キャリパー(PiCUS Calliper 3)は、ピカスやトロニックで幹の断面を画像にする前に、測定点の位置を三角測量で測る道具です。形の入力が画像の精度を左右する理由、基準線と左右の向き、測り間違いの見つけ方、届かない時の測り方を、説明書と海外の研究をもとに樹木医が解説します。
IML社の樹木診断機器をひとつずつ取り上げる連載の第6回です。第4回では音で断面を描くピカス(PiCUS Sonic Tomograph 3)を、第5回では電気抵抗で断面を描くトロニック(PiCUS TreeTronic 3)を取り上げました。今回は、その2台の画像の土台になる「幹の形」を測る道具、キャリパーです。地味な道具ですが、メーカーは形を正確に測るほど断面の画像も正確になるとしており、測る側の手間と丁寧さがそのまま結果に出る工程でもあります。
先に答え
- キャリパーは、幹に打った測定点(釘)どうしの距離を測り、無線でパソコンやアプリに送る、大きなコンパスのような形の道具です。現行の型はPiCUS Calliper 3です。
- ピカスは「距離 ÷ 音が届くまでの時間」で音の速さを計算します。時間は機械が正確に測りますが、距離は入力した形から計算するので、形がずれると画像もずれます。説明書は、直径1mの木で距離が10cm違うと、音の速さが約10%狂うとしています。
- 形は三角測量で決めます。2つの基準点を結ぶ「基準線」の両端から、ほかの点までの距離を測り、点が基準線のどちら側にあるか(左右の向き)も入れます。
- 三角形にならない値が出ると、ソフトが色で知らせます。ただし、どの距離が間違いかは機械には分からないので、木と見比べて人が判断します。
- ドイツの研究では、伐って確かめた断面で、誤差のいちばん大きな原因は測定点の位置でした。位置を正確に記録しておけば、何年もあけて別の人が測っても結果を再現できたと報告されています。

キャリパーとは──幹の形を測る道具
IML Electronic社の製品ページは、キャリパーを「すべての測定点の位置を、速く正確に測るための道具」と紹介しています。音波のピカスも電気抵抗のトロニックも、幹の周りに打った釘の位置、つまり測定面の形が分かっていないと、断面の画像を計算できません。キャリパーは、その形を三角測量で測るための付属品です。
見た目は、大きなコンパス(製図で円を描く道具)に似ています。頭の部分に小さな画面があり、そこを支点に、黒い炭素繊維の腕が2本開きます。腕の先は内側へ折れた測定ピンになっていて、この2つの先端を2本の釘に当て、腕のボタンを押すと、2点の間の距離が無線でパソコンやアプリに送られます。

現行のPiCUS Calliper 3は、音波トモグラフ3とトロニック3に対応し、ピカスやトロニックの運搬ケースに一緒に収めることもできます。説明書によると、キャリパーそのものは「表示と入力の道具」です。どの2点をどの順に測るか、点が基準線のどちら側にありそうかは、つないだパソコンやアプリが決めて指示し、キャリパーは測った距離を送ります。
なぜ形を測るのか──距離がずれると、音の速さもずれる
第4回で書いたとおり、ピカスは、ある釘をたたいた音が、ほかの釘に届くまでの時間を測り、2点の間の音の速さを計算します。音の速さは「距離 ÷ 時間」です。説明書は、時間は機械が正確に測るが、距離は入力した形から計算するので、形が不正確なら音の速さも、断面の画像も不正確になる、と書いています。

どれくらい効くのか。説明書は、直径1mの木で2点の間の距離が10cm違うだけで、音の速さの誤差はすでに10%になると注意しています。
幹の形を「円」や「楕円」と仮定して入れる方法もあります。巻尺で幹周を測り、各点の周上の位置を入れる方法です。ただ、街路樹や老木の幹は、根張りやこぶ、くぼみで、円からかなり外れていることが少なくありません。説明書は、同じ音のデータを「円」「楕円」「正しい形」で計算すると断面の画像がまったく違って見える例を示し、円や楕円で足りるのは少数の場合だけで、たいていは三角測量が要るとしています。

