樹木の精密診断は、外観診断で幹や根株の中に腐朽や空洞が疑われた木に、レジ・ピカス・アーボソニック3Dなどの機器を当てて、中の状態を数値や画像で確かめる診断です。東京都建設局の街路樹診断等マニュアルは、令和3年度の改定でこの呼び名を「機器診断」に改めました。
この記事では、名前が変わった理由、外観診断との違い、機器ごとの得意なこととその限界、どんなときに機器診断が必要になるか、費用が何で決まるかを、樹木医の立場から整理します。ページ番号は、断りのない限り東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」のものです。

街路樹診断の流れ図
先に答え
- 精密診断と機器診断は同じものを指します。東京都は令和3年度のマニュアルで、精密診断を機器診断に名称変更しました。外観診断をより「精密に」行う診断だという誤解を正すためです(p.3)。
- 機器診断は、外観診断で必要とされた木にだけ行います(p.11、p.51)。すべての木に機器を当てるわけではありません。
- 機器には、それぞれ得意な腐朽の形と、見誤りやすい形があります。東京都の街路樹診断は貫入抵抗測定器(レジ)を基本とし、目的に応じてほかの機器も選べます(p.51)。
- 判定は機器の数字だけでは出しません。外観診断の結果と合わせて、総合的に決めます(p.65)。
精密診断(機器診断)とは──東京都のマニュアルで名前が変わった理由
機器診断は「中」を測る診断
東京都のマニュアルは、機器診断を、外観診断によって機器診断が必要とされた街路樹に対して、樹木診断機器で腐朽の状態や量を測り、腐朽や空洞の程度を数値で把握する診断、と定めています(p.11、p.51)。
機器診断には2つあります。根元・幹・大枝の腐朽や空洞を測る腐朽診断と、地中の根株の腐朽や空洞を測る根株診断です(p.11、p.51)。季節の制約はなく、外観診断で必要と判定されたら速やかに行うことになっています(p.51)。

腐朽診断と根株診断の使い分け
「精密診断」から「機器診断」へ
令和3年度のマニュアルは、改定の概要の中で、それまでの精密診断について2つの問題を挙げています(p.3)。
ひとつは、精密診断は樹木の腐朽具合を数値で示すものの、診断機器によって得意とする腐朽の形や状態が違うため、機器の特性をはっきり位置づける必要があったこと。もうひとつは、「精密診断」という名前から、外観診断の結果をより精密に行う診断だという誤解が生まれていたことです。そこで、「精密診断を機器診断に名称変更する」とともに、標準的に使う機器をはっきりさせ、測った値の扱いを詳しく書いた、とされています(p.3)。
名前ひとつの話に見えますが、私の考えでは、この改定の意味は小さくありません。外観診断と機器診断は、精度の高い・低いの関係ではありません。外観診断は木全体の活力と、外に現れた被害を読む診断で、機器診断は外観診断で疑いが生じた部位の中を確かめる診断です。見ているものが違う、別々の診断です。
呼び名は資料によって違う
検索すると「精密診断」「機器診断」「詳細診断」が混ざって出てきます。手元の公的な資料で確かめると、呼び名は次のとおりです。
| 資料 | 内部を機器で調べる診断の呼び名 | 確認した箇所 |
|---|---|---|
| 東京都建設局 街路樹診断等マニュアル(令和3年度) | 機器診断(腐朽診断・根株診断) | p.3、p.11 |
| 同マニュアルの改定前 | 精密診断 | 令和3年度版 p.3 の改定概要 |
| 国土技術政策総合研究所 街路樹の倒伏対策の手引き 第2版(2019年) | 樹木健全度調査の中の詳細診断 | 第1編 第4章の構成(4.2.6 詳細診断の方法) |
| 同 手引き 第2編 街路樹の点検・診断事例集 | 自治体によって精密診断・専門診断など | 仙台市・横浜市の事例 |
