東京都世田谷区のマンションで、樹木医が外観診断とレジ(Resi PD)による機器診断を行い、腐朽空洞率が高く、台風などの強風で倒木や幹折れのおそれがあると判断した木を伐採しました。伐採後には切り株を確かめ、診断の結果データどおりに腐朽が進んでいたことを確認しています。
この記事は、2021年1月に公開した伐採工事の記録です。当時の文章と写真はそのまま残し、「診断」「伐採の判断」「伐採」「伐採後の答え合わせ」の順に並べ直しました。あわせて、伐った木の断面で診断結果を確かめることがなぜ大切なのかを、東京都の街路樹診断等マニュアルと国の資料をもとに書き加えています。
先に答え
- 世田谷区のマンションの木を、樹木医が外観診断とレジ(Resi PD)で診断し、腐朽空洞率が高く、強風で倒木や幹折れの懸念があることから、伐採を判断しました。
- 伐採後に切り株を確かめ、レジの結果データと腐朽の具合が合っているかを照らし合わせました。腐朽は、診断結果どおりに進んでいました。
- 機器診断の数値は、腐朽や空洞の形と大きさによって実際と差が出ることがあると、東京都のマニュアルにも書かれています。伐った木の断面は、その差を確かめられる数少ない機会です。
- 答え合わせの記録は、伐採の判断を説明する根拠になり、次の診断の確かさにもつながります。
診断──外観診断と、レジ(Resi PD)による機器診断
2021年1月の記録には、次のように書いています。
東京都世田谷区 樹木伐採工事
マンション敷地内の植栽について
以前に樹木医による樹木診断を実施させて頂きました。
▪️外観診断(外観の目視や打診等による診断)
▪️機械診断(精密診断) 使用機材:レジ(Resi PD500)
カルテ様式は「平成26年度 東京都街路樹診断マニュアル」に準拠
外観診断──目で見て、叩いて、外から確かめる
外観診断は、樹勢や樹形、根元・幹・大枝の傷みを、目視と木槌での打診で確かめる診断です。叩いたときの音の違いは、外から見えない空洞や腐朽の手がかりになります。外観診断で見ている項目は「樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編)」で、東京都のマニュアルの流れに沿って解説しています。

木槌で幹を叩き、音の違いで中の空洞や腐朽を探る(イメージ)
ただ、外から見て、叩いて分かることには限りがあります。幹の中で進む腐朽は、外に形が現れるまで時間がかかることもあります。東京都のマニュアルでも、機器診断は、外観診断で機器診断が必要とされた木に行う診断と位置づけられています(p.50)。
機器診断──レジ(Resi PD)で幹の中の腐朽と空洞を測る
使用したのは、ドイツIML社の穿孔抵抗測定器、レジ(Resi PD500)です。東京都の街路樹診断等マニュアルでは「貫入抵抗測定器(商品名:レジ)」と呼ばれ、軸径1.5mm、先端幅3.0mmの細いキリを回転させながら幹に入れ、そのときにかかる抵抗の高低から、材の腐朽や空洞の状態をつかむ機器と説明されています(p.51)。抵抗が高ければ健全な材、低いか、ほとんど現れなければ腐朽か空洞です。

レジ(Resi PD)で幹に細いキリを入れ、抵抗の変化を測る(イメージ)
測定は、健全な材の薄い部分を捉えられるよう、おおむね十字方向の4か所から行います(p.51)。記録された波形から、各方向の半径(R)に対して残っている健全な材の厚さ(t)の割合であるt/R率と、断面積に対する腐朽・空洞の割合を近似した腐朽空洞率を出します(p.56〜57)。マニュアルは、レジが直接測っているのは健全な材の厚さで、腐朽空洞率は参考値として出すものだとしています(p.56)。カルテの欄の読み方は「レジ(Resi PD)の診断カルテの読み方」と、根元を斜めに測る「根株診断カルテの読み方」で、実際のカルテを使って説明しています。

