サクラ並木 樹木医 土壌改良・エアレーション 東京都

樹木医 エアレーション 土壌改良 桜 サクラ 樹勢回復 樹木治療

静岡県から門田樹木医にいらして頂き、都内のサクラ並木のエアレーションによる土壌改良のお力添えを頂きました。

都内にあるサクラ並木などは往々にして、サクラの大きさに比べて植え桝(植栽帯)が小さく、
近年ではサクラ(桜)が大きく成長する中で生育に問題を抱える事が多くなってきています。

また公園のサクラも、十分に根元の土があるように思われますが、
公園を利用する多くの方の日常的な踏み固め(踏圧)などでサクラが衰退することも多くあります。

踏圧 締め固め 根元 土壌 固結 根 樹木 イラスト
踏み固められた根元(イラスト)。人が歩く所は表層の土が固まり、根はその下へ伸びにくくなる

良質な土は雨水とともに空気も通る隙間があります。
人が立ち入ると隙間が踏み潰され、空気の通り道が無くなっていきます。
植物の根は養分・水分以上に空気を必要としており、酸欠になると衰退します。
地上部も枝葉の先の方から枯れていく傾向にあります。

土壌 物理性 三相組成 固相 液相 気相 締め固め 根 イラスト
土の粒と、水と空気のすき間(イラスト)。締め固められた土ではすき間が少なく根が入り込めない(左)。根が伸びやすい土では、粒の集まりのあいだに水と空気のすき間がある(右)

先に答え

  • 静岡県から門田樹木医に来ていただき、都内のサクラ並木で、エアレーションによる土壌改良を行いました。
  • 都内のサクラ並木は、サクラの大きさに比べて植え桝(植栽帯)が小さいことが多く、公園のサクラも利用者の踏み固め(踏圧)で衰退することが多くあります。
  • 「エアレーション法」は圧搾空気で土に孔(あな)をあける工法で、孔が空気の通りを改善し、根が再生される仕組みです。孔に肥料や土壌改良資材を入れることもできます。
  • 掘削より根を傷めにくく、狭い植栽帯でも施工できる一方、広い面積は不得意なため、状況に応じて他の工法と使い分けています。

よくある質問

Q1. 都内のサクラ並木は、なぜ生育に問題を抱えやすいのですか。

サクラの大きさに比べて、植え桝(植栽帯)が小さいことが多いためです。サクラが大きく育つにつれ、生育に問題を抱えることが多くなっています。公園のサクラも、根元に十分な土があるように見えて、利用者の日常的な踏み固め(踏圧)で衰退することが多くあります。

Q2. 踏み固め(踏圧)で、なぜ木が弱るのですか。

良質な土には、雨水とともに空気も通るすき間があります。人が立ち入るとすき間が踏みつぶされ、空気の通り道がなくなります。国総研の手引きでも、踏圧で表土が堅くなると通気性が悪く根の呼吸が阻害され、樹勢の衰えにつながるとされています。

Q3. 圧搾空気によるエアレーションとは、どんな工法ですか。

圧搾空気を用いて土壌に孔(あな)をあける工法です。孔が空気の通りを改善し、根が再生される仕組みです。孔をあける作業と同時に、肥料や土壌改良資材を充填することもできます。施用する資材や量は、現場の状況に応じて樹木医が判断しています。

Q4. エアレーションの利点と、不得意なことは何ですか。

高圧の空気で細い根は切れますが、重機やスコップの掘削より根を傷めにくく、植栽帯が狭く低木が込み入った場所でも施工でき、比較的少人数で実施できる点が利点です。一方、広い面積の土壌改良は不得意なため、状況に応じて他の工法と使い分けています。

Q5. ほかにどんな土壌改良の方法がありますか。

ダブルスコップで掘った孔に割竹を挿入する割竹挿入縦穴式土壌改良法や、天然記念物やシンボルツリーなど重要な木で根元周りの土をエアスコップでほぐす工法があります。国総研の手引きにも、縦穴への堆肥入り割竹挿入や、圧入装置等によるエアレーションが挙げられています。

今回施工した、圧搾空気を用いたエアレーションは、
土壌に孔(あな)をあける工法です。孔が空気の通りを改善し根が再生される仕組みです。
※施工の様子は、NPO法人藪会様の研修会動画の実演をご参照ください。

エアレーション イラスト 土壌改良 樹勢回復
圧搾空気で土に孔をあけるエアレーション(当社イラスト)

孔をあける作業と同時に肥料や土壌改良資材を充填することも出来ます。
堆肥や肥料の施用は今回のエアレーション等と併せて行う事でより高い効果が期待できるため、
施肥と土壌改良は同時の実施が望ましいと言えます。
あくまで一般論ですので状況に応じて施用する資材や量は現場に応じて樹木医が判断しています。