| 国土交通省 東京国道事務所 街路樹点検マニュアル(令和5年3月) | 機器診断(カルテでは詳細診断) | p.22 |
| 国土交通省 都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案) 参考資料 | 樹木診断カルテに機器診断の欄 | p.29 の様式 |
学会の論文でも、ピカスやアーボソニック3Dを「精密診断機器」と呼んだ報告があります(杉本ほか 2015)。どの資料でも、目で見る診断のあとに、必要な木に機器を使う順序になっています。この記事では、検索で使われる「精密診断」と、東京都の正式な呼び名の「機器診断」を併せて書きます。
外観診断との違いと、診断の流れ
外観診断と機器診断の違い
| 外観診断 | 機器診断(精密診断) | 対象 | 診断の対象となるすべての木(必須) | 外観診断で必要とされた木だけ | 方法 | 目視と診断用具(木槌・鋼棒・双眼鏡など) | 樹木診断機器(レジ・ピカス・アーボソニック3D など) | 分かること | 樹勢と樹形の活力、根元・幹・大枝の外に現れた被害 | 幹や根株の中の腐朽・空洞の程度を数値や画像で | 結果 | A・B1・B2・C の4段階の外観診断判定 | 腐朽空洞率・t/R率(総合判定の参考値) | 時期 | 樹木点検と同じ考え方で、活力の分かりやすい葉の茂る時期が基本 | 季節の制約はなく、必要と判定されたら速やかに |
|---|---|
(出典: p.5、p.11、p.14、p.15、p.50、p.51)

外観診断と機器診断の違い。機器は、外観診断で疑いが生じた木・部位だけに当てます(イラストは当社作成)
流れ──外観で拾い、機器で確かめ、合わせて判定する
東京都の街路樹診断は、外観診断・機器診断・フォローアップ診断から成り立っています(p.11)。順番に書くと次のとおりです。
- 樹木点検: 外観診断が必要な木と、維持管理の処置が必要な木を拾い出す点検(p.5)
- 外観診断: 対象のすべての木に行う。活力診断と部位診断から、A・B1・B2・C の4段階で判定する(p.11)
- 機器診断: 外観診断で必要とされた木だけに行う(p.11、p.51)
- 総合判定: 外観診断判定と機器診断の腐朽空洞率をもとに、総合的に判断する(p.65)
- 処置と次の診断: 判定に応じた処置。A と B1 は5〜10年後、B2 は1〜3年後にフォローアップ診断(p.11 の図Ⅲ-1・1)
機器診断を行わなかった木は、外観診断判定がそのまま総合判定になります(p.45)。逆に、外観診断で B2 と判定された木のほとんどは機器診断が必要で、C 判定の木も状況に応じて機器診断を行うとされています(p.15)。
マニュアルには、活力が健全に見える木でも、幹の中や根株に極めて危険な空洞や腐朽を抱えている場合がある、と書かれています(p.15)。葉がよく茂っていることは、中が健全であることの証明になりません。だから外観診断では、幹の形を注意深く観察し、木槌の打診などで機器診断が必要な木を見分けます(p.15)。外観診断が「ふるい」、機器診断がそのふるいに残った疑いに答える道具、という関係です。
機器ごとの入口──レジ・ピカス・アーボソニック3D・静的負荷試験(引張り試験)
東京都の街路樹診断の機器診断は、作業効率とこれまでの測定実績から、貫入抵抗測定器(商品名 レジ)によるものを基本としています。ただし、ほかにもさまざまな機器があり、診断の目的や用途、機器の設置のしやすさや木への影響も踏まえて選ぶこと、とされています(p.51)。マニュアルの表には、レジ(F型・PD型)、ツリーガンマ、アーボソニック3D、ドクターウッズ、ツリースキャン、ピカスの特性が並んでいます(p.53)。
当社が使う機器と、根返り・幹折れを見る静的負荷試験(引張り試験)を、まず表で比べます。
