樹勢回復とは──弱った樹木の原因を見極め、土壌改良・不定根誘導・剪定で元気を取り戻す方法を樹木医が解説

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樹勢回復とは、葉が小さくなる、枝先から枯れるといった樹木の衰えに対して、原因を調べたうえで土壌改良や剪定の見直し、不定根誘導などの手当てを行い、樹木の勢いを取り戻していく取り組みです。方法は原因によって変わり、効果が見えるまでには年単位の時間がかかります。

「葉が小さくなった」「枝先が枯れてきた」というご相談で、私たち樹木医が最初に確かめるのは、何がその樹木を弱らせているのかです。この記事では、衰えのサインと原因の見極め方、主な方法とその限界を、国や東京都の手引きと当社の現場の記録をもとに説明します。

 

先に答え

  • 樹勢回復は、弱った原因を取り除き、根が働ける環境を整えて、樹木が自分の力で勢いを戻すのを支える仕事です。肥料や薬を与えるだけのものではありません。
  • 最初に原因を見極めます。土の締め固めや水はけ、根の傷み、幹の腐朽、病害虫、剪定、日当たりや根元の工事など、原因は1つとは限りません。
  • 主な方法は、土壌改良(割竹挿入法・エアレーション・水圧穿孔法)、根の環境を広げて守ること、不定根誘導、剪定の見直し、病害虫の対策、施肥で、原因に合わせて組み合わせます。
  • 国総研の手引きでは、効果が現れる時期の目安は、植栽基盤の整備・改良で1〜3年程度、不定根育成で3〜5年程度です。回復が見込めない場合は、植え替え(更新)も選択肢になります。

 

樹勢とは──衰えは、葉と枝先に表れる

樹勢は、樹木の生育の勢い、いわば健康状態のことです。東京都建設局の「街路樹診断等マニュアル」(令和3年度)は、外観診断の「活力診断」で、樹勢を7つの視点から5段階で評価します。枝の伸長量、梢や上枝の先端の枯れ、下枝の先端の枯れ、枝や幹の枯れや傷、剪定後の巻き込み、葉の大きさ、葉の色の7つです。

樹勢 7つの視点 枝の伸長量 梢端の枯損 葉の色 イラスト

樹勢を見る7つの視点(イラスト)。東京都の街路樹診断等マニュアルの活力診断の項目

衰えが進むと、枝は細く短くなり、ひどくなると節と節の間が詰まったショウガのような形になります。葉は小さく、色は薄くなり、梢や枝先から枯れ込んでいきます。同じマニュアルの樹木点検では、葉の大きさや色に加えて、葉の密度も見ます。見上げたときに樹冠の向こうの空が以前より透けて見えるのは、葉の密度が下がっている状態です。サクラなどの花木では、花の数が減ることもあります。国土技術政策総合研究所(国総研)の「街路樹再生の手引き」は、植栽基盤の不良による樹勢の衰退の例として、葉の矮小化や開花不良を挙げています。

マニュアルは、樹勢の衰えを確かめるなら葉が展開する時期が適していること、葉の様子は周りの同じ樹種と比べることを挙げ、梢の衰弱や枝先の枯れ下がりがあるときは、根株の腐朽の末期や根の障害、生育基盤の問題が関わっていることがあるとしています。診断の項目は「樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編)」で一つずつ説明しています。

 

まず原因を見極める──土、根、腐朽、病害虫、剪定、周りの環境

葉が小さい、枝先が枯れるという変化だけでは、原因までは分かりません。同じ症状が、土の締め固めからも、根の傷みからも、幹の腐朽からも起こります。原因が違えば、手当ても変わります。日本緑化センターの映像教材「緑化樹木の樹勢回復技術―診断編・治療編―」も、診断編と治療編に分かれ、治療編は樹木の衰退原因(病気、害虫、土壌環境の不良)の説明から始まります(同センターの紹介ページによる)。