ある程度高圧の空気によって細い根は切れますが、
・重機やスコップなどの掘削よりも根を傷めにくい点
・今回のように植栽帯が狭く、低木が込み入った場所でも施工できる点
・比較的少人数で少ない労力で実施できる点
が利点です。
逆に、広い面積の土壌改良は不得意ですので、
状況に応じて他の工法と使い分けをしています。

先ほど申し上げた踏み固め(踏圧)や土壌の固結について、
まずは土の中の通気性を改善する事が効果的です。
弊社で良くご紹介する、ダブルスコップで掘削した孔に割竹を挿入する割竹挿入縦穴式土壌改良法や、
今回のように圧縮空気を送りこむエアレーション法、そして天然記念物やシンボルツリー等重要な樹木に対しては根元周りの土壌をエアスコップでほぐす工法があります。

3つの工法を、この記事に書いた範囲で並べると次のとおりです。

工法 やり方 この記事に書いた特徴
割竹挿入縦穴式土壌改良法 ダブルスコップで掘った孔に割竹を挿入する 当社でよくご紹介している方法
エアレーション(圧搾空気) 圧搾空気で土に孔をあけ、同時に肥料や土壌改良資材を充填できる 掘削より根を傷めにくい、狭い植栽帯や低木が込み入った場所でも施工できる、少人数でできる、広い面積は不得意
エアスコップでほぐす工法 根元周りの土をエアスコップでほぐす 天然記念物やシンボルツリーなど重要な樹木に

国総研の手引きは、縦穴への堆肥入り割竹挿入を簡易な土壌改良(日常管理)に、土を掘削せずに耕耘の効果が期待できる圧入装置などによるエアレーションを部分的な土壌改良(生育・景観改善)に挙げています。出典: 国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料第565号、2010年1月)p.169 表4-8、p.171 表4-9

我々プロの施工だけでなく、近年ではサクラ並木や公園のサクラの維持管理を自治体や地域の住民が協働で行う事例が増えてきています。
地域の方が日常的にサクラを見守り保全していくボランティア活動は、桜守(さくらもり)活動と呼ばれ、今後良好な維持管理に大きな力になると思います。
弊社でも地域の方々とのコミュニケーション含め交流を大切にしていきたいと思います。

年明けも引き続き施工に入ります。よろしくお願いいたします。

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
樹木医 髙尾聡司

 

「土壌調査」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。

出典・参考情報

関連記事

・庭園樹のアカマツ 樹木医による樹勢回復、病虫害防除薬剤散布(このテーマのまとめ)

人気の記事
最新の記事
おすすめ記事
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 社殿 屋根 新緑 枝 鎮守の森 樹木の時間 樹木医 随想

    熊楠が守ろうとした森 樹木の時間 第7回

  2. アーボソニック3D ArborSonic 3D 音響トモグラフ センサー アンプボックス 樹木診断 樹木医

    アーボソニック3D(ArborSonic 3D)の仕組みと得られる結果──センサーの数、測れる太さ、断面画像と安全率の読み方を樹木医が解説

  3. AI 樹木診断 車載レーザー 街路樹 台帳 樹木医

    AI樹木診断は海外でどこまで進んでいるか──シンガポール・英国・米国の事例と論文を樹木医が一次情報で読み解く

  4. アーボソニック3D 風荷重 樹冠 写真 撮り方 樹高 離れて撮る 樹木医

    アーボソニック3Dの風荷重解析 強風で幹は折れないか、安全率の出し方と読み方を樹木医が解説

  5. クレーン 伐採 ブーム 建物 高木 特殊伐採 樹木医

    クレーンと高所作業車を使う伐採──ロープワークとの分担、運転と玉掛けの資格、建物越しの作業を樹木医が解説|高木・特殊伐採とケーブリング 第4回

  6. ファコップ Fakopp アーボソニック3D 樹木診断機器 メーカー ハンガリー ショプロン 樹木医

    ファコップ社とは──アーボソニック3Dをつくるハンガリー・ショプロンの樹木診断機器メーカーと、製品の全体像を樹木医が解説

  7. マンション 植栽 コンサルティング 流れ 管理組合 理事会 樹木医 中庭 ケヤキ

    マンションの植栽コンサルティングは、どう進むのか──管理組合と樹木医が歩く8つの段階と、3つの入口

  8. 巨木 御神木 大径木 樹木診断 樹木医

    日本人は子どものころから御神木に特別な思いを持っているのか 御神木・霊木と日本人の関係、歴史、文化を樹木医がたどる

  9. ハーネス 各部の名前 ウエストベルト レッグループ アタッチメントブリッジ リング サイドD環 ギアループ アーボリスト イラスト

    ハーネス ― 各部の名前と役割|アーボリストの基礎 第4回

  10. 3級造園技能士 実技試験 竹垣 縁石 敷石 植栽 模式図

    3級造園技能士の試験 竹垣・縁石・敷石の実技と樹種判定60種、学科の範囲を1級の樹木医が解説

  1. 登録されている記事はございません。

関連記事