近年では台風の大型化により、
樹木の倒木や枝折れや落枝による事故も増えてきています。
この記事では、東京都世田谷区のサクラで、台風の時期の前に行った枯れ枝の除去と、ロープワークと高所作業車を併用した理由を、行政の資料と法令の決まりとあわせてご紹介します。
台風の前に枯れ枝を取る理由
文部科学省と気象庁の「日本の気候変動2025」は、北西太平洋では1980年代半ば以降、強度の強い熱帯低気圧が増えているとし、日本付近の台風の強度は将来強まると予測しています(どちらも確信度は中程度)。一方で、台風の発生数や日本への接近数には、はっきりした長期の変化の傾向は確認できないとしています。
樹木の事故では、国土交通省が全国の道路を調べた結果(令和3年4月〜令和6年11月)、倒木や落枝などの事故は801件あり、樹種ではケヤキ、サクラ類、アカマツ・クロマツ類が上位で、事故につながったものは落枝が最も多く、次いで倒木でした。

図: 道路の樹木の倒木・落枝などの事故 要因の内訳(出典: 国土交通省「倒木等による事故に関する全国調査について」)
枯れ枝が危ないのは、風が強い日だけではありません。国土技術政策総合研究所(国総研)の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(2019年)は、枯枝は生きた枝と比べて、強風などがない状態でも落枝の危険性が高く、生きている組織との境界やその周辺で折れると説明しています。同じ手引きは、枯枝による落枝事故の実態調査から、枯れ枝の出やすい樹種としてケヤキ、マツ類、サクラ類を挙げています。
今回は台風が本格的な時期になる前に、
落枝の危険のある枯枝の除去を行いました。
ロープワークと高所作業車を併用した理由
腐れが進行した枯枝も多く、
ロープワークでの枝おろし作業のみですと
途中で折れて落下してしまう可能性があった為、
高所作業車を併用しての作業となりました。
必ずしもロープワークによる作業が最適というわけではなく、
現場の状況に合わせて安全で効率的な作業段取りの検討を行います。
樹上に登って枝を切り、ロープで吊り降ろすロープワークは、作業車が木のそばに入れない場所でも手入れができる方法です。この現場では、上に書いたとおり腐れの進んだ枯れ枝が多く、ロープワークの枝おろしだけでは、途中で折れて落ちるおそれがありました。国総研の手引きが説明するように、枯れ枝は生きている組織との境目やその周辺で折れます。そこで、高所作業車のバケットという安定した足場を併せて使いました。

高い木の手入れの方法の選び方(図)。高さと、車両を木のそばに置けるかで決める。大きな木では2つを組み合わせることもある
サクラの枯れ枝を切る位置
枯れ枝を取るときも、切る位置は大切です。埼玉県の「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)は、枯枝の切除などで枝を付け根から切るときは、枝と幹の組織が混じり合うブランチカラーを傷つけない位置で切ることを基本とし、幹に接して切る「フラッシュカット」は、切り口をふさぐ防御の組織を壊し、腐朽菌の侵入を容易にすると説明しています。そのうえで、人の腕より太い枝や、サクラなど腐朽しやすい樹種では、フラッシュカットは適さないとしています。
- 桜 剪定 高所作業車
- 桜 剪定 高所作業車
アウトリガーが横に広がらない
直下型のジャッキ仕様の12m高所作業車なので、
住宅街でも交通に支障なく作業できました。
高所作業車を使う作業の決まり
高所作業車は、作業床の高さによって運転に必要な資格が分かれています。法令の主な決まりは次のとおりです。
| 決まり | 中身 | 法令 |
|---|---|---|
| 運転の資格(作業床の高さ10m以上) | 道路上の走行を除く運転は、技能講習などの修了者に限る業務 | 労働安全衛生法施行令 第20条第15号 |
| 運転の資格(作業床の高さ10m未満) | 道路上の走行を除く運転は、特別教育を必要とする業務 | 労働安全衛生規則 第36条第10号の5 |
| 作業計画 | 場所の状況、高所作業車の種類と能力に合った作業計画を定め、それに従って作業する | 労働安全衛生規則 第194条の9 |
| 作業指揮者 | 作業の指揮者を定め、作業計画に基づいて指揮させる | 労働安全衛生規則 第194条の10 |
| 墜落を防ぐ器具 | 作業床の上の作業者に要求性能墜落制止用器具などを使わせる(作業床が垂直にだけ昇降する構造のものを除く) | 労働安全衛生規則 第194条の22 |
出典: e-Gov 法令検索「労働安全衛生法施行令」「労働安全衛生規則」(2026年10月12日に確認)
今後改めて土壌改良など樹勢回復のご相談頂きありがとうございました。
株式会社トシ・ランドスケープ
よくある質問
Q1. 枯れ枝は、なぜ台風の前に取っておくのですか?
A. 国土技術政策総合研究所の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、枯枝は生きた枝と比べて、強風などがない状態でも落枝の危険性が高く、生きている組織との境界やその周辺で折れると説明しています。国土交通省の全国調査でも、道路の樹木の事故は落枝が最も多く、要因には台風・強風と腐朽・病害が多く挙がっています。
Q2. 高所作業車の運転には、資格が要りますか?
A. 労働安全衛生法施行令 第20条は、作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転(道路上の走行を除く)を、技能講習などの修了者に限る業務としています。10m未満の運転は、労働安全衛生規則 第36条で特別教育を必要とする業務です。
Q3. サクラの枝を切るときに、気をつけることは何ですか?
A. 埼玉県の「街路樹剪定マニュアル」は、枝の付け根のブランチカラーを傷つけない位置で切ることを基本とし、幹に接して切るフラッシュカットは腐朽菌の侵入を容易にすると説明しています。サクラなど腐朽しやすい樹種や、人の腕より太い枝では、フラッシュカットは適さないとしています。
出典・参考情報
・文部科学省・気象庁「日本の気候変動2025」詳細版 第7章 熱帯低気圧(2025年)p.173
・国土交通省「倒木等による事故に関する全国調査について」(調査期間 令和3年4月1日〜令和6年11月7日)p.1〜2
・国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)Ⅱ p.1-21〜1-22・1-42
・埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.5-9・5-11
・労働安全衛生法施行令 第20条、労働安全衛生規則 第36条・第194条の9・第194条の10・第194条の22(e-Gov 法令検索)
高木の剪定や伐採作業の施工実績 一例
■マンション植栽 高木の樹勢確認とケーブリング支柱点検 目黒区自由が丘
■銀杏岡八幡神社様 御神木剪定 東京都台東区浅草橋
■聖公会神学院様 世田谷区用賀
■オオシマザクラ 剪定・土壌改良 大田区中央
■保存樹木クスノキ 剪定作業 板橋区
■東京アメリカンクラブ様 エントランス高木剪定 港区麻布台
■銀杏岡八幡神社様 樹木伐採 東京都台東区
■大田区マンション 特殊伐採
■渋谷区恵比寿の個人邸 高木のサクラをロープワークで剪定──屋根に張り出した枝の吊り下ろしと、樹上と地上をつなぐ Bluetooth
■世田谷区北烏山 マンション・集合住宅 高木樹木伐採
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