【ツリーケア最前線】樹木医が語るレジ(Resi PD)診断とロープワークの統合 相模原市での樹木診断レポート

レジ 幹 キノコ 機器診断 樹木診断

神奈川県相模原市にて、10年来の交流があるツリーケアサービス木つつき社の水戸樹木医とともに、共同で樹木機器診断を実施しました。

近年、都市樹木は老齢化、根圏環境の悪化、そして気候変動によるストレスを受け、腐朽や根株の弱体化といった「見えない変化」が、安全管理における大きな課題となっています。

東京都建設局の街路樹診断等マニュアルでも、機器診断の結果は、外観診断の結果と併せて総合的に判断するために使うとされています(p.11)。今回は、診断機器のレジ(Resi PD)を使い、外観診断で気になった箇所を機器診断で確かめました。


1. 機器診断の必要性:レジ(Resi PD)が捉える「見えないリスク」

診断対象となったサクラとケヤキの事例は、機器診断の重要性を明確に示していました。

① サクラの診断:根元の腐朽を数値で解明

根元に腐朽菌であるベッコウタケの発生が確認されたサクラ。木槌による打音診断でも異常な響きが返ってきました。

私たちは、幹から根の方向に向けて診断を行う「根株打ち」で、レジの貫入抵抗を測りました。外観では読み取れない腐朽の位置や範囲が貫入抵抗のグラフに現れ、実態を把握する上で非常に有効な情報となりました。

サクラ 根株打ち レジ 機器診断 相模原市

サクラの根元を「根株打ち」で測る

② ケヤキの診断:打音の違和感を裏付けるデータ

ケヤキの診断では、幹にコフキサルノコシカケの発生を確認。打音の異常な響きが示唆する内部の変化は、「水平打ち」で、最終的にデータとして出力される貫入抵抗グラフによって裏付けられました。

このように、外観診断で抱いた疑問を機器診断のデータが裏付け、相互に補完し合うことで、診断の質は格段に高まります。

ケヤキ 幹 水平打ち レジ コフキサルノコシカケ

ケヤキの幹を「水平打ち」で測る


2. ツリーケアの進化:ロープワークがもたらす相乗効果 高所診断 高所樹木診断

印象に残ったのは、ロープワーク(ツリークライミング)技術が、診断作業そのものに大きな相乗効果を生み出していたことです。

  • 近接した「目」の情報の獲得 樹上からの近接観察(高所診断・高所樹木診断)が必要となった場面で、クライミングによって枝上に安全かつ迅速にアプローチできます。

  • 精緻な外観情報の収集 地上からでは見えない、変形、樹皮の薄い箇所、病原菌の侵入兆候など、より精緻な外観情報を収集することが可能です。

機器診断による内部の状況の可視化と、ロープワークによって得られる近接した「目」の情報が融合することで、樹木のリスク評価は格段に解像度を増します。下の3枚は、別の現場(2023年8月、区保存樹木イチョウの高所外観診断)で樹上から診断したときの写真です。


3. 専門性の協働が未来の樹木診断を築く

水戸樹木医とは、レジを打つ位置の考え方や、水平・根株といった方向性の違いが診断の精度にどう影響するかを、測定を通じて深く共有することができました。

今回の共同診断を通じて、ロープワークと機器診断の統合は、これからの都市樹木診断における大きな武器になるという確信を改めて共有しました。

外観・打音・レジなど機器診断・樹上観察(高所診断・高所樹木診断)という複数の「眼」が交わることで、都市樹木が抱えるリスクはより鮮明に浮かび上がります。

私たちは、こうした専門家同士の協働を大切にしながら、科学的根拠に基づく樹木診断と、都市環境における緑の価値向上にこれからも真摯に取り組んでまいります。

共同樹木診断 相模原市 樹木医 大径木

水戸樹木医との共同診断

 

株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊

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「樹木診断」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。

※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。

※ 「ツリークライミング」は、株式会社ツリークライミングワールドの登録商標です。当社の記事では、ロープとハーネスで樹木に登って作業する技術を指す言葉として使っています。

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