| レジ(Resi PD) | ピカス | アーボソニック3D | 静的負荷試験(引張り試験) | 東京都マニュアルでの呼び名 | 貫入抵抗測定器 | 弾性波樹木診断装置 | 多点式応力波速度測定器 | 機器診断の機器の表(p.53)には載っていない | 測り方 | 細いキリを回転させて差し込み、抵抗の高低を波形で記録 | 幹の周りのセンサーの間を伝わる弾性波の到達時間から断面の画像を描く | 幹の周りのセンサーを打撃し、応力波の到達時間から断面図を描く | ロープで木を引き、引く力・幹の伸び縮み・根元の傾きを測る | 見るもの | 差し込んだ線の上の健全材の厚さ | 断面全体の広がり、複数の高さで上下の広がり | 断面全体の広がり、複数の高さで上下の広がり | 根返り・幹折れに耐える力の見積もり | 木への影響(マニュアル・取扱説明書の記載) | 樹皮・形成層・木部がわずかに傷付く | 樹皮・形成層がわずかに傷付く | プローブによる樹皮の損傷は小さい | 木が元に戻る範囲で引く | 詳しい記事 | 11106 | 11100 | 11108 | 14212 |
|---|---|
(出典: p.51、p.53、参考資料 p.108、p.111。引張り試験は記事 14212 と IML 社の取扱説明書)

機器ごとに、木の「どこを」見るか。レジは線、ピカスとアーボソニック3Dは面と高さ、静的負荷試験は木全体(イラストと図は当社作成)
レジ(Resi PD)──細いキリで、健全材の厚さを「線」で読む
レジ(Resi PD)は、軸径1.5mm・先端幅3.0mmの細いキリを回転させながら幹に差し込み、そのときの抵抗の高低から材の腐朽や空洞の状態をつかむ機器です(p.51)。健全な材では抵抗が高く、腐朽や空洞では低いか、現れません。おおむね十字方向の4か所から差し込み、波形から各方向の健全材の厚さの割合(t/R率)と、断面積に換算した腐朽空洞率を出します(p.51)。
東京都の街路樹診断で基本の機器になっているのはこのレジです(p.51)。根株診断も、レジを地際から斜め下へ差し込んで行います(p.11、p.60)。カルテの見方は「レジ(Resi PD)の診断カルテの読み方」と、根株診断の「根株診断カルテの読み方」で説明しています。
ピカス──音波で断面を描き、高さを重ねる
ピカスは、幹の周長に応じて12〜30個のセンサーを付け、センサーの間を通る弾性波の到達時間から、幹の中の断面を色分けした画像にする機器です。材に空洞や腐朽があると、弾性波の届く時間が遅くなります(参考資料 p.111)。高さを変えて何段か測ると、専用のソフトで複数の測定面から3Dの図を作り、腐朽の上下の広がりも確かめられます(IML 社の製品ページ)。測り方は「ピカス(PiCUS Sonic Tomograph 3)の構成と測り方」にまとめています。当社では、音波の画像に加えて、同じ測定点で電気の通りやすさを測るトロニックも使い、性質の違う2枚の画像を重ねて読んでいます。
アーボソニック3D──応力波で断面を描き、高さを重ねる
アーボソニック3Dは、幹の周りにセンサーを付け(標準は10個)、センサーを順に打撃して応力波の到達時間を測り、専用のソフトで断面を図にする機器です。複数の高さの断面を測った記録から、中の異常が上下にどこまで広がっているかを推定できます(参考資料 p.108)。測り方と画面の色の見方は「アーボソニック3Dの使い方」にまとめています。
静的負荷試験(引張り試験)──中ではなく、木全体の「耐える力」を見積もる
静的負荷試験(引張り試験)は、ロープで木を静かに引き、引く力、幹の縁の繊維の伸び縮み、根元の傾きを同時に測って、根返りと幹折れに耐える力を見積もる試験です。ここまでの3つの機器が幹の「中」の腐朽や空洞を測るのに対し、こちらは木全体が風の力にどこまで耐えるかを見る、考え方の違う試験です。東京都のマニュアルの機器診断の表(p.53)には載っていません。
