新芽の緑摘み手入れと病虫害防除薬剤散布作業を行います。
江戸川区松本の寿昌院の境内にある、江戸川区登録天然記念物「臥竜の松」で、春の新芽の緑摘みと、マツ枯れ対策のスミパイン乳剤の散布を行った2022年5月の記録です。緑摘みの考え方と、マツ枯れを防ぐ散布の時期を、公的な資料と薬剤の登録内容をもとに書き添えます。
臥竜の松の新芽の緑摘み
新人も樹木医の職人の指導を受けながら、
一生懸命手入れを勉強していました。
- 松 緑摘み マツ 仕立て剪定
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- 松 緑摘み マツ 仕立て剪定
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緑摘みとは──春に伸びる新芽を、指先で摘む手入れ
松の枝先から春に伸びる、まだ葉の開かない新しい芽を「みどり」と呼びます。長野県林業総合センターの資料「マツの剪定」は、緑摘み(みどりつみ)を、5月ごろに新しく出たみどりの一部を指先で摘み取り、全体の葉の量を整えて成長を抑えながら樹形を整える方法と説明しています。手で摘み取れるくらいに柔らかいときが適期で、1か所から3〜6本ほど出るみどりのうち、真ん中で強く伸びている1本を根元から摘み、残りは3分の1くらいを摘むとしています。

クロマツの枝先。左は春の緑摘み(点線は摘み取る部分)。右は冬で、摘んだ2本が伸びて枝先に冬芽が付く。前の年の古い葉(点線の円)はもみあげで抜く
同じ資料は、松は夏までに翌年の新芽をつくるので、お盆を過ぎてから芽を摘むと翌春に新芽が出なくなること、成長を抑えるための作業なので、樹勢が衰えている松ではその年に限り緑摘みを控えることも書いています。
松の手入れは、春の緑摘みと、古い葉を手でむしるもみあげで一組になります。資料にある時期は次のとおりです。
| 手入れ | 行う時期(資料による) | ねらい |
|---|---|---|
| 緑摘み(みどりつみ) | 5月ごろ(長野県)、みどりが4〜5cmに伸びる5月ごろから7月ごろ(前田 1966) | 新芽の一部を指先で摘み、葉の量と樹形を整える |
| もみあげ(葉むしり) | 秋(長野県)、9月から12月(前田 1966) | 古い葉を手でむしり、下枝まで日を当てる |
出典: 長野県林業総合センター「ミニ技術情報 No.11 マツの剪定」(平成11年5月)、前田稔「マツ樹の整枝剪定法について」造園雑誌 29(4)(1966年)p.2。もみあげは「松の「もみあげ」とは」でくわしくご紹介しています
マツ枯れ対策のスミパイン乳剤の散布
全国的に激害になっているマツ枯れ対策として
スミパイン乳剤を散布しました。
マツノマダラカミキリの成虫や幼虫以外にも、
松を加害する広範囲の害虫の同時防除が可能です。
- スミパイン乳剤 病虫害防除 薬剤散布 消毒
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マツ枯れの仕組みと、散布の時期
マツ枯れ(松くい虫被害)は、体長1mmに満たない線虫のマツノザイセンチュウが松の中で増えて起きる病気で、この線虫を松から松へ運ぶのがマツノマダラカミキリです。林野庁の資料では、5〜7月ごろに羽化したカミキリが線虫を体に入れたまま枯れ木から飛び出し、健全な松の若い枝の皮をかじる(後食)ときに、線虫が松に入るとされています。林野庁が令和8年9月に公表した令和7年度の全国の被害量は、前年度の約1.6倍に増えました。

図: マツ枯れの1年と、防除の時期(出典: 林野庁「松くい虫被害対策について」、森林総合研究所 東北支所「マツ材線虫病にどう対処するか」ほか)
守りたい松への散布は、このカミキリの時期に合わせて行います。スミパイン乳剤の登録内容では、生きている松のマツノマダラカミキリ成虫に対する散布は「後食防止を目的とする」もので、成虫が出る直前か出始めに時期を失わないように散布し、さらに20日後(発生の最盛期の直前)にもう一度散布すると効果的とされています。
| 対象(登録の作物名) | 害虫 | 希釈倍数 | 使用時期 |
|---|---|---|---|
| まつ(生立木) | マツノマダラカミキリ成虫 | 150〜200倍 | 成虫の発生初期及び発生最盛期直前 |
| まつ(枯損立木) | マツノマダラカミキリ幼虫 | 80倍 | 幼虫期(秋期) |