樹木 衰退 原因 土壌 病害虫 イラスト

樹木の生育を左右する条件(イラスト)。地上では日当たりや風通し、病害虫、地下では土の硬さや水はけ、通気性

土(植栽基盤)

東京都のマニュアルは、腐朽菌のほかに樹勢不良となる原因として、締め固めによる根の発達不良、透水性の不良による根腐れ、pHや塩類濃度の異常による養分・水分の吸収阻害、植栽基盤の狭さによる乾燥害を挙げ、改良の方法を検討するため、必要に応じて土壌調査を行うとしています。詳しくは、連載の第2回「土が原因で樹木が弱るとき」にまとめました。

根の傷み、根元の工事

根元の舗装、盛土、掘削、転圧など、根のまわりの変化が引き金になることもあります。樹木が弱り始めたときは、いつ、根元でどんな工事があったのかが手がかりになります。

東京都大田区の東京実業高等学校様のクスノキは、校舎の地下1階の吹き抜けにある植升(高さ1.2m、縦横2.5m)に植えられ、ここ数年で樹冠の上部が枯れてきていました。試掘すると土はふかふかでしたが、表面から極めて浅い部分に細かい根が密に伸びていました。成長したクスノキに対して植升が小さく、浅い根では猛暑の中で水分と養分を上部まで吸い上げられなかったのではないかと推察しています(「東京実業高等学校様 樹木医によるクスノキの樹勢回復作業」)。

クスノキ 植升 浅い根 細根 樹勢回復

クスノキの植升に掘った穴。地表に近い層に、細かい根が密に広がっている

幹や根株の腐朽

木材腐朽菌(木を腐らせるキノコの仲間)が根元や幹に入っていると、樹勢の衰えと倒木の危険が重なります。東京都のマニュアルは、根元にベッコウタケ、コフキタケ、ナラタケ、ナラタケモドキが発生し、かつ梢端に枯れが多く発生している場合は、腐朽が著しく進行していると考えられるため、更新(植替え)とするとしています。このような樹木では、樹勢回復より先に安全の判断が要ります。

病害虫

庭園のアカマツでは、2024年に樹木医が確認したとき、葉の色がさえず、先端の小枝に枯れが見られました。採取した枝葉を専門機関で調べたところ、主な原因は葉ふるい病で、ハダニとマツモグリカイガラムシの寄生も確かめられています(「庭園樹のアカマツ 樹木医による樹勢回復、病虫害防除薬剤散布」)。病気や害虫は、見て分かるものばかりではありません。

剪定

国総研の「街路樹再生の手引き」は、生育不良の原因として、老木化や植栽基盤の不良、過密な植栽による樹木どうしの競合とともに、不適切な強剪定を挙げています。先のアカマツも、美観を優先した過度な剪定が重なり、本来の抵抗力が弱っていた可能性がありました。

日当たり、周りの環境

同じ手引きに載っている東京都江戸川区のクスノキ並木では、樹勢が衰えた原因として、土壌環境の悪化や踏圧のほかに、日照条件や、隣の公園のケヤキによる被圧が挙げられています。現場での経験から言うと、原因は1つではなく、いくつかが重なっていることが少なくありません。

原因を確かめる調べ方

当社の樹木診断では、まず外観診断で、樹勢と樹形、根元・幹・大枝の状態を、目で見て、木槌でたたいた音を聞き、鋼棒を差して確かめます。幹の中の腐朽が疑われるときは、レジ(Resi PD)、ピカス、アーボソニック3Dなどの機器で調べます。原因が土にありそうなときは、長谷川式の器具で土の硬さ、水はけ、土の層を、さらにpHとEC(塩類の濃さ)を測る土壌調査を行い、必要に応じて根元を部分的に掘って根の張り方を確かめます。

 

