マイクロハンマー(IML Micro Hammer)は、幹の2点のあいだを衝撃が伝わる時間を測り、樹種ごとの音の速さと比べて内部の傷みを推し量る予備調査用の機器です。断面を描くピカスとの違い、空洞があると何が変わるのか、研究で分かっている確かさと限界を樹木医が解説します。
IML社の樹木診断機器をひとつずつ取り上げる連載の第10回です。第7回から第9回までは、静的負荷試験(引張り試験)や風による揺れ、土の水分といった、幹の外や樹木全体にかかわる測定を見てきました。今回は再び幹の中に戻ります。取り上げるのは、断面の画像を描く第4回のピカスより前の段階で、「この幹の中を詳しく調べる必要があるか」を手早く確かめるための機器です。この回も、メーカーの公開資料と研究論文をもとに紹介します。
先に答え
- マイクロハンマーは、幹を挟んで立てた2本のねじのあいだを、ハンマーの衝撃が伝わる時間を測る機器です。ねじの先どうしの距離を入れると、音の速さ(m/s)で表示します。
- 健全な樹木の幹を横切る音の速さは、目安として針葉樹で約1,000m/s、広葉樹で約1,500m/sとされます。空洞や腐朽があると音が回り込むため、見かけの速さが落ちます。
- 測るのは、2点を結ぶ1本の通り道です。断面を面で描くピカスと違って、傷みの位置や形までは分からず、メーカーも予備調査用の機器と位置づけています。
- 1本の通り道で見つけられるのは断面の20%を超えるような傷みだとする米国のガイドがあり、健全な樹木どうしでも速さには幅があることが分かっています。
- 速さが落ちたことだけで腐朽とは決められません。亀裂の向きでも値は大きく変わり、材をもろくするタイプの腐朽は、初期には捉えにくいとされています。

マイクロハンマーとは──2点のあいだを音が伝わる時間を測る
マイクロハンマーは、ヴィースロッホのIML社がつくる機器です。第1回でご紹介したとおり、IMLグループの樹木診断機器のうち、穿孔抵抗測定器のレジ(Resi PD)と同じ拠点の製品で、ピカスをつくるロストックのIML Electronic社の製品ではありません。
製品ページの説明は「衝撃が樹木の中を伝わる時間を測る。樹種ごとに音の速さが決まっているので、測った値から内部の状態が分かる」という趣旨です。メーカーの2025年の製品の一覧(価格表)では、生きている樹木の「予備調査の機器(preliminary inspection device)」と紹介されています。
測り方の基本はこうです。幹を挟んで反対側に、特別なねじを2本立てます。片方のねじには衝撃を受けるセンサーを、もう片方には打撃キャップを載せます。キャップをハンマーでたたくと、ケーブルでつながったハンマーが「たたいた瞬間」の信号を出し、反対側のセンサーが「衝撃が届いた瞬間」を捉え、そのあいだの時間を電子ユニットが測ります。ねじの先どうしの距離を時間で割った値が、幹を横切る音の速さです。
この考え方は新しいものではありません。2004年に米国農務省林産研究所(FPL)が出した立木の腐朽診断のガイドには、当時のIML社の機器が「インパルスハンマー(Impulse Hammer)」の名前で載っていて、幹に2本のねじを立て、片方にセンサー、もう片方をハンマーでたたくという、今と同じ測り方が書かれています。
構成と仕様
製品ページと取扱説明書(2018年7月版)によると、マイクロハンマーは次の部品でできています。
- 電子ユニット: 手に持つ本体です。衝撃に強く水の入りにくい樹脂の筐体に、OLEDの画面とテンキーが付き、測定値を記録します。
- ハンマーとセンサー: 衝撃を出すT字形のハンマーと、衝撃を受ける小型のセンサーです。どちらもケーブルで電子ユニットにつなぎます。
