オージープランツ植栽 東京都世田谷区

植栽植え付け

世田谷区深沢の個人邸の玄関アプローチをオージープランツを中心に植栽しました。

世田谷区深沢の個人邸で、玄関アプローチにオーストラリアの植物(オージープランツ)を中心とした12種を植えた記録です。使った植物の原産地と性質、オーストラリアの植物を植えるときに気をつけたい土と肥料のことを、植物園や研究の資料とあわせてまとめました。

玄関アプローチの植栽

使った12種の植物

使用植栽一覧

■メラレウカ・スノーインサマー
■ツワブキ・ギガンチア
■ホスタ・ビッグママ
■アガベ アメリカーナ
■ニューサイラン銅葉
■レプトスペルマム・カッパーグロウ
■モクマオウ
■ウエストリンギア白斑
■ユーフォルビア・ウルフェニー
■グレビレア・ココナッツアイス
■グレビレア・グラスファイヤー
■コルジリネ・トーベイダズラー

「オージープランツ」は、オーストラリア原産の植物をまとめて呼ぶ日本の園芸の通称です。この植栽では、オーストラリアの植物を中心に、ニュージーランドや日本、地中海沿岸などの植物を組み合わせています。キュー王立植物園の「Plants of the World Online」や、英国王立園芸協会(RHS)などの記載で、12種の原産地と性質を確かめると次のとおりです。

植物(記事の表記) 学名 科 原産地 性質
メラレウカ・スノーインサマー Melaleuca linariifolia フトモモ科 オーストラリア東部 常緑の高木
レプトスペルマム・カッパーグロウ Leptospermum ‘Copper Glow’ フトモモ科 親の種はオーストラリア東部 常緑の低木
ウエストリンギア白斑 Westringia fruticosa の斑入りの品種 シソ科 オーストラリア東部 常緑の低木、潮風に強い
グレビレア・ココナッツアイス Grevillea ‘Coconut Ice’ ヤマモガシ科 親の種はオーストラリア 低木(交配種)
グレビレア・グラスファイヤー Grevillea ‘Grassfire’ ヤマモガシ科 親の種はオーストラリア 地面をはうように広がる低木(交配種)
モクマオウ モクマオウ科の仲間 モクマオウ科 属・種によって範囲が違う 常緑の木
ニューサイラン銅葉 Phormium tenax の銅葉の品種 ススキノキ科 ニュージーランド、ノーフォーク島 常緑の多年草
コルジリネ・トーベイダズラー Cordyline australis ‘Torbay Dazzler’ キジカクシ科 ニュージーランド 常緑でヤシのような姿の木、斑入り
ツワブキ・ギガンチア Farfugium japonicum var. giganteum キク科 日本(九州・四国) 常緑の多年草
ホスタ・ビッグママ Hosta ‘Big Mama’ キジカクシ科 ギボウシ属は東アジア 冬は地上部が枯れる多年草
アガベ アメリカーナ Agave americana キジカクシ科 米国南部〜メキシコ 常緑の多肉植物
ユーフォルビア・ウルフェニー Euphorbia characias subsp. wulfenii トウダイグサ科 フランス南部〜トルコ(地中海沿岸) 常緑か半常緑の亜低木

出典: キュー王立植物園「Plants of the World Online」、ビクトリア王立植物園「HortFlora」、英国王立園芸協会(RHS)の植物の記載、アデレード植物園「Plant Selector」。コルジリネの種小名 australis は「南の」という意味で、オーストラリア原産という意味ではありません。

オージープランツ 原産地 オーストラリア ニュージーランド グレビレア メラレウカ 12種 植栽 図

図: この記事で使った12種の植物の原産地(出典: Plants of the World Online、HortFlora、RHS の記載をもとに当社作成)

オーストラリアの植物の特徴──固有の種が多く、リンの乏しい土で育つ

オーストラリアの植物は、その土地にしか無い種の割合がとても高いことで知られています。オーストラリア国立植物園がまとめた統計(2009年)では、オーストラリアの維管束植物は約21,645種で、その91.8%が固有の種です。