樹勢回復の主な方法

国総研の「街路樹再生の手引き」は、生育不良に対応する保全対策工として、剪定、植栽基盤の整備・改良、空洞・腐朽部の処置、不定根育成を挙げ、著しい生育不良で今後の回復が見込めない場合は、同じ樹種を植え直すことが効果的としています。当社で行っている方法を、順に説明します。

樹木の土壌改良──割竹挿入法、水圧穿孔法、エアレーション

締め固まった土をほぐし、根に空気と水が届くようにする方法です。割竹挿入法は、根の周りに縦穴を掘り、縦に割って節を除いた竹(割竹)を挿し、周りに堆肥などの土壌改良資材を入れて埋め戻します。国総研の「景観重要樹木の保全対策の手引き」は、ダブルスコップで掘った縦穴への堆肥入り割竹挿入を、簡易な作業で土の物理性・化学性を改善する方法の一つとして挙げています。当社の施工では、竹は2〜3年で朽ちて土に戻るため、毎年少しずつ場所を変えて続けています(「樹木医 土壌改良施工 東京都内個人邸」)。

割竹挿入法 イラスト 土壌改良 樹勢回復

割竹挿入法──根の周りの土に竹の筒を挿し、通気性と透水性を高める(イラスト)

エアレーションは、圧搾空気で土に孔(あな)をあけて空気の通りを良くする方法で、孔に肥料や土壌改良資材を入れることもできます。掘るより根を傷めにくく、狭い植栽帯でも施工できる一方、広い面積は不得意です。水圧穿孔法は、水圧で固く締まった土をほぐす方法で、根が張って掘りにくい場所や、掘って改良するだけのスペースがない場所に向いています。

水が抜けない土では、ほぐすだけでは足りません。東京都のマニュアルは、過湿な植栽地には暗渠の設置や不透水層の破壊・除去を、乾燥が著しい植栽地には保水力を上げる資材の混入や、チップで土の表面を覆うマルチングを挙げています。どの方法が合うかは、土を調べてから決めます。

東京都建設局の街路樹診断等マニュアルは、診断後の処置のうち「植栽基盤の改善」として、土壌改良、過湿障害対策、乾燥害対策、施肥、踏圧防止を挙げています(令和3年度 p.69 表Ⅳ-1・2)。土の調べ方と改良の方法は、サービスの「土壌調査・土壌改良」でも紹介しています。

根の環境を広げる、守る

土の量そのものが足りない場合は、植栽基盤を樹木に合った大きさに広げることも検討します(街路樹再生の手引き)。サクラの根上がりで植樹桝を広げた工事は「サクラ根上がり 植樹桝修繕・拡張工事」に記録しています。人が根元を歩く場所では、土をほぐしても再び固まります。東京都のマニュアルは、樹木保護盤や植樹保護柵、地被類や低木の植栽などで、植込みへの立ち入りを防ぐ方法を示しています。

水やりも根の環境の一部です。東京実業高等学校様では、それまで雨水任せだったため、ホースを常設していただき、夏場を中心に水やりをお願いしました。ただ、水はけの悪い土に水やりを重ねれば過湿が進むので、先に土の状態を確かめます。

不定根誘導

不定根は、幹や枝など根以外の器官から二次的にできる根のことです。東京都のマニュアルの用語集は、ケヤキ、イチョウ、サクラなどでは幹の腐朽箇所からよく不定根が発達し、樹木治療の分野では、その不定根の成長を促して新たな根として活用する方法が試みられていると説明しています。国総研の「街路樹再生の手引き」は、根の生育が悪く、樹勢の衰えや倒れる危険が出ている樹木で、幹から出た不定根を育てて土壌まで導き、根の張りを良くして、樹勢の回復と樹体を支える力を高める方法を「不定根育成」として載せています。