後で紹介するドイツの研究者は、周の長さが同じ形は無数にあるので、周の長さだけを手がかりにするソフトは形を推測するしかない、と書いています。釘の位置そのものを測るキャリパーは、この推測をなくすための道具です。
三角測量の考え方──基準線と、左右の向き
三角測量では、測定面を三角形に分けて、各辺の長さを測ります。説明書と製品ページの説明をまとめると、次のとおりです。
- まず2つの点を「基準点」に選び、その2点を結ぶ線を「基準線」にします。最初の基準点は、いつも1番の釘です。
- ほかの点は、基準線の両端からの距離を1本ずつ測ります。3辺の長さが分かれば、三角形の形は1つに決まります。
- ただし、同じ3辺でも、基準線の右側と左側の2通りの位置があり得ます。そこで、点が基準線のどちら側にあるか(左右の向き)も入れます。

説明書では、釘の番号は上から見て反時計回りに付けます。反時計回りに回りながら測ると、基準線より内側を回る点は左、外側の点は右になる、という決まりです。向きの初期設定はすべて「右」になっていて、測るときに腕の左のボタンを押すと「左」に変えられます。標準の向きは、腕の表示の番号が点滅するかどうかで示されます。
基準線が1本のとき、測る距離は、基準線そのものの1本と、残りの点ごとに2本ずつです。12点なら21本、24点なら45本、36点なら69本になります(当社の計算)。点が多い太い木ほど、キャリパーで測る手間が増えるということです。

大きな木や形の複雑な木では、基準線を増やせます。説明書によると、ソフトでは基準点を最大6点まで置けます(製品ページは「1本または3本の基準線」と紹介しています)。ただし、3番目以降の基準点も三角測量で求めるので、誤差が積み重なります。説明書は、まず基準線1本で試し、木が大きすぎる、形が複雑すぎるときだけ増やすこと、基準線どうしがつくる形は必ず外へふくらんだ形(凸)にすることを勧めています。
キャリパーの構成と仕様
公開の説明書(PiCUS Calliper 3 Hardware Manual)によると、キャリパーは、画面の付いた頭の部分と、左右の腕、延長の管、先端の測定ピンでできています。

- 頭の部分: 小さな画面があり、次に測る2点(例「BaseL: 1<->7」)や測った距離、測り終えた時の結果が出ます。側面に充電口があります。
- 腕: 黒い炭素繊維の管で、黒いゴムの握りが付いています。握りの先に黄色いボタンと小さな数字の表示があり、ここに当てる釘の番号が光ります。電源は左の腕のボタンを3秒押して入れます。
- 測定ピン: 腕の先の細い先端です。しまう時は腕に沿って折りたたみ、測る時はカチッと止まるまで開きます。
- 延長の管: 腕に足すと、長い形に組めます。
腕は、短い形と長い形の2通りに組めます。説明書には、キャリパーは電源を入れた時に腕の長さを自動で見分けるので、腕を付けてから電源を入れること、電源を入れた後で腕を付けると長さを認識しないので、その時は入れ直すことが書かれています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最大の開き(説明書) | 短い形で約1,630mm、長い形で約2,150mm |
| 最大の開き(メーカーのサイト) | 1,800mm、2,150mm、XL 版で2,700mm |
| 精度 | ±5mm 以内(先端をごく軽く、一定の力で当てた場合) |
| 重さ | 1.8kg、腕は炭素繊維の管 |
| 電池 | 連続約24時間(20℃、寒いと短くなる)、充電は2〜3時間 |
| 使える温度 | 0〜40℃、防水ではない(小雨は可、強い雨では使わない) |
| つなぎ方 | Bluetooth でパソコン・アプリ・音波やトロニックの本体とつなぐ、ケーブルでもつなげる |
| 校正 | 工場で校正済みで、使う人の校正は不要 |
最大の開きは、資料によって数字が違います。公開の説明書と仕様表は約1,630mmと約2,150mm、メーカーの製品ページと2026年8月作成の製品資料は1,800mm、2,150mm、XL 版で2,700mmです。長い形の2,150mmはどの資料も同じです。どちらにしても、2本の釘の間がこの長さを超える太い木では、後で書く工夫が要ります。
充電には、音波やトロニックの本体の打診用ケーブルを使えます。電池は使う人には交換できず、メーカーの点検で交換します。炭素繊維の管は軽くて丈夫ですが、曲げたり折ったりしないよう、運ぶ時や発送する時は部品どうしが当たらないように収めます。
測り方──2人1組で、表の順に当てていく
ピカスの測定は、説明書で6つの段階に分けられていて、形を決めるのはその2番目です。第4回で紹介した流れでいうと、釘を打って番号札を付けたあと、センサーを付ける前に、キャリパーで釘の位置を測ります。
- 基準点を選ぶ: 番号札を付ける前に、キャリパーを実際に当ててみて、届きやすい点を基準点に選びます。説明書は、後から基準点を変えると測った値がすべて消えるので、先に決めるよう勧めています。
- 番号札を付ける: 1番から反時計回りに付けます。
- ソフトに形の基本を入れる: 点の数、基準点、キャリパーで測ることを選びます。
- 腕を組んで電源を入れ、つなぐ: 左の腕のボタンを3秒押して電源を入れ、「PiCUS mode」を選んで、ソフトの「Establish Connection」でつなぎます。
- 表の順に当てる: キャリパーの画面に、次に測る2点が自動で出ます(最初は基準線)。左の先端を「from」の点、右の先端を「to」の点に当て、ボタンを押すと、距離が表に入ります。基準線以外は、押したボタンで左右の向きも同時に記録されます。
- 結果を確かめる: 全部測ると、キャリパーの画面に「Geometry OK」か「Geometry not OK」が出ます。ソフトに描かれた形を、目の前の幹と見比べます。