日本でも、2026年5月の樹木医学会ワークショップ「風による倒木と樹木の引張り試験」で、引張試験に使う3種類の機器(PULLING TEST、PiCUS TreeQinetic、RT チェッカー)が解説され、演習林での実地研修が行われています。仕組みと研究の知見は、14212 の記事で詳しく書いています。
引張り試験が向く木かどうかも含めて、樹木診断のご相談の中で進め方をご提案します。
機器ごとに、見誤りやすい形がある
マニュアルの参考資料は、腐朽や空洞の形によっては、機器が測った腐朽空洞率が実際より大きく(過大)、または小さく(過小)出る場合があるとして、機器ごとの例を表にしています(参考資料 p.106)。
| 機器 | 過大・過小に出やすい例(マニュアルの記載の要約) |
|---|---|
| レジ(貫入抵抗測定器) | 空洞が中心から放射方向に長く伸びていると、差し込む方向とのずれで、4方向の測定ではばらつきが大きくなる |
| アーボソニック(多点式応力波速度測定器) | 外周に沿った長い空洞などは音波の回り道が長くなり過大に、小さな空洞は回り道の影響が小さく過小に出ることがある |
| ピカス(弾性波樹木診断装置) | アーボソニックやドクターウッズと似た傾向が予想される |
総合判定の節でも、測定値と実際の腐朽の差は、腐朽空洞が大きいと小さく、小さいと大きくなる傾向があり、機器によって得意・不得意の形が違うので、各機器の計測の特徴を理解したうえで t/R率や腐朽空洞率を使う必要がある、とされています(p.65)。
研究では、ピカス・ドクターウッズ・アーボソニック3Dの3機種で同じクスノキ1本とソメイヨシノ2本を測り、伐採後の実際の断面と比べた報告があります。3機種の腐朽率には差があり、実際の断面との差は−16〜+18%でした。入り皮が幹の木部に含まれると、どの機器も腐朽率を大きく示す傾向があり、木を取り巻く条件によって機器を選ぶと効率的だとまとめています(杉本ほか 2015)。
当社では、まずピカスで断面全体をつかみ、画像で気になった箇所があれば必要に応じてレジで確かめる、という組み合わせを基本にしています。原理の違う機器の結果を突き合わせると、どこがどれくらい弱っているかの判断がずいぶん確かになります。同じサクラを3機種で測り、その日のうちに伐って断面と比べた研修会の記録は「樹木診断機器比較研修会」に書いています。

腐朽の形によって、機器の数値は実際より大きくも小さくも出ます(東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」参考資料 p.106 をもとに当社作成)
どんなときに精密診断(機器診断)が必要か
外観診断で、こんな被害が見つかったとき
東京都のマニュアルは、機器診断の検討が必要な被害を表にしています(p.43)。
| 外観診断で見つかった被害 | 程度 | 行う機器診断 |
|---|---|---|
| 樹皮枯死・欠損・腐朽 | 周囲長比率1/3以上で、被害が進行している | 腐朽診断か根株診断 |
| 芯に達していない開口空洞 | 周囲長比率1/3以上で、被害が進行している | 腐朽診断か根株診断 |
| 芯に達した開口空洞 | 周囲長比率1/3以上(進行していない、回復傾向でも) | 腐朽診断か根株診断 |
| キノコ | 発生した部位の被害が大きい | 腐朽診断か根株診断 |
| キノコ(ベッコウタケ) | 発生し、被害が進行している | 根株診断 |
| キノコ(コフキタケ) | 発生し、被害が進行している | 腐朽診断 |
| 木槌の打診 | 異常音が大きい、または範囲が広い | 腐朽診断か根株診断 |
| 鋼棒の貫入異常 | 芯に達している | 根株診断 |
(出典: p.43 表Ⅲ-2・21。「腐朽診断か根株診断」は、診断者が被害の状況に応じて選び、いずれか一方は必ず行う)
