品川区のお客様より新しくお引越しされる住宅に
既存の夏ミカンの管理についてご相談頂きました。
駐車場の角で大きく育った夏ミカンを伐採・伐根し、植え桝の跡を駐車場の床と同じタイルで復旧した工事の記録です。下準備、根の状態、床の勾配、タイルの色合わせについて、国や自治体とメーカーの資料をあわせて書き添えます。
駐車場の角で大きく育った夏ミカン──伐採伐根を選んだ理由
敷地内の駐車場の角に植栽され、
大きく育ちすぎてしまい近隣への御迷惑になってしまう為、
伐採伐根のご提案となりました。
今後駐車場として使用されるため、
植え桝の部分はタイルを張って復旧する形となりました。
敷地の外へ伸びる枝や根については、民法に決まりがあります。民法第233条は、隣の土地の木の枝が境界線を越えるとき、土地の所有者は木の所有者に枝を切除させることができると定め、2023年(令和5年)4月1日施行の改正で、催告しても相当の期間内に切除されないときなどは、土地の所有者が自ら枝を切り取れるようになりました。越境した根は、改正前から土地の所有者が切り取ることができます。

図: 隣の土地へ越境した枝と根──民法第233条の決まり(出典: 民法第233条〈e-Gov 法令検索〉、法務省民事局の資料をもとに当社作成)
伐根の下準備──タイルのカットと基礎コンクリートの解体
下準備として周囲のタイルのカットと
基礎のコンクリート部分を
電動ハンマーで解体していきます。

斫り 解体 駐車場舗装
電動ハンマーは、厚生労働省の「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」の対象の工具の一つです。この指針では、一般に、振動にさらされる時間を抑えることに加え、軟質の厚い防振手袋などを使うこと、90dB(A)以上の騒音を伴う作業では耳栓か耳覆いを使うことが示されています。
掘ってみないとわからない根──深植えと主根
下地のコンクリートが厚く
250mm以上ありました。
樹木も深植えになっていますが
解体しても全く主根が確認出来ない状態でした。
根を抜く作業というのは、掘ってみないとわからない部分が多くあります。
「深植え」は、根鉢の上が土で厚く覆われた状態で植えられていることをいいます。国土技術政策総合研究所の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、深植えの状態で植栽されると根の呼吸が妨げられて枯死する根が発生し、樹勢の衰退や、幹を締めつける根(ガードリングルート)の要因になるとしています。また、深植えは不定根(二次根)の発生をもたらすなど、樹木の衰弱を招くので避ける必要があるとしています。植え付けでは、根鉢の上面を地表面と同じか、やや高くするのが基本です。

根元の張り出しが地面の上に見える木(左)と、土に埋まって見えない木(右)。右は根元を掘り下げて確かめているところ(当社イラスト)
この夏ミカンでは、コンクリートの下地を解体しても主根を確かめられませんでした。根がどの深さに、どの向きに伸びているかは、植えたときの深さや、まわりの舗装・基礎の造りによって変わります。地上の姿から根の様子を決めつけず、掘りながら確かめていくのは、そのためです。
切り株を残すか、根まで抜くか
この現場では、伐採のあとに切り株を残すか、根まで抜くかを、この後の場所の使い方から決めました。横浜市の街路樹の仕様書が伐採・抜根の作業の考え方として挙げている点を、この現場と並べると次のとおりです。
| 仕様書の考え方 | この現場 |
|---|---|
| 切株を残すときは、歩行者等の転倒の原因にならない高さを伐採の前に協議する | 駐車場として使うため、切り株は残さない |
| 抜根では、できる限り根を残さないようにし、抜根後は埋め戻す | 根を抜いたあと、植え桝の跡をタイルで床として復旧した |
出典: 横浜市道路局「街路樹維持業務委託共通仕様書」(令和8年2月)第9章 第62条
植え桝の跡をタイルで復旧──車が乗る床と勾配の折れ点
抜根後は植え桝の部分まで、
タイルで綺麗に修繕します。
車両の乗り入れが想定される為、
勾配の折れ点の施工に特に配慮しました。
- 舗装タイル 補修
- 舗装タイル 補修
勾配の折れ点は、床の傾き(勾配)の向きや大きさが変わる境目のことです。この現場では、車両の乗り入れを考えて、その折れ点の施工に特に配慮しました。床の傾きについては、メーカーも、スロープの部分は勾配によってすべりやすさが大きく変わるとして、タイルを使う前の相談を求めています(LIXIL のライトスレートの商品情報)。

