古木オリーブ 植栽管理・病虫害防除薬剤散布

オリーブ 古木 丘陵 植栽管理 病虫害防除 薬剤散布

古木オリーブ
点検と病虫害防除薬剤散布

ここ数年、古木のオリーブの植栽や管理の
ご相談を多く頂くようになってきました。

この記事では、樹勢が心配だった古木オリーブで行った土壌改良と灌水の調整、オリーブにとって注意の要る害虫オリーブアナアキゾウムシの見つけ方と防除を、県の資料と研究をもとにまとめています。

オリーブはどんな木か──日本への導入と、実をつける条件

オリーブはモクセイ科・オリーブ属の常緑高木で、
古代ギリシャより慈愛・平和・自由の象徴とされており
洋風庭木として大変人気がありシンボルツリーとして
植栽されることが近年多くなっています。

香川県によると、日本でオリーブの苗木が植えられたのは、文久2年(1862年)・慶応3年(1867年)にフランスから輸入した苗木を横須賀などに植えたのが最初とされています。明治41年(1908年)には、農商務省が三重・香川・鹿児島の3県でアメリカから輸入した苗木による試作を始め、栽培に成功したのは香川県の小豆島だけでした。

オリーブでよくご相談いただく内容として、
実をつけたいというご要望を多くいただきます。

オリーブが実を付けるには、オリーブはオリーブでも
他の品種との組み合わせが必要になります。
実の収穫をしたい場合、オリーブ2種以上の品種を
同時に育てる事が必要ですので注意してください。

香川県の説明では、オリーブの花は、同じ品種の花粉では実が成りづらい性質(自家不和合性)を持っています。性質の強さは品種によって違い、県内で栽培されている品種では次のように説明されています。

品種 香川県の説明(実のつき方)
ネバディロ・ブランコ 自家不和合性が強く不完全花が多いが、花粉が非常に多く、授粉樹としての価値が高い
マンザニロ 自家不和合性が強い
ルッカ 自家不和合性は弱く、1本でもある程度着果する

出典: 香川県「オリーブの品種・生態」(2025年3月11日公開、農業試験場小豆オリーブ研究所)

 

古木オリーブの樹勢回復──土壌改良と灌水の調整

本題に戻りまして、今年の春に樹勢(木の元気さ)に心配があり、
土壌改良と灌水設定の調整を行いました。
その甲斐もあり枝葉の伸長も
目に見えて良くなり回復してきています。

写真は、株元への薬剤散布、土を掘った穴とパイプ、掘った深さの計測、土壌改良材を用土に混ぜる作業の様子です。

オリーブアナアキゾウムシとは──オリーブの幹を食べる在来のゾウムシ

オリーブの管理の中で注意が必要なのは、
幹などに穴をあけて弱らせてしまう
オリーブアナアキゾウムシです。

オリーブアナアキゾウムシはオリーブにとって最も被害の多い害虫です。
虫の名前にオリーブとつくだけあって外来の虫かと思いきや日本の在来種です。
しかし外来の樹種であるオリーブの幹や枝などを食害します。

広島県の発生予察情報(特殊報)によると、本種は日本の在来種で、イボタノキやネズミモチなどを寄主として生息していたと考えられ、国内へのオリーブの導入にともなって害虫になりました。香川大学の昭和32年(1957年)の報告では、小豆島に明治41年(1908年)に初めてオリーブが植えられ、明治43年(1910年)には、すでにこの虫の被害が確かめられています。

同じ報告によると、植えて間もない若い木では被害が致命的になる一方、年数を経た木は樹皮が厚く、食い入られてもすぐに枯れることはほとんどありません。そのかわりに、花や実のつき方が次第に衰えていくと書かれています。