土の条件にも特徴があります。グレビレアの仲間のヤマモガシ科には、根の一部が房のように密に集まる「クラスター根(プロテオイド根)」をつくり、リンの乏しい土から効率よくリンを取り込むものが多くあります。オーストラリア南西部の研究では、世界でも特にリンの乏しい土で進化したヤマモガシ科の多くがリンに弱く、リンを与えすぎると枯れることが示されています。グレビレアの品種を水耕で育てた実験でも、リンを多く与えると葉が傷み、生育が落ちました。

植え付け前の客土と土壌改良

オーストラリアの植物には、水はけのよい土を好むものが多くあります。RHS はグレビレア・ユーフォルビア・アガベ・ニューサイランを水はけのよい土の植物として載せ、グレビレアには酸性から中性の土を挙げています。オーストラリア国立植物園も、植物の自生地に近い土にするため、水はけの悪い粘土の植え床を入れ替えたり、砂の多い土にしたりしています。植え付けの前の客土と土壌改良は、根が伸びる土台を整える作業です。

植えた後に気をつけたいこと

原産地の違う植物を一つの植え込みに組み合わせているので、手入れでは植物ごとの性質の違いに気を配ります。資料で確かめられる主な点は次のとおりです。

  • 肥料のリン: オーストラリア国立植物園は、リンに耐えられないヤマモガシ科やマメ科などには、リンがごく少ないか、まったく含まない在来植物用の肥料を使っています。RHS もグレビレアにはリンの少ない液肥を挙げています
  • 寒さ: 寒さへの強さは種と品種で大きく違います。RHS の英国での目安では、アガベ アメリカーナは H2(1〜5℃)、ツワブキ・ギガンチアとコルジリネ・トーベイダズラーは H3(−5〜1℃)、ユーフォルビア・ウルフェニーは H4(−10〜−5℃)です
  • 樹液と葉のとげ: RHS は、ユーフォルビアの樹液は皮膚と目を刺激し、アガベも肌を刺激するとしています。手入れのときは手袋を着けます

植えた後の手入れの様子は「オージープランツ植栽 メンテナンス 世田谷区」で紹介しています。

株式会社トシ・ランドスケープ

よくある質問

Q1. オージープランツとは何ですか。

オーストラリア原産の植物をまとめて呼ぶ日本の園芸の通称です。この記事の植栽では、メラレウカ、レプトスペルマム、ウエストリンギア、グレビレアなどのオーストラリアの植物を中心に植えました。

Q2. 使った12種は、すべてオーストラリア原産ですか。

いいえ。ニューサイランとコルジリネはニュージーランド、ツワブキは日本、ホスタは東アジア、アガベは米国南部からメキシコ、ユーフォルビアは地中海沿岸の植物で、オーストラリアの植物と組み合わせています。

Q3. グレビレアに肥料を与えるとき、気をつけることはありますか。

リンを控えることです。グレビレアの仲間のヤマモガシ科にはリンに弱いものが多く、オーストラリア国立植物園はリンがごく少ないか含まない肥料を使っています。

出典・参考情報

・Royal Botanic Gardens, Kew「Plants of the World Online」(各種の自生地)
・Royal Botanic Gardens Victoria「HortFlora」(グレビレアの2品種、ウエストリンギア)
・Royal Horticultural Society の植物の記載(ツワブキ、アガベ、ニューサイラン、ユーフォルビア、コルジリネ、グレビレア)と耐寒性の区分
・Botanic Gardens of South Australia「Plant Selector: Melaleuca linariifolia」
・Australian National Botanic Gardens「Australian flora statistics」(Chapman 2009)、「Fertilising」「Soils」
・Lambers H. ほか「Phosphorus nutrition in Proteaceae and beyond」Nature Plants 1, 2015年
・Lambers H. ほか「Root structure and functioning for efficient acquisition of phosphorus: matching morphological and physiological traits」Annals of Botany 98, 693–713, 2006年
・Shane M. W.・Szota C.・Lambers H.「A root trait accounting for the extreme phosphorus sensitivity of Hakea prostrata (Proteaceae)」Plant, Cell & Environment 27, 991–1004, 2004年
・Nichols D. G.・Beardsell D. V.「Interactions of calcium, nitrogen and potassium with phosphorus on the symptoms of toxicity in Grevillea cv. ‘Poorinda Firebird’」Plant and Soil 61, 437–445, 1981年

 

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