当社では、2人1組で測っています。1人がキャリパーを持って釘に当て、もう1人がパソコンの表と、描かれていく形を見ます。どの2点を測るか、向きはどうかはパソコンの表が決め、キャリパーは届いた距離を送るだけです。だからこそ、当てる人と、表と形を見張る人に分けると、次に書く「三角形の矛盾」や向きの取り違えを、その場で拾いやすくなります。


先端は、釘にごく軽く、一定の力で当てます。説明書の精度±5mm以内は、この当て方を前提にした値です。

測り直しも簡単です。1本だけ測り直す時は、表のその値を消すか0にして、もう一度当てます。説明書は、表全体を消す「Reset」は使わないよう注意しています。測定の途中で止めても、もう一度つなぐと、まだ測っていない距離を探して続きから再開できます。
測り間違いを見つける──三角形にならない値
三角形は、どの1辺も、ほかの2辺の和より短くなければ成り立ちません。ソフトはこれを自動で確かめ、成り立たない距離をオレンジ色で示します。まだ測っていない距離は赤、補正した距離は緑です。

説明書によると、測定の誤差で三角形が成り立たなくなることは、3点がほぼ一直線に並ぶ時に起きやすく、ソフトには2辺を少し伸び縮みさせて直す機能(Correct Distances)もあります。ただし、説明書は、補正の前にどの距離がおかしいのかを必ず確かめるよう書いています。どの辺が間違っているのかは、ソフトには分からないからです。番号札の読み違いや、先端が隣の釘に当たっていた、といった原因は、木の前で見れば分かることが多いので、当社では、測り終えた形を画面で幹と見比べてから次に進みます。
届かない時、無線が切れた時
太い木では、腕を最大まで開いても届かない距離が出ます。説明書は、次の順で対処するよう書いています。
- まず基準点を選び直します(例: 基準線を1–5から1–6へ)。基準線を3本(例: 1–4–7)にしてもかまいません。
- それでも届かない距離は、キャリパーを最大まで開いた値(長い形で約2,150mm)をソフトに送り、残りを巻尺などで測って足します。説明書の例では、2,150+230=2,380mmを表に入れます。