キリの通り道。樹皮、健全な材、腐朽、空洞の順に、受ける抵抗が変わる(イメージ)
この木の診断は、当時の「平成26年度 東京都街路樹診断マニュアル」のカルテ様式で行いました。今の東京都のマニュアルは「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」で、この記事で示すページは、すべて令和3年度版のものです。
伐採の判断──腐朽空洞率と、強風による倒木の懸念
腐朽空洞率(腐った部分)が多く、
今後台風など強風により倒木や幹折れの懸念があり
長年大きく育った樹木の伐採は大変残念ではございますが、
今回樹木の伐採を行う判断を致しました。
腐朽空洞率がどのくらいになると危ないのか。東京都のマニュアルは、t/R率が0.3未満になると倒木が発生する可能性が高くなり、これを面積に換算すると、腐朽空洞部が断面積の約50%以上にあたるとしています(p.58)。総合判定の参考基準値でも、腐朽空洞率50%以上は「C 不健全」にあたります(p.66)。

腐朽空洞率(面積の割合)とt/R率(残っている壁の厚さの割合)。同じ腐朽空洞率50%でも、空洞が片寄ると薄い側のt/R率は小さくなる

ただし、数値だけで伐るか残すかを決めることはしません。マニュアルも、総合判定は外観診断と機器診断の結果を合わせ、沿道の条件や植栽環境、土地利用まで考えて出すものとしています(p.65)。マンションの敷地では、住む方や訪れる方が毎日、木の近くを通ります。強い風で幹が折れたり木が倒れたりしたときに、何に当たるのかまで含めて考えます。診断の数値と総合判定のくわしい読み方は「樹木医は街路樹診断で何を見ているか(後編)」で書いています。
私たちは、危険の可能性があるというだけで、伐採に安易に傾くべきではないと考えています。剪定で樹冠を軽くする、支柱やケーブリングで支える、経過を観察する。残すための手立てを考えたうえで、それでも倒木や幹折れの懸念が残るときに伐採を選びます。長年大きく育った木を伐るのは残念なことで、だからこそ、その判断を支える診断は確かでなければなりません。
マンションの木の倒木対策の考え方は「マンション・施設の倒木対策」で、マンションの植栽が抱える課題と調査の進め方は「樹木医がマンション植栽の危険木調査を行いました」と「マンション植栽の老朽化は、まず現状評価から」で書いています。
伐採──ツリークライミングで登り、上から切って降ろす
伐採は、ツリークライミングで木に登り、上から順に切って降ろす特殊伐採で行いました。住宅地では、木を根元から倒すだけの広さがない場所がほとんどです。電線や建物、通路に囲まれた木は、上から少しずつ切って降ろします。根元から倒す伐倒との違いは「特殊伐採とは」で解説しています。

広い場所では根元から倒す(左)。住宅地では上から切って降ろす(右。特殊伐採)(イメージ)

幹に登り、チェーンソーを構える。幹の上部にはベルトを掛け、上から下りたワイヤーにつないでいる。すぐ横を電線が通る

作業に使ったスチールのエンジンチェーンソー2台

地際の近くで、残った幹にチェーンソーを入れる
伐採後の答え合わせ──切り株の断面と、レジの結果データを比べる
伐採後には切株を確認し、
機械診断(レジ)の結果データとの
腐朽具合の整合性の確認を行いました。
診断結果データ通りの腐朽の進行具合でした。

切り離した幹の一部を、青いベルトで吊ったところ。断面の中心は大きな空洞で、黒く崩れた材が残る。外側には明るい色の材が帯のように残る
上の写真の幹の断面では、中心が大きな空洞になり、黒く崩れた材が残っていました。外側に帯のように残った明るい色の材が、幹を支えていた部分です。
何と何を比べるのか
答え合わせでは、切り株の断面に現れた腐朽や空洞の広がりと、診断のときにレジで記録した結果データを照らし合わせます。東京都のマニュアルの参考資料にも、伐った木の断面を調べる「伐採樹木断面調査」の方法が載っています。チェーンソーで厚さ5cmほどの断面をできるだけ平らに切り出し、変色している範囲を腐朽の範囲とみなして、断面の写真から腐朽空洞率を求めます。伐採の前に、断面を作る位置でレジを使って腐朽の範囲を確かめておくことも勧められています(参考資料 p.113〜114)。同じ資料の断面調査表には、機器診断で出した腐朽空洞率と、断面で測った腐朽空洞率を並べて書く欄があります(p.153)。
東京都のマニュアルの参考資料にある伐採樹木断面調査の手順を、順に並べると次のとおりです。
| 手順 | マニュアルに書かれていること |
|---|---|
| 1 伐採の前 | 断面を作る位置で貫入抵抗測定器を使い、腐朽の範囲を確かめておく(推奨) |
| 2 断面を作る | 厚さ5cm程度の断面をチェーンソーなどでできる限り平らに切り、さらに1mごとに同じように作る |
| 3 腐朽の範囲を決める | 変色している範囲を腐朽の範囲とみなす、ピロディンなどで確かめるのも有効 |
| 4 写真を撮る | 腐朽の範囲をチョークなどで示し、10cm角ほどの方眼を重ねて撮る |
| 5 腐朽空洞率を出す | 写真のゆがみを補正し、断面積と腐朽部の面積から腐朽空洞率(%)を求める |
| 6 記録する | 断面調査表(様式13)に、機器診断の腐朽空洞率と、断面の腐朽空洞率を書く |
出典: 東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」第Ⅶ章 参考資料 p.113〜114「伐採樹木断面調査」、p.153 様式13 断面調査表

