ナラ枯れ樹木 特殊伐採 東京都大田区

ナラ枯れ 特殊伐採 ロープワーク リギング ツリークライミング 空師 樹木医

東京都大田区にある緑地内のナラ枯れにより枯損(枯れ)してしまった樹木の伐採のご依頼をいただきました。

ラフタークレーンなどの重機がセットできない環境な為、全てロープワーク(ツリークライミング)での特殊伐採で対応します。


この連日の暑さの中、既に枯れてしまい日数の経つ樹木は葉がない為、直射日光がもろにクライマーにあたり、急激に体力を奪っていくので水分補給とこまめな休憩もかかせません。

樹木医でかつロープワークによる伐採の経験が豊富な髙尾が全体の指示をしながら安全・円滑に作業を進めました。
先輩の指示の一歩先を考えながら作業が出来るようになってきた若手メンバーの急成長も心強い限りです。
ナラ枯れ樹木は緑地内に数本あり伐採対応は3日間かかりました。

ここ数年関東周辺で被害が増えているナラ枯れですが、最近では枯れてから数年経ったナラ枯れ樹木の伐採の依頼を多くいただきます。
夏になり葉が赤くなってきたことで被害に気づくことが多いナラ枯れですが、
今回の樹木は既に枯れてから数年経つ為、葉も落ち切って上部の枝も腐れが進んでいます。
その為、枯れて間もない樹木よりも、より慎重に枝降ろし作業を行っていかないと、
目的の枝を切り落とした衝撃で、他の枯れた枝が落下して事故が起きてしまう可能性があります。
今後も費用的な問題で処理しきれていないナラ枯れ樹木の伐採作業にはより安全面への配慮が求められます。

ナラ枯れ 枯死木 落枝 倒木 危険木
枯れた木は、小枝、大枝、幹の順に落ちて倒れていく(当社イラスト)

枯れたナラ類が倒れるまでの経過と、機器で調べた例は「ナラ枯れの枯死木はなぜ突然倒れるのか」と「枯死したナラ枯れ木の倒木リスク」にまとめています。

 

被害にあったナラ類の樹木の幹の根元部分から目の高さあたりまでをよく見てみますと、粉をふいたかのような無数のフラス(木くず)が出ていることに気づきます。

ナラ枯れ フラス 木くず

ナラ枯れ フラス 木くず

ナラ枯れ カシノナガキクイムシ 穿入孔 木くず コナラ
コナラの幹の穿入孔と細かい木くず。拡大の円はカシノナガキクイムシ(当社イラスト)

ナラ枯れ被害においては穿孔を受けても樹木の防御反応によって
全てが枯れずに生き残る樹木も多数あります。

ナラ枯れ 穿入生存木 枯死木 比較 コナラ
穴が少なく生き残った木(左)と、枯れた木(右)。枯れた木の根元には木くずが多くたまる(当社イラスト)

一般的な都内の植栽樹木ですと下記の樹種などが対象となり被害にあいます。

■コナラ属
コナラ、クヌギ、イチイガシ、アカガシ、アラカシ、
ウラジロガシ、シラカシ、ウバメガシ

■シイ属
スダジイ、ツブラジイ

■マテバシイ属
マテバシイ

■クリ属
クリ

都内の植栽によくある樹種を、属と、落葉樹か常緑樹かで分けました。

属(ブナ科) 落葉樹 常緑樹
コナラ属 コナラ、クヌギ イチイガシ、アカガシ、アラカシ、ウラジロガシ、シラカシ、ウバメガシ
シイ属 なし スダジイ、ツブラジイ
マテバシイ属 なし マテバシイ
クリ属 クリ なし

本州ではミズナラとコナラに被害が多い。ブナ属のブナ・イヌブナは、カシノナガキクイムシが穿入しても枯死は確認されていない。出典: 一般社団法人日本森林技術協会「ナラ枯れ被害対策マニュアル」(平成24年3月版、林野庁補助事業)p.2「被害を受ける樹種」

ナラ枯れ被害のメカニズムとしては、

①6~7月
前年の枯れた樹木などから新成虫が脱出して活動し始めます。
②6~10月
少数の雄が健全な対象木に穿孔し、
他のカシノナガキクイムシの仲間を集めます。(集合フェロモン)
③集合したカシノナガキクイムシによって
集中的に穿孔被害にあいます。
※上記のフラスがたくさん出る状態です。
④7~9月
被害にあった樹木は、カシノナガキクイムシの穿孔被害と、保菌するナラ菌の繁殖によって急激に枯死します。

