庭や敷地の木を伐る前に届け出が要るかどうかは、木の種類と区によって違います。連載「高木・特殊伐採とケーブリング」の第10回では、保存樹木などの指定木、指定されていない木の伐採届、風致地区の許可を、東京23区の条例と区の案内で整理し、区への確かめ方まで解説します。
先に結論を書くと、届け出を行うのは木の所有者や管理者で、伐る前に区の担当課へ出します。どの木に、どの基準で、いつまでに出すのかは、区ごとに違います。この回では、2026年10月11日に各区の公式サイトと例規集(条例・規則)で確かめた内容を、東京23区すべてについて並べます。
前回の第9回では、ご近所と通行への配慮と道路使用許可を書きました。道路使用許可は、作業で道路を使うときの手続きです。第10回は、木そのものを伐るときの手続きで、当社の高木・特殊伐採&ケーブリングのページでは「ご依頼の流れ」の「手続き」と、よくあるご質問の「庭の木を伐るのに、届け出は要りますか」にあたる項目を掘り下げます。

マンションの敷地に並ぶ高木。伐る前に、区の指定木かどうか、区の決まりに当たる大きさかどうかを確かめる
「伐採前の届け出」は、1つの制度ではありません
「庭の木を伐るときは届け出が要る」と言われても、実際には、根拠の違う手続きがいくつか重なっています。当社が現地調査で確かめている項目を、まず4つに分けて整理します。

伐る前の手続きの4種類(図)。根拠は、1が区の条例(みどりの条例など)、2が港区・世田谷区・練馬区の条例か規則、目黒区の条例、江東区の景観計画の届出、3が東京都風致地区条例と区の風致地区条例、4が景観法 第31条。出典: 各区の条例・規則・公式ページ、東京都風致地区条例 第3条、景観法 第31条(2026年10月11日に確認)
区が指定した木──保存樹木・保護樹木など
多くの区が、一定の大きさ以上の木を、所有者の同意や申請に基づいて「保存樹木」「保護樹木」などに指定しています。呼び名は区ごとに違い、新宿区は「みどりの文化財」、中野区は「保護指定樹木」、目黒区と板橋区は「保存樹木等」と呼んでいます。
指定された木を伐るときの扱いは、区によって次のように分かれます。
- 伐採しようとするときに、区へ届け出る(多くの区。区の名前は、あとの図と早見表に並べます)。条例の多くは、許可ではなく届出と書いています
- 届け出のほかに、先に指定の解除が要る(新宿区は区の現地調査と審議会の審議を経て指定を解除し、解除後に伐採します。港区と練馬区も、伐採の前に指定解除の手続きを案内しています)
- 届け出を出してから一定の期間は伐採できない(中野区は、届け出の日から60日を経過するまで伐採できません。区長が短縮することもできます)
- 伐採そのものを原則として禁じる(板橋区は、災害時の応急措置などのほか、みだりに切ってはならないと定めています。練馬区は、維持管理の剪定や危険な樹木の伐採などを除いて、伐採してはならないと定めています)
- 条例に伐採の事前届出の定めが見つからない(千代田区・中央区・墨田区・杉並区・足立区・葛飾区。杉並区は区の案内で、伐採の予定が生じたら解除の手続きが必要と案内しています)
なお、指定された木でも、通常の剪定ができないわけではありません。目黒区は案内ページで「『保存樹木』だから枝や葉は切ってはいけないということはありません」と書き、板橋区の案内も、通常の剪定はできると説明しています。当社が板橋区の保存樹木のクスノキを剪定した記録は、保存樹木クスノキ 剪定作業 板橋区にあります。
指定されていなくても、決まりがある区──港区・世田谷区・練馬区・目黒区・江東区
区の指定を受けていない木でも、一定の大きさ以上なら伐る前に届け出や協議を求める区が、23区のうち5つありました。港区・世田谷区・練馬区は「伐採届」、目黒区は「保全の協議」、江東区は景観計画の「届出」です。基準と時期は、あとの早見表と図で並べます。
残りの18区では、指定されていない木の伐採について、届け出を求める定めを区の例規と案内で見つけられませんでした。渋谷区は「みだりに伐採し、又は移植してはならない」と定め、中野区・杉並区・豊島区・北区・荒川区・足立区・葛飾区などは、樹木を保全するよう努める、やむを得ず伐採したら植栽するよう努める、といった努力義務を置いています。努力義務は、届け出を求めるものではありません。ただ、「定めが見つからない」ことと「届け出が要らない」ことは別なので、伐る前には区に確かめます。
風致地区と景観重要樹木