根元にベッコウタケが出て被害が進んでいる木は、根株診断の対象です。根株診断は、都道で地上部の活力が旺盛なのに根株の腐朽で倒れた事例があったことから、平成25年のマニュアル改定で新たに位置づけられたものです(p.60)。根株診断では、レジを地際で40度の俯角をつけ、根株の中心へ向かって斜め下に差し込みます(p.60)。
マンション・施設・寺社の木では
東京都のマニュアルは都道の街路樹のためのものなので、民間の敷地の木に決まりとしてそのまま当てはまるわけではありません。ただ、私の考えでは、外観で疑いを拾い、必要な木だけ機器で確かめるという考え方は、マンションや施設の木にもそのまま使えます。敷地の木の倒木対策と管理者の責任は「マンション・施設の倒木対策」にまとめています。
神社の御神木やお寺の霊木のように、長く大切にされてきた木では、傷をできるだけ小さくすることを大切にし、細い釘を浅く打つだけで測れるピカスなどを使い分けます(社寺の御神木・霊木・名木の樹木診断)。
機器を当てても得るものが少ないとき
外観にこれといった所見のない木に機器を当てても、得られるものは多くありません。機器は外観診断の代わりではなく、外観診断で生まれた疑いに答えを出すための道具です。私の考えでは、すべての木に精密診断を、とお考えの場合でも、まず外観診断で機器を当てる木と部位を絞るのが、木にとっても費用の面でも筋の通った進め方です。
結果の読み方──数字だけで判定しない理由
機器診断の結果は、主に2つの数字にまとめます。t/R率は、各測定方向の半径(R)に対して残っている健全材の厚さ(t)の割合です。腐朽空洞率は、断面積に換算した腐朽空洞の割合で、総合判定を出すときの参考値として使います(p.50、p.51)。
| 総合判定 | 意味 | 腐朽空洞率の参考基準値 | A | 健全か健全に近い | 10%未満 | B1 | 注意すべき被害が見られる | 10%以上30%未満 | B2 | 著しい被害が見られる | 30%以上50%未満 | C | 不健全 | 50%以上 |
|---|
(出典: p.66 表Ⅲ-4・1)
ただし、マニュアルは、機器診断で腐朽空洞が確認できなかったとしても、機器診断の結果だけから総合判定を出すのではなく、外観診断の結果と合わせて考えたうえで判定するよう求めています(p.65 注1)。t/R率が0.3未満の場合は折損の危険が高い場合があるため注意する、樹木の形状比や樹冠の形、根系、立地環境も考える、と表になっています(p.66 表Ⅲ-4・2)。
数字は判断の根拠のひとつで、判定は人が出します。t/R率と腐朽空洞率の関係や、判定のあとの処置・フォローアップ診断は「樹木医は街路樹診断で何を見ているか(後編)」で詳しく書いています。

腐朽空洞率とt/R率の比較
費用が決まる要素と、ご依頼の流れ
費用が決まる要素
樹木診断は有償で、現地の状況を見たうえでお見積りします。金額は木と現場の条件で大きく変わるため、この記事には書いていません。費用は、主に次の要素で決まります。
| 要素 | 内容 | 木の本数と幹の太さ | 単価は幹の太さを基準にしています | 外観診断だけか、機器診断も行うか | 機器診断は、外観診断で必要とされた木と部位に行います | 樹上など高い所での作業の有無 | 高い位置の幹や大枝を測るときは、高所での作業が加わります | 報告書の形 | 診断カルテ、総合的な報告書、理事会などでのご説明の資料 |
|---|
東京都のマニュアルでも、外観診断の結果、2m以上の高い所で幹の腐朽診断が必要になった場合は、高所作業車を使って行うとされています(参考資料 p.112)。

樹木診断の費用が決まる4つの要素(金額は、現地の状況を見たうえでお見積りします)
ご依頼の流れ