- ねじ・磁石・打撃キャップと付属品: センサーと打撃キャップは、幹に立てたねじの頭に磁石で載せます。ねじを入れる小型の電動ドライバー、充電器、アルミのケースも付きます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測るもの | 2点間を衝撃が伝わる時間(距離を入れると音の速さ m/s、入れなければマイクロ秒で記録) |
| センサーの数 | 1個・3個・6個の3種(複数のセンサーは中継箱で最大6個までつなぐ) |
| ねじ | ステンレス製、長さ60mm・直径4mm(付属は10本) |
| 表示と通信 | OLEDの画面、Bluetooth、USB |
| ソフト | IML Software Center の M-Tools(電子ユニットの設定と読み出し、データの転送・保存) |
| 測れる対象 | 樹木のほか、梁や柱(poles)などの木材 |
メーカーは、マイクロハンマーで見つけられるものとして、初期の腐朽、褐色腐朽と白色腐朽、空洞、水を多く含んだ芯(wet cores)、亀裂を挙げています。ただし、後で紹介するとおり、研究者の見方はもう少し慎重です。
水への強さは資料で書き方が違い、製品ページは「どんな天気でも使える」とする一方、取扱説明書は水や湿気に直接触れさせないよう求めています。点検は、およそ1年後に最初の点検を受け、その後も少なくとも年1回が勧められています。

測り方の流れ
取扱説明書をもとに、1本の通り道を測る流れをまとめると次のとおりです。
- ねじを立てる: 調べたい断面を挟んで、反対側に付属の木ねじを2本入れます。
- ねじの先どうしの距離を出す: 取扱説明書の図では、両側のねじの外側どうしの距離(B)から、ねじの頭から先までの長さ(A)を2本分引いて、ねじの先どうしの距離(D = B − 2A)を出しています。この距離を、測る前に電子ユニットに入れます。
- センサーとキャップを載せる: 片方のねじの磁石にセンサー、もう片方に打撃キャップを載せ、センサーとハンマーを電子ユニットの同じ色の差し込み口につなぎます。
- 静かに待って、たたく: 測定を始めると、センサーが落ち着いたところで画面が「測れる状態」になります。センサーが揺れているあいだは測れないので、電子ユニットは静かに持ち、幹やケーブルから振動が伝わらないようにします。そのうえで、打撃キャップをまっすぐ軽くたたく、という順番です。
- 3回の平均を保存する: 直近の3回の値のばらつきが10%以内に収まると、電子ユニットがその平均を保存するよう勧めます。1回の値で判断しないための手順です。FPLのガイドも、少なくとも3回の平均を使うよう書いています。保存した値には、樹木の番号やメモを付けておけます。
- パソコンへ送る: 記録はBluetoothかUSBでパソコンに送り、日時、距離、測定値の一覧として保存します。


複数のセンサーで測る
センサーが3個か6個の型では、中継箱を使って最大6個のセンサーを一度に付けられます。複数センサーの簡易説明書によると、センサー用のねじは辺材に1cm以上入れ、打撃キャップは1か所に固定します。中継箱のつまみでセンサーを1番から順に切り替え、打撃キャップからそのセンサーまでの距離を入れて、キャップを3回たたいて保存します。距離を入れない場合、結果の単位はマイクロ秒です。
説明書は、亀裂や空洞は衝撃の伝わり方を弱め、センサーごとの速さを比べると欠陥の手がかりになる、としています。1か所をたたき、向きの違う何本かの通り道の速さを並べて見る使い方です。

音の速さで何が分かるのか──健全な幹と空洞のある幹
速さは、材の硬さと重さで決まる
木材の中を伝わる音の速さは、材の硬さ(弾性係数)と密度にかかわり、腐朽で硬さが落ちると遅くなります(Ouis 2003)。幹を横切る向きの速さは、繊維に沿う向きの5分の1から3分の1ほどで、年輪を半径方向にまっすぐ横切る向きは、ほかの向きより約30%速いとされています(FPLのガイド)。
