定期的なお庭の手入れをご依頼頂いているお客様より、お客様とワンちゃんが楽しめる空間になる芝張り工事のご依頼を頂きました。
高麗芝(コウライシバ)を張ったお庭の改修の記録です。除草・耕耘・黒土の客土による下地づくりから、ベタ張りで隙間なく張る作業、張ったあとの水管理までを、行政の標準図や芝生のマニュアルの内容とあわせて紹介します。
- 芝張り ビフォーアフター
芝張りの下地づくり──除草・耕耘・黒土の客土
雑草もあり、不陸(地面の高さが凸凹)の状態になっている為、
除草、耕耘、黒土客土の下地作りから始まりました。
芝生の根は主に地表から10cmくらいの深さまでに集中する為、
特に10cmの範囲内を集中的に改良を行いました。
- 芝張り
東京都教育委員会の芝生のマニュアルは、育った芝生の手入れでも、芝生に穴を開けて根に空気を送るエアレーションを深め(10cm程度)に行うと、締め固まった土を柔らかくし、根の伸びをよくする効果が高まるとしています。
客土に使った黒土は、名前のとおり黒い色の土です。関東に広く分布する黒い土の代表に黒ボク土があり、農研機構の日本土壌インベントリーは、黒ボク土を、主に火山灰に由来し、有機物がたまって黒い色をしていることが多い土で、水を保つ力と水はけが高く、硬くなく耕しやすいなど物理性は良好、一方でリン酸を吸着する力が高い傾向がある、と説明しています。横浜市の公園の標準図でも、芝の下に入れる床土と目土に黒土を使うことにしています。

芝張り
ベタ張りで隙間なく張る
整地が完了後、「ベタ張り」にて隙間なく芝を張っていきます。
曲線になっている部分などは芝を鋏で切りながら合わせていきます。
- 芝張り お庭改修工事 造園
芝の張り方には、芝と芝の間に目地を空けて張る方法と、目地を空けずに隙間なく張る方法があります。横浜市の公園の標準図では、コウライシバ1枚を36cm×28cmとし、目地を空ける場合は4cm空け、目地や芝の上に目土(黒土)を入れることにしています。目土の厚さは2cmが標準です。日本造園組合連合会の『造園初級技能の手引』は、目地幅を1.5〜3.0cm程度、目土の厚さを目地に入る土も含めて3〜10mmくらい(芝の葉先が目土の上に見える程度)としていて、数字は資料によって違います。この現場は、目地を空けない「ベタ張り」です。

図: 芝の張り方(出典: 横浜市環境創造局「公園緑地施設標準図集 2 植栽」2-6 張芝(コウライシバ)の寸法・特記をもとに当社作成)
国の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」も、芝張りを目地張りとべた張りに分け、特記が無ければ平地は目地張り、法面はべた張りとしています。べた張りの工法は、全面をレーキなどで不陸直し(凸凹をならすこと)をしてから目地なしに張り付け、芝の根を土に密着させるものです。写真の木の根元では、幹のまわりの芝を切り欠いて張っています。

芝張り お庭改修工事 造園
高麗芝(コウライシバ)の生育と、張ったあとの水管理
これから芝生(高麗芝)の生育時期になりますので、
青々とした芝生が生えそろってきます。

芝張り
コウライシバは、暖かい時期に育つ夏芝(暖地型の芝)の一つです。東京都教育委員会のマニュアルによると、夏芝は主に4月から10月にかけて緑色を保ち、それ以外の季節は地上部が茶色くなって、根や茎の形で休眠します。平均気温12℃が新芽の生長と休眠の目安で、25℃以上で最も旺盛に生長します。コウライシバは横に伸びる茎(ほふく茎)で広がる芝で、生長力は中〜弱程度、葉が小さく、きめ細かい芝生になるとされています。

図: 夏芝の1年と、芝刈り回数の例(東京都教育委員会のマニュアルの校庭の例。記事 7775 の図)
植えつけ後、夏を超える頃までは、
まだ根がしっかりと張っていませんので特に水管理が重要です。
- 芝張り
同じマニュアルは、散水のこつとして、土の全体がしっかり湿るように1回でたっぷり与えること、植物は午前中に光合成を盛んに行うので朝の散水が効果的なことを挙げています。水が足りないと、夏芝の葉は針のように丸まるとしています。散水の回数の目安は、校庭の夏芝で、4〜9月は2日に1回、10〜3月は週に1回が基本で、梅雨明けから8月いっぱいは量を多くするか毎日にし、補植をした所は毎日散水するとしています。