このサイクルを毎年繰り返すことになってしまうため、カシノナガキクイムシが活動を開始する前やその時に薬剤散布を行ったり、枯れた樹木を伐採し処分し来年そこから成虫が脱出されないようにして、流れを断つ必要があります。

ナラ枯れ 1年 カシノナガキクイムシ 脱出 伐倒 処理 時期 図
図: ナラ枯れの1年と、枯れた木を処理する時期(出典: 林野庁「ナラ枯れ被害について」、日本森林技術協会「新版 ナラ枯れ被害対策マニュアル」、千葉県農林水産技術会議 技術指導資料)

ナラ枯れ対策の時期と、被害木の処理の方法は「ナラ枯れ対策は秋から冬が勝負」にまとめています。

 

現在弊社では都市部の植栽樹木へのナラ枯れ被害に対する予防薬剤は下記を推奨しています。

微量注入用 ウッドキングDASH
(農林水産省第23301号)

樹幹注入方式で殺菌剤を注入しナラ菌の繁殖を防ぎます。微量注入用ウッドキングDASHには従来のボトル型殺菌剤と比べて、
専用の微量注入器で注入するため、注入不良が起きにくく、注入容器の回収も要らないので、作業の手間を減らせます。メーカーの資料では、カシノナガキクイムシが加害する前に注入することで、2年間の残効を確認したとされています。

ご依頼いただきありがとうございます。
引き続きよろしくお願いいたします。

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
樹木医 髙尾聡司

 

関連記事

・ナラ枯れ コナラ 樹木医診断・処置
・マンション植栽管理 神奈川県川崎市
・危険木サクラ(ソメイヨシノ)伐採 東京都杉並区
・ナラ枯れの枯死木はなぜ突然倒れるのか オオミコブタケと倒木リスクを樹木医が考察しました

「高木・特殊伐採&ケーブリング」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。

※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。

人気の記事
最新の記事
おすすめ記事
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 巨木 空洞 幹 苔 樹木の時間 樹木医 随想

    樹木は傷を治さない 樹木の時間 第8回

  2. ファコップ Fakopp 静的負荷試験 引張り試験 根返り 幹折れ 安全率 傾斜計 エラストメーター 樹木医

    ファコップ(Fakopp)の静的負荷試験(引張り試験)──根元の傾きと幹の伸び縮みから根返りと幹折れの安全率を見積もる方法と、動的な試験との違いを樹木医が解説

  3. 三保松原 静岡県 羽衣の松 マツ林 三大松原 クロマツ 防風林

    マツ枯れの症状を写真と図で見る──松が赤くなる時期と見分け方

  4. ケーブリング ロープ イチョウ 樹上 樹木医

    伐らずに支える──ケーブリングを選ぶとき、どんな木に付け、何を確かめるのかを樹木医が解説|高木・特殊伐採とケーブリング 第6回

  5. 庭師の伝統的な装い 腹掛け 乗馬ズボン 脚絆 地下足袋 植木鋏 松 図解

    庭師の服装の歴史 ― 江戸の職人装束から、海外のガーデナー・アーボリストの装備との比較まで

  6. 街路樹 働き 日陰 雨水 生きもの 憩い イチョウ 緑の効果 東京グリーンビズ

    緑の効果を「定量化する」と都は書いた──樹木医が測れるもの、まだ測れないもの|東京グリーンビズ連載 第3回 活かす

  7. 街路樹 樹冠 拡大 剪定 強剪定 比較 ケヤキ 日陰 東京グリーンビズ

    街路樹100万本の「樹冠を拡大する」剪定──都の方針を、現場で樹木を育てる側はどう受け止めるか|東京グリーンビズ連載 第2回 育てる

  8. 東京グリーンビズ まもる 大径木 樹木診断 樹木医 クスノキ

    東京グリーンビズが「大径木の樹木診断」を掲げたことを、樹木医はどう読むか──連載 まもる・育てる・活かす 第1回

  9. マイクロセコンドタイマー Microsecond Timer ファコップ 2点間 音の伝わる時間 樹木診断 樹木医

    マイクロセコンドタイマー(Microsecond Timer)の仕組みと使いどころ──幹の2点間を音が伝わる時間を測るファコップ社の機器と、ツリーソニックタイマー・ウルトラソニックタイマーを樹木医が解説

  10. クビアカツヤカミキリ 成虫 赤い前胸 樹皮

    クビアカツヤカミキリ 自治体の対策の最新情報──東京23区・小田原・尼崎

  1. 登録されている記事はございません。

関連記事