風致地区は、都市の風致を守るために指定される地区で、地区の中で木竹を伐採するには区長の許可が要ります(東京都風致地区条例 第3条第1項第2号。区が条例を定めている場合は区の風致地区条例)。間伐・枝打ち・整枝など木竹の保育のために通常行う伐採や、枯損した木竹・危険な木竹の伐採などは、許可が要らない行為として条例に書かれています(同条第2項第5号)。ただ、自分の木がそれに当たるかどうかは、区に確かめる必要があります。
景観重要樹木は、景観法に基づいて景観行政団体の長が指定する樹木で、伐採や移植には許可が要ります(景観法 第31条第1項)。通常の管理行為や非常災害の応急措置は除かれています。許可を受けずに伐採すると、30万円以下の罰金の定めがあります(同法 第103条第5号)。今回の調査で指定が確認できたのは、新宿区の幸國寺のイチョウ2本と中井御霊神社のクロマツ2本、台東区の11件、江戸川区の二之江神社のケヤキです。北区は、令和6年4月1日時点で区内に指定がないと区が書いています。
国の樹木保存法は、伐採の許可を求める法律ではありません
「都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律」(樹木保存法)は、市町村長が保存樹・保存樹林を指定できると定めています(第2条)。所有者には保存に努める義務があり(第5条)、所有者が変わったときと、滅失・枯死したときには、市町村長へ届け出ます(第6条)。伐採を許可制にする、あるいは伐採前の届け出を義務づける規定は、この法律にはありません。伐採の制限は、区の条例や、風致地区・景観法など、別の制度が受け持っています。
都市緑地法には、緑地保全地域の中の木竹の伐採は届出(第8条)、特別緑地保全地区の中の木竹の伐採は許可(第14条)と定めた規定もあります。ただ、これらの地域・地区は都市計画で定められるもので、23区のそれぞれにあるかどうかまでは、今回の調査で確かめられていません。
ここまでの手続きは、どれか1つに当たれば終わり、というものではありません。たとえば港区と練馬区では、指定木を伐るときに指定の解除の手続きをとったうえで、伐採届も出します。風致地区の中にある木なら、区長の許可も重なります。次の図は、1つに当たっても次の確認へ進む形で並べました。

伐る前の手続きを順に確かめる流れ(図)。1つに当たっても次の確認へ進む。港区・練馬区のように指定木にも伐採届が要る区があり、手続きは重なることがある。どれにも当たらない、または区の案内に定めが見つからない場合も、「届け出は要らない」と決めず、伐る木の大きさと場所を区の担当課に伝えて確かめる。国の樹木保存法による保存樹は、伐採の許可・届出を定めるものではない(第6条の届出は所有者の変更と滅失・枯死)。出典: 各区の条例・規則・公式ページ、東京都風致地区条例 第3条、景観法 第31条(2026年10月11日に確認)
東京23区の早見表(2026年10月11日に確認)
23区を、制度の違いで4つに分けると、次の図のとおりです。

23区を制度の違いで4つに分けた図(2026年10月11日時点)。1は指定されていない木にも伐採届・保全の協議・景観計画の届出が要る区で、指定木の手続きもある。2は指定木を伐る前に届け出る定めがある区。3は伐る前の届け出の定めが、指定木にも指定されていない木にも見つからない区(板橋区は届け出ではなく、指定木をみだりに切ってはならないと定め、杉並区は区のページで解除の手続きを案内)。4は区の公式サイトと例規集で確かめられていない区。区ごとの内容と条番号は次の表。出典: 各区の例規集と公式ページ
区ごとの内容は、区の公式サイト・例規集で確かめたものを、3つの表に分けて並べます。表の読み方を先に書きます。
- 「定めは見つかりません」は、区の例規と案内の範囲で、その定めを見つけられなかったという意味です。届け出が要らないことを示すものではありません
- 条例は改正されます。ページの更新日も区ごとに違います。届け出の前に、区の最新の案内で確かめる必要があります
- 窓口は、区のページに書いてある担当課の名前です。電話番号は変わることがあるため、載せていません
千代田区から江東区まで(8区)
| 区 | 指定木の制度 | 指定木を伐るとき | 指定されていない木 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 千代田区 | 区独自の条例なし、国の樹木保存法による保存樹(区の掲載は神田神社のイチョウ3本、平成15年3月31日現在の表) | 伐採前の届出・許可の定めは見つかりません | 定めは見つかりません | 環境政策課(保存樹) |
