渋谷区恵比寿 東京音楽研究所様 のお庭の手入れをさせて頂きました。
この記事では、渋谷区恵比寿のお庭で続けている「自然風剪定」──枝を更新しながら、その木らしい自然な樹形を保つ剪定について、行政の剪定マニュアルに書かれた考え方とあわせてご紹介します。
サクラやモミジなど、都心とは思えない程の緑に囲まれています。
自然風剪定とは──枝を更新しながら、自然な樹形を保つ
植栽されている庭木は定期的な剪定を行っておりますが、
自然風な樹形を維持できるように枝を更新しながら剪定しています。
以前もご紹介しました枝を更新していく自然風剪定を行う事により、
・樹木への負担が少ない
・1年を通じて枝が暴れることが少ない
・その木らしい枝ぶりで美しい
樹木医的な観点からいくと樹木への負担が少なく枯れや腐朽(腐れ)が起きにくく
樹勢の良く健全な状態(元気)を保てるメリットがあります。
また住まわれらっしゃる方からすると、サッパリ剪定してもらったのに数か月するとすぐに枝葉がモシャモシャに伸びてきたり、雑草がたくさん生えてきてしまった・・・。
という事になりにくくなります。
一年を通じて心地よい空間になるように管理・提案いたしますのでお気軽にお問い合わせください。


剪定マニュアルにある「切返し剪定」と「枝透かし剪定」
自然風剪定は当社の呼び方ですが、考え方は行政の剪定の手引きにも書かれています。埼玉県の「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)は、剪定の手法として「切詰剪定」「切返し剪定」「枝おろし剪定」「枝透かし剪定」の4つを挙げ、それぞれの基本を忠実に守ることで、枝の元から先に向かってしだいに細くなる、自然な柔らかい枝の姿を保てるとしています。
中でも基本とされているのが「切返し剪定」です。長い枝先を、分かれ目から出ている短い枝先に「切り替える」切り方で、樹冠をひとまわり小さくする目的で行います。マニュアルは、街路樹はもとより庭木の剪定の基本となる手法と説明しています。

切返し剪定のイメージ。外側の点線が今の樹冠、内側の点線が目指す樹冠。はみ出した長い枝先を、分かれ目の短い枝先に切り替えて(破線)、ひとまわり小さな同じ形に整える
4つの手法を、切る位置と切った後の姿で並べると次のとおりです。
| 手法 | 切る位置 | 切った後の姿 |
|---|---|---|
| 切返し剪定 | 長い枝先を、分かれ目から出ている短い枝の所で切り替える | 樹冠がひとまわり小さくなり、枝先の柔らかさが残る |
| 枝透かし剪定 | 混み合った枝を、分かれ目(分枝している部分)で間引く | 主枝・副主枝・側枝の組み立てを保ったまま、枝葉の密度が下がる |
| 枝おろし剪定 | 主枝を幹の付け根で切り取る(枯れ枝や邪魔になる下枝など) | 大枝が無くなる、付け根のブランチカラーを傷つけない位置で切る |
| 切詰剪定 | 枝の途中で切って短く詰め、新しく出る枝で枝張りを作り直す | 切返し剪定で縮めきれない場合の次善の手段とされる |
出典: 埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.5-1・5-7〜5-9・5-12
ぶつ切りにすると、枝が暴れやすくなる理由
同じマニュアルは、副主枝より太い枝には一般に定芽(決まった位置にできる芽)がなく、枝の途中で切ると、新しい枝は切り口のまわりにある不定芽から不規則に伸びてくると説明しています。そのため、切り詰めた翌年には、伸ばしたい方向の枝を残してほかを整理する管理が必要になる、とも書かれています。