株立ちの木や、幹の一部だけを測る時は、もう1本の幹がキャリパーの邪魔にならない基準線を選びます。
無線が周りの電波で乱れる時は、キャリパーを音波やトロニックの本体に打診用ケーブル(充電と同じケーブル)でつなげます。それでもうまくいかない時は、キャリパーを単独の距離計(Stand-alone)として使い、画面に出た距離を手でソフトに入れます。キャリパーがなくても、原理の上では巻尺などで測った距離を手で入れることもできます。
研究から見る、形の大切さ
形の測り方が結果をどれだけ左右するのかは、ヨーロッパやアジアの研究で確かめられてきました。ここでは、全文を読めたものと、要旨だけを読めたものを分けて紹介します。
誤差のいちばん大きな原因は、測定点の位置(ドイツ、2017年)
ドイツのRust氏は、ドイツトウヒ5本の7断面(直径46〜110cm)を、3人の測定者が2機種の音波トモグラフで測り、伐って断面と比べました。片方の機種は巻尺で釘の周上の位置を5cm単位で記録し、もう片方(ピカス)はキャリパーの三角測量で位置を測りました。
- 測った釘の間の距離と、伐った断面で測った実際の距離の一致は、キャリパーの三角測量の方が高く(決定係数0.89)、巻尺で周上の位置を記録した方は0.74でした。
- 実際の距離からのずれは、断面が円から外れているほど大きくなりました。
- 著者は、誤差のいちばん大きな原因はセンサーの位置で、音の速さの見積もり、画像の形、欠陥の大きさのすべてに響くとまとめ、残っている壁の厚さや断面の強さで評価する時や、同じ木を追いかけて調べる時は、時間がかかっても位置を正確に記録すべきだとしています。
位置を記録すれば、何年後でも再現できる(ドイツ、2022年)
同じRust氏は、ピカス3、トロニック3、キャリパーで、ブナ、ドイツトウヒ、ヨーロッパナラ、セイヨウカジカエデの成木や老木を、同じ人・別の人・数か月後・2〜5年後に測り直しました。2〜5年後の測り直しでも、音の速さの相関は0.75〜0.96でした。別の人がすぐに測り直すと音の速さは最大5%変わりましたが、そのうち距離の違いは1%以下でした。著者は、センサーの位置を正確に記録して残しておけば、別の人が何年もあけて測っても結果は再現できると結論しています。
キャリパー以外の測り方(2021年、要旨)
Rust氏は、写真から立体を作る方法(SfM)、赤外線の深度センサー、パターン認識で測定点の位置を測る方法も試し、電子キャリパーの結果と比べました。要旨によると、どの方法も精度が高く、方法の間の差は2%未満でした。キャリパーは複雑な断面では時間がかかることがあり、もっと速い方法があれば、位置を正確に記録する人が増え、画像の質が上がるかもしれない、という問題意識です。
強い凹凸では、キャリパーの形もゆがむ(韓国、2023年)
韓国の研究者は、樹齢300年を超える保護樹のケヤキの仲間1本で、高さ90・120・150cmの断面を、ハンディ型の3Dスキャナーとピカスのキャリパーで測り比べました。周の長さの差は1%未満でしたが、幹が強く曲がり凹凸する部分では、キャリパーで測った形がゆがみ、高さ90cmでは画像の異常な範囲の面積が約1,613cm²違いました。著者は、固い棒で2点の間を測る道具なので、強い曲がりを再現しにくいと考えています。根張りの強い老木では、点の数と配置を考え、描かれた形を幹と見比べることが大切だと分かります。
幹の形そのものも、画像の精度を左右する(米国ほか、2023年、要旨)
米国などの研究者らは、温帯と熱帯の41本をピカス3で測って伐り、断面と比べました。この研究の「形」は、入力した形の誤差ではなく、測った幹の断面そのものの大きさや丸さ、凹凸のことです。要旨によると、小さく円い断面では腐朽を少なめに、大きく形の崩れた断面では多めに見積もる傾向があり、温帯と熱帯の樹種の差も主に断面の形の違いで説明できました。また、ソフトの設定や色の読み方で、同じ測定から出る腐朽の量にかなりの幅が出たとしています。形を正確に測ることに加えて、形によって画像の癖が変わることも知っておく必要がある、ということです。
トロニックでも同じ形を使う
キャリパーで測った形は、トロニックの測定にもそのまま使います。第5回で書いたとおり、トロニックはピカスと同じ釘を使うので、形を測るのは1回で済みます。説明書によると、形は後から直すこともでき、点の位置を直しても、測った音や電気抵抗の値そのものは変わりません。
ひとつ注意があります。電気抵抗の計算では、断面を細かい網目に分けます。説明書によると、キャリパーで正確に測った形でも、隣どうしの点が近すぎたり、内側へ鋭く折れる角があったりすると、この網目が作れないことがあります。その時は、点の位置を数mmだけ動かすと直ります。
当社の使い方
当社は、キャリパーをピカス、トロニックと一緒に、株式会社ワイ・システムズ国際様から購入して使っています。外観診断で内部の異常が疑われた樹木について、釘を打って番号札を付けたら、まずキャリパーで形を測り、それからピカス、トロニックの順に測ります。大きな樹木の診断が多いため、キャリパーはふだん、延長の管を足した長い形で使っています。
形の測定で心がけているのは、説明書が勧めることを、現場で一つずつ守ることです。番号札を付ける前に、キャリパーを当ててみて基準点を決めること。測り終えた形を、画面で目の前の幹と見比べること。三角形にならない値が出たら、どの釘を測り違えたのかを木の前で確かめてから直すこと。地味な作業ですが、研究が示すとおり、ここで入った誤差は、断面の画像のすべてに響きます。
埼玉県内の伝統校のクスノキ(埼玉県内の伝統校 樹木医によるクスノキ2本の機器診断)では、太い幹を36点で測りました。基準線1本なら、測る距離は69本になります。点が増えるほど、キャリパーで測る手間も、測り違える機会も増えます。それでも点を減らさないのは、太い木ほど、音の通り道を密にして断面を細かく見る必要があるからです。