健全な樹木の幹を横切る速さは、マテック(Mattheck)氏とベトゲ氏の1993年の現地調査をもとに、目安として針葉樹で約1,000m/s、広葉樹で約1,500m/sとされています。直径50cmの幹を1,500m/sとすると、伝わる時間は約333マイクロ秒、3分の1ミリ秒です。マイクロハンマーは、この短い時間の違いを読む機器です。
| 樹種(論文の表記の和訳) | 健全な樹木の半径方向の速さ(m/s) |
|---|---|
| ナラ類(オーク) | 1,382〜1,610 |
| ヨーロッパブナ | 1,206〜1,412 |
| トネリコ類 | 1,162〜1,379 |
| カエデ類 | 1,006〜1,426 |
| シナノキ類(ボダイジュ) | 940〜1,183 |
| ポプラ類 | 967〜1,144 |
| トウヒ類 | 931〜1,085 |
| マツ類 | 1,066〜1,146 |
表は、論文の表から日本でもなじみのある属を抜き出したものです。目安の1,500m/sに届かない広葉樹も多く、同じ樹種でも幅があります。論文は、幹が太いほど少し速くなる傾向も示しています。製品ページの「樹種ごとの音の速さと比べて」は、こうした基準の速さと測った速さを比べるという意味です。

空洞があると、音は回り込む
国土交通省の「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)」の参考資料は、弾性波速度測定機の仕組みを、腐朽や空洞の部分を迂回して進む音を拾うので、健全な材をまっすぐ進むより見かけの速度が遅くなり、その低下から腐朽や空洞の程度を推測する、と説明しています。マイクロハンマーも同じ考え方です。
どのくらい遅くなるのかを、単純な計算で確かめてみました。直径50cmの幹の中心に直径25cm(断面の25%)の空洞があり、音は空洞の縁を回り込み、健全な材の中はどこでも同じ速さで進むと仮定します。すると、ねじの先どうしは50cmでも、音の道のりは約56cmになり、伝わる時間は約333マイクロ秒から約376マイクロ秒に延びます。見かけの速さは1,500m/sから約1,330m/sへ、約11%の低下です。
一方、空洞がもっと小さいか、通り道が中心からずれていて、空洞が2本のねじを結ぶ線から外れた位置にあれば、音はまっすぐ届き、時間はほとんど変わりません。1本の通り道で測る機器は、通り道の上にある傷みしか捉えられないということです。

実際の樹木では、低下はこの計算より大きく出ることが多いはずです。回り込む道は年輪に沿う向きで半径方向より遅く、空洞の周りの傷んだ材も音を遅らせるからです。日本のカラマツの研究(小林ら 2008)の、直径方向の腐朽の割合と速さの関係を表す式から計算すると、直径の半分が腐朽した幹の速さは健全な幹の6割ほどです。それでも、傷みが小さいうちは速さの変化も小さいという点は変わりません。
亀裂は、向きで効き方が変わる
マテック氏らは、亀裂の影響が向きで大きく変わることを示しています。音の通り道が亀裂と平行なら、音は亀裂を横切らずに済むので、速さはあまり落ちません。通り道が亀裂を横切ると、音は亀裂の端を回り込むので、速さは大きく落ちます。年輪に沿って何重にも割れが入ったヨーロッパグリでは、健全な材の21%の速さしか出なかった例が紹介されています。速さが落ちたとき、それが腐朽なのか亀裂なのかは、数字だけでは分かりません。

ピカスとの違い──通り道を数本測るか、断面を描くか
ピカスも、幹に打った釘をたたき、音が届くまでの時間を測る機器です。測っているものの性質は、マイクロハンマーと同じです。違うのは、通り道の数です。ピカスは幹の周りに測定点を並べ、すべての点を順にたたいて、2点の組み合わせの数だけ通り道を測ります。12点なら66本です。その多くの通り道の速さから、断面の中のどこが遅いかを計算して、画像に描きます。