低く切った切り株の断面を、2人で確かめる。断面の中ほどが黒っぽく変色している。右の1人はスマートフォンの画面を見ている

同じ切り株を上から見たところ。隣に立つ木の根元のすぐ横で、断面に手を当てて確かめる。手前にチェーンソー

地際の切り株。中心が黒く崩れて手が入るほどになり、外側に材が殻のように残る。右の1人はスマートフォンの画面を見ている

根元の材を、手で崩しながら確かめる。足元に崩れた材と樹皮のかけらが積もる
写真の切り株では、断面の中ほどが黒く変色し、手で崩れるほどになっている所もありました。
伐った木の切り株で腐朽の広がりを確かめた例は、行政の資料にも載っています。国土技術政策総合研究所(国総研)の「街路樹の点検・診断事例集」には、精密診断で腐朽空洞率46.7%、C判定(不健全)だった街路樹を伐採したところ、切株の腐朽がかなり広がっており、倒木の危険があったという相模原市の例が、伐採後の切株の写真とともに紹介されています(2-43)。
なぜ伐採後の「答え合わせ」が大切なのか
答え合わせは、立っている木ではできません。木を伐って、断面が出たときにだけできます。私たちがこの機会を大切にしている理由は、4つあります。
1. 機器の数値と、実際の腐朽との差を知るため
機器診断は幹の中を数値で示してくれますが、その数値は実際の腐朽や空洞とぴったり同じではありません。東京都のマニュアルは、機器による測定値は、腐朽の大きさや形状、状態により、実際の腐朽や空洞と差異が発生する場合があり、その差異は概して、腐朽空洞が大きい場合は小さく、小さい場合は大きくなる傾向にあるとしています(p.65)。レジの腐朽空洞率は、断面と腐朽をほぼ円形と仮定して計算するため、腐朽空洞が著しく変形しているほど差が大きくなり、形によって過大にも過小にもなります(p.52・p.57)。