図: 夏ミカンの伐採伐根からタイル復旧までの流れ(この記事の内容をもとに当社作成)
既存のタイルに合わせる──廃番と色合わせ
タイル含めて外構資材は、
数年で商品が廃番になる事が多く、
様々なメーカーの商材を確認しながら、
既存のタイルと色味、雰囲気を合わせるのが大変です。
今回は、
LIXIL製 ライトスレート
をご提案いたしました。
※リクシル ウェブサイトの商品情報より画像引用
ライトスレート
有色素地で上質に再現したスレート調床タイルです。
現代風スタイルの住宅玄関床にお薦めです。
既存のタイルと馴染みが良く施工完了いたしました。
ご依頼いただきありがとうございました。
選んだタイルについて、メーカーの商品情報に書かれていることは次のとおりです。
| 項目 | LIXIL の商品情報 |
|---|---|
| シリーズ名 | ライトスレート(2018年3月発売) |
| 使う場所 | 屋外床・屋内床(モルタル下地に張る工法) |
| 素地 | タイルの表面と小端(切り口の側面)の色が近い有色素地 |
| 表面 | すべりにくい面状と、汚れにくさ・掃除のしやすさをあわせ持つ仕様 |
| 施工の注意 | 柄模様に方向性があるため、施工前に仮並べをして色合い・模様を確かめる |
出典: LIXIL「ライトスレート」商品情報(LIXIL プロダクトサーチ、2026年10月に確認)
まとめ
- 駐車場の角で大きく育ち、近隣への影響が心配になった夏ミカンを、伐採して根まで抜きました
- 伐根の前に、周囲のタイルをカットし、厚さ250mm以上のコンクリートを解体しました
- 木は深植えで、解体しても主根は確かめられませんでした。根は掘ってみないとわからない部分が多くあります
- 植え桝の跡は、車の乗り入れを考えて勾配の折れ点に配慮し、既存の床になじむタイルで復旧しました
よくある質問
Q1. 隣の家の木の枝がこちらの敷地に越境しているとき、自分で切ってもよいのですか。
民法第233条では、まず木の所有者に枝を切除させることができます。2023年4月1日施行の改正で、催告しても相当の期間内に切除されないときなどは、土地の所有者が自ら枝を切り取れるようになりました。
Q2. 深植えとは、どんな状態ですか。
根鉢の上が土で厚く覆われた状態で植えられていることです。国の手引きでは、根の呼吸が妨げられ、樹木の衰弱を招くので避ける必要があるとされています。
Q3. 伐採したあと、切り株を残してもよいのですか。
横浜市の街路樹の仕様書では、切り株を残すときは歩行者などの転倒の原因にならない高さを協議し、抜根するときは根をできる限り残さず埋め戻すとしています。この現場は駐車場として使うため、根まで抜いてタイルで復旧しました。
出典・参考情報
- 民法 第233条(e-Gov 法令検索)
- 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(2019年)p.1-69、p.1-72
- 厚生労働省「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」(宮崎労働局の掲載資料)10 保護具の支給及び使用
- 横浜市道路局「街路樹維持業務委託共通仕様書」(令和8年2月)第9章 伐採・抜根
- LIXIL「ライトスレート」商品情報(LIXIL プロダクトサーチ)
株式会社トシ・ランドスケープ
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