当社では2019年に、杉並区で根元と幹が腐朽して空洞になっていたケヤキにこの処置を行いました。すでに不定根が出ていたこと、ほぼ無剪定で緑の量が十分にあったことから、治療を行うと判断しています。ピートモスなどをブレンドした資材を空洞に詰めて遮光し、その部分を2023年の作業で開くと、直径1cmほどの細い不定根が3本、地面まで届いていました(「ケヤキの冬の透かし剪定 ビフォーアフター──不定根を誘導した木の2年後」)。

ケヤキ 空洞 資材 充填 不定根誘導

ケヤキの根元の空洞に、ピートモスなどをブレンドした資材を詰める(2019年、杉並区)

街路樹再生の手引きは、不定根育成の効果が現れる時期を「長期」(3〜5年程度が目安)とし、景観重要樹木の手引きは、行う時期を休眠期の12〜2月頃が望ましいとしています。国総研の「巨樹・老樹の保全対策事例集」のアンケート調査のまとめにも、自然に発生した不定根を育成することで活力向上の効果が認められている、とあります。

剪定の見直し

弱った樹木の剪定は、切る量を抑え、樹木に残っている力を生かす方向で考えます。庭園のアカマツでは、剪定を必要最小限にとどめ、見た目を整えつつ樹木に負担がかからない方法に切り替えました。胴吹き枝を育てて樹形を作り直すサクラの例は、後の「桜(サクラ)の樹勢回復」の節に書いています。

病害虫の対策

原因が病害虫なら、その病害虫に合った対策をとります。先のアカマツでは、ハダニにはタイミングを分けて薬剤を散布し、マツモグリカイガラムシには潜んでいる場所まで薬が届くように散布し、葉ふるい病には適した時期に殺菌剤を用いて、感染源となる落ち葉をこまめに回収しました。土壌改良と、液体肥料・緩効性肥料の施肥もあわせて行い、2025年9月の追跡診断では、新しい枝の勢いが戻り、葉の量が増え、葉色も濃い緑に変わっていました。

アカマツ 葉色 比較 樹勢回復 庭園樹

庭園のアカマツ。手当ての前後の葉色を、同じ場所から比べた写真(上が2024年、下が2025年9月)

薬剤は、使い方が法律で決められています。景観重要樹木の手引きは、農薬取締法により、登録された農薬を使い、適用作物や適用病害虫、希釈倍数や使用回数などの使用方法を守る義務があることを挙げています。

施肥の考え方

弱った樹木には肥料、と考えがちですが、施肥は原因が養分の不足にあるときの手当てです。国総研の「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」は、施肥を、養分不足で貧栄養な基盤に施して肥沃な土壌に改良する方法として整理しています。東京都のマニュアルは、葉の矮小化や葉色の黄色化などの症状を示す樹勢低下には、緩効性肥料の施肥や活力剤の樹幹注入が考えられるとし、樹幹注入は幹に穴をあけるので、修復と養生に十分留意する必要があるとしています。

肥料が逆に働くこともあります。土の塩類の濃さ(EC)は肥料のやりすぎでも上がり、倒伏対策の手引きは、サクラ類なども罹る胴枯病について、窒素質が過多の場合は罹病しやすいので施肥にも注意する、としています。当社の記録でも、施肥は割竹挿入法などの土壌改良とあわせて、緩効性肥料を中心に行っています。

 

桜(サクラ)の樹勢回復で気をつけていること

都内のサクラ並木は、サクラの大きさに比べて植え桝(植栽帯)が小さいことが多く、サクラが大きく育つにつれて、生育に問題を抱えることが多くなっています。公園のサクラも、根元に十分な土があるように見えて、利用する方の日常的な踏み固めで衰退することが少なくありません。静岡県の門田樹木医にお力添えをいただいた都内のサクラ並木では、エアレーションで土をほぐしました(「サクラ並木 樹木医 土壌改良・エアレーション 東京都」)。

サクラ並木 エアレーション 土壌改良 樹勢回復

圧搾空気で土に孔をあけるエアレーション(都内のサクラ並木、2023年)

