いつもお付き合いを頂いている樹木医さんから
高所作業車では対応できない環境下での
ロープワーク高木剪定のご相談を頂きました。
千代田区の登録有形文化財の邸宅で、高所作業車の入らない場所に立つクスノキを、ロープワークで剪定した記録です。学校に隣接する日中の作業での騒音への配慮と、クスノキの剪定の時期・強さ、二段階の剪定計画の考え方を、東京都・埼玉県と国の研究機関の資料をもとに書き添えます。
登録有形文化財の邸宅のクスノキ
千代田区内にある登録有形文化財の邸宅の
クスノキの剪定作業を対応させて頂きました。
- クスノキ ツリークライミング 高木剪定
- クスノキ ツリークライミング 高木剪定
- クスノキ ツリークライミング 高木剪定
昭和初期に竣工した建物で、
その当時からあるクスノキやヒマラヤスギなどに囲まれ、
敷地内に入るとまるで森の中にいるような素晴らしい雰囲気の空間です。
登録有形文化財は、平成8年10月1日に施行された文化財保護法の改正で導入された「文化財登録制度」による文化財です。文化庁によると、届出制と指導・助言などを基本とする緩やかな保護の仕組みで、建造物の登録の基準は、原則として建設後50年を経過し、国土の歴史的景観に寄与しているものなどとされています。
クスノキは常緑高木で、樹高は20〜25m程度、樹体全体に樟脳を含んで芳香があり、萌芽力があって剪定に耐える木です(国総研「巨樹・老樹の保全対策事例集」)。
学校の隣で、日中の作業の騒音を抑える
都心部で特に学校にも隣接している中での
日中の作業という事もあり、
作業時の騒音には特に気を使いました。
弊社では騒音対策として、
・ハスクバーナ製のバッテリー機器(チェンソー・ブロワー)の使用
・ファナー製ヘルメットのBluetoothでの通話
を導入していることで、
大きな作業音を出す事もなく、
かつ、クライマーとグラウンドスタッフの
コミュニケーションを確実に取る事が出来ます。
ハスクバーナは、同社のバッテリー製品の騒音レベルはガソリン駆動製品に比べて最大13dB(A)低くなるとしています。同じ形(トップハンドル)のチェンソーで、同社が公表している仕様を比べると次のとおりです。
| 機種(ハスクバーナ) | 動力 | 耳元騒音レベル | 音響パワーレベル(保証値) |
|---|---|---|---|
| T540i XP | バッテリー | 92dB(A) | 103dB(A) |
| T540 XP AutoTune | エンジン | 104dB(A) | 116dB(A) |
出典: ハスクバーナ日本公式サイトの各機種の仕様(2026年10月12日に確認)。この現場で使った機種を示すものではありません
樹上のクライマーと地上のグラウンドスタッフの声のやりとりも、大きな声を出さずに済みます。ファナー(Pfanner)のヘルメット PROTOS には、Bluetooth で最大4人が同時に話せる通信機器(PROTOS BT-COM)が用意されています。
なお、騒音規制法の「特定建設作業」はくい打機やさく岩機などの8種類で、チェンソーやブロワーによる樹木の作業は含まれていません。当社のバッテリー機器については「静かな管理作業の追求 ハスクバーナ バッテリーツール」で紹介しています。
- クスノキ ツリークライミング 高木剪定
- クスノキ ツリークライミング 高木剪定
- クスノキ ツリークライミング 高木剪定
透かし剪定を中心に、二段階で剪定する計画
今回と2021年来春の二段階での剪定計画になります。
透かし剪定を中心に近隣や道路への配慮をした
剪定管理を行って行く予定です。
透かし剪定は、混み合っている枝を間引いて枝葉の密度を下げる剪定で、分枝している部分で切り取ります(埼玉県「街路樹剪定マニュアル」)。東京都の街路樹維持管理計画書は、クスノキについて、強剪定を避け、剪定は枝透かし程度にとどめるとし、樹冠を小さくするときも、強剪定で詰めるのではなく、数年かけて計画的に縮小していくことを求めています。今回と翌春の二段階の剪定計画も、一度に強く切らないという点で、この考え方と同じ向きです。

図: 透かす時期の目安(落葉樹と暖地性の常緑樹)(出典: 東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書」、国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」)
同じ計画書は、クスノキ・タブノキなど暖地性の常緑樹は寒さに弱いので厳冬期の剪定は避けること、葉のある時期に枝抜きをするときは枝葉の切除量を全体の3分の1以下にすることを示しています。透かし方の考え方は「透かし剪定とは──日本の庭師が「抜いて整える」剪定の考え方|樹木医が解説(Sukashi: Japanese Thinning Pruning)」でも説明しています。
ご依頼頂きありがとうございました。
株式会社トシ・ランドスケープ
まとめ
千代田区の登録有形文化財の邸宅で、高所作業車では対応できないクスノキを、ロープワークで剪定しました。学校に隣接する日中の作業のため、ハスクバーナ製のバッテリー機器と、ファナー製ヘルメットの Bluetooth の通話で、大きな作業音を出さずにクライマーとグラウンドスタッフの連絡を取りました。今回と翌春の二段階で、透かし剪定を中心に、近隣や道路に配慮した剪定管理を行う計画です。
よくある質問
Q1. クスノキの剪定は、いつ行うのがよいですか。
東京都の街路樹維持管理計画書は、クスノキなど暖地性の常緑樹は厳冬期の剪定を避けるとしています。葉のある時期に枝抜きをするときは、切る枝葉の量を全体の3分の1以下にするとしています。
Q2. 住宅地や学校の近くで、作業の音を抑えられますか。
当社では、ハスクバーナ製のバッテリー機器(チェンソー・ブロワー)を使い、ヘルメットの Bluetooth の通話で樹上と地上の連絡を取ることで、大きな作業音を出さずに作業しています。
出典・参考情報
・文化財保護法 第57条(e-Gov法令検索)、文化庁「登録有形文化財(建造物)」「登録有形文化財登録基準」
・国土技術政策総合研究所「巨樹・老樹の保全対策事例集」(国総研資料 第566号、2010年1月)
・東京都建設局公園緑地部「街路樹維持管理計画書」(令和3年12月)p.1・6・14
・埼玉県県土整備部道路環境課「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)p.5-8
・ハスクバーナ日本公式サイト「バッテリー製品について」、T540i XP・T540 XP の仕様
・PROTOS「PROTOS BT-COM」(公式サイト)
・騒音規制法施行令 別表第二(e-Gov法令検索)
高木の剪定や伐採作業の施工実績 一例
■マンション植栽 高木の樹勢確認とケーブリング支柱点検 目黒区自由が丘
■銀杏岡八幡神社様 御神木剪定 東京都台東区浅草橋
■聖公会神学院様 世田谷区用賀
■オオシマザクラ 剪定・土壌改良 大田区中央
■保存樹木クスノキ 剪定作業 板橋区
■東京アメリカンクラブ様 エントランス高木剪定 港区麻布台
■銀杏岡八幡神社様 樹木伐採 東京都台東区
■大田区マンション 特殊伐採
■渋谷区恵比寿 個人邸 高木サクラ剪定
■世田谷区北烏山 マンション・集合住宅 高木樹木伐採
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