| 順 | 内容 | 1 お問い合わせ | 木の種類・本数・気になる症状をお知らせください、写真があると話が早く進みます | 2 現地の確認とお見積り | 現地で木と周りの状況を確かめ、診断の内容をご提案してお見積りします | 3 診断と結果のご報告 | 樹木点検・外観診断を行い、必要な木だけ機器で幹や根株の中を調べ、診断カルテと報告書でお伝えします |
|---|
(サービス「樹木診断」の「ご報告と費用、ご依頼の流れ」と同じ内容。表のセルに「。」を入れない決まりに合わせて文をつないだ)
写真の送り方は「樹木の写真の撮り方」で説明しています。
当社の精密診断(機器診断)
当社は、レジ(Resi PD)3台、アーボソニック3D 1台、ピカス2台(音波トモグラフィと電気抵抗トモグラフィを各1台)を持ち、樹木医3名で診断しています。機器の画像は判断の材料であって答えではないので、樹形、根元の状態、立地、土壌、管理の履歴を重ねて判断し、断面の画像・外観診断の所見・総合判定・今後の管理の考え方を報告書にまとめてお渡しします。
これまでの機器診断の記録から、いくつかを挙げます。
- 山梨県都留市・西涼寺様 霊木ケヤキの樹木診断(ピカス・ツリートロニック・レジとドローン)
- 埼玉県内の伝統校 クスノキ2本の機器診断(ピカス)
- 山形県での出張樹木診断 ピカス、レジでの診断検証
- 公園樹木診断 樹木医による機器診断・根株診断(レジ)
- 街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ
- マンションの木を診断し、切り株で診断結果を確かめる(世田谷区)
診断した木を伐ったときに、断面と診断の結果を突き合わせる機会を、当社は大切にしています。機器ごとの見誤りやすい形を、実際の断面で確かめられるのはそのときだけだからです。
「樹木診断」のサービス内容と、ご相談の窓口であるお問い合わせのページはこちらです。
行政・公共施設のご担当者様に向けたご案内は「行政・公共施設のご担当者様」にまとめています。
よくある質問(Q&A)
Q1. 樹木の精密診断とは何ですか。
A. 外観診断で幹や根株の中に腐朽や空洞が疑われた木に、レジ・ピカス・アーボソニック3Dなどの機器を当てて、中の状態を数値や画像で確かめる診断です。東京都建設局の街路樹診断等マニュアルでは、令和3年度の改定で「機器診断」と呼び名が改められています。
Q2. 精密診断と機器診断、詳細診断は違うものですか。
A. 資料によって呼び名が違うだけで、外観の診断のあとに、必要な木の中を機器で調べる診断を指す点は同じです。東京都は令和3年度に精密診断を機器診断に名称変更し、国土技術政策総合研究所の街路樹の倒伏対策の手引きは詳細診断と呼んでいます。
Q3. 外観診断と精密診断(機器診断)は何が違いますか。
A. 外観診断は、対象のすべての木について、目と木槌・鋼棒などの用具で、活力と外に現れた被害を読む診断です。機器診断は、外観診断で必要とされた木だけに行い、幹や根株の中の腐朽や空洞の程度を数値で確かめます。精度の高い・低いではなく、見ているものが違う別の診断です。
Q4. 精密診断(機器診断)は、すべての木に必要ですか。
A. いいえ。東京都のマニュアルでは、機器診断は外観診断で必要とされた木にだけ行います。外観診断で B2 と判定された木のほとんどは機器診断が必要で、C 判定の木も状況に応じて行います。機器診断を行わない木は、外観診断判定がそのまま総合判定になります。
Q5. レジ、ピカス、アーボソニック3Dはどう使い分けますか。
A. レジは細いキリを差し込んで、線の上の健全材の厚さを読む機器で、東京都の街路樹診断の基本の機器です。ピカスとアーボソニック3Dは、幹の周りのセンサーの間を伝わる波の速さから断面全体を画像にし、高さを変えて測った断面を重ねると上下の広がりも確かめられます。機器ごとに見誤りやすい腐朽の形があるため、当社ではピカスで断面全体をつかみ、気になった箇所を必要に応じてレジで確かめる組み合わせを基本にしています。