腐朽空洞率の計算は、断面と空洞をほぼ円と仮定する(左)。空洞の形が崩れていると、実際より大きくも小さくも出る(右)(イメージ)
国土交通省の「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)」の参考資料(令和8年3月改訂)も、貫入抵抗を測る機器の欠点として、キリを入れた部分だけの測定なので、キリが腐朽部を外れると腐朽を検出できないことや、出力された抵抗値の波形の判読が難しいことを挙げています(p.22)。
国総研の資料には、機器で診断したあとに伐採し、断面の実際の腐朽割合と、機器が予測した腐朽割合を比べた検証例も載っています。γ線樹木腐朽診断機と貫入抵抗測定器(資料での表記は「レジストグラフ」)は115断面、ピカスは36断面、Dr.Woodsは14断面で比べ、γ線樹木腐朽診断機は実際より大きめに、ほかの機器は小さめに出る傾向がみられ、貫入抵抗測定器とピカスでは値のばらつきが多くみられたとしています(街路樹の点検・診断 p.1-56)。
資料の4つの機器を、比べた断面の数と傾向で並べました。
| 機器 | 比べた断面の数 | 予測した腐朽割合の傾向 | ばらつき(グラフの決定係数) |
|---|---|---|---|
| γ線樹木腐朽診断機 | 115断面 | 実際より大きめ | 0.91 |
| 貫入抵抗測定器(資料での表記はレジストグラフ) | 115断面 | 実際より小さめ | 0.73(ばらつきが多い) |
| ピカス | 36断面 | 実際より小さめ | 0.62(ばらつきが多い) |
| Dr.Woods | 14断面 | 実際より小さめ | 0.81 |
決定係数は1に近いほど予測と実際がよくそろう。出典: 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」別冊「街路樹の点検・診断」p.1-56 情報コラム「腐朽診断機器の比較」(引用元: 危険度判定技術及び予防技術開発に関する調査研究報告書 −精密診断機器の比較試験−、(株)エコル、2010年2月)
機器によって得意とする腐朽の形や状態が違うことも、東京都のマニュアルに書かれています(p.3、参考資料 p.106)。当社では今、レジのほかに、音で幹の断面を描くピカスとアーボソニック3Dも使い分けています。2026年7月には、同じ1本のサクラをピカス、アーボソニック3D、レジで測り、その日のうちに伐って断面と比べる研修会に参加しました(「診断した木を、その日のうちに伐る」)。現場での経験から言えば、どの機器にも、断面を見て初めて分かる癖があります。
2. 伐採の判断の根拠を、後から説明できるようにするため
伐採は、元に戻せない判断です。国土交通省の指針(案)は、公園の樹木を伐採するときについて、伐採の判断の経緯の記録や、判断のマニュアル化などにより、伐採に際して一定の基準や目安を設けるよう努めることが望ましいとしています(p.13)。公園の木についての指針ですが、考え方はマンションの木にも通じると考えています。診断の記録に伐採後の断面の記録が加われば、「なぜ伐ったのか」に、診断の数値と実際の断面の両方で答えられます。
3. 次の診断の確かさにつなげるため
国総研の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、手引きに示した根拠は現時点までの調査研究による知見や現場における経験等に基づくもので、診断技術を継続的に向上させていくことが重要だとしています(1-137)。点検・診断の結果を台帳とあわせて蓄積すれば、点検・診断の精度を評価・検証できるとも書かれています(1-110)。東京都のマニュアルも、診断機器の発展や診断結果の蓄積に合わせて改定を重ね、精度の向上を図ってきたとしています(p.2)。伐採樹木断面調査は、事故を減らし、将来の管理の指針とするためのデータを集める調査と位置づけられています(参考資料 p.113)。
現場での経験から言えば、波形のどこまでを腐朽と読むか、どの方向にキリを入れるかといった判断は、断面を見た回数だけ確かになっていくように感じます。当社はこの世田谷区の現場の前後にも、目黒区のマンションのサクラとスダジイ(2020年)、マンションのソメイヨシノ(2022年)、サクラ(2022年)、街路樹のエンジュ(2026年)で、伐採後の切り株とレジの結果を照らし合わせてきました(「樹木医が街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ」ほか)。
本文に挙げた答え合わせの例を、記事の公開の順に並べました。
| 記事の公開 | 木 | 答え合わせの結果(各記事の記録) | 記事 |
|---|---|---|---|
| 2020年11月 | 目黒区のマンションのサクラ、スダジイ | レジとの整合性を確かめ、診断結果どおりの腐朽具合 | 樹木診断~伐採作業 東京都目黒区 |
| 2021年1月 | 世田谷区のマンションの木 | 診断結果データどおりの腐朽の進み具合 | この記事 |
| 2022年8月 | サクラ | 診断結果データどおりの腐朽の進み具合 | 樹木医診断 腐朽樹木・伐採工事 |
| 2022年9月 | マンションのソメイヨシノ | 診断結果データどおりの腐朽の進み具合 | 桜 ソメイヨシノ 樹木医診断~伐採工事 |
| 2026年8月 | 街路樹のエンジュ | レジの波形の落ち込みと、断面の腐朽の広がりがよく一致 | 樹木医が街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ |
当社の記録。年月は記事を公開した月で、診断や伐採をした月とは限らない
4. 木を持つ方、管理する方への説明のため
マンションの木を伐るかどうかを最後に決めるのは、その木を持ち、管理する方々です。診断の数値だけを示して伐採をお勧めするのではなく、伐ったあとの断面で、診断が何を捉えていたのかをお見せできれば、判断への納得につながります。
国土交通省の指針(案)は、担当職員の異動に備え、点検・診断の結果や措置の実施状況などの記録が散逸しないようにすることが、次回以降の点検に生かすために重要だとしています(p.12)。マンションでも、理事会の役員の方は替わっていきます。診断のカルテと伐採後の断面の写真がそろっていれば、何年かたってから「あの木はなぜ伐ったのか」と尋ねられたときにも、記録で答えられます。
診断から伐採、検証まで一貫して
診断のみ、伐採のみではなく、
樹木診断〜伐採〜検証までしっかりと一貫して行う事で知見を深め、
今後の植栽の管理業務や、
街路樹や公園の樹木、保護樹木、御神木などの街の景観づくりに活かします。
今回診断から伐採後の検証までご協力頂きました
髙尾樹木医 ありがとうございました。
よくある質問(Q&A)
Q1. 伐採した木の切り株で、診断結果を確かめるのはなぜですか?
A. 機器診断の数値は、腐朽や空洞の大きさや形によって、実際と差が出ることがあるためです。東京都の街路樹診断等マニュアルも、測定値と実際の腐朽や空洞に差異が発生する場合があるとしています。伐採後の断面は幹の中を直接見られる数少ない機会で、診断の確かさを確かめ、次の診断に生かせます。
Q2. レジ(Resi PD)の機器診断では何がわかりますか?
A. 細いキリを回転させながら幹に入れ、そのときの抵抗の高低から、材の腐朽や空洞の状態を調べます。東京都のマニュアルでは、おおむね十字方向の4か所から測り、健全な材の厚さの割合であるt/R率と、断面積に対する腐朽・空洞の割合を近似した腐朽空洞率を出します。
Q3. 腐朽空洞率がどのくらいになると伐採を考えますか?
A. 東京都の街路樹診断等マニュアルは、t/R率が0.3未満になると倒木が発生する可能性が高くなり、面積に換算すると腐朽空洞部が断面積の約50%以上にあたるとしています。ただし数値だけでは決めず、外観診断の結果や、人が通る場所かどうかなどの立地も合わせて総合的に判断します。
Q4. 伐採後の答え合わせでは、何と何を比べますか?
A. 伐採後の切り株の断面に現れた腐朽や空洞の広がりと、診断のときにレジで記録した結果データを比べます。この現場では伐採後に切株を確認し、レジの結果データと腐朽の具合が合っているかを確かめ、診断結果どおりの腐朽の進み具合であることを確認しました。
Q5. マンションの木を伐採するとき、診断の記録はなぜ必要ですか?
A. 伐採は元に戻せない判断で、なぜ伐ったのかを後から説明できることが大切だからです。国土交通省の都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)も、伐採の判断の経緯の記録などにより、伐採に一定の基準や目安を設けることが望ましいとしています。診断の記録と伐採後の断面の記録がそろえば、管理する方々への説明の根拠になります。
出典・参考情報
・東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」p.2〜3(改定の経緯、機器診断の位置づけ)、p.50〜52・p.54(機器診断、貫入抵抗測定器の特性、図III-3・2 腐朽空洞率が過大/過小評価となる事例)、p.56〜58(腐朽診断、t/R率と腐朽空洞率)、p.65〜66(総合判定)、第Ⅶ章 参考資料 p.106(樹木診断機器の測定誤差)、p.113〜114(伐採樹木断面調査)、p.153(様式13 断面調査表)。本文のp.は同マニュアルのページです。
・国土交通省 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)1-110(街路樹台帳と点検・診断の記録の蓄積)、1-137(第7章 倒伏検証調査)。同資料の第2編「街路樹の点検・診断事例集」2-43(相模原市)、別冊「街路樹の点検・診断」1-56(情報コラム「腐朽診断機器の比較」。同コラムの引用元は、危険度判定技術及び予防技術開発に関する調査研究報告書 −精密診断機器の比較試験−、(株)エコル、2010年2月)
・国土交通省「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)」(平成29年9月策定、令和8年3月30日改訂)p.12(点検結果の評価と記録)、p.13(点検結果に応じた措置・対策)。同「参考資料」p.22(診断に使用する主な機器)
・記事中のイラストは、株式会社トシ・ランドスケープの説明用イラストです。
株式会社トシ・ランドスケープ
■ハスクバーナ バッテリーチェンソー T535i XP
■ハスクバーナ バッテリーチェンソー T540i XP
■ハスクバーナ バッテリーブロワー 525iB
■スチール エンジンチェンソー MS 194 TC-E
■スチール エンジンチェンソー MS 261 C-M
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「樹木診断」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。




