屋上テラスの人工地盤のサクラは、大きく育って上部と根の張りのバランスが崩れ、枝先から枯れていました。新しく出て太く育っていた胴吹き枝を残して樹形を整え直し、割竹挿入法を含む土壌改良を、位置を変えながら2023年までに4年続けています。2年前に挿した割竹は上部が朽ちて筒のようになり、その中にサクラの細かい根が集まっていました。お客様からは、花つきが良くなったというお言葉をいただいています(「桜 樹木医による土壌改良」)。

大田区の個人邸のオオシマザクラでは、コフキタケが発生し、枝先から衰退していました。腐朽はまだ維持が可能な状態で、活力のある胴吹き枝が多数出ていたため、胴吹き枝で樹形を作り直しながら、割竹挿入法と緩効性肥料の施肥を組み合わせた5年計画で経過を見ています(「オオシマザクラ 剪定・土壌改良 大田区中央」)。

東京都の「街路樹維持管理計画書」は、ソメイヨシノについて、剪定した切り口から腐朽菌が入りやすいため、太い枝の剪定や強い剪定はできるだけ避けるとしています。サクラの樹勢回復の剪定は、太い枝を大きく切り詰めるより、胴吹き枝のような新しい枝を育てて樹形を作り直す方向で考えます。腐朽がどこまで進んでいるかは、その前に確かめておく必要があります。

 

樹勢回復の限界──時間がかかること、回復しない場合があること

樹勢回復は、施工したその日に結果が見えるものではありません。国総研の「街路樹再生の手引き」は、対策の効果が現れる時期の目安を、剪定や病虫害防除は短期(1年程度)、植栽基盤の整備・改良は中期(1〜3年程度)、空洞・腐朽部の処置と不定根育成は長期(3〜5年程度)としています。

東京実業高等学校様のクスノキの記録には、「樹木は樹勢が低下(衰退)してきた時間分だけ回復にも時間がかかります。」と書きました。練馬区の個人邸の記録(「樹木医 土壌改良 練馬区・個人邸」)でも、衰弱が進みすぎると、適切な処置を行っても効果が薄くなることが多いと書いています。現場での経験から、早く気づくほど、選べる手当ては多くなると感じています。

活力度 5段階 樹勢 回復の見込み イラスト

活力度の5段階(イラスト)。活力度4は「劣悪で回復の見込みが低い」、5は「ほぼ枯死」

回復が見込めない場合もあります。東京都のマニュアルの樹勢の基準では、活力度4は「生育状態が劣悪で回復の見込みが低い」、活力度5は「ほぼ枯死している」状態です。街路樹再生の手引きは、著しい生育不良で今後の回復が見込めない場合には、同じ樹種を植え直すことが効果的としています。腐朽が進み、倒れる危険が高い場合は、樹勢回復より先に、周りの方の安全を考えなければなりません。

そのうえで、危ないから伐る、弱ったから植え替える、と急ぐ前に、残せる樹木かどうかを数字と記録で確かめたいと考えています。景観重要樹木の手引きは、保全対策を実施したことで満足し、その後そのままになるケースが多いとして、実施後の取り組みをあらかじめ決めておくよう求めています。樹勢回復は、その後の経過を見届けるところまでが仕事です。

 

当社の樹勢回復の進め方

株式会社トシ・ランドスケープでは、ツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門の樹木医と植栽基盤診断士が、地上の樹木と足元の土を合わせて調べ、次の順で進めています。

  1. ご相談と現地の確認: 樹木の全体と根元の写真、気になる症状といつ頃からか、根元の工事の有無などを伺い、現地で外観を確かめます。
  2. 調査: 必要に応じて、機器診断、土壌調査、根系試掘を行います。
  3. 報告と計画: 原因の見立てと、方法・範囲・順番を報告書にまとめ、ご相談のうえ決めます。数年にわたる計画になることが多くあります。
  4. 施工: 根の大部分を露出したり傷めたりするおそれのある作業は、休眠期の12〜2月頃が樹木への影響が少ないとされています(景観重要樹木の手引き)。
  5. 経過観察: 施工の後も樹勢を確かめ、次の手当てを提案します。同じ位置から撮った写真を残すと、変化を季節ごとに比べられます。