株式会社トシ・ランドスケープのツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門では、樹木医が外観診断から機器診断、報告書の作成、その後の管理計画までを一貫して担当しています。幹や根元の内部が気になる樹木がありましたら、樹木診断のサービスページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
次回は、ロープで樹木を静かに引いて、倒れにくさや折れにくさを確かめる静的負荷試験(引張り試験)の機器、PiCUS TreeQinetic(ツリーキネティック)を取り上げます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
よくあるご質問(キャリパー PiCUS Calliper 3 について)
Q1. キャリパーでは何を測りますか?
A. 幹に打った測定点(釘)どうしの距離です。2つの先端を2本の釘に当ててボタンを押すと、距離が無線でパソコンやアプリに送られ、三角測量で全部の釘の位置、つまり測定面の形が決まります。
Q2. キャリパーがないと、ピカスは使えませんか?
A. 使えますが、形を円や楕円と仮定するか、巻尺などで測った距離を手で入れることになります。説明書は、円や楕円で足りるのは少数の場合だけで、たいていは三角測量が要るとし、最高の精度にはキャリパーを勧めています。
Q3. 形が少しずれると、どれくらい結果が変わりますか?
A. 説明書は、直径1mの木で2点の間の距離が10cm違うと、音の速さが約10%ずれるとしています。ドイツの研究でも、誤差のいちばん大きな原因は測定点の位置でした。
Q4. 基準線とは何ですか?
A. 三角測量の基準にする2つの点を結んだ線です。ほかの点は、基準線の両端からの距離で位置を決めます。同じ距離でも基準線の右と左の2通りの位置があり得るので、点がどちら側にあるか(左右の向き)も入れます。
Q5. 測り間違いには気付けますか?
A. 三角形にならない値(1辺がほかの2辺の和より長い)が出ると、ソフトが色で知らせます。ただ、どの距離が間違いかはソフトには分からないので、木の前で釘と番号を確かめてから直します。
Q6. どのくらいの太さの木まで測れますか?
A. 腕を延長した長い形で、2点の間が約2,150mmまで測れます。それを超える距離は、最大まで開いた値に、巻尺で測った残りを足して入れます。基準点を選び直したり、基準線を増やしたりする方法もあります。
Q7. 無線がつながらない時はどうしますか?
A. 音波やトロニックの本体とケーブルでつなげます。それでもだめな時は、キャリパーを単独の距離計として使い、表示された距離を手でソフトに入れます。
Q8. キャリパーの校正は必要ですか?
A. 説明書によると、工場で校正済みで、使う人の校正は不要です。精度は、先端をごく軽く一定の力で当てた時に±5mm以内です。
出典・参考情報
メーカーの資料(いずれも2026年10月に確認)
・IML Electronic「PiCUS Calliper」製品ページ(英語) 役割、測定の原理(基準線)、測定範囲と XL 版、Bluetooth、運搬ケース
・IML Electronic「PiCUS Calliper 3 Hardware Manual」v1.0(PDF・英語) 各部、腕を組んでから電源を入れる、モード、無線が使えない時、校正、仕様
・IML Electronic「IML Tree Inspection Manual」v1.1(PDF・英語) 形が不正確だと音速が不正確になる例(p.69)、三角測量と基準線・左右の向き(p.76〜78)、測定の表と三角形の確認(p.79〜82)、届かない時(p.83)、電気抵抗の網目(p.169〜171)
・IML Electronic「PiCUS Calliper」製品資料(PDF・英語、2026年8月作成)
研究
・Rust, S. (2017) Accuracy and reproducibility of acoustic tomography significantly increase with precision of sensor position. Journal of Forest and Landscape Research 2(1): 1–6
・Rust, S. (2022) Reproducibility of stress wave and electrical resistivity tomography for tree assessment. Forests 13(2): 295
・Rust, S. (2021) Comparison of methods to measure sensor positions for tomography. Arboricultural Journal 43(3): 180–186(要旨を確認)
・Kim, E.S., Kim, C.W., Lee, J.Y. & Kim, C.S. (2023) Study on creating cross section of the old giant old tree’s trunk for acquisition of sonic tomography. The International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences XLVIII-M-2-2023: 857–862
・Burcham, D.C., Brazee, N.J., Marra, R.E. & Kane, B. (2023) Geometry matters for sonic tomography of trees. Trees 37(3): 837–848(要旨を確認)
国内の代理店
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