東京都大田区のマンションで、隣地に近く、毎年落葉前に強剪定されてきたケヤキを、ツリークライミング・ロープワークの特殊伐採で伐採した記録です。強剪定の切り口からウロ(樹洞)ができていく仕組みと、落葉樹の剪定の時期・強さの考え方を、東京都・埼玉県と国の研究機関の資料をもとに書き添えます。
毎年の強剪定で、ウロ(樹洞)が多数できたケヤキ
強剪定(切り方が強めで落葉対策も含む)
されてきたケヤキです。

ツリークライミング ロープワーク 高木伐採 特殊伐採
強剪定の切り口から、ウロができていく
ケヤキはニレ科ケヤキ属の落葉高木で、樹高が30m以上になる個体もあります。埼玉県のマニュアルは、生長が早く大樹になりやすい樹種の例に挙げています。

強剪定の切り口から腐朽が広がる(イラスト)。太い枝を途中で切った切り口から腐朽が入り、年月をかけて幹の中にウロ(樹洞)ができていく
強剪定と腐朽・空洞の関係について、行政と研究機関の資料が書いていることを表にまとめました。
| 資料 | 書かれていること |
|---|---|
| 埼玉県「街路樹剪定マニュアル」p.6-2・6-3 | 幹まで切り詰めると切り口が広く、そこから腐朽する確率が極めて高い、強剪定は幹や枝の腐朽・空洞化の要因にもなる |
| 東京都建設局「街路樹維持管理計画書」p.4・5 | 切り残しに生じた腐朽が幹まで達することがある、太枝や幹を途中で切り落としてはならない |
| 東京都建設局「街路樹診断等マニュアル」p.21 | 大枝の剪定痕は、放置すると腐朽し、開口空洞に発展する |
| 国総研「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」p.1-18・1-29 | 幹と枝の腐朽・空洞の要因に強剪定・断幹を挙げ、強剪定で残された大枝が腐朽して樹幹の内部まで進んだ事例を示す |
出典: 埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)、東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書」(令和3年12月)、東京都建設局「令和三年度街路樹診断等マニュアル」、国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(2019年2月)
東京都建設局の生きものの紹介では、シジュウカラやムクドリが樹洞で巣を作ると書かれています。一方で、東京都の診断マニュアルは、キノコを作る腐朽菌が剪定痕などの傷口から入り込み、木部を分解して強度を落とすことで倒木や落枝を起こしていると説明しています。ウロのある木は、生きものの住みかと、枝や幹の弱りの両方の面から見る必要があります。
高所作業車もクレーン車も入らない場所の特殊伐採
- ツリークライミング ロープワーク 高木伐採 特殊伐採
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特殊伐採は、大きな木を根元から一度に倒さず、木の上から枝や幹を少しずつ切り、ロープで吊り降ろしていく伐採です。労働安全衛生規則は、伐倒する木の高さの2倍を半径とする円の内側に、伐倒する人以外を立ち入らせないことを定めています(第481条第2項)。真下に駐輪場があり周りに建物が近い場所では、その広さを取れません。くわしくは「特殊伐採とは──住宅地で大きな木を根元から倒せない理由を、「木の高さの2倍」の決まりから樹木医が解説」で説明しています。
あわせて、枯れたクスノキも伐採
- 枯損樹木 吊切り
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落葉樹の剪定の時期と強さ
埼玉県の街路樹剪定マニュアルは、落葉樹の剪定の適期を晩秋から早春の芽出し前の落葉期間とし、強く切り詰めるときも樹木の負担の少ない冬期に行うとしています。同じマニュアルは、落ち葉が散る前に枝に着いたままの葉を一気に処分する「秋早い剪定」を、夏の間に葉に貯めた栄養分を樹体に蓄えられず、秋に芽吹いた若葉が冬にすぐ枯れるとして、絶対に避ける剪定に挙げています。

図: 透かす時期の目安(落葉樹と暖地性の常緑樹)(出典: 東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書」、国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」)
東京都の街路樹維持管理計画書は、ケヤキの剪定時期を冬期の12月〜2月頃とし、切り詰めず枝抜きや切返しを原則に、ブツ切りにしないことを求めています。切り詰めた枝が自然な姿に戻るまでには5〜6年かかるとしています。
まとめ
隣地に近く、毎年落葉前に強剪定されてきたマンションのケヤキは、剪定のダメージでウロが多数でき、真下に駐輪場があって隣地にも枝葉が越境していたため、伐採となりました。高所作業車やクレーン車を設置できず、ツリークライミング・ロープワークの特殊伐採で対応し、前年に枯れたクスノキもあわせて伐採しました。
よくある質問
Q1. 強剪定をすると、なぜウロ(樹洞)ができるのですか。
太い枝を途中で切ると切り口が大きくなり、そこから腐朽菌が入りやすくなるためです。埼玉県の街路樹剪定マニュアルは、強剪定が幹や枝の腐朽・空洞化の要因になるとしています。
Q2. ケヤキの剪定は、いつ行うのがよいですか。
東京都の街路樹維持管理計画書は、ケヤキの剪定時期を冬期の12月〜2月頃としています。落ち葉の前に葉を一気に落とす秋早い剪定は、埼玉県のマニュアルで避ける剪定に挙げられています。
出典・参考情報
・埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.5-3・5-4・6-2・6-3
・東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書」(令和3年12月)p.4・5・32〜34
・東京都建設局「令和三年度街路樹診断等マニュアル」p.9・21
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)p.1-18・1-29
・国立研究開発法人 森林研究・整備機構 林木育種センター「林木遺伝資源情報」No.74(2008年3月)
・東京都建設局「東京の川にすむ生きもの」シジュウカラ・ムクドリ
・労働安全衛生規則 第481条(e-Gov法令検索)
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・マンション ケヤキ 伐採工事 東京都大田区
・ナラ枯れ樹木 特殊伐採 東京都大田区
・埼玉県秩父市 法面特殊伐採・樹木医チーム
・武蔵野市・個人邸 クスノキ伐採作業
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