元々植栽されている植物が衰退傾向にあり、
エントランスの低木と地被植物を一新する形となりました。
渋谷区の個人邸で、エントランスの低木と地被植物を植え替えた記録です。オージープランツを織り交ぜた7種の植物の原産地と性質、高木の下の日陰に斑入りの植物を選んだ理由と、斑入りの植物を育てるときの注意を、植物園や園芸協会の資料とあわせて紹介します。
衰退したエントランスの植栽を、低木と地被植物で一新
オージープランツも織り交ぜ、低木、地被植物を植栽しました。
- オージープランツ 植栽 植え付け 植物
- オージープランツ 植栽 植え付け 植物
植えた植物──オージープランツと地中海の植物
・斑入りピットスポラム
・グレビリア ピーチ&クリーム
・斑入りギンバイカ
・ウエストリンギア
・斑入りウエストリンギア
・カレックス
・シルバーダスト
などなど
- ウエストリンギア オーストラリアンローズマリー
- ウエストリンギア オーストラリアンローズマリー
「オージープランツ」は、オーストラリア原産の植物をまとめて呼ぶ日本の園芸の通称です。この植栽では、オーストラリアの植物に、地中海沿岸が原産の植物などを組み合わせています。植物園や英国王立園芸協会(RHS)などの記載で、記事に名前のある7種の性質を確かめると次のとおりです。
| 植物(記事の表記) | 学名 | 科 | 原産地 | 性質 |
|---|---|---|---|---|
| ウエストリンギア | Westringia(代表種は W. fruticosa) | シソ科 | W. fruticosa はオーストラリア東部の海沿い | 高さ1.5mほどまでの低木、葉は4枚ずつ輪になってつき、裏に白い毛が密生する |
| 斑入りウエストリンギア | ウエストリンギアの斑入りの品種 | シソ科 | 同上 | 葉に斑が入る |
| グレビリア ピーチ&クリーム | Grevillea ‘Peaches and Cream’ | ヤマモガシ科 | オーストラリアの庭で生まれた実生の品種 | 高さ約1.2m・幅約1.5mのこんもりした低木、花はクリーム色と淡いアプリコット色 |
| 斑入りギンバイカ | Myrtus communis ‘Variegata’ | フトモモ科 | 原種は地中海沿岸 | 常緑の低木、香りのある小さな葉にクリーム色の縁が入る、高さ・幅1.5〜2.5m |
| シルバーダスト | Jacobaea maritima ‘Silver Dust’ | キク科 | 原種は地中海沿岸 | 銀白色の切れ込んだ葉の亜低木、一年草として扱われることが多い、高さ・幅0.1〜0.5m |
| 斑入りピットスポラム | トベラ属(Pittosporum)の斑入りの品種 | トベラ科 | 種が記事に無いため書かない | 葉に斑が入る |
| カレックス | スゲ属(Carex) | カヤツリグサ科 | 種によって違う | スゲの仲間 |
出典: 英国王立園芸協会(RHS)「Myrtus communis」「Myrtus communis ‘Variegata’」「Jacobaea maritima」「Jacobaea maritima ‘Silver Dust’」、Royal Botanic Gardens Sydney「PlantNET」(Westringia fruticosa)、米国植物特許 PP18035(Grevillea ‘Peaches and Cream’)。原産地と性質は原種や品種の記載で、育つ場所によって大きさは変わる
グレビリアのピーチ&クリームは、米国の植物特許の記載によると、1997年にオーストラリア・クイーンズランド州の庭で見つかった実生(種から生えた株)から選ばれた品種です。近くに植わっていた2種のグレビリアが親と考えられていて、はっきりした種の名前はありません。

図: エントランスに植えた植物の原産地(出典: RHS の植物のページ、PlantNET、米国植物特許 PP18035 をもとに当社作成)
高木の下の日陰には、斑入りの植物で明るさを
高木下の日陰な空間には斑入りの植物を入れて明るく仕上げました。
- ウエストリンギア シルバーダスト 斑入り ギンバイカ フッキソウ クリスマスローズ
- ウエストリンギア シルバーダスト 斑入り ギンバイカ フッキソウ クリスマスローズ
- ウエストリンギア シルバーダスト 斑入り ギンバイカ フッキソウ クリスマスローズ
- グレビレア グレビリア
斑入りの植物は、葉の一部が白やクリーム色になっていて、緑一色の葉より明るく見えます。一方で、斑入りの植物を育てるときに知っておきたいのが「先祖返り」です。英国王立園芸協会(RHS)は、斑入りの低木や高木から、斑の無い緑一色の枝が出てくることがあり、これを先祖返り(リバージョン)と呼んでいます。斑入りの品種は、多くが緑の植物に起きた変化(突然変異)から選ばれたもので、その変化はいつも安定しているわけではないためです。
緑一色の枝は葉緑素が多いぶん勢いが強く、そのままにすると、やがて株全体が緑の枝に置き換わってしまうことがあるとしています。RHS は、先祖返りした枝は付け根から切り取るか、斑入りの葉がついている所まで切り戻すよう勧めています。斑入りギンバイカや斑入りピットスポラムのような斑入りの低木では、手入れのときに緑一色の枝が出ていないかを見ておくと、明るい印象を長く保てます。
1〜2年後、植物が育ったころの姿
お客様は緑でモリモリの植栽がご希望とのことで、
1~2年後の植物が成長してきたころが楽しみです。
表のとおり、ウエストリンギアは高さ1.5mほど、グレビリアのピーチ&クリームは幅1.5mほどまで育つとされる低木です。シルバーダストは高さ・幅0.1〜0.5mほどで、低木の足元を銀白色の葉で埋める大きさです。大きさの数値は原種や品種の記載で、日当たりや土の条件によって変わります。
ご依頼いただきありがとうございました。
株式会社トシ・ランドスケープ
個人のお宅では、大きく育った高木の剪定や特殊伐採、樹木医による樹木診断を承っています。お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
まとめ
渋谷区の個人邸で、衰退傾向にあったエントランスの低木と地被植物を一新しました。オーストラリア原産のウエストリンギアやグレビリアに、地中海沿岸が原産のギンバイカやシルバーダストなどを組み合わせ、高木の下の日陰には斑入りの植物を入れて明るく仕上げています。緑でモリモリの植栽というご希望に向けて、1〜2年後に植物が育つころが楽しみです。
よくある質問
Q1. オージープランツとは何ですか。
オーストラリア原産の植物をまとめて呼ぶ日本の園芸の通称です。この植栽ではウエストリンギアやグレビリアが当てはまり、ギンバイカやシルバーダストは地中海沿岸が原産の植物です。
Q2. 斑入りの植物から緑一色の枝が出てきたら、どうしますか。
先祖返りと呼ばれる現象で、英国王立園芸協会(RHS)は、緑一色の枝を付け根から切り取るか、斑入りの葉がある所まで切り戻すよう勧めています。そのままにすると勢いの強い緑の枝が株全体を占めることがあります。
Q3. ウエストリンギアは、どれくらいの大きさになりますか。
原種の Westringia fruticosa は、オーストラリアの植物誌で高さ1.5mほどまでの低木とされています。
出典・参考情報
・英国王立園芸協会(RHS)の植物のページ: Myrtus communis、Myrtus communis ‘Variegata’、Jacobaea maritima、Jacobaea maritima ‘Silver Dust’
・英国王立園芸協会(RHS)「Reversion」
・Royal Botanic Gardens Sydney「PlantNET: Westringia fruticosa」
・米国植物特許 PP18035「‘Peaches and Cream’: a Grevillea cultivar」(2007年)
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