Q6. 静的負荷試験(引張り試験)も精密診断に入りますか。
A. 東京都のマニュアルの機器診断で使える主な機器の表には、静的負荷試験(引張り試験)は載っていません。幹の中の腐朽を測る機器診断とは考え方が違い、ロープで木を引いて、根返りと幹折れに耐える力を見積もる試験です。
Q7. 精密診断(機器診断)の費用は何で決まりますか。
A. 樹木診断は有償で、現地の状況を見たうえでお見積りします。費用は主に、診断する木の本数と幹の太さ(単価は幹の太さが基準)、外観診断だけか機器診断も行うか、樹上など高い所での作業の有無、報告書の形で決まります。
出典・参考情報
- 東京都建設局「令和3年度 街路樹診断等マニュアル」p.3(改定概要。精密診断を機器診断に名称変更)、p.5(樹木点検の時期)、p.11(街路樹診断の種類と手順、図Ⅲ-1・1)、p.15(外観診断の留意事項)、p.43(表Ⅲ-2・21 機器診断の検討が必要な被害)、p.45(カルテ記載)、p.50〜53(機器診断、表Ⅲ-3・1)、p.65〜66(総合判定、表Ⅲ-4・1・4・2)。同 第Ⅶ章 参考資料 p.106(表Ⅶ-2・1)、p.108(アーボソニック3D)、p.111(ピカス)、p.112(高所における機器診断)
- 国土技術政策総合研究所「街路樹の倒伏対策の手引き 第2版」(国総研資料 第1059号、2019年2月)第1編 第4章の構成、第2編 街路樹の点検・診断事例集(仙台市・横浜市)
- 国土交通省 関東地方整備局 東京国道事務所「街路樹点検マニュアル」(令和5年3月)p.22
- 国土交通省「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案) 参考資料」p.29(樹木診断カルテの様式)
- 杉本弥和ほか(2015)「音波を用いた精密診断機器の比較」樹木医学研究 19(4): 216–217(https://doi.org/10.18938/treeforesthealth.19.4_216)
- 樹木医学会「第16回 樹木医学会ワークショップ ― 風による倒木と樹木の引張り試験 ―」資料 事後配布版(2026年5月16日、日本大学 生物資源科学部森林学科)プログラム
- 静的負荷試験(引張り試験)の仕組みの出典は、記事「ツリーキネティック(PiCUS TreeQinetic)の仕組みと考え方」の出典欄(IML Electronic「TreeQinetic Device and Software Manual」v1.1 ほか)
関連記事
- 樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編) 樹木点検と外観診断の18項目
- 樹木医は街路樹診断で何を見ているか(後編) 機器診断のt/R率と腐朽空洞率、総合判定、処置、フォローアップ診断
- 東京都「街路樹診断等マニュアル」の要点と、国土交通省の点検・診断の指針(案)
- レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か
- ピカス(PiCUS)とは何か
- アーボソニック3Dとは何か
- ツリーキネティック(PiCUS TreeQinetic)の仕組みと考え方──静的負荷試験(引張り試験)
- マンション・施設の倒木対策──管理者の責任、倒れる原因、点検と診断の進め方
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
記事中のイラストは、株式会社トシ・ランドスケープの説明用イラストです。測定の手順と判定は、上記の資料の基準と現地の状況によります。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊




















