渋谷区神宮前 VR46ストア東京様店舗前 高木エノキ
店舗を訪れる方や近隣の方にとっては貴重な緑陰となっていましたが、
電線への接触や建物への根の問題があり今回残念ながら伐採となりました。
この記事では、電線と建物に近い店舗前のエノキを、樹上のロープワークとクレーンを組み合わせて伐採した記録と、電線のそばで高木を伐るときの段取りを、法令の決まりとあわせてご紹介します。
店舗前のエノキ──緑陰をつくってきた高木
街の中の高木は、夏の日差しをさえぎる緑陰をつくります。埼玉県の「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)も、道路の緑の働きの一つに緑陰形成の機能を挙げています。エノキは古くから人の暮らしのそばに植えられてきた木で、国土技術政策総合研究所(国総研)の「景観重要樹木の保全対策の手引き」(2010年)は、景観重要樹木の例として「街道の一里塚(エノキ)」を挙げています。
一方で、大きく育った木は、電線や建物との距離が年ごとに縮まります。この店舗前のエノキも、電線への接触と建物への根の問題があり、伐採を選ぶことになりました。

エノキ伐採 小型移動式クレーン 吊り切り
現場の条件──電線・看板・建物と、人と車の往来
青山のキラー通り近くの為車両や歩行者の方の往来も激しく、
また立地環境においても電線、看板、建物に近く、養生と誘導を徹底しながら慎重に作業を進めます。
伐採の方法を決めるときは、木そのもの(高さ・傾き・枝の偏り・枯れ枝・幹や根元の腐朽)と、まわりの条件(電線・隣の建物・道路と作業車を置ける場所)を合わせて見ます。この現場では、電線・看板・建物がすぐそばにあり、歩道と車道には人と車の往来が絶えないことが、方法を決める条件になりました。

伐採の方法を決めるときに現地で見ること(イメージ)。木の高さと傾き、枝の偏り、枯れ枝、幹や根元の腐朽、電線、隣の建物、道路と車両の置き場
根元から倒せない理由
木を根元から一度に倒す「伐倒」では、労働安全衛生規則 第481条第2項により、倒す木を中心に、その木の高さの2倍の距離を半径とする円の内側に、ほかの作業者を立ち入らせないことが求められます。人と車の往来が多い通り沿いでは、この広さを空けることはできません。そのため、上から少しずつ枝と幹を切り、吊り降ろしていく特殊伐採を選びます。
- エノキ伐採 ツリークライミング
- エノキ伐採 ツリークライミング
- エノキ伐採 ツリークライミング
- エノキ伐採 ツリークライミング
ロープワークとクレーンを組み合わせた伐採の段取り
電線と小型移動式クレーンが接触しない高さまでは、
ツリークライミング・ロープワークとリギング(枝の吊り降ろし)によって対応し、
電線に接触しない安全な高さまで対応が完了した後は、
クレーンで吊りながらの伐採となりました。
施工環境によって安全な最適で計画を立てています。

図: 電線のそばの高木を伐る段取り(作業の順番は本記事の記録、法令は e-Gov 法令検索で確認)
段取りを分けたのは、電線とクレーンの距離を保つためです。労働安全衛生規則 第349条は、架空電線に近い場所で移動式クレーンなどを使う作業で、感電のおそれがあるときは、電路の移設、囲い、絶縁用防護具、監視人のいずれかの措置を講じるよう求めています。電線より高い位置の枝を樹上から先に降ろしておけば、クレーンのブームを電線に近づけずに幹を吊ることができます。
クレーンにも決まりがあります。クレーン等安全規則 第68条は、つり上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンを「小型移動式クレーン」とし、その運転を小型移動式クレーン運転技能講習の修了者が行えるとしています。つり上げ荷重1t以上のクレーンの玉掛け(荷にワイヤーなどを掛ける作業)も、玉掛け技能講習などの修了者の業務です(同 第221条)。樹上の作業は高さ2m以上の場所での作業にあたり、作業床を設けにくいときは、要求性能墜落制止用器具を使わせるなどして墜落を防ぐことが求められています(労働安全衛生規則 第518条)。

エノキ伐採 切株 面取り

エノキ伐採 作業前後 ビフォーアフター
写真は、伐採のあとに切り株の面取りをした所と、作業の前後の様子です。
よくある質問
Q1. 電線の近くにある高い木は、どうやって伐るのですか?
A. この現場では、電線と小型移動式クレーンが接触しない高さまでは、樹上に登るロープワークとリギング(枝の吊り降ろし)で枝を降ろし、電線に接触しない安全な高さまで下げてから、クレーンで吊りながら伐採しました。労働安全衛生規則 第349条は、架空電線に近い場所で移動式クレーンなどを使う作業で感電のおそれがあるとき、電路の移設・囲い・絶縁用防護具・監視人のいずれかの措置を求めています。
Q2. 大きな木を根元から一度に倒さないのはなぜですか?
A. 労働安全衛生規則 第481条第2項は、伐倒する木を中心に、その木の高さの2倍の距離を半径とする円の内側に、ほかの作業者を立ち入らせないことを求めています。人や車の往来が多い街中ではこの範囲を空けられないことが多く、上から少しずつ切って吊り降ろす方法を選びます。
Q3. 小型移動式クレーンとは何ですか?
A. クレーン等安全規則 第68条は、つり上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンを「小型移動式クレーン」とし、その運転は小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者が行えるとしています。つり上げ荷重1t以上のクレーンの玉掛けも、玉掛け技能講習などの修了者の業務です(同 第221条)。
出典・参考情報
・労働安全衛生規則 第349条・第481条・第518条(e-Gov 法令検索)
・クレーン等安全規則 第68条・第74条・第74条の2・第221条(e-Gov 法令検索)
・埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.2-1
・国土技術政策総合研究所「景観重要樹木の保全対策の手引き」(国総研資料 第565号、2010年1月)p.12
ご依頼頂きありがとうございました。
VR46ストア東京様は、
イタリア出身のオートバイレーサー、バレンティーノ・ロッシさんのアパレル専門店です。
高木の剪定や伐採作業の施工実績 一例
■銀杏岡八幡神社様 御神木剪定 東京都台東区浅草橋
■聖公会神学院様 世田谷区用賀
■オオシマザクラ 剪定・土壌改良 大田区中央
■保存樹木クスノキ 剪定作業 板橋区
■東京アメリカンクラブ様 エントランス高木剪定 港区麻布台
■銀杏岡八幡神社様 樹木伐採 東京都台東区
■大田区マンション 特殊伐採
■渋谷区恵比寿の個人邸 高木のサクラをロープワークで剪定──屋根に張り出した枝の吊り下ろしと、樹上と地上をつなぐ Bluetooth
■世田谷区北烏山 マンション・集合住宅 高木樹木伐採
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※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。

























