がかかること、ゲートが不意に開くこと、フリクションヒッチに意図しない干渉が起きることを防ぐ結びと器具を知っておくよう求めています。同じ結びでも、つなぐ金具によって、良い組み合わせにも悪い組み合わせにもなります。
| 結びを選ぶときに考えること | 日本(法令・参考の基準) | 海外(ISA・Z133 改訂案) | メーカー・研究 |
|---|---|---|---|
| ほどけない・外れない | 安衛則 第539条の3(外れないように確実に緊結)、平成27年の施行の通達 | Z133 8.1.2 不意に外れない、8.2.15 止め結び | — |
| 整えて締めてある | 消防の基準 第108条(参考) | ISA の実技 整えて(dress)締める(set) | — |
| あとで解ける | 消防の基準 訓練の後に解いて収める(参考) | — | ペツル 解除可能なノット |
| 強さの変わり方 | 消防の基準 第108条 許容荷重を超えない(参考) | Z133 8.1.7.1 縫製・圧着の末端の基準 | ペツル 8の字結びと縫製の末端の強さを別に表示、Bianchini ほか(2021) |
| 金具との相性 | 施行の通達 緊結具の例(カラビナ・スリング) | Z133 8.1.2、ISA の資格の範囲(横向きの力・ゲートの不意の開き) | — |
出典: 労働安全衛生規則、平成27年8月5日 基発0805第1号、消防救助操法の基準、ANSI Z133 改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)、ISA Certified Tree Climber の試験の範囲と実技の評価票、ペツル「ツリーケア カタログ 2026」、Bianchini ほか(2021)

結びを選ぶときに考える5つのこと
結び方は、指導者の前で身に付ける
ここまでの資料には、共通していることがあります。どれも、結びの名前と役目、そして正しく整えて締めてあることを求めていますが、結び方そのものは訓練で身に付ける形になっています。日本の法令は結果を定め、どう結ぶかは教育と指導に任せています。参考として挙げた消防の基準は操法の訓練として、ISA の資格は実技の試験として、結びを身に付けることを求めています。
名前を知っていることと、役目を果たす結びを作れることは、別のことです。整え方や締め方は、文字や絵では確かめられません。この連載が結び方を載せないのは、そのためです。当社でも、結びは指導者の前で習い、整え方と締め方まで確かめてもらってから現場で使います。樹上作業に必要な教育と資格は、第20回で書きます。
職人の視点 ― しゅろ縄の結びと、ロープの結び
私が修業時代から見てきた現場では、植木職人は、支柱や竹垣をしゅろ縄で結んできました。木が太るのに合わせて支柱の結束をほどき、結び直すのも、職人の仕事です。結び目をゆるませないことと、あとでほどけること。その両方を、職人は手で覚えてきました。
樹上のロープの結びは、体を預けるものなので、求められる確かさは支柱の結束と同じではありません。それでも、役目に合わせて結びを選び、整えて締め、役目を終えたら解く、という考え方は、しゅろ縄の結束と通じていると、現場での経験から感じています。新人には、結びの名前をたくさん覚えるより先に、目の前の結びが何のためにあるのかを考える癖を付けてほしいと思っています。
新人のための確認
この回で覚える名前
- 結合・結節・結着(日本の消防の基準の分け方。参考)
- ISA の資格の結びの種類(金具の取り付け・末端・吊り下ろしのロープの端・ロープをつなぐ・確保の結び・木登り用のフリクションヒッチ)
- 結びの名前の例: 8の字結び、もやい結び、ティンバーヒッチ、ランニングボーライン、ブレイクスヒッチ、プルージック結び
- 止め結び(ストッパーノット)、アイスプライス、縫製処理の末端
- 規格の名前: ANSI Z133(樹木作業)、EN 1891(ロープ)
理解しておく考え方・決まり
- 結びは、名前より先に役目で覚える(止める・つなぐ・結び付ける・摩擦を生む)
- 日本の法令は、外れないように確実に緊結するという結果を求めている
- 結びは、整えて締めてあって、はじめて役目を果たす
- ほどけないことと、あとで解けること。結びには逆向きのことが求められる場面がある
- 結び目を作ると、ロープの強さは変わる
- 結びは、つなぐ金具との組み合わせで選ぶ(横向きの力・ゲートの不意の開きを防ぐ)
指導者のもとで習う項目
- 当社で使う結びの名前と、それぞれの役目
- 結びの作り方・整え方・締め方
- 使う前の結びの確かめ方
- 止め結びが要る場面
よくある質問(Q&A)
Q1. ツリークライミングでは、どんな結びを使うのですか?