天然記念物や自治体の保存樹木に指定されている樹木は、根元に手を入れる前に、指定元への確認や手続きが要ることがあります(「植栽基盤調査・樹勢回復 無料モニター募集」)。

「樹木診断」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。

 

よくある質問

Q1. 樹勢回復とは何ですか?

A. 葉が小さくなる、枝先から枯れるといった樹木の衰えに対して、原因を調べたうえで土壌改良、剪定の見直し、不定根誘導、病害虫の対策などを行い、樹木の勢いを取り戻していく取り組みです。肥料や薬を与えるだけのものではなく、原因に合った手当てを選ぶことが出発点になります。

Q2. 樹勢が衰えているかどうかは、どこを見れば分かりますか?

A. 枝の伸び、梢や枝先の枯れ、葉の大きさと色、剪定の跡の巻き込みなどを見ます。東京都の街路樹診断等マニュアルは、樹勢を7つの視点で5段階に評価し、葉の様子は周りの同じ樹種と比べて判断するとしています。葉が展開する時期に見ると、衰えを確かめやすくなります。

Q3. 弱った樹木に肥料をあげれば元気になりますか?

A. 原因が養分の不足でなければ、肥料だけでは戻りません。土が締め固まっている、水が抜けない、根が傷んでいるといった原因では、肥料の前に土や根の環境を整える必要があります。肥料分の濃い土に肥料を足すと、塩類の濃度がさらに上がることもあります。

Q4. 樹勢回復の効果は、どのくらいで分かりますか?

A. 方法によって異なり、年単位の時間がかかります。国総研の街路樹再生の手引きは、効果が現れる時期の目安を、植栽基盤の整備・改良で1〜3年程度、不定根育成で3〜5年程度としています。施工の後も経過を記録し、変化を確かめながら次の手当てを考えます。

Q5. 桜(サクラ)の樹勢回復では、何をしますか?

A. 並木や公園のサクラは植え桝の狭さや踏み固めで弱ることが多いため、割竹挿入法やエアレーションで土をほぐし、緩効性肥料の施肥を組み合わせることがあります。東京都の計画書は、ソメイヨシノは切り口から腐朽菌が入りやすいとしているので、太い枝を大きく切らず、胴吹き枝を育てて樹形を作り直す方向で剪定を考えます。

Q6. 回復が見込めない場合は、どうしますか?

A. 回復の見込みが低い場合や、腐朽が進んで倒れる危険が高い場合は、植え替え(更新)を含めて検討します。国総研の街路樹再生の手引きは、著しい生育不良で今後の回復が見込めない場合は、同じ樹種を植え直すことが効果的としています。その判断の前に、樹木診断や土壌調査で、残せる樹木かどうかを確かめます。

Q7. 樹木の土壌改良には、どんな方法がありますか?

A. 土の硬さや水はけ、養分など、調査で分かった原因に合わせて選びます。根の周りに縦穴を掘って竹と土壌改良資材を入れる割竹挿入法、水圧で固く締まった土をほぐす水圧穿孔法、圧搾空気で土に孔をあけるエアレーションなどがあります。東京都のマニュアルは、締め固めによる通気性や透水性の障害を改善する土壌改良のほか、過湿や乾燥への対策、施肥、踏圧防止を、植栽基盤の改善の処置として挙げています。

 

出典・参考情報

この記事の説明にあたり、次の資料を確認しました(2026年10月10日)。

当社の事例に関する記述は、各記事に書いてある内容に限っています。

株式会社トシ・ランドスケープ

樹木医 中村雅俊

※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。

 

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