マイクロハンマーは、センサー1個なら1本、6個付けても、1か所をたたけば6本です。断面を面で描くのではなく、何本かの通り道の速さを数字で比べます。第1回では、IMLグループの機器を測る範囲で、小さな試料、2点のあいだ、1本の線、断面という面、樹木全体と並べました。第1回の整理では、マイクロハンマーは点(2点のあいだ)にあたります。レジの針が通る線と同じく、通り道の上のことしか分からない機器です。

当社が使っているアーボソニック3D(ハンガリーのFAKOPP社の機器で、IML社の製品ではありません)も、ピカスと同じく多くの測定点で断面を描く機器です。FPLのガイドには、FAKOPP社の2点式の機器と、その多点版も並んで紹介されています。
研究から見る、確かさと限界
マテック氏らの現地調査(1993年)
IML社と1992年から協力しているマテック氏(第1回)は、1993年にベトゲ氏と、別の会社の測定器(Metriguard の Stress Wave Timer)を使った論文を発表しています。樹皮の上からでは衝撃が失われるので、ねじを通して木部に衝撃を入れる。針葉樹はねじを長めに入れ、硬いブナやナラなら1cmで足りる。今のマイクロハンマーと同じ、ねじを使う理由から書き起こされています。
論文は、健全な材の速さの70%を下回ったら、成長錐で残っている材の厚さを確かめるよう勧めています。成長錐の傷のほうが樹木への負担が大きいので、価値のある樹木では、まず音の速さで大きな欠陥を確かめてから穴をあける、という順番です。外観で欠陥の兆しを探し、気になるときに音を測る組み合わせを、公共の場所の樹木を安く調べる方法として結論に挙げています。
一方で、論文ははっきり限界も書いています。この方法では、健全な材の壁の厚さそのものは求められず、腐朽の広がりのおおまかな見積もりにとどまること。そして、音の速さは材の硬さと密度にかかわるので、硬さを保ったまま材をもろくするタイプの腐朽は、少なくとも初期には捉えられないこと。例に挙げられているのは Hypoxylon deustum(現在の学名 Kretzschmaria deusta)という菌です。メーカーの製品ページは用途に「残っている壁の厚さを調べる」と書いていますが、論文の立場はこれより慎重です。
1本の通り道で見つけられる大きさ(2004年)
FPLのガイド(Wang氏ら。ハンガリーのDivos氏が共著)は、1本の通り道の測定で見つけられるのは、断面の20%を超える内部の腐朽だとしています。判定の目安としては、健全な木の基準より伝わる時間が10%以上長ければ内部の腐朽を疑い、詳しい測定に進む、という使い方を示しています。先ほどの計算では、断面の25%を占める空洞でも、伝わる時間は約13%長くなるだけで、10%の目安をわずかに超える程度でした。20%という数字の意味が、この計算からも見えてきます。
基準の速さは、樹種で違うだけでなく、同じ樹種でも木ごとに違います。ガイドは、文献の値を出発点にしつつ、現地で同じ樹種の健全な木を何本か測って基準をつくることを勧めています。
健全な木どうしでも、速さには幅がある(2008年)
小林氏らは、九州大学北海道演習林と信州大学野辺山ステーションの、林齢のほぼ同じカラマツ林で、2点間の伝わる時間を測りました。健全な木の平均の速さは、九州大学の林で1.76km/s、信州大学の林で1.26km/sと、同じ樹種でも約1.4倍違いました。腐朽した木の速さは健全な木より遅い側に偏りましたが、九州大学の林では1.3〜1.9km/sの範囲で健全な木と腐朽した木が重なっていました。
米国では、Wang氏とAllison氏が樹齢100年ほどのアカガシワ2本で、外観診断、2点間の測定、断面の画像、穿孔抵抗の測定を順に行い、伐って断面と照らし合わせました(2008年)。2点間の測定は、問題があることは正しく示しましたが、その中身までは分かりませんでした。断面の画像は傷みの位置と大きさをよく映した一方、大きな亀裂を腐朽のように映した部分もあり、見分けるには穿孔抵抗の測定が必要でした。外観と2点間の測定は1人で1本15分足らずで、詳しい調査が要るかを決める手早いふるいになったとされています。