| 中央区 | 指定制度なし、樹木の保護育成事業の助成のみ | 定めは見つかりません | 定めは見つかりません | 水とみどりの課 |
| 港区 | 保護樹木・保護樹林・保護生垣(みどりを守る条例 第7条) | 伐採前に指定解除を申請し、解除通知書の写しを付けて伐採届を出す | 伐採届が必要(施行規則 第12条の5)、区の案内は伐採の概ね7〜10日前まで | 環境課 緑化推進担当(伐採届)、各総合支所まちづくり課(保護樹木) |
| 新宿区 | みどりの文化財(保護樹木等)(みどりの条例 第12条) | 伐採しようとするとき届出(第15条)、実際は区に相談し、審議会を経て指定を解除してから伐採する、無届の伐採は警告・公表の対象(第32条) | 届出の定めは見つかりません(第11条は努力義務) | みどり公園課 |
| 文京区 | 保護樹木・保護樹林(みどりの保護条例 第9条) | 伐採・移植しようとするとき届出(第13条)、みだりに伐採・移植しない(第11条) | 定めは見つかりません | みどり公園課 緑化係 |
| 台東区 | 保護樹木・保護樹林(みどりの条例 第7条) | 伐採しようとするとき届出(第11条) | 定めは見つかりません | 環境課 花の心・みどり担当 |
| 墨田区 | 条例なし、要綱による特別保全樹木等(補助金の対象) | 伐採届の定めは見つかりません(変更・解除は相談) | 定めは見つかりません | 環境保全課 緑化推進担当 |
| 江東区 | 保護樹木(みどりの条例 第10条) | 伐採・移植しようとするとき届出(第12条) | 景観計画の届出が必要(伐採・移植)、規則は着手の15日前まで、景観法 第18条は受理から30日を過ぎるまで着手できない(区長が短縮できる)ため、着手の時期は区へ確認 | 管理課 CIG推進係(緑化指導)、都市計画課(景観) |
出典: 各区の例規集と公式ページ(確認日 2026年10月11日)。千代田区の保存樹の数は区のページの表(平成15年3月31日現在)による
品川区から豊島区まで(8区)
| 区 | 指定木の制度 | 指定木を伐るとき | 指定されていない木 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 品川区 | 保存樹木(みどりの条例 第7条) | 伐採しようとするとき速やかに届出(第9条)、区のページは事前の相談を案内 | 定めは見つかりません | 公園課 みどりの係 |
| 目黒区 | 保存樹木等(みどりの条例 第7条) | 伐採しようとするとき、すみやかに届出(第11条) | 保全の協議が必要(条例 第14条の2)、伐採予定日の30日前まで(施行規則 第9条) | みどり土木政策課 みどりの係 |
| 大田区 | 保護樹木・保護緑地(みどりの条例 第14条) | 伐採・移植しようとするとき速やかに届出(第17条) | 定めは見つかりません(第11条は保全に努める規定) | 環境政策課(保護樹木)、建築審査課(風致地区) |
| 世田谷区 | 保存樹木・保存樹林地(みどりの基本条例 第9条) | 伐採・移植しようとするとき、あらかじめ届出(第12条第2項) | 伐採届が必要(条例 第29条・施行規則 第36条)、区のページは「伐採する前」と案内 | 各総合支所 街づくり課(伐採届)、みどり政策課(保存樹木) |
| 渋谷区 | 保存樹木・保存樹林(みどりの確保に関する条例 第8条) | 伐採・移植しようとするとき速やかに届出(第11条) | 届出の定めは見つかりません、みだりに伐採・移植しない、伐採したら同数以上の植栽に努める(第6条) | 環境政策課 |
| 中野区 | 保護指定樹木等(みどりの保護と育成に関する条例 第10条) | 伐採は届出の日から60日を経過するまでできない(第13条、区長が短縮できる) | 定めは見つかりません(第9条は努力規定) | 環境課 環境・緑化推進係 |
| 杉並区 | 保護樹木等・貴重木(みどりの条例 第10条) | 条文に伐採の事前届出の定めが見つかりません、区のページは、伐採の予定が生じたら解除の手続きが必要と案内 | 定めは見つかりません(第9条は努力規定) | みどり公園課 |
| 豊島区 | 保護樹木等(みどりの条例 第8条) | 伐採しようとするとき速やかに届出(第12条)、違反して伐採すると公表されることがある(第22条) | 定めは見つかりません(第7条は努力規定) | 公園緑地課 緑化推進グループ |