左は分かれ目で切り替えてきた柔らかい枝先。右は途中でぶつ切りを重ね、こぶから細い枝が束で吹いた枝先(点線の円)
太い枝を短く切り詰める「強剪定」について、マニュアルは、切り口が大きくなるため樹体への負担が大きく、樹勢の衰えにつながるおそれがあること、切り口の付近から徒長枝が出やすく、枝が混み合いやすくなることを挙げています。一方で、木に自然に備わった樹形を残しながら枝の骨格をつくる「整枝剪定」は、樹体への負担が比較的少なく、その後も枝が穏やかに伸びると説明しています。
国土技術政策総合研究所(国総研)の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(2019年)も、強剪定によって不定枝・徒長枝・胴吹きが多く出て折れやすい枝が増えること、多くの枝葉で樹冠の内側の日当たりが妨げられて枯れ枝が出る要因になること、定期的な強剪定で樹勢が衰え、腐朽菌が入る要因になることを挙げています。上に書いた「樹木への負担が少ない」「1年を通じて枝が暴れることが少ない」という自然風剪定の良さは、こうした資料の説明とも重なります。
枝の更新とは──数年先に代わる枝を育てておく
「枝を更新する」とは、同じ位置で枝を切り続けるのではなく、代わりになる若い枝を育てておき、古い枝と入れ替えていくことです。国総研の手引きは、完成した樹形を保つ段階の剪定について、側枝の剪定を繰り返すと副主枝に瘤(こぶ)ができるため、主枝の近くにある芽を育てておき、3〜4年先に代わる副主枝に仕立てる、と書いています。
その年に切る枝を決めるときに、数年先にどの枝が代わりになるかも見ておく。毎年同じ所で切り詰めて瘤をつくる剪定と、枝を入れ替えながら形を保つ剪定の違いは、ここから生まれます。
よくある質問
Q1. 自然風剪定とは、どんな剪定ですか?
A. 枝を途中でぶつ切りにせず、長い枝先を分かれ目の短い枝に切り替えたり、混み合った枝を分かれ目で間引いたりして、その木らしい自然な樹形を保つ剪定です。当社では、古い枝を若い枝に入れ替える「枝の更新」をしながら手入れを続けています。
Q2. 強く切り詰めると、なぜ枝がすぐに伸びてくるのですか?
A. 埼玉県の街路樹剪定マニュアルは、太い枝には一般に定芽がなく、途中で切ると切り口のまわりの不定芽から新しい枝が不規則に伸びてくると説明しています。強剪定の後は徒長枝が出やすく、枝が混み合いやすいとされています。
Q3. 「枝の更新」とは何ですか?
A. 代わりになる若い枝を育てておき、古い枝と入れ替えていくことです。国土技術政策総合研究所の手引きは、主枝の近くにある芽を育てておき、3〜4年先に代わる副主枝に仕立てる方法を示しています。
出典・参考情報
・埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.5-1・5-7〜5-9・5-12・6-1
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)Ⅱ p.1-79・1-81
音楽のレッスンにご興味がある方は都心とは思えない緑に囲まれた空間の
東京音楽研究所様
〒150-0013東京都渋谷区恵比寿2-27-13
Tel : 03-3443-8738
ピアノレッスン
ソルフェージュレッスン
へお問い合わせください。
株式会社トシ・ランドスケープ
自然風剪定の記録
・シンボルツリーのケヤキ剪定 東京都渋谷区恵比寿
・高木樹木 樹木医による自然樹形を活かした剪定管理業務
・自然風剪定
「高木・特殊伐採&ケーブリング」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。
関連記事
・松の伝統技術「短葉仕立て」とは|剪定・芽切り・病害虫管理まで徹底解説(このテーマのまとめ)
・透かし剪定とは──日本の庭師が「抜いて整える」剪定の考え方|樹木医が解説(Sukashi: Japanese Thinning Pruning)
・透かし剪定をもう一歩深く──植木職人が見ている「切り替え」「上下の加減」「手を止めるとき」|樹木医が図解(Sukashi in Depth: What a Japanese Gardener Watches While Thinning)






