出典: サンケイ化学「スミパイン乳剤」登録内容の一部(有効成分 MEP 80.0%)。使うときは、最新のラベルと登録情報で確かめます
スミパイン乳剤の散布では、一般には、防護マスクや不浸透性の手袋・防除衣などを着け、魚などへの影響を避けるため、河川や池に薬剤が飛んだり流れ込んだりしないよう注意するとされています(出典: サンケイ化学「スミパイン乳剤」ラベルの使用上の注意)。
森林総合研究所の冊子は、散布だけでは防ぎきれず、枯れた松の処理などと組み合わせるよう求めています。防除の方法は「寿昌院 臥竜の松の病虫害防除と、マツ枯れの仕組み」にまとめています。
弊社では薬剤散布もきめ細かく対応できるように
背負式動力噴霧器で散布対応を行っております。
今回はエンジン式ですが、作業環境によって
バッテリー式での対応も行っております。
トシ・ランドスケープ使用の背負式動力噴霧器
丸山製作所
・霧王 MS5901D-25 (エンジン式)
・スーパー霧大将 MSB1500Li (バッテリー式)
江戸川区登録天然記念物「臥竜の松」
- 江戸川区 寿昌院 臥竜の松
- 江戸川区 寿昌院 臥竜の松
- 江戸川区 寿昌院 臥竜の松
- 江戸川区 寿昌院 臥竜の松
この「臥竜の松」を観にいらしてくださる方が少しでも増えてくれる様、
私たちも全力で維持管理だけでなく魅力を伝えられる様に努めてまいります。
寿昌院
〒133-0043
東京都江戸川区松本1-9-14
TEL: 03-3652-7562 FAX: 03-5879-2882
お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。
「臥竜の松」
推定樹齢500年
大正期に大風で幹が折れて現在のような這う松の形になり、
その姿から臥竜の松と命名されたようです。
江戸川区登録天然記念物、江戸川区景観重要樹木に指定され、
えどがわ百景のひとつに選ばれています。
江戸川区の文化財のページでは、臥竜の松はクロマツで、昭和61年2月12日に区の登録天然記念物として告示されています。この松の歴史は「【江戸川区・寿昌院】200年の時を超える「臥竜の松」」でご紹介しています。
まとめ
2022年5月、寿昌院の臥竜の松で、新人も樹木医の職人の指導を受けながら新芽の緑摘みを行い、マツ枯れ対策としてスミパイン乳剤を散布しました。散布は、マツノマダラカミキリが出てくる時期に合わせて、松の若い枝を守るために行います。
株式会社トシ・ランドスケープ
よくある質問
Q1. 松の緑摘みは、いつ行いますか。
長野県林業総合センターの資料では、5月ごろ、新しく出たみどりが手で摘み取れるくらい柔らかいときが適期とされています。松は夏までに翌年の新芽をつくるので、お盆を過ぎてから芽を摘むと、翌春に新芽が出なくなります。
Q2. マツ枯れ対策の散布は、いつ行いますか。
スミパイン乳剤の登録内容では、生きている松のマツノマダラカミキリ成虫に対しては、成虫の発生初期と発生最盛期直前に散布します。カミキリが松の若い枝をかじる(後食)のを防ぐための散布です。
出典・参考情報
・長野県林業総合センター「ミニ技術情報 No.11 マツの剪定」(平成11年5月)
・前田稔「マツ樹の整枝剪定法について」造園雑誌 29(4) p.2〜5(1966年)
・林野庁「松くい虫被害」「松くい虫被害対策について」(令和8年9月30日更新)
・森林総合研究所 東北支所「マツ材線虫病にどう対処するか」(2022年3月)
・サンケイ化学「スミパイン乳剤」登録内容(農林水産省登録 第15043号)・ラベルの使用上の注意
・江戸川区「松本弁天臥竜の松」「えどがわ百景 34」
関連する記録
・【江戸川区・寿昌院】200年の時を超える「臥竜の松」 古地図と地名が語る土地の記憶(このテーマのまとめ)
・寿昌院 臥竜の松の病虫害防除と、マツ枯れの仕組み──マツ・マツノマダラカミキリ・マツノザイセンチュウの関係を樹木医が解説
・寿昌院 臥竜の松 池の中の支柱を丸太二本の仕様に交換 江戸川区登録天然記念物
・寿昌院様 臥竜の松 支柱改修プロジェクト
・仕立て松の手入れ
・松の「もみあげ」とは──古い葉を手でむしる冬の手入れ|樹木医が解説(Momiage: Needle Plucking on Japanese Pines)
・マツ枯れの被害量は前年度の1.6倍に──2026年10月、全国の最新状況と山形県庄内の海岸林を樹木医が読む
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