出典: 各区の例規集と公式ページ(確認日 2026年10月11日)
北区から江戸川区まで(7区)
| 区 | 指定木の制度 | 指定木を伐るとき | 指定されていない木 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 北区 | 保護樹木等(みどりの条例 第9条) | 伐採しようとするとき速やかに届出(第11条) | 定めは見つかりません(第8条は努力義務) | 環境政策課 地域環境係 |
| 荒川区 | 保護指定樹木等(みどりの保護育成条例 第9条) | 伐採・同一敷地外への移植は速やかに届出(第12条) | 定めは見つかりません(第8条は努力義務) | 土木管理課 維持みどり係 |
| 板橋区 | 保存樹木等(緑化の推進に関する条例 第7条) | 災害時の応急措置のほか、みだりに切ってはならない(第9条第2項) | 定めは見つかりません | みどりと公園課 みどり推進係 |
| 練馬区 | 保護樹木・保護樹林・ねりまの名木(みどりを愛し守りはぐくむ条例 第19条) | 伐採してはならない(維持管理の剪定・危険な樹木の伐採などは除く、第20条第2項)、区の案内は事前の指定解除と、伐採届も必要と案内 | 伐採届が必要(条例 第40条)、伐採する日の30日前まで | みどり推進課 保全係(保護樹木)、開発調整課 緑化審査係(伐採届) |
| 足立区 | 保存樹木・保存樹林(緑の保護育成条例 第11条) | 伐採の届出・許可の定めは見つかりません | 定めは見つかりません(第10条は努力義務) | パークイノベーション推進課 緑化推進係 |
| 葛飾区 | 保存樹木・保存樹林(緑の保護と育成に関する条例 第7条) | 伐採の届出・許可の定めは見つかりません | 定めは見つかりません(第15条第2項は努力義務) | 環境課 緑と花のまち推進係 |
| 江戸川区 | 「保護樹」(令和5年時点で279本)、根拠となる条例・基準は確かめられていません | 確かめられていません | 現状は制度なし、みどりの基本計画(令和6年4月改定)に、大径木の伐採届出制度の導入を検討すると記載 | 水とみどりの課(担当係は確かめられていません) |
出典: 各区の例規集と公式ページ、江戸川区みどりの基本計画(確認日 2026年10月11日)。江戸川区は、保護樹の根拠・基準・届け出の要否を区の公式サイトと例規集で確かめられていません。区への問い合わせが必要です
指定の基準は、測る高さも数字も区で違う
指定木の基準は、地上1.5mの高さの幹の周囲を使う区が多い一方で、1.2mで測る区もあり、数字も区ごとに違います。同じ太さの木でも、区が変われば、指定の対象になったり、ならなかったりします。
| 区 | 樹木の指定の基準(区の案内・規則から) |
|---|---|
| 千代田区 | 区のページは、樹径(目通り)1.5m以上かつ樹高15m以上(国の施行令の基準とは書き方が異なる) |
| 中央区 | 指定制度はなし、助成の対象は、地上1.2mの幹回りが1.2m以上 |
| 港区 | 地上1.2mの幹の周囲が1.0m以上 |
| 新宿区 | 地上1.5mの幹回りが1.2m以上(幹が複数なら総和の7割) |
| 文京区 | 地上1.5mの幹の直径が0.5m以上(区のページでは幹周り157cm以上) |
| 台東区 | 地上1.5mの幹廻りが1.2m以上 |
| 墨田区 | 地上1.5mの幹の周囲が1.2m以上(特別保全樹木等) |
| 江東区 | 高さ12m以上、または地上1.5mの幹の周囲が1.2m以上 |
| 品川区 | 地上1.5mの幹回りが1.2m以上 |
| 目黒区 | 地上1.5mの幹の周囲が0.8m以上、または高さ15m以上など |
| 大田区 | 地上1.5mの幹の周囲が1.25m以上(保護樹) |
| 世田谷区 | 地上1.5mの幹周りが1.2m以上で、樹形の優れているもの(区のページ) |
| 渋谷区 | 地上1.5mの幹の周囲が1.2m以上 |
| 中野区 | 地上1.5mの幹の周囲が1.2m以上で、良好な形態を備えたもの |
| 杉並区 | 1.5mの高さの幹の周囲が1.2m以上(保護樹木) |
| 豊島区 | 地上1.5mの幹の周囲が125cm以上 |
| 北区 | 1.5mの高さの幹廻りが150cm以上で高さ15m以上(区のページ) |
| 荒川区 | 地上1.5mの幹の周囲が1.2m以上 |
| 板橋区 | 1.5mの高さの幹回りが1.2m以上など |
| 練馬区 | 地上1.2mの幹の周囲が1.5m以上 |