研究をまとめると、2点間の速さは、大きな傷みのある木を手早く拾い出すのに向き、傷みの位置や形、種類を決めるのには向かない、ということになります。
当社の考え方
当社の樹木診断は、木槌で幹をたたいて音を聞く外観診断から始まり、内部が疑わしい樹木をピカスとトロニックで断面全体の画像にし、キャリパーで幹の形を測り、気になる範囲にレジを通します。マイクロハンマーをこの流れに置くと、木槌の打診とピカスのあいだ、つまり「断面を描いて調べるべき木か」を数字で確かめる段階にあたる、というのが私の見方です。
音の速さを数字で残せるのは、耳に頼る打診にはない利点です。ただ、研究が示すとおり、速さの基準は樹種や木によって揺れ、亀裂の向きでも値は大きく変わります。速さが落ちたから伐る、落ちていないから安全、とはどちらも言えません。数字はふるいとして使い、外観や断面の画像、レジの結果と合わせて読む。マイクロハンマーの研究を読んで、その順番の大切さをあらためて確かめました。
株式会社トシ・ランドスケープのツリーリスクアセスメント(樹木診断)部門では、樹木医が外観診断から機器診断、報告書の作成、その後の管理計画までを一貫して担当しています。ご依頼は、マンション管理組合様、学校施設、寺社の御神木など様々です。幹の中の傷みが心配な樹木がありましたら、樹木診断のサービスページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからのご相談をお待ちしています。
次回は、成長錐で抜き取った小さな木材の試料を曲げて、材の強さを確かめる機器、IML Fractometer(フラクトメーター)を取り上げます。
株式会社トシ・ランドスケープ
樹木医 中村雅俊
よくあるご質問(マイクロハンマー IML Micro Hammer について)
Q1. マイクロハンマーでは何を測りますか?
A. 幹を挟んで立てた2本のねじのあいだを、ハンマーの衝撃が伝わる時間を測ります。ねじの先どうしの距離を入れると、幹を横切る音の速さ(m/s)で表示され、樹種ごとの健全な木の速さと比べて内部の傷みを推し量ります。
Q2. ピカスとは何が違うのですか?
A. どちらも音が届くまでの時間を測りますが、マイクロハンマーは1本から6本ほどの通り道の速さを数字で比べ、ピカスは多くの測定点の組み合わせ(12点で66本)から断面の画像を描きます。マイクロハンマーでは、傷みの位置や形までは分かりません。
Q3. 健全な樹木では、音の速さはどのくらいですか?
A. 目安として、針葉樹で約1,000m/s、広葉樹で約1,500m/sとされています。ただし、同じ樹種でも幅があり、日本のカラマツの研究では、林によって健全な木の平均が1.76km/sと1.26km/sと、約1.4倍違いました。
Q4. 速さが遅ければ、腐朽していると分かりますか?
A. 腐朽や空洞を疑う手がかりにはなりますが、それだけでは決められません。亀裂を横切って測ると速さは大きく落ちますし、基準の速さも木ごとに違います。米国のガイドは、基準より伝わる時間が10%以上長ければ腐朽を疑い、詳しい調査に進む目安を示しています。
Q5. 空洞の大きさや、残っている材の厚さは分かりますか?
A. 1本の通り道で見つけられるのは断面の20%を超えるような傷みだとされ、小さな空洞や通り道から外れた空洞は捉えにくい機器です。残っている材の厚さは、この方法では求められないとする研究もあり、レジ(Resi PD)などで確かめる必要があります。
Q6. 樹木を傷つけますか?
A. 長さ60mm・直径4mmのねじを幹に入れるので、小さな傷は残ります。マテック氏らは、ねじはふつう心材まで届かず、辺材は腐朽に抵抗できるので、樹木への傷は許容できる範囲だとしています。成長錐で材を抜くより負担は小さい方法です。
Q7. 測った結果はどう残りますか?