オリーブアナアキゾウムシ の生態

成虫の活動期間 3月下旬~10月下旬
幼虫の食害は 60~200日間

見つけ方
オリーブの根元付近に木くずが発生していないか
上記期間中は注意深く確認してください。
成虫は幹や枝などにもいる場合があります。

県の資料に書かれている、成虫・幼虫のいる場所と見つけ方を表にまとめました。

見るもの 県の資料に書かれていること 手当て
幼虫の食害 地際から地上40cmまでの高さに集中し、地下部も食べられることがある、被害部の孔からは多量の木くずが出る 見つけしだい捕殺する
成虫 口吻を除く体長は約14mm、夜行性で新芽や葉柄、新梢の樹皮を食べ、日中は幹の地際のくぼみや枯れ草の下に潜む 成虫の発生期に捕殺する
産卵 春から秋までの温暖な季節を通じて行われ、地際から地上40cmまでの高さに集中する 産卵期からふ化期に見回り、食い入った幼虫を刺殺する
冬越し 成虫が根元のまわりの雑草や落葉の下で越冬する 木のまわりを除草し、幹の周辺を清掃する

出典: 広島県西部農業技術指導所「平成29年度病害虫発生予察情報 特殊報第1号」(平成29年11月13日)、香川県「オリーブ(葉)」(香川県農作物病害虫・雑草防除基準)

オリーブアナアキゾウムシ 防除 時期 捕殺 産卵 越冬 香川県 防除基準

図: オリーブアナアキゾウムシの防除の時期(出典: 香川県の防除基準、広島県の特殊報)

香川県の防除基準では、オリーブ(葉)の防除の時期として4月・6月・8月のそれぞれ中旬から下旬が示されています。

 

オリーブアナアキゾウムシの成虫を
実際に確認出来たこともあり、
捕まえて捕殺するとともに、
オリーブアナアキゾウムシの適用薬剤の
ダントツ水溶剤の散布を行いました。

ダントツ水溶剤

ダントツ水溶剤

薬剤を使うときに確かめること

ダントツ水溶剤は、香川県のオリーブ(果実)生産用の農薬の一覧(令和7年2月12日登録分反映)でも、オリーブアナアキゾウムシに使える薬剤として挙がっています。農薬は、ラベルの登録内容(作物・病害虫・使用時期・回数)の範囲で使い、登録は変わることがあるので、農林水産省の農薬登録情報で最新の内容を確かめてから使います。

幹の色味と似ている為、
中々ムシ自体にも気が付きにくく、
気がついた時にはオリーブが
弱ってしまっていることも多くあります。

普段から気にして確認頂くのが大切です。

よくある質問

Q1. オリーブアナアキゾウムシは、いつ注意すればよいですか?

A. 広島県の特殊報では、産卵は春から秋までの温暖な季節を通じて行われるとされています。香川県の防除基準では、オリーブ(葉)の防除の時期として4月・6月・8月のそれぞれ中旬から下旬が示されています。冬も、成虫が根元のまわりの雑草や落葉の下で越冬します。

Q2. オリーブアナアキゾウムシの被害は、どこを見ればわかりますか?

A. 幼虫の食害は地際から地上40cmまでの高さに集中し、被害部の孔からは多量の木くずが出ます。株元のまわりに木くずが出ていないかを確かめます。成虫は夜行性で、日中は幹の地際のくぼみや枯れ草の下に潜んでいます。

Q3. オリーブは1本でも実がなりますか?

A. オリーブの花は、同じ品種の花粉では実が成りづらい性質(自家不和合性)を持っています。香川県の説明では、ルッカは自家不和合性が弱く1本でもある程度着果する一方、マンザニロなどは自家不和合性が強いとされています。

出典・参考情報

・香川県「香川県とオリーブ」
・香川県「オリーブの品種・生態」(2025年3月11日公開)
・香川県「オリーブ(葉)」(香川県農作物病害虫・雑草防除基準)
・香川県「オリーブの栽培条件と管理」(2025年3月11日公開、農業試験場小豆オリーブ研究所)
・香川県「オリーブ(果実)生産用に使用できる農薬抜粋」(令和7年2月12日登録分反映)
・広島県西部農業技術指導所「平成29年度病害虫発生予察情報 特殊報第1号 オリーブアナアキゾウムシ」(平成29年11月13日)
・松沢寛ほか「オリーブアナアキゾウムシの防除に関する研究 I 被害実態調査」香川大学農学部学術報告 第8巻第2号 p.172-176(1957)

ご相談ありがとうございました。

株式会社トシ・ランドスケープ

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