| 足立区 | 高さ10m以上で、地上1.2mの幹周りが1.5m以上(区のページ・案内) |
| 葛飾区 | 地上1.5mの幹の直径が0.35m以上(区のページは幹回り110cmが目安) |
| 江戸川区 | 確かめられていません |
出典: 各区の施行規則・条例・公式ページ(確認日 2026年10月11日)。区によっては、健全であること、敷地の中に収まっていることなどの条件も付きます
幹周(みきまわり)の測り方は、地上の決まった高さで、幹に巻尺を回して周囲を測ります。幹が地上近くで分かれている木は、新宿区・目黒区・豊島区が各幹の周囲の合計の10分の7、練馬区と港区が合計の70%を、その木の周囲として扱います。当社の診断でも、幹周の計測は基本の作業の1つです。
風致地区のある区は、次のとおりです。ここでは、木竹の伐採に区長の許可が要ります。
| 区 | 風致地区(区のページ・東京都の一覧から) |
|---|---|
| 千代田区 | 弁慶橋、市ヶ谷、お茶の水 |
| 港区 | 芝、明治神宮内外苑付近、弁慶橋 |
| 新宿区 | 明治神宮内外苑付近、弁慶橋、市ヶ谷 |
| 文京区 | お茶の水、関口台 |
| 台東区 | 上野 |
| 大田区 | 洗足、多摩川 |
| 世田谷区 | 多摩川 |
| 渋谷区 | 明治神宮内外苑付近(区のページは伐採許可の基準・窓口を詳しく書いていません) |
| 杉並区 | 善福寺、和田堀 |
| 練馬区 | 石神井、大泉 |
| 葛飾区 | 江戸川 |
出典: 各区の公式ページ、東京都都市整備局の風致地区一覧(令和8年4月1日現在)、東京都風致地区条例 第3条(確認日 2026年10月11日)。中央区・墨田区・江東区・品川区・目黒区・中野区・豊島区・北区・荒川区・板橋区・足立区・江戸川区は、この一覧に記載がありませんでした
区ごとに違うことが分かる実例
指定されていない木にも決まりがある5つの区の基準を、図と表に並べます。そのあと、区ごとに条文の数字まで書きます。

指定されていない木にも決まりがある5区の幹周の基準(図)。測る高さが区で違う(地上1.5mと1.2m)ため、棒の長さは単純には比べられない。幹周のほかの基準と、届け出の時期は次の表。出典: 港区みどりを守る条例施行規則 第12条の5、世田谷区みどりの基本条例 第29条・施行規則 第36条、練馬区みどりを愛し守りはぐくむ条例 第40条、目黒区みどりの条例 第14条の2・施行規則 第9条、江東区都市景観条例 第12条・施行規則 別表第2・別表第3(2026年10月11日に確認)
| 区 | 手続きと時期 | 幹周のほかの基準 |
|---|---|---|
| 港区 | 伐採届、区の案内は伐採の概ね7〜10日前まで | 面積100㎡以上の樹林、長さ20m以上の生け垣 |
| 世田谷区 | 伐採届、区のページは「伐採する前」と案内 | 樹高10m以上 |
| 練馬区 | 伐採届、伐採する日の30日前まで | 面積100㎡以上の樹林 |
| 目黒区 | 保全の協議、伐採しようとする日の30日前まで | 面積300㎡以上の樹林、高さ0.9m以上かつ長さ20m以上の生け垣 |
| 江東区 | 景観計画の届出、規則は着手の15日前まで(景観法 第18条の30日との違いは区へ確認) | 高さ5m以上の樹木、面積100㎡以上の集団の樹木 |
出典: 各区の条例・規則・公式ページ(確認日 2026年10月11日)。江東区の規則は3つを並べて書いているだけで、「いずれか」に当たれば対象とまでは書いていません
世田谷区──幹周80cm以上、または樹高10m以上
世田谷区の「みどりの基本条例」第29条は、規則で定める樹木の所有者が、伐採しようとするときは、あらかじめ区長に届け出ると定めています。規則第36条第1項が定める樹木は、地上1.5mの高さの幹の周囲が80cm以上のもの、または樹高10m以上のものです。2つのうち、どちらか一方に当てはまれば対象です。区のページも「伐採する前に」届け出ると案内し、提出先は、木のある場所を担当する総合支所の街づくり課です。
届け出には、伐採届(第18号様式)に、案内図、既存樹木等の現況図、保全・伐採等の計画図、現況の写真を付けます(規則第36条第2項・第3項)。区のページは、伐採を計画する前に、樹木の保全、移植、代替植栽を検討するよう求めています。