A. 3回たたいた値のばらつきが10%以内に収まると、その平均を保存できます。樹木の番号やメモを付けて記録し、BluetoothかUSBでパソコンに送って、日時、距離、測定値の一覧として保存します。
出典・参考情報
メーカーの資料
・IML「IML Micro Hammer」製品ページ(英語) 測定の原理、構成、見つけられるもの、付属品(2026年10月は直接開けず、2025年11月9日のインターネットアーカイブの保存版で確認)
・IML「Micro Hammer Manual」2018年7月版(PDF・英語) 用途と結果の扱い(1.1)、水と湿気(1.2.3)、点検(1.3)、構成(2・3章)、測定の準備と距離の求め方(4.7.1)、測定と3回の平均(4.7.2)、自動保存(4.14.1)、追加の機能(4.14.9)、ソフトとデータの転送(5章)
・IML「Short instruction manual for IML Microhammer using multiple sensors」(PDF・英語) 中継箱と最大6センサー、ねじの深さ、測り方
・IML「2025 IML Price List」(PDF・英語、2025年2月)の IML Micro Hammer の欄 予備調査の機器という位置づけ、センサーの数、ねじの寸法(価格は記事に載せていません)
研究・行政の資料
・Mattheck, C.G. & Bethge, K.A. (1993) Detection of decay in trees with the Metriguard Stress Wave Timer. Journal of Arboriculture 19(6): 374–378
・Wang, X., Divos, F., Pilon, C., Brashaw, B.K., Ross, R.J. & Pellerin, R.F. (2004) Assessment of decay in standing timber using stress wave timing nondestructive evaluation tools: a guide for use and interpretation. USDA Forest Service, FPL-GTR-147
・Wang, X. & Allison, R.B. (2008) Decay detection in red oak trees using a combination of visual inspection, acoustic testing, and resistance microdrilling. Arboriculture & Urban Forestry 34(1): 1–4
・小林元・古賀信也・岡野哲郎・田代直明 (2008) 応力波伝播速度測定によるカラマツ生立木の非破壊腐朽診断──九州大学北海道演習林と信州大学野辺山ステーションにおける調査事例. 樹木医学研究 12(3): 119–124
・Ouis, D. (2003) Non-destructive techniques for detecting decay in standing trees. Arboricultural Journal 27(2): 159–177(一部を確認)
・国土交通省「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)参考資料」(平成29年9月、令和8年3月30日改訂)p.22「診断に使用する主な機器」
樹木診断機器(ピカス・レジ・アーボソニック3D)の記事
機器の解説・導入・研修
・テンション(PiCUS Tension)の仕組みと使いどころ──土の水の取りにくさをpFで記録し、植栽直後の潅水を判断する方法を樹木医が解説
・ツリーモーション(PiCUS TreeMotion)の仕組みと使いどころ──自然の風で根元の傾きを測り、根の支えを読む方法を樹木医が解説
・ツリーキネティック(PiCUS TreeQinetic)の仕組みと考え方──ロープで木を引き、根返りと幹折れの安全率を見積もる静的負荷試験(引張り試験)を樹木医が解説
・キャリパー(PiCUS Calliper 3)の役割と測り方──幹の形を三角測量で測り、断面画像の精度を上げる方法を樹木医が解説
・トロニック(PiCUS TreeTronic 3)の構成と測り方──電気抵抗で断面を描き、音波の画像と重ねて読む方法を樹木医が解説
・ピカス(PiCUS Sonic Tomograph 3)の構成と測り方──測定点の数、キャリパーの扱いを樹木医が解説
・IML-RESI FシリーズとMD300──ワックス紙に曲線を刻むレジと、手で感じる機械式の穿孔器を樹木医が解説