芝張り
張った芝を周りの芝となじませる考え方は、公園の芝生の仕様にも書かれています。東京都建設局の「街路樹等維持標準仕様書 緑地管理編」は、芝生の補植で芝を張るときに、補植する所を深さ15cm程度まで床土を入れ替えて、沈まないようによく転圧し、張った芝は周りと同じ高さになるように調整して転圧し、目土を施してよくかん水することとしています。

芝張り
続いた芝張りのご依頼
そして芝張りからまた芝張りのご依頼をいただき
芝張り週間でした。

芝張り 整地
2か所目のお庭は、ウッドデッキとレンガ調の壁に囲まれ、株立ちの木が植わっています。上の写真は、柄の長い道具で土の表面をならし、芝を張る前の地面を平らに整えているところです。

芝張り 芝生
張る前の芝は、ウッドデッキの上に積んであります。公共建築工事標準仕様書は、芝を、雑草が混じらない良質なもので、生育がよく根茎が緊密で、刈り込んだうえで土の付いた切芝としています。地面にある丸い格子のふたのまわりは、芝を丸く切り欠いて張っています。

同じ仕様書は、芝張りが終わったら適宜かん水し、工事期間中も、乾燥が著しいときは適宜かん水することとしています。写真は、張り終えた芝に、ホースで水をまいているところです。

芝張り 芝生
芝の上に黄色い板を敷き、その上に立って作業しています。1か所目のお庭の写真にも、同じような黄色い板が写っています。

芝張り 芝生
素敵な芝生のお庭になるように精一杯対応させて頂きます。
芝生の雑草対策の発芽抑制剤、茎葉処理剤などの薬剤管理の方法もご紹介しております。
芝刈以外にも芝生の管理にも豊富な実績がございます。
マンションの芝生広場、学校施設や運動施設のグラウンドなど広域な芝管理も対応可能です。

芝張り 芝生
張り終えた2か所目のお庭です。ウッドデッキの先に芝が広がり、株立ちの木の足元まで芝がつながっています。芝の中には、庭の照明が立っています。

芝張り 芝生
よろしくお願いいたします。
まとめ
お客様とワンちゃんが楽しめるお庭にするため、除草・耕耘・黒土の客土で下地をつくり、芝の根が集まる地表から10cmの範囲を重点的に改良してから、高麗芝をベタ張りで隙間なく張りました。曲線の部分は芝を鋏で切って合わせています。張ったあと夏を越えるころまでは、根がまだしっかり張っていないので、水管理が大切な時期です。

芝張り 芝生
よくある質問
Q1. 芝の「ベタ張り」とは何ですか。
芝と芝の間に目地を空けずに、隙間なく張る張り方です。目地を空ける張り方では、横浜市の標準図は目地を4cmとし、目土(黒土)で埋めることにしています。
Q2. 高麗芝が緑になるのはいつごろですか。
東京都教育委員会のマニュアルでは、夏芝は主に4月から10月にかけて緑色を保ち、平均気温が12℃を超えるころに新芽が出て、25℃以上で最も旺盛に生長するとされています。
Q3. 張ったあとの水やりは、どのようにしますか。
同じマニュアルは、土の全体がしっかり湿るように1回でたっぷり、朝に与えるのが効果的としています。この現場では、根がしっかり張るまでの夏を越えるころまでを、特に水管理が大切な時期としています。
Q4. 芝の下地に使う黒土は、どんな土ですか。
黒い色の土で、関東に広く分布する黒ボク土が代表です。農研機構は、黒ボク土を火山灰に由来し、水を保つ力と水はけが高く、耕しやすい土と説明しています。
出典・参考情報
・東京都教育委員会「園庭・校庭における芝生維持管理マニュアル」(平成30年3月)p.10〜11、p.18〜19、p.22
・横浜市環境創造局「公園緑地施設標準図集 2 植栽」2-6 張芝(コウライシバ)(平成30年4月)
・日本造園組合連合会『造園初級技能の手引〔改訂新版〕』(2015年〈平成27年〉)p.65(張芝の方法・目土)
・東京都建設局「街路樹等維持標準仕様書 緑地管理編」(平成25年4月)3-2-7 補植
・農研機構「日本土壌インベントリー 黒ボク土」
・国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」23.4.2 材料(p.321)、23.4.3 芝張りの工法・23.4.6 養生その他(p.322)(2026年10月23日に確認)
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