規則第36条第4項は、届け出の対象から外れる伐採を並べています。他のみどりの保育のために行う除伐、枯損した樹木や危険な樹木の伐採、非常災害の応急措置などです。そのなかに「農業、林業、造園業等においてその事業として行う樹木の伐採」もありますが、造園業者が顧客の依頼を受けて行う伐採がこれに当たるのかは、条文と区のページからは判断できませんでした。当社は、世田谷区のこの項目について、区へ確認する必要があると考えています。
世田谷区には、この伐採届とは別に、「風景づくり条例」に基づく木竹の伐採の届け出があります。区のページは、別に必要になると書き、都市デザイン課への事前相談を案内しています。対象になる範囲は区の表の読み取りに確認が要るため、ここでは数字を書きません。多摩川沿いの多摩川風致地区では、木竹の伐採に区長の許可が必要です。
目黒区──指定されていない木は「協議」
目黒区は「届け出」ではなく「協議」という形です。みどりの条例 第14条の2は、指定樹木以外の樹木などで規則が定める基準に当たるものを所有者が伐採しようとするときは、規則に定めるところにより区長に協議しなければならないと定めています。施行規則 第9条は、協議を「伐採しようとする日の30日前まで」にすることと、状況と理由を明らかにすることを求めています。建築計画がある場合は、緑化計画書の中で協議することもできます(第9条第3項)。
対象は、地上1.5mの高さの幹の周囲が0.8m以上の樹木などです(幹が分かれている場合は、各幹の周囲の合計の10分の7)。次のいずれかに当たるときは適用されません。非常災害の応急措置、通常行われる維持管理のための剪定など、他のみどりの保育のための除伐など、枯死したための除伐などです。区の案内パンフレットは、建築の有無や敷地の大きさに関係なく適用されると書いています。
練馬区──指定木は伐採を禁じ、指定されていない木にも30日前の届出
練馬区は、二重になっています。保護樹木・保護樹林・ねりまの名木は、条例 第20条第2項で、維持管理の剪定・間伐、危険な樹木の伐採、非常災害の応急措置を除いて、伐採してはならないと定められています。区の案内は、やむを得ず伐採するときは事前に指定解除の手続きが必要なこと(解除の申請は、解除を希望する日の30日前まで。施行規則 第17条)、保護樹木の伐採には、あとで書く伐採届も必要なことを案内しています。
指定されていない木は、条例 第40条です。地上1.2mの高さの幹の周囲が100cm以上の樹木、または面積100㎡以上の樹林の所有者は、伐採する日の30日前までに区長へ届け出ます。維持管理の剪定・間伐、危険な樹木の伐採、非常災害の応急措置は、届け出が要りません。区長は、必要な助言や指導をすることができ(同条第3項)、届け出をした人は、伐採のあと代替の植栽に努めます(第41条)。届出書は規則 第31条の様式で、案内図と配置図を付けます。
港区──幹周1.0m以上で、概ね7〜10日前まで
港区は、施行規則 第12条の5で、次のいずれかに当たる樹木を伐採する人は、伐採届を区長に提出すると定めています。地上1.2mの高さの幹の周囲が1.0m以上の樹木、面積100㎡以上の一群の樹林、長さ20m以上の生け垣です。災害等による緊急措置と、病虫害その他の理由による枯死の場合は、提出を省略できます。区長は、必要なときに職員に実地調査をさせ、指導・助言をさせることができます。
条文は提出の時期を決めていません。区のよくある質問(更新日 2026年5月19日)は、伐採の概ね7〜10日前までに、正・副各1部を提出すると案内しています。伐採届には、案内図、伐採工程表、平面図・樹木位置図、代替植栽計画図、樹木の写真、近隣説明の結果の報告などが要ります。保護樹木は、先に指定解除の申請をし、解除通知書の写しを付けます。
江東区──景観計画の届出で、高さ5m以上も対象
江東区は、景観計画の届出制度の中で、「みどりに関する行為(伐採・移植)」を対象にしています(江東区都市景観条例 第12条第2項第1号)。区の案内は、土地の面積100㎡以上の集団を形成している樹木、地上150cmの高さで幹の周囲が60cm以上の樹木、高さ5m以上の樹木の3つを挙げ、どの景観の地区に当たるかに関係なく対象になると書いています。届出は、建築確認などの申請の15日前まで、申請が要らないものは着手の15日前までです(施行規則 別表第3)。
一方で、景観法 第18条第1項は、届出をした人は、届出が受理された日から30日を経過した後でなければ、届け出た行為に着手してはならないと定めています。同条第2項で、景観行政団体の長(江東区では区長)は、この期間を短縮できます。江東区の規則が定める「着手する日の15日前まで」とは日数が異なり、区がこの違いをどう運用しているかは、今回の調査では確かめられていません。江東区で伐る予定があるときは、届け出の前に、いつから着手できるかを区へ確認する必要があります。