・IML-RESI PowerDrill(PDシリーズ)の機種とオプション──レジ(Resi PD)7機種の違いと選び方を、樹木医が解説
・IML社とは──レジ(Resi PD)とピカスをつくるドイツの樹木診断機器メーカーを、樹木医が解説
・レジ(Resi PD)の根株診断カルテの読み方 俯角40度・補正直径・未測定部分を、実際のカルテで樹木医が解説
・レジ(Resi PD)の診断カルテの読み方 実際のカルテで、9つの欄を樹木医が1つずつ解説
・樹木医は街路樹診断で何を見ているか(後編) 機器診断のt/R率と腐朽空洞率、総合判定、処置、フォローアップ診断
・樹木医は街路樹診断で何を見ているか(前編) 東京都の街路樹診断等マニュアルの流れで、樹木点検と外観診断の18項目を解説
・アーボソニック3Dの使い方を、道具から断面画像の色の見方まで──取扱説明書と現場の写真で樹木医が解説
・アーボソニック3Dとは何か 音で幹の断面を樹木診断する診断機器を、樹木医が一般の方向けに解説します
・レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か。樹木医がレジ(Resi PD)で幹の中を「針」で診る機器診断を、一般の方向けに解説します
・ピカス(PiCUS)とは何か。音波と電気抵抗で幹の断面を診る樹木診断機器を、樹木医が解説します
・樹木診断機器Resi PD500の「Overload feed motor」エラー 原因は針でも設定でもなく、テレスコープ内のサポーターの曲がりでした
・音で、樹木の中を視る 非破壊樹木診断機器「ドクターウッズ」
・樹木診断 無料モニター募集
・PiCUS(ピカス)導入のお知らせ 樹木診断(機器診断) 非破壊診断×微破壊診断で、樹木診断を世界水準へ
・樹木診断機器 IML社製 レジ(Resi PD)について
・樹木模擬診断研修会を終えて 人の眼 × 機械の眼が拓く、新しい都市樹木管理のかたち
・東京都「街路樹診断等マニュアル」の要点と、国土交通省の点検・診断の指針(案)──大型化・老木化する街路樹・公園樹木の管理を樹木医が解説
・樹木医がイギリスの樹木診断に学ぶ ― 都市の樹木を守るための対話と発見
機器診断の記録
・山梨県都留市・西涼寺様 樹木医による霊木ケヤキの樹木診断 ピカス・ツリートロニック・レジとドローンで診た結果と、残すための3つの対策
・埼玉県内の伝統校 樹木医によるクスノキ2本の機器診断 ピカスで幹の内部を診る
・樹木医が街路樹エンジュの樹木診断と伐採後の腐朽具合の答え合わせ
・山形県での出張樹木診断 樹木医によるピカス、レジでの診断検証
・診断した木を、その日のうちに伐る──ピカス・アーボソニック3D・レジを同一木のサクラで比べた「樹木診断機器比較研修会」千葉県習志野市
・都有施設80万本の樹木一斉点検 約14,000本(速報)の「異状あり」を、樹木医はどう読むか
・港区三田 薬王寺様の境内 樹木診断 地上と樹上、樹木医がふたつの視点で木の内側を読む
・砧公園で4回目の倒木 樹木医として思うこと
・【ツリーケア最前線】樹木医が語るレジ(Resi PD)診断とロープワークの統合 相模原市での樹木診断レポート
・樹木医による都内の学校施設でのサクラの樹木診断 豊島区
・学校施設 ケヤキなど樹木医診断 東京都
・公園樹木診断 樹木医による機器診断・根株診断(レジ) 東京都
・マンション内のイチョウ(銀杏) 樹木医診断(機器診断) 東京都大田区
・公園のサクラ(桜)を樹木医が樹木診断(機器診断)しました
・樹木医 保存樹木サクラ等 樹木診断 東京都杉並区
・学校施設内 桜(サクラ)樹木医診断 東京都
・銀杏岡八幡神社 台東区浅草橋 樹木医診断
・樹木医 サクラ樹木診断(機器診断・レジ)
・樹木医がマンション植栽の危険木調査を行いました
サービス
・樹木診断(ツリーリスクアセスメント部門)
・GREEN MANAGEMENT
※ 「レジストグラフ」は、穿孔抵抗測定器を指す通称として、日本の樹木診断の現場で広く使われています。ただし、RESISTOGRAPH® は RINNTECH 社(ドイツ)の登録商標で、当社が使用している「レジ(Resi PD)」は IML 社(ドイツ)の製品です。両者は製造しているメーカーが異なります。呼び名の違いは「レジストグラフ・貫入抵抗測定器とは何か」で説明しています。
※ この記事の製品名(IML Micro Hammer、PiCUS、アーボソニック3D)は、それぞれ IML 社(ドイツ)、IML Electronic 社(ドイツ)、FAKOPP 社(ハンガリー)の製品名です。
連載「IML社の樹木診断機器」のすべての回は、連載の一覧からご覧いただけます。



