A. 役目の違う結びを使い分けます。ISA の木登りの資格の試験の範囲は、金具を取り付ける結び、末端の結び、吊り下ろしのロープの端の結び、ロープをつなぐ結び、確保の結び、木登り用のフリクションヒッチといった役目の種類ごとに、ティンバーヒッチ、ランニングボーライン、ブレイクスヒッチなどの例を挙げています。日本の消防の基準も、結びを結合・結節・結着に分けています。
Q2. 日本の法令では、結び方が決められていますか?
A. 労働安全衛生規則には、結びの名前や結び方を定めた条文はありません。ロープ高所作業の条文は、メインロープとライフラインを、それぞれ別の支持物に外れないように確実に緊結するよう求めており、どう結ぶかではなく結果を定めています。施行の通達は、体を支えるロープが外れる(ほどける)ことを、墜落の原因の一つに挙げています。
Q3. なぜ結びを使い分けるのですか?
A. 結びに求められることが、場所によって違うからです。ほどけないことが大事な所もあれば、あとで解けることが要る場面もあります。結び目を作るとロープの強さが変わり、結びの種類によって性能も違います。カラビナなどの金具との組み合わせによっても、良し悪しが変わります。
Q4. 結び目を作ると、ロープの強さは変わるのですか?
A. 変わります。ペツルのカタログは、ロープの強さを、8の字結びを作った場合と、末端を工場で縫った場合とで別々に示し、縫製の末端の方が強いと書いています。研究でも、ロープとフリクションヒッチの組み合わせでは、結果の違いはロープの種類よりもヒッチの種類によるところが大きかったと報告されています(Bianchini ほか、2021年)。
Q5. この記事を読んで、自分で木に登ってもよいですか?
A. 記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため行わないでください。この連載は仕組みと安全の考え方を紹介するもので、登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うものです。高い木の手入れでお困りの場合は、専門の業者にご相談ください。
出典・参考情報
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」(第539条の3)
- 厚生労働省「ロープ高所作業における危険の防止を図るための労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について」(平成27年8月5日 基発0805第1号)(中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター)
- 総務省消防庁「消防救助操法の基準」(昭和53年消防庁告示第4号)(第107条、第108条、第110条、第112条)
- International Society of Arboriculture「ANSI Z133 改訂案(第2回公開レビュー版、2024年1月)」(最新版は Z133-2026。本文の記述は改訂案による)
- International Society of Arboriculture「ISA Certified Tree Climber Examination Outline」「ISA Certified Tree Climber Skills Test Evaluation Form」
- ペツル「ツリーケア カタログ 2026」(日本語版)
- Petzl「ZIGZAG・ZIGZAG PLUS・CHICANE 取扱説明書」
- Bianchini, L. ほか(2021)「Tensile Strength of Ropes and Friction Hitch Used in Tree Climbing Work」Forests 12(11): 1457
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次回の第10回は、体を預けるロープを掛ける枝を取り上げます。樹木医が、登る前に樹木の何を見ているのかを書きます。
この連載をお読みいただく方へ
この記事は、ツリークライミングの仕組みと安全の考え方を紹介するものです。登り方や結び方の手順は載せていません。樹上での作業は、資格と経験のある指導者のもとで訓練を受けてから行うもので、記事だけを手がかりに木に登ることは、重大な事故につながるため決して行わないでください。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
※ 「アーボリスト」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、樹木の手入れを専門とする職業(英語の arborist)を指す言葉として使っています。
※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。
連載「アーボリストの基礎」のすべての回は、連載の一覧からご覧いただけます。
