規則(江東区都市景観条例施行規則 別表第2)も、この3つを並べて書いているだけで、「いずれか」に当たれば対象とまでは書いていません。木竹の保育のための伐採や、枯損した木竹・危険な木竹の伐採などは、景観法の政令で届出が要らない行為とされています(景観法 第16条第7項第1号、景観法施行令 第8条第3号)。江東区で庭木を伐る場合は、自分の木が対象になるかを区に確かめます。
マンション・学校・社寺・公共の木で、気をつけること
条例の多くは、届け出をする人を「所有者等」と書いています。個人のお宅であれば、木のある土地の所有者ですが、マンションの敷地の木は、管理組合や管理会社が窓口になる場合があります。学校・社寺・施設の木も、設置者や管理者の名前での手続きになります。名義を誰にするかは区によって案内が違う可能性があるため、区の担当課に確かめます。
マンションや施設では、伐採の目的が建物の解体・建築・改修などに結び付いている場合があります。目黒区は、建築計画がある場合は緑化計画書の手続きの中で保全の協議をするよう案内し、世田谷区も、建築行為等の際の「みどりの計画書」の届け出を、伐採届の適用外の行為に挙げています。多くの区に、一定の規模の建築や開発に際して緑化計画を出す制度があり、伐る木が計画に関わるときは、窓口に伝えます。
文化財の指定を受けている木は、別の制度です。樹木保存法も景観法も、文化財保護法で指定された木を、それぞれの指定の対象から外しています(樹木保存法 第2条第3項、景観法 第28条第3項)。今回の調査は、区の制度と、国・東京都の一般的な制度までで、文化財の手続きは調べていません。社寺の古い木などで文化財の指定がある場合は、その旨を区の担当課に伝えて、手続きを確かめます。

境内の高木の上から見下ろしたところ。社寺の木も、伐る前に設置者や管理者の名前で区の決まりを確かめる
伐採の理由が、診断の結果であることも多くあります。当社は、伐る前に樹木医が木の状態を確かめ、残せる可能性があるかを診ます(樹木診断は有償です)。診断の結果は、区に事情を説明するときの材料になりますが、診断の結果があれば届け出が不要になる、ということではありません。
届け出は所有者が行い、当社は現地調査で一緒に確かめます
当社のサービスページには、「区の保存樹木など、伐採の前に届け出が必要な木かどうかを、現地調査の際に一緒に確かめます。届け出は、お客様に行っていただきます」と書いています。区によって決まりが違うため、現地で木の場所と大きさ、本数を見て、どの区のどの手続きに当たりそうかを、お客様と一緒に確かめます。
現地調査のときに、木の位置と大きさが分かると、確かめやすくなります。区の基準は幹周や樹高で決まるため、幹周は区が使う高さ(1.2mか1.5m)で測り、樹高と、敷地の中の位置を記録します。第9回で書いた道路使用許可は、道路を使う場合に当社が所轄の警察署へ申請しますが、この回の届け出は、木の所有者や管理者の手続きです。
区への確かめ方
確かめる手順は、次のとおりです。
- 区の公式サイトで、「(区名) 保護樹木」「(区名) 樹木 伐採 届出」「(区名) みどりの条例」で検索します。保存樹木・保護樹木の担当は、緑化・みどり・公園を受け持つ課であることが多く、前の表の「窓口」の欄に課の名前を書きました
- 区の例規集(条例・規則)で、「みどり」「樹木」「伐採」を含む条例を探します。条文には、届け出の時期や適用除外が書いてあります
- 該当しそうな区の担当課へ、伐る木の場所(住所)、本数、樹種、幹周(測った高さ)、樹高、伐採を考える理由、予定の時期、建築や解体の計画の有無を伝えて、手続きが要るかを確かめます
- 風致地区の中かどうかは、区のページの風致地区の案内か、都市計画の窓口で確かめます
区に問い合わせるときは、「届け出が要らない」と言われた場合も、その日付と担当の方の名前を控えておくと、あとで説明しやすくなります。条例は改正されるため、届け出の前に、最新の案内を区で確かめます。
次回(第11回)は、伐採の費用が何で決まるのかを、金額ではなく、費用を左右する要素と、見積りの考え方から取り上げます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
よくある質問(庭や敷地の木を伐る前の届け出)
Q1. 庭や敷地の木を伐るとき、届け出は必要ですか?
A. 木と区によっては必要です。区が指定した保存樹木・保護樹木などは、多くの区で伐採の前に届け出が要ります。港区・世田谷区・練馬区は、指定されていない木でも一定の大きさなら伐採届が必要です。風致地区の中や景観重要樹木は、区長の許可が要ります。
Q2. 保存樹木や保護樹木とは何で、伐ってもよいのですか?
A. 区が、所有者の同意や申請に基づいて、一定の大きさ以上の木を指定する制度です。伐るときは、多くの区で事前の届け出が要り、新宿区のように審議会を経て指定を解除してからでないと伐採できない区や、練馬区のように伐採を禁じる区もあります。通常の剪定ができないわけではありません。
Q3. 指定されていない木でも、届け出が要る区はありますか?
A. あります。港区は地上1.2mの幹の周囲1.0m以上、世田谷区は地上1.5mの幹周り80cm以上または樹高10m以上、練馬区は地上1.2mの幹の周囲100cm以上の木などを伐採する前に、伐採届が必要です。目黒区は協議、江東区は景観計画の届出という形です。
Q4. 届け出は誰が、いつまでに出しますか?
A. 条例は、所有者等が届け出ると定めています。時期は区によって違い、練馬区と目黒区は伐採の30日前まで、江東区は規則で着手の15日前まで(景観法の定めと日数が異なるため、着手の時期は区へ確認)、港区は区の案内で概ね7〜10日前まで、中野区の指定木は届け出から60日を過ぎるまで伐採できません。当社のサービスでは、届け出が必要な木かどうかを現地調査で一緒に確かめ、届け出はお客様に行っていただきます。
Q5. 枯れた木や危険な木は、届け出が要りませんか?
A. 区によって、適用されない行為に挙げています。世田谷区は枯損した樹木と危険な樹木、練馬区は危険な樹木、港区は病虫害などによる枯死、風致地区は枯損木と危険な木竹を、それぞれ例外にしています。ただ、自分の木が当てはまるかどうかは、区の判断が関わるため、伐る前に区に確かめます。
Q6. 届け出をしないで伐ると、どうなりますか?
A. 制度によって違います。新宿区は、届け出のない保護樹木等の伐採について、警告と公表の定めがあり、豊島区は届け出をしないで指定木を伐採した人を、練馬区は指定の解除の通知を受けずに指定木を伐採した人を、公表できると定めています。景観重要樹木を許可なく伐採すると、景観法に30万円以下の罰金の定めがあります。
※ 条例は改正されます。この記事の内容は、2026年10月11日に各区の公式サイトと例規集で確かめた時点のものです。実際に伐る前には、区の最新の案内で確かめる必要があります。一般的な説明であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。
出典・参考情報
- 都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律(昭和37年法律第142号)第2条・第5条・第6条(e-Gov 法令検索。2026年10月11日に原文を確認)
- 景観法(平成16年法律第110号)第16条・第18条・第28条・第31条・第103条(e-Gov 法令検索。2026年10月11日に原文を確認)
- 景観法施行令(平成16年政令第398号)第8条(e-Gov 法令検索。2026年10月11日に原文を確認)
- 都市緑地法(昭和48年法律第72号)第8条・第14条(e-Gov 法令検索。2026年10月11日に原文を確認)
- 東京都風致地区条例 第3条(2026年10月11日に原文を確認)
- 東京都都市整備局「風致地区」の一覧(令和8年4月1日現在)
- 港区: 伐採届、よくある質問「樹木を伐採するとき、届出は必要ですか。」、みどりを守る条例施行規則
- 世田谷区: みどりの基本条例に基づく樹木の伐採届について、保存樹木
- 目黒区: 樹木等の保全協議、みどりの条例、施行規則
- 練馬区: 樹木・樹林伐採届出書の提出、みどりを愛し守りはぐくむ条例
- 江東区: 開発行為・みどりに関する行為の届出(景観)、都市景観条例施行規則
- そのほかの区: 各区の公式ページと例規集(確認した範囲と確かめられなかったことは、当社の調査メモに記録しています)
伐採・特殊伐採の記事
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- 保存樹木クスノキ 剪定作業 板橋区
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- 武蔵野市・個人邸 クスノキ伐採作業
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